阪神(☆7対3★)中日 =リーグ戦7回戦(2019.05.10)・阪神甲子園球場=
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中日
0200001003701
阪神
05001001X71001
勝利投手:西 勇輝(3勝3敗0S)
敗戦投手:又吉 克樹(1勝3敗0S)

本塁打
【中日】高橋 周平(2号・2回表2ラン)
【阪神】マルティネス(2号・2回裏2ラン)

  DAZN
◆阪神は2点を追う2回裏、マルテの2ランと糸原、大山の適時打で一挙5点を奪い、逆転に成功する。その後、5回には木浪の適時打、8回には大山の適時打で追加点を挙げた。投げては西が7回3失点で今季3勝目。敗れた中日は先発・又吉が5失点と試合をつくれなかった。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)が同点に追いつく2号2ランを放った。2点を追う2回。 1死一塁から中日又吉のスライダーをふり抜き左翼席に運んだ。マルテは「コースに逆らわずセンター方向へ打ち返すことを意識していたよ。強いスイングをすることができて、いいホームランになってくれたね」とコメントした。

◆阪神糸原健斗内野手(26)が勝ち越しタイムリーを放った。2回にマルテの2号2ランで同点に追いつき、西、近本の連打でさらに2死一、二塁として、糸原が中日又吉の直球を左前に運んだ。 糸原は「2死から西さんと近本がチャンスを作ってくれて、一気に勝ち越したい場面だったので、チャンスで自分の仕事をすることができて良かったです」とコメントした。

◆体操女子で16年リオデジャネイロ五輪代表の杉原愛子(19)が「武庫女Day」の始球式で甲子園のファンを魅了した。 武庫川女子大を代表してマウンドに上がり、右足を大きく上げて反時計回りに1回転ターンしてから、捕手までノーバウンド投球。スタンドからはどよめきと拍手が巻き起こった。 無事に終えた杉原は「すごい声援で緊張したけど楽しかった。無事に届いて良かったです」と笑顔。フォームについては、競技の床運動や平均台で行っている技を取り入れたといい「タイガーターン」と命名。「体操選手らしいところを見せようと思いました」と狙い通りだった。 5月18日のNHK杯へは「ノーミスの演技で(世界選手権の)代表に選ばれるように」と意気込みを語った。

◆中日は2回に高橋の2号2ランで先制。阪神はその裏、マルテの2号2ランで追いつき、糸原、大山の適時打で3点を勝ち越した。 阪神が5回に1点を追加した。先頭の福留が四球で出塁し、2死二塁から木浪が左中間を破る三塁打を放って6点目を挙げた。 中日は7回に1点を返すも、反撃及ばず借金は今季最多の5になった。又吉が3敗目。阪神西は7回3失点でチームトップの3勝目を挙げた。

◆中日先発陣が投壊の危機だ。今季2度目先発の又吉がプロ最短の2回5失点KO。12日の阪神戦に先発予定だった福谷が、腰痛でリタイアしたことも発表された。 開幕ローテを担った笠原、山井、吉見も離脱中。与田剛監督も「いろいろ考えながらやっていく。故障者が多い。チームとして考えないと。今いる選手で戦うしかない」と絞り出すしかなかった。借金は今季最多の5に膨らんだ。

◆阪神糸原が野手の意地を示す決勝打を放った。「西さんが野手顔負けの打撃をしたので負けていられないと思いました」。 2回はマルテの2ランで追いつき、2死から西と近本が連打。糸原はここで左前に鮮やかなライナーを打ち、勝ち越し点。取材中に通りかかった矢野監督から「健斗のタイムリーが大きかったな~」と言われ、照れくさそうだった。

◆阪神近本光司外野手が足で逆転劇を演出した。2-2とした2回、2死から西が出塁。次の近本は高いバウンドの投手へのゴロだったが全力で走り、一塁セーフをもぎ取った。 直後に糸原の勝ち越し打が出た。「今日は打てる感じがなかったけど、ああいうヒットは自分の持ち味」と笑顔で引き揚げた。

◆阪神大山悠輔内野手の適時打2本は効果絶大だった。2回は糸原の勝ち越し打のあと、2死満塁から中前2点打で3点差に広げた。 9回にはダメ押し点になる左前打も追加。今季2度目の3打点(最多は4打点)を挙げた4番打者は「取れる時に取らないと、何があるか分からない。その意味ではああいう1打点は大きいと思う」と納得していた。

◆阪神ジョンソン投手が8回を3人で抑え、10ホールド目を挙げた。3点リードで2番手として登板し、大島、ビシエドにはカーブで連続三振。8日の前回登板で初失点を喫したが、休養日明けで本領を発揮した。 矢野監督は「ジョンソンを出している時点で俺の仕事は終わっている。今日、誕生日でしょ? いつも通りナイスピッチング」と絶賛。28歳の誕生日に初めてお立ち台に上がった助っ人右腕は「最高です!」と叫んだ。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)の2号2ランが、逆転への口火になった。 先発の西が中日高橋に先制弾を浴びた直後の2回裏1死一塁で、中日又吉のスライダーを捉えて左翼スタンドへ同点弾。7番に座るM砲の一撃が、その後に西からの3連打を呼び、糸原、大山のタイムリーで一気に5点を奪って試合の流れをタイガースに引き寄せた。 「強いスイングをすることができて、いいホームランになってくれたね」。打ったマルテも手応え十分。さらに勇気づけられたのはチームメートだ。梅野が「マルちゃんのホームランでイケイケのムードになったんで」と証言。空気を変えるのも、助っ人砲ならではの大仕事だ。 旧友からの激励が、マルテを突き動かしている。1軍昇格直前だった4月末。ナゴヤ球場で懐かしい友人と「再会」した。相手は中日モヤ。同じドミニカ共和国のラ・ロマーナ州の出身で、実家も近かった。12歳ごろから始まった友だち付き合いは、後に同国でも米国でも同じユニホームを着て、チームメートとしてプレーする経験につながっていった。 1年先にモヤが来日。中日での1シーズンで知り得た日本野球に関する助言を、ナゴヤ球場でマルテに伝えた。「この国の選手たちは、たくさん練習する。そこに自分たちはアジャストしていかないといけない。そうでないと上のチーム(1軍)ではプレーできないぞ」。右ふくらはぎを痛めた影響で2軍調整中だったマルテの心が、動いた。1軍昇格へ心の準備を整えるピースになった。 2本塁打はいずれも甲子園と、本拠地のファンを喜ばせる。「大きいよ。めちゃくちゃデカいよ。『行ってくれ~!』って言ったら、行ったね。あの打順で、ああいうふうにあそこで打ってくれるのは、ものすごく助かる」と矢野監督の興奮も止まらない。 「チームも今勝ってるので、状態的にいいと思います。ホームランを意識せずにしっかりとセンター方向を狙っていくのが大事だと思うので、それを続けて行きたい」と堅実なマルテ。存在感は、日に日に大きくなっている。【堀まどか】

◆中日は2点先制したが、今季2度目先発の又吉が2回5失点KO。借金は今季最多の5になった。試合後の与田監督のコメントは以下の通り。 -又吉が先制した直後に四球から失点していった。 与田監督 その通りだね。元々コントロールのばらつきはある。いい球を投げる能力は高い。その確立を上げていかないと。投げてみて、リリーフで3イニング抑えたような投球もあれば、捕手の構えと違うとばかりにいったりと。技術的、精神的に原因はある。いっしょに追求しているが、メンタルは本人にしかわからない。自分自身と向き合っていくことが必要なのかもしれない。 -又吉は先発2試合で結果が出ていない。 与田監督 自分のいいもの、いい球の確立を上げていくこと。プロ野球の1軍レベルは、いい部分の確立が高いから、その場所にいられる。もう1度、きちんと追求していかないといけない。 -投手陣は2死からの失点が目立った。 与田監督 捕手との問題。いい球がいった後に、違う球種にしたり。何かを怖がってしまう傾向がある。打たれたらどうしよう、ではなく、打たれたら打たれたときに考えればいい。打たれる前からそういう意識が強くなると、投げ方もダイナミックさもなくなる。相手にも怖さがなくなる。開幕してからできていた試合もあった。負けてもできていた試合もあった。結果が悪いからできていない訳でもない。勝った試合でもできてなかったこともある。できない訳じゃない。取り組んできたことをもう1回やっていくしかない。 -前回好投した福谷の故障が発覚し、先発の駒が少なくなった。 与田監督 まだいろんなことがはっきりわからない。いつも考えながらやっている。故障者が今年は多い。

◆本調子じゃなくてもチームを負けさせない。阪神先発西勇輝投手が力投で好調虎をさらに加速させた。正念場は4点リードの7回だ。高橋と伊藤康の連打で無死一、三塁とされ、福田の併殺打の間に3点目を献上。その直後には井領に右翼へ二塁打を浴びたが、続く平田を外角スライダーで右飛に仕留めてピンチを脱出。右手を握りしめて雄たけびを上げた。 「今日は全体的に調子は悪かったけど、悪い中でどうゲームを作るか。梅野がいいリードで引き出してくれて、微調整しながら、粘ることができた」 2回にはビシエドの5球目で左足をひねるようなアクシデントもあったが、投球を続行。終盤の危機で傷口を最小限に食い止め、7回3失点と踏ん張った。球のキレ、コントロールともに本来の投球ではなかったが、そのなかで手にした価値ある3勝目だ。 バットでも打線に火を付けた。マルテの2ランで同点に追いついた2回は、2死無走者から中日又吉の129キロスライダーに食らいついて三塁線へ。西の安打から近本、糸原の3連打となり、自ら勝ち越しのホームを踏んだ。「振ったら当たりました!」と謙遜したが「9人目(の野手)として、守備もそうですし、微力ながらでも貢献したい」。ファア・ザ・チームの思いが執念の一打につながった。 グラウンド、ベンチ、ロッカー...。どんな場所でも若手投手を優しく見守る。「暗くなり過ぎてもよくない。オリックスの時もそうだったけど、若い選手はほぐさないと。目に見えてパフォーマンスが落ちる」。たわいもない雑談から調整法、配球に至るまで。プロ10年間で培ったノウハウを惜しげもなくトラの若手にも伝える。若い選手が多い先発陣の好調は、西の加入が無関係ではない。 8日までの12連戦を8勝3敗1分けと快進撃で終えても、チームの勢いは止まる気配はない。これで本拠地甲子園の勝率も5割に復帰。矢野監督は「甲子園の本拠地でこれだけのお客さんが入ってくれたら、もちろん喜ばせたい」とご満悦だ。西も「みんなが一丸となって戦えば、いいチームになる」と笑顔。貯金も今季最多の3。同率で2位ヤクルトに並んだ。【桝井聡】

◆阪神西勇輝が7回3失点で、4月14日の中日戦以来となる今季3勝目を挙げた。 チームは昨年5月8日以来の貯金3。巨人に大敗したヤクルトと並んで今季初の2位に浮上した。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。   -5回は木浪の適時打 中押しがないとムードというか流れがこっちに来ない。リュウ(梅野)がよく送ってくれて聖也(木浪)がしっかり打ってくれた。 -西の投球はどうか いつも通り、西らしくテンポ良く、球数も少なく。相手もどんどん打ってきているなかでも丁寧に行くところは行って、大胆に行くところは行って。本当に西らしい投球。 -8回も続投の準備 ピンチも何回か作っていた。球数よりも、ちょっと疲れも出はじめているところで(継投を)決断した。 -今季最多の貯金3だ 明日もメッセンジャーがいい投球をして、またみんなで打って、ワイワイできるゲームをしていきたい。 -西は2回のビシエドの打席で足を気にしていた 現状はそんなに心配はしていないというか、大丈夫かなと思ってるんだけど。 -2回、西の打席は2死で三振でもいいケースだ 「野球はツーアウトから」と言われる。俺も捕手ですごく言い聞かせている。野球は、一番例を出すけど「2死走者なし、投手」って、計算してないから分からないけど、9割以上の確率でそのイニングはゼロで終わるところだよね。それが一番怖いのは俺も現役時代から痛いほど分かっている。逆にウチはそういう攻撃をできた。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手が0-2の二回に同点の2号2ラン。一挙5点の突破口を開いた。  「コースに逆らわずセンター方向に打ち返すことを意識していたよ。強いスイングをすることができて、いいホームランになってくれたね」  先発の西が高橋に2ランを浴び先制を許した直後だった。先頭の福留が四球。1死となり、マルテだ。1ボールからの内角129キロスライダーをフルスイング。弾丸ライナーで左翼席へと運び去った。  M砲が作った流れに、ナインが乗る。2死となり、西が三塁線を破る左前打で出塁。D1位・近本が投手内野安打でつなぐと、糸原が左前適時打。「2死から西さんと近本がチャンスを作ってくれて、一気に勝ち越したい場面だったので、チャンスで自分の仕事をすることができてよかったです」。さらに糸井が四球で満塁とすると大山の中前2点打で、この回一挙5得点。試合をひっくり返し、先発・西を強力援護だ。

◆阪神の4番大山が3打点。二回2死満塁では「追い込まれてしまっていたので、とにかく食らい付いていった」と中前に運んで2人をかえした。八回2死一、二塁でも適時打。「点数を取れるだけ取って損はない」と納得顔だった。  五回も2死二塁から木浪が三塁打を打つなど、この日7点のうち5点を2死から奪った。矢野監督は「野球は2アウトからと常に言い聞かせている」と笑顔だった。 マルテ(二回に同点2ラン) 「コースに逆らわず、センター方向へ打ち返すことを意識していた」 糸原(二回に適時打) 「(西が)野手顔負けの打撃をしていたので負けられないと思った」 木浪(五回に適時三塁打) 「中盤で追加点が欲しい展開だったので、チャンスで1本打つことができて良かった」 ジョンソン(10日は誕生日。八回を抑え) 「チーム全体の皆さんのおかげで、苦労せず溶け込めている」 梅野(西を好リード) 「ここというところの1球をしっかり丁寧に投げてくれた」

◆中日の高橋が好調を維持している。二回1死一塁から西の甘く入った初球を振り抜き、右翼ポールに直撃する先制2号2ランを放った。悠々とダイヤモンドを一周し「入ってくれて良かった」と安堵した。  四回も外角低めの変化球を中前打、七回は右中間に二塁打を放った。三塁打が出ればサイクル安打だった。安打は5試合連続、打点は4試合連続。一時は2割5分を切った打率も、3割に達した。 与田監督(連敗に) 「取り組んできたことをもう一回やっていくしかない」

◆阪神は10日の中日戦(甲子園)で7-3と快勝。引き分けを挟んで2連勝で、今季最多の貯金「3」。ヤクルトと並ぶ2位タイに浮上した。  二回、先発の西が高橋に2ランを浴びて先制を許した直後。先頭の福留が四球。マルテが左翼へ同点2号2ラン。2死となり、西が三塁線を破る左前打で出塁。D1位・近本が投手内野安打でつなぐと、糸原が左前適時打。さらに糸井が四球で満塁とすると大山の中前2点打で、この回一挙5得点。逆転に成功した。  5-2の五回には、2死二塁から木浪が左中間へ適時三塁打。6-3の八回にも2死一、二塁から大山がこの日2本目となる適時打を左前へ放ち、駄目を押した。  西は移籍後初のナイターでの先発だったが、7回7安打3失点で今季3勝目。二回2死から自ら左前打を放ち、打撃でも逆転の突破口を開いた。

◆阪神・西勇輝く投手が10日の中日戦(甲子園)で7回3失点で3勝目。2位浮上に導いたヒーローはジョンソン、大山とのお立ち台で、二回のヒットについて「振ったら当たりました」と笑顔をみせた。一問一答は以下の通り。  --3勝目今の気持ちは  「無事に勝つことができてよかったです」  --投球を振り返って  「きょうは全体的に調子が悪かったんですけどなんとか梅野がいいリードを引き出してくれてテンポよく7回まで投げきることできました」  --七回のピンチは  「野手のみんなからたくさん声をかけてもらって最少失点で乗り切ることできましたし、なんとかリレーをつなぐことができました」  --甲子園でいい投球続いている  「たくさんのファンがいるおかげです。ありがとうございます」  --ヒットは  「振ったら当たりました」  --今後に向けて  「明日はメッセンジャーなので、なんとか全員で勝てるように応援よろしくお願いします」  【ジョンソン】  --誕生日と10ホールド目  「アリガトウゴザイマス!」  --誕生日にお立ち台、気持ちは  「最高です。誕生日の日に見に来てくださってありがとうございます」  --どんな思いでマウンドへ  「西がすばらしい投球してくれたので、勢いをそのままにしてなんとか自分のアウトを3つ並べて西くんのためにもチームのためにもアウトを取っていきたいなという思いで投げました」  --タイガースでのプレーはどうか  「最高ですね。チーム全体として、投手もすばらしい仕事できていますし、野手の守備も攻撃もすばらしいですし、野球をやっていて楽しいです」  --いいピッチング期待している  「ソウデスネ。アリガトウゴザイマス」  【大山】  --3打点振り返って 「4番バッターとしてしっかり打つべきところで打てたと思います」  --打てたのは大きい  「西さんを助けるためにもなんとか打ちたいなと思っていたので、しっかり得点が取れてよかったなと思います」  --試合終盤でのタイムリーが多い  「全然少ないのでたくさん打てるように頑張りたいと思います」  --今後に向けて  「試合はたくさんあるので、この流れに乗って少しでも勝てたらいいのでファンのみなさんも一緒に頑張りましょう!」

◆阪神・矢野燿大監督は10日の中日戦(甲子園)で7-3と快勝。二回に同点とし、さらに2死走者なしからの西の安打をきっかけに勝ち越したことに、「野球の怖さ」と振り返った。 --12連戦後の最初のカードに、いい形で入れた  「先制はされましたけど、すぐに逆転できましたし。ピッチャーもね、西もよく頑張ってくれましたし。ジョンソン、ドリスもね、いつも通りしっかり投げてくれたんで。申し分ないです」  --マルテの同点2ランも大きかった  「そうですね、点を取られた後のすぐだったんでね。余計にね、チームのムードというか、大きかったですね」  --その後、よく打線がつながった  「2アウトから西のヒットで、こういうふうになるという野球の怖さとね。また、うちとしてはいい攻撃がね、2アウトからああいう攻撃ができたというのは、大きいですね」  --五回も2死から木浪の適時打が出た  「やっぱりこう『中押し』というのがないと、ムードというか、流れがちょっとこっちに来ないところだったんで。あそこはリュウ(梅野)がよく送ってくれて、セイヤ(木浪)がしっかり打ってくれました」  --西の投球はどうだったか  「いつも通りね、西らしくテンポ良く、球数も少なく。相手もどんどんね、打ってきている中で、丁寧に行くところは行って、大胆に行くところは行ってね。本当に西らしいピッチングをして、いつもムードというか流れを作ってくれるんで。本当に助かっています」

◆甲子園球場内には「蔦(つた)」という名の関係者食堂がある。その昔は報道陣が選手とコーヒーを飲みながら取材する場であったり、監督の囲み取材や、緊急会見が行われたことも。名物メニューは「甲子園カレー」。実においしい。本日も試合開始前に飛び込んで食した。  この店にあるもう1つの"名物"。もう10年近く、店内の柱時計が約15分進んでいるのだ。今、針が指しているのは午後6時5分。ということは正しい時刻は5時50分ぐらいだから、そろそろ記者席に行こうかな...。  ふと、時計の下の張り紙が目に入った。  「以前から時計の時刻がずれているとのご指摘が多々ございましたので、正常の時刻に戻しております。ご不便をおかけして、申し訳ありませんでした...」  えっー! 慌てて店内のテレビのスイッチをオンにしたら、西がもう投げているやないか...。おかげで"遅刻"である。  聞けば、報道陣が早め早めの行動ができるように、と何代も前の店長がサービス精神で針を進めたらしい。  --いつ戻したん?  美人店員 「きょうからです」  --早く教えてくれよなぁ  「ゴメンナサ~イ」  いやいや悪いのはこっち。せっかくの親切心に慣れてしまって、昔の店長の思いやりなんて忘却の彼方になっているのを猛省するしかない。  そういえば、大阪・難波にあるサンスポ編集局の時計も10分進んでいる。もちろん早め早めの動きを促し、締め切り厳守のため。  本日の当番デスクは白石大地。お前さんも「どうせ10分進んでる」と思って仕事してるんやろ? 俺のように? と尋ねると-。  「いえいえ、先輩とは違います。あの時計を見ると、もうこんな時間か、早く原稿が来ないかな、と引き締まった気持ちになります。ちなみに僕の自宅の時計も5分ぐらい進んでいるぐらいです」  きまじめなデスクは、進んだ時計が実生活にも、仕事にも役立っているそうだ。  さて、慌てて記者席に駆け付けたこの夜の試合。いきなり、その目に飛び込んできたのは中日・高橋の先制2ラン。やっぱりバチが当たったか...。  すぐに、まさかのマルテ同点弾に始まり、イッキ5点の猛攻。でも、思い出すのは8日の神宮の夜。八回に5点差を追いつかれ、延長十二回に2点差を追いつかれ。ちょっとした継投恐怖症に陥っております、ワタシ。  すると、すぐ目の前の席にいた虎番・竹村岳がこのコーナーに登場したそうな顔をして振り向いてきた。  「大丈夫ですよ。実は僕、出勤日はタイガースが7連勝中なんです」  そう、あれはまだ、平成の時代(ついこの間だけど)。竹村は平成最後の伝統の一戦を前に、梅野捕手に「巨人戦の思い出」を尋ねたんだとか。すると、あの悪夢の本拠地3連敗。梅野から「お前が聞きに来るからや」と笑いながらチェックされたんだとか。  そこで考えた竹村。「あれ以降、試合前の梅野さんの取材は控えているんです」と言うではないか。取材しないのはどうかと思うが、担当記者はそうまでしても愛するチームの勝利を願っているのであります。  そんな願いが届いて、虎は快勝。スコアボードの時計は午後9時6分。5時間近い2日前とは大違い。短いっていい。あっ、もちろん甲子園球場の時計は正確です。

◆よっしゃー!! 猛虎軍団はこれで"勝率5割"復帰や、おおきに~。 5割? 阪神は本日の白星で今季最多貯金の「3」やろ~、寝ボケとんのかいなア!?  あ、そーでした、貯金「3」でした...。いや、やっぱりうれしい、うれしい5割です。正確に言うと、貯金は「3」だけど、本拠地甲子園で8勝8敗の5割に押し戻されたでェ。昨季の甲子園の虎は39敗(21勝2分け)という球団ワースト記録をつくり、その結果の最下位...。  そして、今季も甲子園では4月21日まで7敗(2勝)。しかも、宿敵の巨人に3連敗(同20日、21日なんて連続零封負け)。「昨季と変わっとらんやないかー!!」と涙ながらに絶叫したのも、今は昔...。  その日に阪神は今季最多借金の「6」になったのだが、そこから甲子園では6勝(1敗)のミラクルを見せてくれたのだ。虎の強さのバロメーターは、やはり甲子園だとつくづく思ったのである!!  西は本日も7回96球の芸術的な3勝目をアリガトウ! マルテも同点2ランと、やりゃあ、できるやん。そして、なにより2安打3打点の大山に4番の風格が出てきたのがたまら~ん!!

◆--12連戦後の最初のカードに、いい形で入れた  矢野監督「そうですね、まあ先制はされましたけど、すぐに逆転できましたし。ピッチャーもね、西もよく頑張ってくれましたし。ジョンソン、ドリスもね、いつも通りしっかり投げてくれたんで。申し分ないです」  --五回も2死から木浪の適時打が出た  「そうですね、やっぱりこう『中押し』というのがないと、ムードというか、流れがちょっとこっちに来ないところだったんで。あそこはリュウ(梅野)がよく送ってくれて、セイヤ(木浪)がしっかり打ってくれました」  --西は八回も続投する準備をしていたようだったが、七回までで交代  「まあそうですね、ピンチもちょっと何回か作っていたので。球数よりも、ちょっと疲れも出始めているのかなというところで決断しました」

◆D1位・近本光司外野手(大阪ガス)が逆転劇を演出。二回に2点を追いつき、なお2死一塁で投前内野安打。後続へつなぎ、5得点を生み出した。「きょうは打てる感じはしなかった。ああいう形は自分の持ち味なのでよかった」。これで5試合連続安打としたが「それは気にしちゃだめです。いいところで打てるように」と自らに言い聞かせていた。

◆阪神は中日戦(甲子園)に7-3で勝ち、今季初の貯金3で2位タイに浮上した。  阪神が今季初の貯金3。巨人戦(東京ドーム)に勝利した昨年5月8日以来。  阪神は甲子園で4連勝。今季8勝8敗で聖地での勝率を5割に戻した。

◆先発の又吉が2回5失点と早々に崩れ、2連敗で借金が今季最多の5となった。3日のヤクルト戦でも5回1/3を5失点でKOされた28歳右腕は「2試合連続して序盤で試合を壊してしまって申し訳ない。迷惑を掛けた」と猛省。与田監督は「自分自身と向き合っていくことが必要だと思う。技術的、精神的に原因が必ずある」と奮起を期待した。

◆D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は五回2死からプロ初の三塁打がタイムリー。小熊のスライダーを左中間へ運び、二走・福留をかえした。「(守備が)右に寄っていた。結果が出たことがよかったし、思い切っていけました」と声を弾ませた。打点を挙げれば、これで4連勝。得点圏打率・364と勝負強さが目立つルーキーは「チャンスで回ってこいと思っていた」と頼もしかった。

◆たったひと振りで試合を振りだしに戻せるからこそ、助っ人だ。体がのけ反るほどのド迫力のフルスイングとともに、一気に竜に詰め寄った。マルテが同点の2号2ランだ。  「1日1日、いいリズムで打撃がよくなってきているので。いつも通り、ゾーンにきた球をとらえることを意識して。いいホームランになってくれた」  自画自賛の一発は、二回。先発の西が高橋に先制2ランを浴びた直後だった。先頭の福留が四球。1死となり、マルテだ。1ボールからの内角129キロのスライダーをフルスイング。弾丸ライナーで左翼席へ運び、竜に追いついた。一挙5得点の口火弾だ。  矢野監督も満面の笑みだった。「めちゃくちゃデカイよ。助かりました」とうなると「日本のピッチャーに対応するというか、本人もタイミングの取り方とか日本のピッチャーのこととか、いろいろ勉強しているので」と頭を下げた。新監督とともに、助っ人もまだまだ成長中だ。  1日の広島戦(甲子園)以来、8試合&27打席ぶりのアーチ。前回は米大リーグではやりの「サイレントトリートメント」でM砲を出迎えたが...。  「糸原と"わー"ってなってね。(ベンチでは)もうそういうことしか考えていないから。盛り上がれば」  "仕掛け人"は、実は江越。ベンチで出番を待つ若虎の粋な計らいだった。今回はもちろん、全員でちゃんとハイタッチ。価値ある同点弾で、虎党もナインも笑顔にさせた。  「チームが勝っていて、状態的にいいと思う。ホームランは意識せず、センター方向を狙っていくことが大事だと思うので」  聖地での一撃は、やっぱり格別。少しずつ虎色に染まってきたマルテが、もっともっと勝たせる。 (竹村岳)

◆28回目のバースデーで神宮のリベンジだ! ジョンソンが3点リードの八回を3人でピシャリと抑え、燕で初めて味わった屈辱を竜で晴らした。  「西投手がすばらしい投球してくれたので、なんとか自分のアウトを3つ並べて、西投手のため、チームのためにもアウトを取っていきたいなという思いで投げた」  西、大山とともに勝利のお立ち台に上がり、虎ファンの"おめでとう"のコールを受けると「最高です。誕生日に見に来てくださって、ありがとうございます」と感謝の言葉を並べた。  完璧だった。京田を一ゴロ、大島はワンバウンドで空振り三振、ビシエドも外角低めのボール球で空振り三振に。勝負球は、すべて130キロ台の、自慢の"パワーカーブ"だ。  「きのうは、たくさん寝てました。体を休めて、いいリフレッシュになったよ」  同じ過ちは繰り返さない-。序盤の5点リードを守りきれず、十二回ドローに終わった8日のヤクルト戦(神宮)。ジョンソンは3点差に迫られた八回無死二、三塁で登板し、2点二塁打を浴び、さらに左犠飛で失点し、同点に追いつかれた。来日17試合目で初失点。対戦相手は変わったが、誕生日の甲子園という最高の舞台でリベンジを果たした。  さらに、矢野監督は4点差のセーブのつかない九回、ドリスをマウンドに送った。守護神は無失点に抑えると「アリガトウゴザイマス」と笑顔。神宮の悪夢を忘れるべく、石橋をたたいた投手リレーだった。  「日本の野球を楽しんでいる。長いシーズン。完璧な人はいないよ」とジョンソン。これで5月の9試合で7試合目の登板。すでに通算10ホールドで防御率は驚異の0・49に。頼もしい助っ人が、さらに頼もしく見えた。 (三木建次) ★阪神・5月8日のヤクルト戦VTR  阪神は5点リードの八回に4番手の福永が、3連打を許して無死満塁のピンチを広げると山田哲に2点二塁打を打たれ、走者を二、三塁に残した場面でジョンソンを投入。しかし、雄平の二塁打で1点差まで迫られると、1死三塁から村上の犠飛で同点に追いつかれた。延長に入ると、十二回に中谷が勝ち越しの2点二塁打、その裏、島本が山田哲のソロと中村に適時二塁打を打たれ同点に。試合は7-7の引き分けとなった。

◆次から次へと打線がつながった。7点のうち5点が2死から。味方が生んでくれた勢いに4番も乗っかった。3打点の大山が胸を張った。  「4番バッターとしてしっかり打つべきところで打てた。西さんを助けるためにもなんとか打ちたいなと思っていたので、しっかり得点が取れてよかった」  二回、マルテの2ランで追いつき、2死走者なしから西が左前打で出塁。糸原の適時打で逆転に成功すると、満塁で大山に打順が巡ってきた。カウント2-2から又吉の甘く入った130キロのスライダーを振り抜き、中前へ2点適時打。この試合まで4打数無安打だった満塁で今季初めて打った。  6-3の八回には2死一、二塁で打席に立つと、カウント2-1から谷元の146キロの直球を左前にはじき返し、試合を決定づけるダメ押しの適時打。「取れるときにしっかり取っておかないと、何があるかわからないのが野球なので」。野球にはセーフティーリードなんてない-。そう振り返ったのには、苦い経験があるからだ。  8日のヤクルト戦(神宮)。八回で5点をリードするも守り切れず延長戦へ突入。十二回に2点を奪い勝ち越しに成功したが、またしても守り切れず引き分けに終わっていた。移動日をはさんだこの日の試合。3点リードがある中でも貴重な追加点を挙げ、しっかりと勝利を手にした。  「『野球はツーアウトから』ってよく言われるように、俺も(現役時代に)キャッチャーですごく言い聞かせているし。ベンチでも今でもツーアウトでも『もう1人やぞ、もう1人やぞ』って常にね」  矢野監督は2死からでもあきらめない姿勢を強調した。「粘りというのも出てきていると思いますし、本当にチームとして全体的な粘り強さとか、つながりがでてきていると思います」。頂点を目指すにはこのつながりが大切になってくる。  「試合はたくさんあるので、この流れに乗って少しでも勝てたら」  もっとチャンスで結果を残せる4番へ。大山が猛虎打線を引っ張っていく。  (菊地峻太朗)

◆投げるだけやない!! 阪神は中日戦(甲子園)に7-3で勝ち、今季初の貯金3で2位タイに浮上した。先発の西勇輝投手(28)が7回3失点で3勝目。2-2の同点に追いついた二回には、2死走者なしから四球をはさむ4連打の猛攻につなげる左前打を放ち、バットでも勝利に貢献した。マウンドでも打席でも頼りになるわ~。  聞こえてきたのは快音だけじゃない。それは、西の生き様だった。飛びついた三塁手のグラブの横を打球が抜けた。マウンドでも打席でもやるべきことをやる-。野球人としての思いがこもっていた。  「先制点を取られたなかで何ができるかといったら、やっぱり打つことしかできないですし、ランナーいたら送りバントだったり、そういうチームプレーに徹することが大事だと思っている」  二回、高橋の2ランで先制を許した直後の攻撃。マルテの同点弾の後、2死走者なしで打席が巡ってきた。アウトになれば次の回は1番打者から始まる。その方が相手もイヤがる。誰もがそう思う。しかし西は違った。  「投げて打たれたからダメだ、バッティングも適当なのはダメだと思いますし、小さいなかでもヒットを打ってつながって、タイムリーになるといういい流れができているので」  先発・又吉の3球目、真ん中に甘く入った129キロのスライダーを引っ張り、三塁線へ。この左前打から3点を追加。バットで呼び込んだ逆転劇だった。  「2アウトから西のヒットで、こういうふうになるという野球の怖さ。それが一番、怖いというのは俺も現役時代から痛いほど分かっているから」  5点差を追いつかれた8日のヤクルト戦(神宮)とは、また違った野球の怖さを矢野監督は勝者の立場で味わった。これが野球。西は五回の打席で四球を選んだ際に、小さくガッツポーズを作った。打席に立つ回数がほとんどないパ・リーグから移籍。打撃が得意ではないのはわかっている。それでも、9人目の打者である以上、その1打席を無駄にすることはできない。  「今後他のピッチャーが調子悪かったら、打席のなかで適当というわけではなく、みんなが一丸となって戦っていけば本当に強いチームになるんじゃないかなと思っている」  こんな姿勢があるからこそ、1年目でも投手陣を引っ張るリーダーになれるわけだ。二回には投球の際に左足を引っかけた。しばしの中断の後、何事もなかったかのように投げた。終わってみれば7回3失点。初のナイターで3勝目。チームを今季初の貯金3に導いた。八回に交代を告げられた際、ベンチで矢野監督とアイコンタクト。笑顔のお役御免だった。  「粘ることができて最低限の仕事ができた。9人目として投げた後の守備もそうだし、このバッティングもそうだし、微力ながらでもチームに貢献したいと常に思っているので」  西のメッセージが虎投の活力源。これからも勝利のため、マウンドと打席に立つ。 (織原祥平) 西をリードした阪神・梅野 「球の走り自体はよくなかった。状態が上がってこないなかで、ここという1球は丁寧に投げてくれた」

◆当たり前の話ですが、野球の基本は投・攻・守・走をきっちりやれるかどうか。阪神は見事にできた試合でした。  特に投手陣。西は阪神移籍1年目ですが、すでに自分が投手陣の中心であるという自覚を持っているようです。自分がローテの軸としてシーズン全うする気持ちが、投球に表れていました。  一回からほとんど全力投球しないんです。10のうち、8ぐらいの力で、コントロールだけに気をつけて、正確に投げることに細心の注意を払う投球。それが要所では一変します。四回2死一、二塁のピンチで、伊藤康を見逃し三振に仕留めた直球は力がありました。ここ一番では全力。これができるのが西です。  投を支えるもう1人の主役がジョンソン。フルカウントから変化球(パワーカーブ)を投げられるのが強味。この先、何の心配もいりません。  1つ苦言を呈するならドリス。4点差で登板して四球を与えたのはダメ。打たれるのは仕方ない。そのあたりキッチリ投げないと、上位との争いは厳しくなる。 (サンケイスポーツ評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
21121 0.636
(↑0.011)
-
(-)
109187
(+19)
128
(+7)
47
(+3)
18
(-)
0.274
(↑0.01)
3.500
(↓0.11)
2
(-)
ヤクルト
19162 0.543
(↓0.016)
3
(↓1)
106186
(+7)
175
(+19)
46
(+3)
16
(+2)
0.246
(↓0.001)
4.320
(↓0.33)
2
(1↑)
阪神
19162 0.543
(↑0.014)
3
(-)
106148
(+7)
154
(+3)
25
(+1)
22
(-)
0.243
(↑0.002
3.470
(↑0.01)
4
(-)
広島
17181 0.486
(↓0.014)
5
(↓1)
107121
(+2)
150
(+6)
34
(+1)
18
(-)
0.230
(↓0.003)
3.340
(↓0.05)
5
(-)
中日
15200 0.429
(↓0.012)
7
(↓1)
108127
(+3)
136
(+7)
24
(+1)
23
(-)
0.264
(↓0.001)
3.810
(↓0.11)
6
(-)
DeNA
13220 0.371
(↑0.018)
9
(-)
108132
(+6)
158
(+2)
40
(+2)
7
(-)
0.233
(↑0.001)
4.050
(↑0.06)