阪神(☆5対1★)DeNA =リーグ戦8回戦(2019.05.04)・阪神甲子園球場=
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DeNA
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阪神
00102200X5700
勝利投手:メッセンジャー(2勝2敗0S)
敗戦投手:バリオス(0勝1敗0S)
  DAZN
◆阪神は3回裏、福留の適時打で1点を先制する。3点リードで迎えた6回には、糸井と梅野の適時打で2点を追加し、試合を優位に進めた。投げては、先発・メッセンジャーが9回1失点の快投で今季2勝目。敗れたDeNAは投手陣の制球が定まらず、打線も沈黙した。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)はDeNA戦で通算23勝8敗。 阪神投手のDeNA戦通算勝利数上位を出すと、(1)村山44勝(2)小山43勝(3)渡辺省、江夏28勝(5)山本和24勝。今日メッセンジャーが勝てば、山本和と並んで球団5位タイとなる。

◆スターティングオーダーが発表された。甲子園は3~5日まで「ゴールデンウイークこどもまつり」を開催中。スコアボードがひらがなとカタカナで表記される。前日3日は、こどもの頃「F1レーサー」になりたかった西勇輝投手(28)が好投。「パン屋さん」になりたかった上本博紀内野手(32)の今季1号と、「プロスポーツ選手」になりたかった大山悠輔内野手(24)のサヨナラ打で勝利した。

◆阪神福留孝介外野手(42)が先制打を放った。 「ランディが頑張ってくれているので、何とか先制したいと思っていました。良い所に落ちてくれて良かったです」 3回1死満塁でDeNA先発バリオスの3球目135キロチェンジアップを左前にはじき返した。42歳のベテランが勝負強さを見せる一打を放った。

◆阪神が無安打で追加点を奪った。5回、先頭の糸原が四球で出塁すると、続く糸井も四球を選んだ。4番大山は左飛に倒れるも、5番福留が四球で満塁に。6番梅野は二飛に倒れ、二死満塁。この好機でマルテが死球を受けて1点追加。 さらに8番木浪も押し出し四球で追加点。阪神がバットを振らずに追加点を奪った。

◆阪神は4日、筒井壮外野守備走塁コーチ(44)岩貞祐太投手(27)岩崎優投手(27)の3人が、インフルエンザA型と診断されたと発表した。 3人はこの日の朝、西宮市内の病院で検査を受け、その後自宅で療養した。岩貞は5日DeNA戦で先発が予定されていたが回避。高橋遥人投手(23)が代わって先発することに決まった。高橋遥は昨季左肩の不調に苦しんだが、今季はウエスタン・リーグで5試合に登板。無傷の2勝で防御率2・52。矢野監督も「こういうのも運というか、チャンスだと思う。思い切った投球をしてもらいたい」と期待した。 防御率0・96と安定感を誇っていた救援陣の一角、岩崎の離脱も痛手。福原投手コーチは「まずは回復するのが大事」と話した。

◆阪神は3回1死満塁から福留の左前適時打で1点を先制。右前腕打撲からの復帰先発となるメッセンジャーは3回まで無安打投球。 DeNAは初登板初先発のバリオスが3安打6四死球と乱調で5回途中降板。救援陣も直後に2つの押し出しで追加点を許す。 阪神はメッセンジャーが3安打1失点完投で今季2勝目。DeNAは投手陣が11四死球と乱れ、借金は今季最多タイの7に逆戻り。 DeNAバリオスが1敗目。

◆阪神が連勝で令和初の貯金生活に突入した。投のヒーローは右前腕打撲から復活したメッセンジャーだ。9回を投げて3安打1失点。2年ぶりの完投勝利を挙げた。打っては福留が3回にV打。投打の主軸が活躍した。「ゴールデンウイークこどもまつり」企画の一環で、お立ち台のインタビュアーを少年少女が担当。以下の通り。   (キッズインタビューとして小学生2人が聞き手に) -5回までノーヒットでしたが、ノーヒットノーランは意識してましたか メッセンジャー もちろんこんな展開だったんで気づいてはいましたけれども、あんな形で最初のヒットを打たれたくはなかったですけれども、勝てたんでそれでよかったです。 -今シーズン初の甲子園勝利の気分はいかがですか メッセンジャー サイコウデ~ス。 -マウンドに立って心掛けていることは何ですか メッセンジャー いつもこう、力みすぎないように、自分を見失わないようにというのは心掛けていますけれども、今日はほんと、バックの皆さんが、しっかりと守ってくださったんで、チーム全体で得た勝利だと思ってます。 -打ったときの気持ちはどうでしたか 福留 最高でした。 -私は北條選手のファンなのですが、北條選手のことをいつもどう思っていますか 福留 かっこよくてかわいい後輩だなと思ってます。 -今年こそ優勝できそうですか 福留 頑張ります。 (アナウンサーが引き継いで) -福留選手も同じTシャツを着ています。メッセンジャー投手は今年から日本人選手登録になりました。それを記念したTシャツを、3人そろって着ていらっしゃいます。今年甲子園で初めて勝ちました。このTシャツを着てお立ち台でのお気持ちいかがでしょう メッセンジャー ほんと気持ちいいですし、これだけ最高のファンの皆さんの前で勝ててほんとに最高です。コウシエンキュウジョウ、ダイスキデース。 -福留選手も着てくれていますよ メッセンジャー あんまり着たくなさそうでしたけど(笑い)。 -あしたはこどもの日。全国のタイガースファンの特に子供たちに、最後にひとこといただきましょうか 福留 ほんとに子供たちに、もっともっとタイガースを応援してもらえるように、明日もグラウンドでハッスルして、頑張りたいと思います。

◆阪神新外国人ジェフリー・マルテ内野手は低空飛行だ。前日3日に先発を外れ、この日はスタメン復帰。 5回2死満塁で死球による1打点を稼いだが3回2死満塁の加点機で三ゴロに倒れたほか、6回2死二、三塁でも再び三ゴロだった。3打数無安打に終わり「あそこで1点取れたのは良かった。もう少し、チームに貢献できたらという思いはある」と振り返った。1軍デビュー後は打率1割5分8厘と精彩を欠く。

◆DeNAは天敵を打ち崩せなかった。阪神メッセンジャー相手に、打線は5回まで無安打とつながりを欠き、結果的に3安打1得点。 内野ゴロで1点を奪うのがやっとだった。これで相手エースに昨季から7連敗。ラミレス監督は「ここ3年間くらい、対策を考えているけど、向こうがそこにアジャストする。今は何も言うことはない」と渋い表情だった。

◆阪神に頼れるエースが帰ってきた。右前腕打撲で戦列を離れていたランディ・メッセンジャー投手(37)が復帰登板でDeNA打線を封じ込めた。 苦しい台所事情だったことも考慮し、1人で投げきることを決意。9回3安打1失点で2年ぶりの完投勝利を挙げた。チームは連勝で令和初の貯金生活に突入。首位巨人まで2・5ゲーム差とセ界頂上も見えてくるウハウハの貯金ウイークや。 メッセンジャーの気概が詰まった114球だった。「1本目を打たれた後も、1点取られた後も、この試合は自分で投げきるという強い気持ちがあった」。序盤からテンポよく投げ込んだ。ゴロアウトの山を築き、5回までノーヒット。6回先頭の伊藤光にポテンヒットを許し、7回に連打から1点を失ったが、気持ちは切れなかった。9回3安打1失点。今季2勝目は、17年8月4日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)以来、2年ぶりの完投勝利だ。 突き動かすのは「オレがヤル」という思い。「エースとして何年も貢献してきたと思っている。できるだけ早く戻って貢献したい」。4月19日巨人戦で打球を受け、右前腕打撲で離脱。張りがなかなか取れなかったが、はやる気持ちを我慢しノースローで治療に専念。同26日に投げ始め、2軍戦を経ない異例調整での復帰もチーム愛がにじんだ。 チームではこの日、救援陣の一角、岩崎がインフルエンザA型で離脱した。前日まで3連投していたジョンソンは温存策のためベンチを外れていた。岩崎と同じくインフルエンザで5日の先発は岩貞から高橋遥に変更された。落とせばショックの大きな一戦だったが、大黒柱は、苦しい台所事情で奮闘。虎を令和初の貯金生活突入へ導いた右腕に矢野監督も「みんな休養できたし、ランディ自身も帰って来てすぐに、こういう投球ができて大きい」と最敬礼だ。 来日10年目を迎え、国内FA権を取得。「日本人扱い」となった助っ人のおとこ気を、皆が受け止めている。「『オレがヤル』という強い気概、他の投手の手本になるハートの持ち主であること」(谷本球団副社長)も契約更新の決め手になった。この日のお立ち台ではメッセンジャーに加え、栗山通訳と福留も「I'm Finally Nihonjin」と書かれたTシャツを着ていた。実はベンチ裏では、トレーナー陣も同じTシャツを着用。メッセンジャーを中心にチームは一丸となっている。 甲子園では昨年5月15日のDeNA戦以来、約1年ぶりの勝利。妻ベネッサさんと子どもたちも応援にかけつけた。「これだけのファンの皆さんがいて、こどもの日のイベントで、家族も見ている前でこれだけのピッチングができた。最高の気分でした」。最高の勝利を運んだ男は、家族から抱きつかれ、最高の笑顔を見せた。【磯綾乃】 ▽阪神福原投手コーチ しっかりいい調整をしてくれた。中継ぎも休むことができましたし、本当に助かったというか。ナイスピッチングでした。 ▽阪神清水ヘッドコーチ 大きいよね。12連戦のきついところで完投してくれた。おとこ気がある。頭が下がります。

◆阪神の勝負を決定づけた5点目のタイムリーは梅野隆太郎捕手だ。4点差に広げた6回、なお2死一、二塁。井納の144キロ真っすぐを中前にはじき返した。 「みんなでつくってくれたチャンス。三度目の正直で打てました」。3回と5回の得点圏で2度凡退していたがリベンジに成功。受けては「真っすぐが良かった」とメッセンジャーの完投勝利を導き、攻守で奮闘した。

◆ゴールデンウイーク超満員の甲子園で阪神福留孝介外野手(42)が波に乗った。3回1死満塁の先制機。DeNA先発バリオスのチェンジアップを左前にはじき返した。 「みんなでつないだチャンスだったので。ランディが頑張ってくれているので、何とか先制したいと思っていた」 頼れるベテランは、やはり勝負強い。今季の得点圏は20打数8安打の打率4割。5番を任せる矢野監督も「孝介らしい打撃をできている。どうしても得点圏でまわってくることが多い。そういうところで頼りにしている打者。孝介が打つとベンチも元気になるのでいい」と賛辞を送った。 6回には中前打。2回の右前打とあわせ、今季初の猛打賞をマークした。黄色で埋め尽くされた聖地で、どうしても勝ちたい理由があった。「去年、甲子園で勝てなかったというのもある。勝つゲームをたくさんの人に見てもらえるというのは(野球を)やっている選手としてうれしい」。詰めかけた子どもたちの期待に応えた。 「ゴールデンウイーク子どもまつり」の企画で子どものころになりたかった職業がスコアボードに映し出された。福留の回答は「バスケットボール選手」。マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペンを擁した黄金期のシカゴ・ブルズに憧れた。福留自身、07年オフにカブスへ移籍。シカゴのゴルフ場でピッペンに遭遇して記念写真を撮ったこともある。福留は今、子どもにとって憧れの存在。純粋な思いで目を輝かす子どもたちを見れば自然と力が沸いてくる。 「ほんとに子供たちに、もっともっとタイガースを応援してもらえるようにグラウンドでハッスルして頑張りたいと思います!」 セ界野手最年長となる42歳。ただ、グラウンドに出れば年齢なんて関係ない。福留には、まだまだ頑張る理由がある。【真柴健】

◆阪神メッセンジャーが来日通算勝利を97とし、通算100勝へあと3とした。完投勝利は17年8月4日ヤクルト戦での完封以来2年ぶり14度目。失点しての完投勝利となると、13年7月5日広島戦1失点以来、6年ぶり。 ▼メッセンジャーはDeNA戦で自身カード別最高の通算24勝(8敗)をマーク。防御率2・30も対セ球団では最高だ。これでこのカードは、18年4月5日から7連勝となった。 ▼来日以来10シーズンで、5月の通算防御率2・73は月別最高(3月と4月、9月と10月はそれぞれ合算)。上位追走に心強いデータだ。

◆阪神近本光司外野手が2盗塁を決め、ヤクルト山田哲と並んでリーグトップの10盗塁とした。まずは6回。先頭打者として二失で出塁すると、続く糸原の2球目で二塁を陥れた。 糸原の二ゴロの間に三進し、糸井の適時打で生還。貴重な追加点は、近本の足を起点に生まれた。 「もらった出塁だったので、積極的にトライしてもいいかなと思っていた。それが結果的に2点につながったんで良かった」 7回にも四球から、ウエストなどバッテリーに警戒されながら、この日2つ目を成功。「警戒してくれたらしてくれただけ、自分に有利なので。外されたら走らなかったらいいですし、相手を見ながらやりたいことをやっていきます」と涼しげに振り返った。 チームの新人では01年赤星憲広氏以来の2桁盗塁。ここ6試合で7盗塁とギアを上げ、シーズン44個ペースだ。39個で新人盗塁王に輝いた赤星氏は72試合目で2桁を記録しており、近本は32試合目と大きく上回る。昨季の盗塁王は33個(山田哲)で目標とするスピードスターに続く快挙も夢ではない。2試合無安打も自慢の足でけん引する背番号5は「これからもどんどん走っていきたい」と、グラウンドを駆け回る。【奥田隼人】

◆阪神糸井嘉男外野手が中押し適時打を含む5打席4出塁で勝利に貢献した。 3回の第2打席ではバリオスから右太もも裏に死球。143キロが直撃し、顔をゆがめながらのチャンスメークで先制点を呼んだ。3点リードの6回第4打席では、井納のフォークに食らいつき、ボテボテながら前進守備の三遊間を破るタイムリーで加点した。矢野監督は「嘉男はラッキー(ヒット)だけど、ラッキーも含めてノッていける部分もある」と笑顔。糸井は「今オレはここが痛いんだよ」と右太もも裏をさすって苦笑いだった。

◆DeNA井納翔一投手(33)が今日5日、出場選手登録を抹消されることになった。4日の阪神8回戦(甲子園)の3点を追う6回に4番手で登板。味方の失策も絡み、2回3安打2失点(自責0)だった。 開幕から先発ローテを担ってきたが2戦連続で打ち込まれ、この日は先発ではなくブルペン待機となった。ここまで6試合(先発5)で2勝2敗、防御率は4・56。状態が上がってこず、ファームで再調整することになるようだ。

◆阪神が先発メッセンジャーの快投、ベテラン福留の先制打で快勝した。矢野燿大監督の試合後の主なコメントは以下の通り。 -メッセンジャーが2週間ぶりに復帰して完投 「どうかな」という部分はあったけど、最後まで投げてくれて助かりました。丁寧に投げてくれました。 -攻撃では四死球や失策でチャンスをもらった 前半は1本がなかなか出ずに、ゲーム展開的にちょっと分からない感じでしたけど。中盤以降はいいところで。ラッキーなヒットもありますけど。出だしたので。明日はもっともっと打ちたいですね。 -4カード連続勝ち越し 苦しい試合ももちろん、ありましたけど、先発陣、投手陣がまずはしっかり頑張ってくれているなかで、打者もちょっとずつ上がってきていると思う。いい状態で行けると思います。 -貯金1だ そうですね。でも、あんまり先のことは考えても良くない。明日の試合をしっかり頑張っていきたい。

◆阪神に頼れるエースが帰ってきた。右前腕打撲で戦列を離れていたランディ・メッセンジャー投手(37)が復帰登板でDeNA打線を封じ込めた。苦しい台所事情だったことも考慮し、1人で投げきることを決意。9回3安打1失点で2年ぶりの完投勝利を挙げた。チームは連勝で令和初の貯金生活に突入。首位巨人まで2・5ゲーム差とセ界頂上も見えてくるウハウハの貯金ウイークや。 メッセンジャーの気概が詰まった114球だった。「1本目を打たれた後も、1点取られた後も、この試合は自分で投げきるという強い気持ちがあった」。序盤からテンポよく投げ込んだ。ゴロアウトの山を築き、5回までノーヒット。6回先頭の伊藤光にポテンヒットを許し、7回に連打から1点を失ったが、気持ちは切れなかった。9回3安打1失点。今季2勝目は、17年8月4日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)以来、2年ぶりの完投勝利だ。 突き動かすのは「オレがヤル」という思い。「エースとして何年も貢献してきたと思っている。できるだけ早く戻って貢献したい」。4月19日巨人戦で打球を受け、右前腕打撲で離脱。張りがなかなか取れなかったが、はやる気持ちを我慢しノースローで治療に専念。同26日に投げ始め、2軍戦を経ない異例調整での復帰もチーム愛がにじんだ。 チームではこの日、救援陣の一角、岩崎がインフルエンザA型で離脱した。前日まで3連投していたジョンソンは温存策のためベンチを外れていた。岩崎と同じくインフルエンザで5日の先発は岩貞から高橋遥に変更された。落とせばショックの大きな一戦だったが、大黒柱は、苦しい台所事情で奮闘。虎を令和初の貯金生活突入へ導いた右腕に矢野監督も「みんな休養できたし、ランディ自身も帰って来てすぐに、こういう投球ができて大きい」と最敬礼だ。 来日10年目を迎え、国内FA権を取得。「日本人扱い」となった助っ人のおとこ気を、皆が受け止めている。「『オレがヤル』という強い気概、他の投手の手本になるハートの持ち主であること」(谷本球団副社長)も契約更新の決め手になった。この日のお立ち台ではメッセンジャーに加え、栗山通訳と福留も「I'm Finally Nihonjin」と書かれたTシャツを着ていた。実はベンチ裏では、トレーナー陣も同じTシャツを着用。メッセンジャーを中心にチームは一丸となっている。 甲子園では昨年5月15日のDeNA戦以来、約1年ぶりの勝利。妻ベネッサさんと子どもたちも応援にかけつけた。「これだけのファンの皆さんがいて、こどもの日のイベントで、家族も見ている前でこれだけのピッチングができた。最高の気分でした」。最高の勝利を運んだ男は、家族から抱きつかれ、最高の笑顔を見せた。【磯綾乃】 ▼メッセンジャーが来日通算勝利を97とし、通算100勝へあと3とした。完投勝利は17年8月4日ヤクルト戦での完封以来2年ぶり14度目。失点しての完投勝利となると、13年7月5日広島戦1失点以来、6年ぶり。 ▼メッセンジャーはDeNA戦で自身カード別最高の通算24勝(8敗)をマーク。防御率2・30も対セ球団では最高だ。これでこのカードは、18年4月5日から7連勝となった。 ▼来日以来10シーズンで、5月の通算防御率2・73は月別最高(3月と4月、9月と10月はそれぞれ合算)。上位追走に心強いデータだ。

◆阪神が4日、DeNAに5-1で勝ち、開幕カード以来の貯金「1」とした。  右前腕打撲から復帰先発したメッセンジャーが3安打1失点で自身2年ぶりとなる完投勝利。42歳の福留が三回に先制打を放つなど、3安打1打点と活躍。D1位・近本が1試合2盗塁をマークし、リーグトップタイの10盗塁とした。  阪神は岩貞、岩崎、筒井コーチの3人がインフルエンザA型に感染し、離脱。エースのメッセンジャーが窮地を救った。

◆DeNAは4日、阪神8回戦(甲子園)に1-5と完敗。  『天敵』の阪神先発・メッセンジャーに対し、五回まで無安打となすすべなく抑えられた。六回に乙坂、ロペスの連打を足がかりに筒香の遊ゴロの間に1点を返したが、その後もチャンスを作れず。投手陣も先発バリオスから5投手が全て四球を与えるなど計11四死球と自滅した。  対阪神には5連敗で、2カード連続負け越しが決定。メッセンジャーには7連敗となった。ラミレス監督は「彼のキャリアのなかで一番コンディションが良くない時期だと思うが、それでもいい投球をされてしまった」とガッカリ。  今後に向け、メッセ攻略のカギについて問われると、「3年間くらいいろいろとやっているが、対応をかえてもうまくアジャストしてくる。今の段階では言うことがない」と話し、お手上げムードを漂わせた。

◆阪神の福留が先制打を含む3安打を放った。0-0の三回1死満塁ではバリオスのチェンジアップを左前に運び「ランディ(メッセンジャー)が頑張ってくれているので、何とか先制したいと思っていた」と充実感をにじませた。  六回は中前打で好機を広げ、続く梅野の適時打につなげた。4万6000人を超える観客に向けては「去年甲子園で勝てていないので、勝つゲームを見てもらえるのはうれしい」とチームの思いを代弁した。

◆阪神・福留が4日、DeNA戦(甲子園)で先制打&今季初の3安打。奏でた快音の"ご褒美"は、令和になって初のお立ち台だ。  「最高でした!」  インタビュアーを務めた女の子に、力強く応えた。三回、安打に四死球が絡み1死満塁。先発バリオスの前に好機を作り、福留の出番だ。外角チェンジアップに、身を乗り出す。ふらふらと上がった白球は、左前に弾んだ。力投を続けるメッセンジャーに先制点をプレゼントした。  二回先頭では鮮やかな右前打、六回2死一塁では中前に運び32試合目にして今季初の猛打賞を記録。秋山、糸原と立った平成最後の一戦となった4月30日の広島戦(甲子園)以来のお立ち台。新時代になっても、聖地の景色は「最高」だ。  打率・255ながらも得点圏・400(20打数8安打)と勝負強さは健在。休養を与えながら起用を続ける矢野監督も「どうしても得点圏で回ってくることが多い。そういうところで頼りにしている打者。孝介が打つとベンチも元気になる」とうなずいた。昭和52年生まれ。4月26日で42歳になっても、存在感は輝いている。  「ゴールデンウイークこどもまつり」として行われている今カード。この日も4万6525人が詰めかけた。打席の度に電光掲示板に映される「子どものころ、プロ野球選手以外になりたかった職業」。福留は意外にも? 「バスケットボール選手」だったという。  「昔はよく見ていたので。(子どもたちも)自分のやりたいことはいろいろあるだろうけど」  完投星を挙げたメッセンジャーも同じ「バスケットボール選手」。福留は「俺はもともと、日本人」と笑いながらも仲良く同じTシャツを着て壇上にあがった。投打の柱が元気なら、虎はもっと勝っていける。  「子どもたちに応援してもらえるように、あしたもグラウンドでハッスルして頑張りたいと思います!」  5日はこどもの日。2児のパパでもあるベテランが、最高の夢と希望をプレゼントする。

◆阪神・糸井が4日、DeNA戦(甲子園)に「3番・右翼」で2試合ぶりのスタメン出場。3-0の六回1死三塁、4月28日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、22打席ぶりの適時打を放った。元号が「令和」になってからの初打点だ。  「俺は、ここが痛いんや」  試合後、報道陣に囲まれると、でん部を指さした。三回1死一塁。バリオスの体に向かってきた143キロ直球を避けられず、球は右でん部を直撃。痛みをこらえて出続けた末のタイムリーは会心の当たりではなかったが、勝利を決定づける貴重な追加点となった。  一回は四球、五回にも四球を選んで、D5位・木浪聖也内野手(ホンダ)の押し出しの四球で3点目のホームを踏んだ。2試合ぶりの先発出場はバット&顔で、計4出塁だが、復調宣言は出なかった。  前日3日、今季初めて先発から外れ、代打のみの出場。このところ攻守に精彩を欠いた。昭和56年生まれの37歳。いわゆる積極的休養だが、黄金期間中でスタンドには子供たちもたくさんいる。2日続けて休むわけにいかない。  矢野監督は「きょうの嘉男の(適時打)は自分でしっかり捉えたということではない。ラッキーだけど、ラッキーも含めてやっぱりノッていける部分もあるし」と復調へのキッカケになる一打と期待した。  5月1日。元号が「令和」になった瞬間は、何をしていたか-と問われると「道頓堀に飛び込んでいた」とジョークでかわした。道頓堀ダイブといえば、昭和60(1985)年の虎日本一。熱狂的なファンが歓喜に沸いたシーンが思い浮かぶ。「平成」でのリーグ制覇は15、17年の2度しかない。まだまだ若いモンには負けへんで! 「令和元年V」を目指して、"昭和生まれ"の福留とともに虎を引っ張っていく。

◆阪神・梅野隆太郎捕手が4日、DeNA戦(甲子園)でメッセンジャーの完投をアシストし、ダメ押し打を放った。  三回の1死満塁では空振り三振。五回の1死満塁では二飛に倒れたが、4-0の六回2死一、二塁。井納の144キロの直球をはじき返し適時中前打。「みんながチャンスを作ってくれたなかで、何とか3度目の正直みたいな感じで打てた。リラックスして開き直って打席入った」とホッとした表情だった。

◆阪神のD1位・近本光司外野手(大阪ガス)が4日、DeNA戦(甲子園)で2盗塁。チームの今季32試合目で2桁10盗塁に到達してみせた。  「警戒してくれるだけ、僕の中では有利になる。外されたら走らなければいいし、けん制が多くても走らなければいい。相手を見ながらやっていければ」  4打数無安打で、2試合&11打席連続の無安打となったが、この男の場合は出塁だけでも脅威になる。まずは3点リードの六回先頭で二ゴロ失策で出塁すると、続く糸原の2球目で瞬く間に二盗に成功。追加点へつなげると、ハイライトは5-1となっていた七回だ。2死から四球を選んで出塁。再三の投手、捕手両方からのけん制にも関わらず、5球目で二塁を陥れてみせた。外角高めのボール球だったが、最大限警戒した捕手の伊藤光も刺せない。  この日1盗塁したヤクルト・山田哲と並び、リーグ最速タイで10盗塁目。チーム20盗塁の半分が近本。恐ろしいのが、速いだけでなく早い、そのペースだ。  入団決定後から「超えられるように」と意識してきた存在、球団OBの赤星憲広氏が新人王&盗塁王(39盗塁)に輝いた2001年のペースを、軽々と突き破った。赤星氏が01年に10盗塁へ到達したのは出場60試合目、7月3日のこと。近本はシーズン換算でも「44・7盗塁ペース」となった。矢野監督も「走者で出ると向こうの警戒もホント高まるし、その中でも走っている。近本の足が見たいファンもどんどん増えてると思う」と大きくうなずく走りっぷりだ。  「必死です」とはにかみ、2桁盗塁到達には「走れるときがあればしっかり走れれば」と実直に語った近本。止まらない足で、虎を引っ張っていく。

◆阪神の新外国人・ジェフリー・マルテ内野手が4日、DeNA戦(甲子園)で体を張って追加点を演出した。1点リードの五回2死満塁で打席に入ると、押し出し死球。中押し点を奪い、七回の守備から退いた。「あそこで点が取れたのはよかったけど、もう少しチームに貢献しないといけない」。走者を置いて凡退した他の3打席を反省し、試合後はバットを片手に室内練習場へ向かった。

◆阪神・大山悠輔内野手が4日、DeNA戦(甲子園)で美技を披露した。  「4番・三塁」で出場すると1-0の五回2死二塁。神里が放った三遊間への鋭いゴロに飛びついて捕球すると、素早く立ち上がって一塁へ送球。きっちりアウトにした。抜けていればあわや同点というピンチを救い、メッセンジャーを盛り立てた。「守備は守備でしっかりやらないといけないので、そこはよかった」と振り返った。

◆阪神のランディ・メッセンジャー投手(37)がDeNA相手に3安打1失点で、約2年ぶりの完投勝利を挙げた。  メッセンジャーの完投は、2017年8月4日のヤクルト戦(京セラ、○3-0)で4安打完封して以来。DeNA戦は今季初登板で、昨季は7試合先発し6勝0敗、防御率1・06と圧倒。  阪神の4カード連続の勝ち越しは昨年8月4、5日のヤクルト戦(京セラ、○○)、7-9日の巨人戦(東京ドーム、○●○)、10-12日のDeNA戦(横浜、○○●)、14-16日の広島戦(京セラ、○●○)以来。

◆福留は試合後のお立ち台で、インタビュアーを務めた子どもからの問いかけにも神対応。「私は北條選手のファンなのですが、北條選手のことをいつもどう思っていますか」という質問に「かっこよくて、かわいい後輩だなと思っています」とにっこり。さらに「今年こそ優勝できそうですか?」のド直球な質問にも「頑張ります!」と力強く答えていた。

◆♪よ~く考えよぉ~ お金は大事だよ~ いや~、甲子園の『ゴールデンウイーク こどもまつり』に、猛虎軍団は素晴らしい子供たちの教育者となったのだ!!  前日は4番・大山が「いいかい、みんな。おかねをかりているようじゃ、りっぱなおとなにはなれないんだよー!!」と身をもって教える借金サヨナラ~のサヨナラ打を放ち、本日は「にほんせんしゅになったメッセンジャーせんせいでーす! よいチルドレンはせつやくしよう!」と、これまた身をもって教える3安打の節約ピッチングでついに貯金を「1」としてくれたァ!!  とにかく令和の虎の強さには、子供のみならず大人もニコニコでーす!! 今季不調だったメッセンジャーが昨季なかった完投勝利を挙げれば、最近若虎ばかり目立っていた中で「忘れてもらっちゃ困るでェ!!」と、大ベテラン・福留様が3安打!! 相手のミスにつけ込む試合巧者ぶりも実にいい!!  期待のルーキー・近本は2試合連続無安打だったが、毎打席ヒットを打つわけではないから、凡打も貯金と思えばいいのよ!! それに2盗塁は元本割れしないし...。阪神は、お金の使い方がホンマうまいわ~!!

◆--メッセはボールを低めに集めていた  「ゴロすごい多かったでしょ。内外野含めてよく守ってくれたし、ランディがテンポよく丁寧に投げてるという部分とね、こうリンクしてというか。力ばかりでいく、というピッチングでないというところでは、お手本になるようなピッチングだったと思います」  --本人から長いイニングを投げたいと  「けが明けなので、どこまでいけるのかなというのは確認しながら行っている中で、どんどんのびていったというだけでね。勝ったということも大きいですけど、ランディが実のある勝ち方にしてくれたんで、それも大きいですよね」  --糸井のタイムリーの際には、近本が遊ゴロでも生還できるくらいのスタートを切っていた  「近本の足で、勝負行こうという部分で、もう勝負行きました」  --ジョンソンをベンチから外した  「俺もいたら使いたくなるから『もう帰ってくれ』って言って。その方が、いない中でどうするかっていうのを考えられるんで」

◆メッセンジャーの完投をアシストした梅野が、ダメ押し打を放った。三回の1死満塁では空振り三振。五回の1死満塁では二飛に倒れたが、4-0の六回2死一、二塁。井納の144キロの直球をはじき返し適時中前打。「みんながチャンスを作ってくれたなかで、何とか3度目の正直みたいな感じで打てた。リラックスして開き直って打席入った」とホッとした表情だった。

◆どうしてこんな時期に...。デーゲームに備えて午前中から出社していた当番デスク澄田垂穂が頭を抱えました。  「みどりの日に、虎が真っ青」  甲子園球場のトラ番から、岩貞、岩崎両投手と、筒井コーチの3人がインフルエンザA型に感染したという連絡が入ったからです。  「インフルエンザが流行するのは普通、秋から冬でしょ。せっかく調子が上がってきたのに、左の先発と中継ぎ、外野守備走塁担当の一塁ベースコーチがいっぺんに離脱するなんて。だめだ。こういう日はもう...」  デスクのそんな不安を吹き飛ばしてくれました。メッセンジャーが1失点完投で救援陣を休ませ、平野打撃コーチが急きょ一塁ベースコーチを務めた中、近本が2盗塁。先発投手が万全の投球を披露し、機動力健在も示して快勝です。  「強いわ、阪神」  主に中日を担当するベテランで、今回の3連戦はまた阪神の応援取材にきているビヤ樽三木建次がぽつり。「俺が何試合も続けて阪神を見るのは3シーズンぶり。1年に10人ずつ選手が入れ替わるとして3年で30人。半分はもう"初めまして"なんや」。中日担当でありながらいろんなチームを取材する「遊軍記者」の目には、チーム編成が大きく変わった今の阪神は、安定して見えていました。  「きょうのDeNAもそうやけど、中日も今年は四球や失策が失点にからむケースが多い。阪神は少ない。今、阪神が一番強いんちゃうか」  うれしいこと言うてくれるやないの。ゴールデンウイークの12連戦を8戦終えて6勝2敗。4カード連続勝ち越しで4月23日の広島戦から9勝2敗で貯金1。メッセンジャー、近本、福留ら活躍した選手のことはそれぞれの原稿を読んでいただくとして、今の阪神は、活躍できなかった選手も元気だから頼もしい限りなのです。  「マルテがご機嫌でした」  試合前の竹村岳の電話です。物静かなタイプで、普段はイヤホンで音楽を聴きながらベンチ入りする助っ人が、この日は竹村と視線が合うやいなや、マルテの方から笑顔で右の拳を伸ばしてきてグータッチ。  「あんなことをしてくれたのは初めてです。きのう(3日)も痛烈な二塁打を打って、乗ってきてるんじゃないですか」  竹村は「きょうも打ってくれそうです」と太鼓判を押しました。その予想は大当たりとはなりませんでしたが、五回に押し出し死球でリードを3点に広げる"小当たり"。試合後はバットを手に室内練習場に向かったそうですから、今後に期待です。  それにしても、どうしてこんな時期にインフルエンザが...。  「俺も心配なんや。インフルエンザには潜伏期間がある。阪神は、先週末はナゴヤドームで中日と試合をしていた。ということは3人の感染場所は名古屋かもしれん。俺、6日から中日-広島の取材で、また名古屋に戻るんや。心配やわ」  試合後、会社に上がってきて伝票整理をしていた三木がまたぽつり。その瞬間、みんなの目がビヤ樽に集中しました。「選手がガラリと替わったから、挨拶で選手の間を走り回っとる」と言ってたよな。感染源、名古屋じゃなくて、アンタなんじゃないかい?

◆メッセンジャーはお立ち台に自筆の「I'm Finally 日本人」とプリントされたTシャツを着て登場。来日10年目の今季から日本人扱いとなったことを記念して作られたもので、ともに壇上に上がった福留をはじめ、チームスタッフ全員にも同じTシャツを着るよう促し、実現した。お立ち台でTシャツについて突っ込まれた右腕は「本当に気持ちいいですし、これだけ最高のファンの皆さんの前で勝てて、本当に最高です」と笑顔。最後は「大好きでーす!」と日本語で締めくくっていた。

◆投手陣が計11四死球と自滅し、攻撃陣も故障明けのメッセンジャーに五回まで無安打と完敗した。対阪神は5連敗で2カード連続の負け越し。メッセンジャーには昨季から7連敗と歯が立たない。試合中には高めの球を狙う指示が出されたが、七回に内野ゴロで1点奪うのがやっと。ラミレス監督は「3年間くらい、いろいろとやっているが、対応を変えてもうまくアジャストしてくる。今の段階では言うことがない」とお手上げだった。 今季初先発し五回途中3安打3失点、6四死球のDeNA・バリオス 「序盤は自分らしいゴロを打たせる投球ができたが、四球絡みで得点を許してしまったことは反省」

◆鮮やかに土煙をまき上げながら、どんな警戒もかいくぐる。快音は響かなくても、D1位・近本光司外野手(大阪ガス)はこの足で、どこまでも行ける。チームの今季32試合目で2桁10盗塁に到達してみせた。  「警戒してくれるだけ、僕の中では有利になる。外されたら走らなければいいし、けん制が多くても走らなければいい。相手を見ながらやっていければ」  4打数無安打で、2試合&11打席連続の無安打となったが、この男の場合は出塁だけでも脅威になる。まずは3点リードの六回先頭で二ゴロ失策で出塁すると、続く糸原の2球目で瞬く間に二盗に成功。追加点へつなげると、ハイライトは5-1となっていた七回だ。2死から四球を選んで出塁。再三の投手、捕手両方からのけん制にも関わらず、5球目で二塁を陥れてみせた。外角高めのボール球だったが、最大限警戒した捕手の伊藤光も刺せない。  この日1盗塁したヤクルト・山田哲と並び、リーグ最速タイで10盗塁目。チーム20盗塁の半分が近本で、球団の新人では2001年に39盗塁をマークした赤星憲広氏以来の2桁到達だ。  恐ろしいのが、そのペースだ。入団決定後から「超えられるように」と意識してきた赤星氏が1年目に10盗塁へ到達したのは72試合目、7月3日のこと。近本は5月4試合で5盗塁と急加速で、シーズン換算で「44・7盗塁ペース」だ。矢野監督も「走者で出ると向こうの警戒もホント高まるし、その中でも走っている。近本の足が見たいファンもどんどん増えてると思う」と大きくうなずく走りっぷりだ。  「必死です」とはにかみ、「走れるときがあればしっかり走れれば」と実直に語った"令和のスピードスター"。止まらない足で、虎を引っ張っていく。 (長友孝輔)

◆チームリーダーが手をたたけば、虎は踊る。子どもたちが見つめる満員の聖地で息を吹き返した。福留が先制打&今季初の3安打。奏でた快音の"ご褒美"は、令和になって初のお立ち台だ。  「最高でした!」  インタビュアーを務めた女の子に、力強く応えた。三回、安打に四死球が絡み1死満塁。先発バリオスの前に好機を作り、福留の出番だ。外角チェンジアップに、身を乗り出す。ふらふらと上がった白球は、左前に弾んだ。力投を続けるメッセンジャーに先制点をプレゼントした。  二回先頭では鮮やかな右前打、六回2死一塁では中前に運び32試合目にして今季初の猛打賞を記録。秋山、糸原と立った平成最後の一戦となった4月30日の広島戦(甲子園)以来のお立ち台。新時代になっても、聖地の景色は「最高」だ。  打率・255ながらも得点圏・400(20打数8安打)と勝負強さは健在。休養を与えながら起用を続ける矢野監督も「どうしても得点圏で回ってくることが多い。そういうところで頼りにしている打者。孝介が打つとベンチも元気になる」とうなずいた。昭和52年生まれ。4月26日で42歳になっても、存在感は輝いている。  「ゴールデンウイークこどもまつり」として行われている今カード。この日も4万6525人が詰めかけた。打席の度に電光掲示板に映される「子どものころ、プロ野球選手以外になりたかった職業」。福留は意外にも? 「バスケットボール選手」だったという。  「昔はよく見ていたので。(子どもたちも)自分のやりたいことはいろいろあるだろうけど」  完投星を挙げたメッセンジャーも同じ「バスケットボール選手」。福留は「俺はもともと、日本人」と笑いながらも仲良く同じTシャツを着て壇上にあがった。投打の柱が元気なら、虎はもっと勝っていける。  「子どもたちに応援してもらえるように、あしたもグラウンドでハッスルして頑張りたいと思います!」  5日は、こどもの日。2児のパパでもあるベテランが、最高の夢と希望をプレゼントする。 (竹村岳)

◆打球は、前進守備の三遊間をゴロで抜けた。運も味方しての、技ありの一打-。3-0の六回1死三塁。糸井が4月28日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、22打席ぶりの適時打を放った。元号が「令和」になってからの初打点だ。  「俺は、ここが痛いんや」  試合後、報道陣に囲まれると、でんぶを指さした。三回1死一塁。バリオスの体に向かってきた143キロ直球を避けられず、球は右でんぶを直撃。痛みをこらえて出続けた末のタイムリーは会心の当たりではなかったが、勝利を決定づける貴重な追加点となった。  一回は四球、五回にも四球を選んで、D5位・木浪聖也内野手(ホンダ)の押し出しの四球で3点目のホームを踏んだ。2試合ぶりの先発出場はバット&顔で、計4出塁だが、復調宣言は出なかった。  前日3日、今季初めて先発から外れ、代打のみの出場。このところ攻守に精彩を欠いた。昭和56年生まれの37歳。いわゆる積極的休養だが、黄金期間中でスタンドには子供たちもたくさんいる。2日続けて休むわけにいかない。  矢野監督は「きょうの嘉男の(適時打)は自分でしっかり捉えたということではない。ラッキーだけど、ラッキーも含めてやっぱりノッていける部分もあるし」と復調へのキッカケになる一打と期待した。  5月1日。元号が「令和」になった瞬間は、何をしていたか-と問われると「道頓堀に飛び込んでいた」とジョークでかわした。道頓堀ダイブといえば、昭和60(1985)年の虎日本一。熱狂的なファンが歓喜に沸いたシーンが思い浮かぶ。「平成」でのリーグ制覇は15、17年の2度しかない。まだまだ若いモンには負けへんで! 「令和元年V」を目指して、"昭和生まれ"の福留とともに虎を引っ張っていく。 (三木建次)

◆エース復活完投星で貯金や! 阪神のランディ・メッセンジャー投手(37)がDeNA相手に3安打1失点で、約2年ぶりの完投勝利を挙げた。右腕に打球を受けて戦列を離れていたが、完全復活。これぞ大黒柱の投球で、チームもGW12連戦は6勝2敗。約1カ月ぶりとなる貯金生活に突入や!  最後の打者を打ち取ると、力強くうなずいた。女房役の梅野とハイタッチを交わし、4万6525人の大歓声を心地よさそうに浴びる。メッセンジャーが完投で、復活のマウンドを飾った。  「サイコーデース! バックの皆さんがしっかりと守ってくれたので、チーム全体で得た勝利だと思っています」  昨季6勝0敗のお得意様との今季初対戦。低めに集める老練の投球で、ゴロの山を築いた。五回までは無安打。六回先頭の伊藤光に止めたバットで右前打とされたが、代打梶谷を投ゴロ併殺、大和を見逃し三振に仕留めた。七回に連打から筒香の遊ゴロで失点したが、114球で完投。ゴロで奪ったアウトは19個(2併殺含む)を数えた。  「この2試合、ボールが高く浮いて打たれていた。ゴロアウトをたくさん取れたのは、低く低く集めることができた証拠かなと思います」  前回4月19日の巨人戦(甲子園)で右前腕に打球が直撃。患部が腫れ、翌日に登録抹消された。復帰へ焦る気持ちを抑え、数日間はボールにはさわらず治療に専念。「トレーナーが丁寧にケアしてくれたおかげ」と腫れが引いた26日にキャッチボールを再開すると、30日に1軍合流。中14日での待望のマウンド。最後まで降りるつもりはなかった。  「この試合は自分で投げきるという強い気持ちを持っていました」  何より窮地の虎投を救うためだった。岩貞、岩崎がインフルエンザに感染し、この日登録抹消。3連投だったジョンソンも休養で、ベンチから外れていた。ピンチのブルペンもものともせず、堂々の投球。エースの貫禄を見せつけた。2年ぶりとなる完投勝利は、2018年5月15日のDeNA戦以来、355日ぶりの甲子園星にもなった。  勝つために守備への意識も強く、こだわりはグラブにまで及ぶ。練習用には試合用よりも一回り小さいものをオーダー。「小さい方が、ちゃんと捕れているか確認できる」。試合では大きさのギャップを自分が感じないよう、黒色を使用。「黒は引き締まって見える色。練習用より大きいのを使っても、見た目でそう感じないように」。どん欲に勝利を求めるから、バックも好守で応じてくれる。  チームもDeNA戦5連勝で、4カード連続の勝ち越し。首位・巨人とも2・5ゲーム差で、4月1日以来の貯金生活に踏み出した。その"立役者"に矢野監督は「最後まで投げてくれて助かった。(リリーフも)みんな休養できたし、チームにとってもランディにとっても大きい」と最敬礼だ。  「満員のファンの前で家族もいる中で、これだけのピッチングができたので、最高な気分です」  戻って来たエースとともに、虎は力強く上へとのし上がる。(箭内桃子) メッセンジャーについて阪神・福原投手コーチ 「しっかり調整してきてくれた。(完投で)中継ぎも休めることができた。本当に助かった。丁寧に投げてくれた。ゾーンを下げて、ゴロも多かったし」

◆メッセンジャーが完投できたのも制球力重視でゴロを打たせる投球を心がけたからだ。球を低めに集めて、内野ゴロによるアウトは19個(2併殺打)。かつての150キロ超の速球はないが、変化球を織り交ぜて、相手打者に的を絞らせない投球は見事。梅野が構えたミットに、ほぼ完璧に投げ込んでいた。  昨季あたりから力任せで三振を奪う投球から制球と緩急をつけて打たせて取る投球へのイメージチェンジをはかろうとしていることはわかったが、この日の投球は、彼が描いていた理想に近かったはずだ。約半月のブランクを感じさせなかった。  これまで、たくさんの外国人投手を見てきたが、本格派から技巧派に転身して成績を伸ばした投手は記憶にない。メッセンジャーは8月で38歳になるが、さらに制球を磨いて、打たせて取る省エネ投法を貫いていけば、40歳を過ぎてもエースとして投げ続けられるだろう。  チームにとってもメッセンジャーが先発ローテの軸にいる、いないでは大違いだ。西とともに2枚看板がいる限り、そう大きく負けが込むことはない-と確信した。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
18120 0.600
(↓0.021)
-
(-)
113147
(+2)
111
(+3)
40
(-)
15
(-)
0.263
(-)
3.470
(↑0.02)
2
(-)
ヤクルト
18131 0.581
(↑0.014)
0.5
(↓1)
111162
(+8)
138
(+4)
40
(-)
13
(+1)
0.253
(↑0.001)
4.050
(-)
3
(-)
阪神
16151 0.516
(↑0.016)
2.5
(↑1)
111122
(+5)
134
(+1)
23
(-)
20
(+2)
0.239
(-)
3.560
(↑0.09)
4
(-)
広島
15160 0.484
(↑0.017)
3.5
(↑1)
112106
(+3)
131
(+2)
28
(+1)
13
(+1)
0.235
(↑0.002)
3.400
(↑0.06)
5
(-)
中日
13170 0.433
(↓0.015)
5
(-)
113108
(+4)
114
(+8)
22
(+1)
17
(-)
0.265
(↓0.001)
3.740
(↓0.15)
6
(-)
DeNA
12190 0.387
(↓0.013)
6.5
(-)
112114
(+1)
131
(+5)
35
(-)
5
(-)
0.231
(↓0.004)
3.680
(↑0.01)