阪神(☆2対1★)DeNA =リーグ戦7回戦(2019.05.03)・阪神甲子園球場=
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DeNA
01000000001500
阪神
0000010001X2601
勝利投手:ジョンソン(2勝0敗0S)
敗戦投手:三嶋 一輝(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】上本 博紀(1号・6回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神が劇的なサヨナラ勝ち。阪神は1点を追う6回裏、上本のソロで同点とする。そのまま迎えた延長10回には、2死一塁から大山が適時二塁打を放ち、試合を決めた。投げては、4番手・ジョンソンが今季2勝目。敗れたDeNAは、打線が5安打1得点と振るわなかった。

◆阪神西勇輝投手(28)が先制点を許した。 2回表、四球と安打で1死一、二塁のピンチを招き、7番神里に右前安打を打たれた。二塁走者筒香は三塁を蹴って本塁へ。右翼高山の好返球で一時はアウトと判定されたが、DeNAラミレス監督がリクエスト。約5分の審議の結果、判定が覆り、DeNAが先制に成功した。

◆3日からのDeNA3連戦(甲子園)では「ゴールデンウイークこどもまつり」と題したイベントが行われている。スコアボードの表記がひらがなになるなど、子どものための工夫が凝らされている。 試合前のスタメン発表では、選手が子どもの頃になりたかった職業が大型ビジョンに映し出された。 スタメン選手のなりたかった職業は以下の通り。 1番ちかもと パン屋さん 2番うえもと パン屋さん 3番いとはら パイロット 4番おおやま プロスポーツ選手 5番ふくどめ バスケットボール選手 6番うめの 大工さん 7番たかやま 学校の先生 8番きなみ 大工さん 9番にし F1レーサー なお、矢野監督は「体育の先生」だった。

◆DeNAは2回、神里が適時打を放ち先制。阪神は3回、先頭の木浪が二塁打を放ち好機をつくるも無得点。 阪神は6回に上本の1号ソロで同点に追いついた。DeNAは先発の阪口が5回無失点の力投も、2番手国吉が同点弾を浴びた。 阪神は延長10回2死一塁、大山が中堅フェンス直撃のサヨナラ打を放ち、勝率を5割に戻した。DeNAは借金5。 阪神ジョンソンが2勝目、DeNA三嶋が1敗目。

◆5試合ぶりにスタメン起用された阪神上本博紀内野手(32)が、約1年ぶりとなる今季初本塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。 「初球から積極的に打ちにいったことが最高の結果となりました。西が頑張ってくれているので、早く勝ち越せるように頑張ります」 1点を追う6回、この回からマウンドに上がった2番手国吉の初球、147キロ直球を振り抜き、左翼スタンドに突き刺した。 打線はここまで、DeNA先発阪口に5回まで2安打と苦しめられていた。上本の18年5月1日DeNA戦(甲子園)以来となる1発に、満員のスタンドはこの日一番の盛り上がりを見せた。

◆2年目のDeNA阪口皓亮投手(19)のプロ初勝利は、次戦以降にお預けとなった。 プロ初登板&初先発となった阪神相手に、5回66球を投げ無失点。初回から最速150キロを連発するなど、安定感抜群の中、1点のリードをもらい、勝利投手の権利を得て降板した。だが、2番手の国吉が6回先頭で上本に初球を捉えられ、同点弾を許し、阪口のプロ1勝目が消滅した。 阪口は「今までの人生で味わったことがないくらい緊張しました。三浦コーチから『攻めの投球をするように』と言っていただき、最後まで腕を振り抜くことができました。ピンチを迎えた場面も、野手の皆さんが守ってくれて心強かったです」と広報を通じてコメントした。

◆好投も報われなかった。DeNA阪口皓亮投手が、プロ初勝利を逃した。2年目にして、甲子園での阪神戦でプロ初登板&初先発。 得点圏に3回走者を背負いながら、最速150キロの直球にカットボールを効果的に織り交ぜ、5回66球2安打無失点。勝利投手の権利を持ってマウンドを降りた。だが、2番手の国吉が6回先頭で同点弾を許し、初勝利は消滅。ラミレス監督は「いいピッチングをしてほしいと当然のように思っていたが、それ以上の内容」と19歳の投球に最敬礼だった。 思い出の聖地で、成長した姿を見せつけた。北海(北海道)3年の夏に甲子園に出場。初戦敗退し、悔しさを味わった場にプロとして戻ってきた。阪口は「今までで一番いい投球ができた。指のかかりも、スピードも。高校とプロとは違うけど、どっちもいい思い出」と躍動した。 チームは延長戦の末にサヨナラ負け。令和3連勝とはならずも、阪口が強い存在感を示した。「次回はリリーフの人に迷惑を掛けないように、長いイニングを投げたい」。いったんは抹消されることになるが、ラミレス監督は「必ず近いうちにチャンスが来る」と期待を込めた。【栗田尚樹】

◆阪神近本光司外野手の連続試合安打が「13」で止まった。初回にDeNA阪口の149キロ直球に空振り三振。 「2、3打席目に修正できていなかった。まだまだです」と3回の第2打席も1死三塁で遊ゴロ、続く5回も左飛に倒れるなど、プロ初登板の右腕を打ち崩せなかった。延長10回は投ゴロで4打数無安打。ヒットパレードがストップした。 ただ、中堅守備ではスタンドを沸かせる場面もあった。0-0の9回無死一塁。4番筒香が放った大飛球は近本の頭上を越えて中堅フェンスの上部にバウンド。一瞬、ボールの行方を見失ったが、すぐさま拾い上げて二塁植田に送球。見事な中継プレーでピンチを救った。近本は「お手玉というか、ボールがどこにあるか分からなかったので...」と頭をかいたが、冷静に対応した。 直後の1死二塁でもロペスの強い右中間への打球を好捕。失点を防ぎ、劇勝への道筋をつくった。 前日2日には今季3度目の猛打賞で阪神新人の連続試合安打記録を塗り替えた。一夜明けたこの日も打席に立つたびに一身に視線を浴びた。結果は音なしだったが、打率3割2分7厘は依然としてチームトップ。記録はストップしてしまったが、期待値は変わらない。【桝井聡】

◆阪神の糸井嘉男外野手が開幕31試合目にして初めてスタメンを外れた。延長10回には代打出場したが、遊飛だった。前カードの広島3連戦では10打数2安打と下降気味で、矢野監督も積極的休養を検討していた。 同監督は「連戦の真ん中。休めるところっていうと、こういうとこかなというのがあった」と説明。「信頼しているし、嘉男の力がないとダメだと思う」と4日からスタメン復帰する。

◆阪神は延長10回2死一塁、大山が中堅フェンス直撃のサヨナラ打を放ち、勝率を5割に戻した。 試合後の矢野燿大監督(50)の談話は以下の通り。 -しびれる幕切れだ ずっとしびれてましたけど、最後はよく、悠輔(大山)が決めてくれました。 -まさに4番の仕事だ ここぞっていうところでしっかりした打撃を見せてくれた。興奮しています。 -藤川は危なかったがしのいだ。能見で継投した そうですね。やっぱりこういう試合は目に見えないというか、打った人だけがヒーローじゃなくてね。梅野もワンバウンドをよく止めています。中継もよくつないでくれたというモノがあってのこういうゲーム。 -代打マルテが打ったところも雰囲気が変わった うん、まあねえ。それよりもポン(上本)じゃないの? なかなか(先発で)出たり出なかったりで、難しい状況の場面で、打ってくれるのはチームにとってもすごくプラス。マルテも代打で打ってくれたのは、チームにとっても本人にとってもすごくいいこと。マルテもふくらはぎのケガ明け。みんなの力を使いながらやっていくという判断。メンバーが代わって休んだからこそ勝てると、みんな、すごく循環が良くなる。 -9回の藤川起用はジョンソン温存の思惑も そういう部分もあった。あとは球児や能見がしっかりやってくれる信頼関係のなかで行かせる部分もあった。総合的に判断したなかで、そういう決断をした。

◆阪神のスタメン落ちしたジェフリー・マルテ内野手が意地を見せた。同点の8回先頭、来日初の代打でエスコバーの148キロをとらえて左翼線二塁打。 勝ち越し機をつくって満員の甲子園を沸かせた。「チームはいい感じできている。自分も(勝利に)貢献できて良かったよ」。4月29日の初昇格後は4試合連続スタメンだったが、1発を含む2安打だけでこの日はベンチスタート。意地の一撃で存在感を見せつけた。

◆鉄壁の中継プレーが阪神を救った。同点の9回無死一塁。筒香の大飛球は中堅フェンスを直撃したが、近本からカットマンの植田に転送する。一塁走者ソトが本塁に突入するが植田が本塁にワンバウンド返球。間一髪で勝ち越し点を防いだ。 植田は「走者は見えていなかった。とりあえずいい球を投げようと思った。1点勝負。1球1球集中して入りました」と振り返った。矢野監督も「中継もよくつないでくれたというモノがあってのこういうゲーム」と振り返った。

◆阪神木浪聖也内野手がマウンドの西を盛り立てた。守備中に声をかける場面が目立ったが、「今日は笑顔が少ないですよ」とアドバイスしたとか。 好調のバロメータの少なさを指摘された西も「ありがとう」と返したという。「西さんは僕が不調の時に声をかけてくれたんです。『いつか打てるから』と前向きに言ってくれて西さんに助けられたので」。3回に右中間二塁打を放つなど4打席2出塁。縁の下から勝利に貢献した。

◆「勝ち運」を呼び込む強力助っ人だ。阪神の新外国人ピアース・ジョンソン投手(27)がシーズン初登板から14試合連続無失点で、98年リベラの持つ同連続無失点記録を更新。すると、登板直後にサヨナラ劇。自身2勝目をつかんだ。 わずか2球で、白星をたぐり寄せた。同点の10回2死二塁。能見が窮地に陥るとマウンドに上がった。打席は昨年の本塁打王で今季も11本でトップのソトだ。カーブの連投で打ち気をそらし、中飛に打ち取った。「西が勝ちに値する仕事をしてくれた」。プロ初勝利を挙げた25日DeNA戦も、登板直後に打線が逆転。またも幸運を再現した。 借りを返すマウンドだった。17日ヤクルト戦は8回1死一、二塁で2番手能見からバトンを受けたが、死球から2点打を許した。自身は失点こそ付かなかったが、悔しさを忘れていなかった。「タフな状況でしたけど...。(神宮で)能見さんのランナーを返してしまっていたので」。能見に失点がつく形になり、何が何でも抑えたかった。仲間から「PJ」の愛称で親しまれる52番は日に日に頼もしさが増す。 困った時のPJ頼みだ。矢野監督は「今日は本当にジョンソンとかもあまり連投はさせたくなかった。開幕して1カ月ちょっとたって、いけるとは思うんだけど」。この日でジョンソンは3連投。今後を見据えて、当初は温存させる方針だった。本来なら投入が考えられる同点の9回も我慢した。それでも10回。勝負どころと判断した指揮官は2死からカードを切った。「最後、ジョンソンは出しちゃったけど、あそこでしっかり抑えてくれた」。打者1人に2球。最少の力で最高の仕事を果たした助っ人右腕に賛辞を送った。 力投が報われ、今季2勝目が転がり込んだ助っ投は「これからタイガースを背負っていく2人(糸原、大山)の活躍。勢いの付く最高の勝ち方だった」と打線をたたえた。上位浮上に、完璧な男は欠かせない。【奥田隼人】

◆4番が意地の一振りで試合を決めた。阪神大山悠輔内野手(24)が延長10回2死一塁で中堅フェンス直撃の二塁打。プロ初サヨナラ打で歓喜のウオーターシャワーを浴びた。 チームにとっては3月29日の開幕戦以来、今季2度目のサヨナラ勝利。主砲の一打で勝率も5割復帰した虎が、ゴールデンウイークまっただ中に貯金生活へ突入するで~。狙いを定めた1球が来た。延長10回2死一塁。初球だ。大山が外角134キロスライダーを強振。弾かれた打球は甲子園を舞った。ドゴン!と中堅フェンスを直撃。一塁ベンチからペットボトルを持ってナインが大山を追いかけた。「打席に入る前に1度、浜中さんと話をして狙い球を決めて打席に入りました。結果的に勝ちにつながった。こういう一打を目指して、打てるようにしっかり練習していきます」。プロ3年目で初のサヨナラ打で、ウオーターシャワーを浴びた。 4番の自覚がある。「その打順(4番)を打たせてもらっている以上、期待だけで終わってしまったら意味がない。結果を出さないといけないとずっと思っています」。虎の4番はオレだ-。主軸を打つベテランに頼ってばかりいられない。「糸井さんや孝介さんに頼りっぱなしでいたら、この先もずっとチームの主軸にはなれない。僕は僕で結果を出すことをしっかりやっています」。この日は糸井が休養の意味もあり、スタメンを外れていた。糸井は延長に入って結局代打登場したが、そういう状況の中で勝利を奪う一打を最後に決めた。 矢野監督は開口一番に「あ~ビックリした」。さらに続けて「ちょうどたまたま見ていなくて。次の代打とか、いろんなことを伝えに。騒いでいたから慌てて行って。本塁打の方がよかったですけど十分な打撃をしてくれました」と劇勝での借金返済に興奮気味だ。 この3連戦は「ゴールデンウイークこどもまつり」企画の一環で、お立ち台のインタビュアーを少年少女が担当。「目標の選手は?」の質問を受けた大山は「鳥谷さんのように、長く試合に出続けられるように、頑張りたいなと思います」。新時代で大山が不動の4番となる。【真柴健】

◆阪神ジョンソン投手が開幕からの連続試合無失点記録を14とし、阪神の外国人投手最長だった98年リベラの13試合を更新した。 シーズン初登板からのセ・リーグ最長は、16年田島慎二(中日)31試合。なお今季のジョンソンは、開幕戦にも登板。阪神の遠山奨志は00年に「開幕戦からの20試合連続無失点」というセ・リーグ最長記録を保持しており、ジョンソンはこれにあと6試合とした。

◆阪神のサヨナラ勝ちは、開幕戦3月29日ヤクルト戦で、近本の打席で石山の暴投による初勝利を挙げて以来、今季2度目。なお阪神の先発4番打者によるサヨナラ安打は、13年6月9日ロッテ戦でマートンが左翼へ本塁打して以来、6年ぶり。 日本人では、新井良太が12年9月2日広島戦で右翼へ本塁打を放って以来、7年ぶり。チーム生え抜きスタメン4番となると、浜中おさむが02年8月3日ヤクルト戦でサヨナラ三塁打して以来、17年ぶりとなった。

◆阪神先発の西勇輝投手が劇勝の準MVPだ。2回に1点を失ったが、3回以降は内外角に球を散らしてDeNA打線の打ち気をそらす。 8回1失点と安定感は抜群だった。「今日はいいリズムで投げられた。野手に感謝です」。打席でも2度、送りバントに成功するなど、しっかり貢献。勝ち星こそつかなかったが、6戦先発で5度目のQS(6回以上を自責点3以下)はリーグ2位タイだ。矢野監督も「あの投球で勝たせてやりたいのは監督としても捕手としても思う。悠輔よりも、もしかしたら西の方がヒーローだと思う」と絶賛した。

◆DeNAの2年目右腕、阪口皓亮投手(19)が3日の阪神7回戦(甲子園)にプロ初登板初先発。5回を66球2安打無失点に抑えた。六回から継投した二番手・国吉が失点しプロ初勝利は逃したが、敵地・甲子園で鮮烈デビューを果たした。  阪口は一回から近本、上本を連続三振に斬り上々のスタート。四回に大山の左中間二塁打と自身の野選で1死一、二塁のピンチを迎えたが、梅野を変化球で遊ゴロ併殺にとった。  阪口は「今までの人生で味わったことがないくらい緊張しました。三浦コーチから攻めの投球をするようにと言っていただき、最後まで腕を振り抜くことができました」とコメント。  ラミレス監督は試合前、高卒2年目の阪口の登用について北海高3年夏の選手権大会で好投したことに触れ、「どこの球場が一番デビューにふさわしいかというところで、甲子園は彼が一番活躍しやすいと思った」とその理由の一端を明かしていた。

◆阪神・大山悠輔内野手が、DeNA戦(甲子園)の延長十回にプロ初となるサヨナラ適時打を放ち、試合を決めた。サヨナラ勝ちは3月29日のヤクルト戦(京セラ)以来、今季2度目。  延長十回2死走者なしから、糸原がストレートの四球で出塁。続く大山が、5番手・三嶋の初球をとらえ、打球は中堅フェンスを直撃。一走・糸原が一気に生還した。  この日は「こどもまつり」の一環で、お立ち台では子どもたちが質問。「サヨナラ勝ちの気持ち」を聞かれると、「うれしいです」。憧れている選手については「鳥谷さんのように長く試合に出られるようにがんばりたいです」。チームメイトについては「あかるい。最高の仲間と思っています」と笑顔で答えていた。

◆サヨナラ負けを喫したDeNAは、19歳の阪口の好投が収穫となった。  北海道・北海高からドラフト3位入団2年目でプロ初登板先発。いきなり150キロを連発するなどして連続三振で滑り出し、5回を2安打、無得点に抑えた。降板直後に追い付かれて初白星は持ち越しとなったが、大器の片りんを見せ「今までで一番良かった。次は勝ちに導きたい」と納得顔だった。  ラミレス監督は、将来のエース候補を甲子園でデビューさせた理由が高校3年夏の登板経験にあると明かし「期待以上の投球だった。近いうちにチャンスは必ずある」と称賛した。

◆阪神・矢野燿大監督は3日のDeNA戦(甲子園)でサヨナラ勝利後、大山の劇的打を「打った瞬間見てない」と明かした。  --しびれる幕切れだった  「いやあ、ずっとね、しびれてましたけど、最後よくね、悠輔(大山)が決めてくれました」  --まさに4番の仕事  「そうですね。ここぞっていうところでね、しっかりしたバッティングをしてくれたんで。えー、興奮しています」  --2死からの四球だったが、長打の予感はあったか  「予感はないですけど。まあ、打ってくれというね、思いをもちろん強く持っていましたけど。僕ちょうど、たまたま見ていなくて。ちょっと次の選手のことを伝えに行こうと思ったら『ワァー!』ってなってたんで。びっくりして飛び出したらサヨナラだったんで。打った瞬間は見てないんです、ハイ(笑)」  --もう少しでホームラン  「試合を決めるような一打になったんで。もちろんホームランの方がよかったですけど、もう十分なバッティングをしてくれました」  --昨日は終盤、嫌な形で負けて、今日も接戦だった  「本当はもっと早く点を取って西に勝ちをつけて、ドリスでしっかり締めるというゲームができればよかったんですけど。まあ西が本当に粘り強くね頑張ってくれたおかげで、こういう試合ができたと思いますし。その他の中継ぎもね、もうホントにしびれるような場面でみんな行ってくれて、しのいでくれたおかげだと思います」

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(大阪ガス)の連続試合安打は「13」でストップ。3日のDeNA戦(甲子園)で、無安打のまま迎えた延長十回先頭、期待がかかったが投ゴロに倒れた。  「きょうだと2、3打席目でもう少し修正できればよかった」と反省。延長十回無死一塁の守備では、筒香の中堅フェンス直撃の当たりを処理し、近本-植田-梅野とつないで本塁でアウトに。「"お手玉"というか、ボールがどこにあるかわからなかった。カットまで投げられてよかったです」と汗をぬぐった。

◆阪神・上本博紀内野手が、3日のDeNA戦(甲子園)で値千金の同点弾を放った。  「(初球は)いつも狙っています。初球から積極的に打ちにいったことが最高の結果となりました」  DeNA・阪口はプロ初登板初先発。19歳の前に、五回を終え2安打だった。0-1の六回先頭、2番手・国吉の初球、147キロ直球を左翼ポール際へ。バットをほうり投げた完璧な一発は昨年5月1日のDeNA戦(甲子園)以来。  今季5度目の先発出場。矢野監督も「小さい体であれだけのホームランを打てるのは魅力。(試合に)出たり出んかったり、難しい状況の場面の中で」と最敬礼だった。

◆阪神・西勇輝投手が3日のDeNA戦(甲子園)で先発し、8回107球を投げ、3安打1失点の力投。白星こそつかなかったが、長いイニングを投げて連投が続く中継ぎ陣を助けた。  「カードの頭で責任を持って長いイニングを放れたのでよかったと思う。ジョンソンを休ませたいという気持ちで八回までなんとかいけてよかった」  唯一失点したのは二回。先頭の筒香に四球を与えると、1死後に宮崎と神里に連打を許して先制点を献上した。それでも三回以降は立ち直り、圧巻の投球を披露。五回には二者連続の空振り三振を奪うと、七回2死一塁では神里をフォークで三振。「いいリズムで守ってくれましたし、野手のみんなに感謝したい」と、バックの堅実な守備に頭を下げた。

◆4番手でマウンドにあがったジョンソンは開幕から14試合連続無失点。矢野監督は3連投を避けたい考えだったが、延長十回2死二塁のピンチで登板。ソトをカーブで中飛に仕留め、直後のサヨナラ劇で2勝目が舞い込んできた。「何とか乗り切れてよかった。西のピッチングありきだと思うけど、これからタイガースを導いていく2人(糸原、大山)が決めてくれてよかった」と、チームの勝利を喜んだ。

◆3年目で3番では初先発した糸原が劇的勝利を演出した。延長十回2死、三嶋からストレートの四球で出塁。大山の一打で一塁から一気に生還した。「大山"サマサマ"です。(打順は)全然意識していないです」。三塁での先発は今季5度目だったが、犠打も含めて無難に処理。主将が攻守に存在感を示した。

◆D1位・近本の球団新人記録の連続試合安打は「13」でストップ。3打数無安打で迎えた延長十回先頭、期待がかかったが投ゴロに倒れた。「2、3打席目でもう少し修正できればよかった」と反省。ただ九回無死一塁の守備では、筒香の中堅フェンス直撃の当たりを拾い、植田に素早く送球。「"お手玉"というか、ボールがどこにあるかわからなかった。カットまで投げられてよかったです」と汗をぬぐった。

◆――しびれる幕切れ  矢野監督「いやあ、ずっとね、しびれてましたけど、最後よくね、悠輔(大山)が決めてくれました」  ――昨日(2日)は終盤、嫌な形で負けた  「西が本当に粘り強く頑張ってくれたおかげで。中継ぎも、もうホントにしびれるような場面でみんな行ってくれて、しのいでくれた」  (囲み取材冒頭で)  「あ~、ビックリした...」  ――サヨナラの場面は見ていなかった  「次の代打とかいろんなこともあって、ちょっと(裏へ)伝えに。そんな場面もあんまりないんだけど(笑)。ワーッと言いに行ったら(外が)『ウワーッ』ってなってて。で、騒いでたから、で、慌てて行って...」  ――接戦を取れた  「ウチはこういう試合を勝っていかないとダメ。勝つか負けるかが2試合続いた中で、今日も(負け)となるとちょっと嫌な感じになりかけたところで、最後勝てたというのは(大きい)。しかも3連戦の初戦」  ――糸井、マルテを外した。糸井は積極的休養  「もちろん。連戦も続くし。俺はもちろん(糸井)嘉男のことを信頼してるし、嘉男の力がないとダメだと思う。マルテも、ふくらはぎのけが明けなんで。みんなの力を使いながら、やっていくという判断」

◆こんなスリリングで子どもも大人も大喜びさせてくれるSF映画はハリウッドにしかないと思っていた。  ところが甲子園というスクリーンにはハラハラさせて、強かな役者がすべてそろっていた。最も原始的でリアルなドラマは、美しい姫を美男の白馬にまたがったヒーローが間一髪であらわれて、颯爽と救い出して...というヤツだ。こういっちゃなんだが結局、大山悠輔というヒーローのために次々と名脇役がしぶい演技をした。  そして、相手の監督まで"魔がさした"としか思えない采配。豪腕・阪口皓亮を66球で五回終了でサッと引っ込めたのだ。そのプロ初登板の剛球にのたうち回っていた"貧打の虎"が思わずホッペタをつねってニヤリとする。  そして出てきた2番手国吉の六回、先頭の上本が初球真っすぐを左翼席に同点本塁打。このシナリオは誰の案だョ...。  大山という打者は、プレー中は、感情をあまり表に出さない。昨年も金本前監督から手取り足取り鍛え上げられ、はては昨年のちょうど今頃に指揮官から「もっと胸をはれ!」と"猫背"を矯正されている。それほど期待されてきたワケだが、それは今季の矢野監督にも引き継がれていた。  とにかく先発西は黙々と投げた。笑顔を忘れなかった。それにしても相手の阪口はプロ初のマウンドなのにスゴい。西の笑顔には裏返しの炎があった。そしてそれは六回の上本の打席につながっていた。  もとはと言えば試合前のトラ番新里公章の1本の電話がはじまりだった。  「スイマセン、ちょっとまぁ聞いてくださいョ!」  大阪・難波のサンスポ編集局の窓際「虎ソナ班」にかかった電話はこうだ。  「あの三木さん(建次)が僕に水をぶっかけてびしょ濡れなんですッ」  どうした...何か"大事件"か? するとビヤ樽三木記者が「いや2人でカレーと唐揚げ定食を急いで食べていたんや。見るとカレーの大盛りを注文したはずが、普通盛りやからそれを指摘したら論争になって思わず俺がのぞきこんだら、手元のコップの水がひっくり返って"大洪水"や。係の人がとんでくるし、もうワヤや...これはきっとこの試合の何かの予兆や。ものすごいことが起きるでぇ...」だと。  ビヤ樽三木建次よ、そんなとこでカレーの大小を言うてる場合か! 今の阪神はまた元のもくあみの貧打ウイルスが顔を出しとるんやでぇ...と舌打ちした。  みなはれ...プレーボールがかかって、すべてアテはずれの寂しい展開の0行進...。それが上本選手の一振りでホッ。覚えてますか皆の衆。昨年の同じ5月3日、阪神は甲子園で同じDeNAと対戦し、先手をとられて四苦八苦して4-2で辛勝している。この時の立役者は誰か? 上本博紀兄ィだ。4打点を1人でたたき出していたのです。  その1年前の上本の心意気を、長友孝輔サブキャップはこう書いた。  -今季最多の4万6596人...黄色く染まった甲子園は「こどもまつり」で初のお立ち台でこうメッセージをおくった。「子どものうちはやりたいことをめいっぱいやって、友達を大切にして、親御さんも子どもたちのやりたいことをやれるような環境を作って...」と。  そして1年後の「こどもまつり」、今度は大山が満面の笑顔でお立ち台...ちびっ子たちに叫んだ。  「うれしいですッ」

◆大山悠輔、虎の4番として日々成長している証しを見せつけてくれたサヨナラ二塁打。しびれたでェ!!  前日、ルーキーで13試合連続安打の球団新記録をつくった近本光司は、大山と同じ24歳。悪気はないだろうが、4番を差し置いて連日マスコミに囲まれる姿を見るのは、プロ野球の先輩として、決していい気分ではなかったと思うのだ。  もちろん、ひっくり返すのは、自分のバットしかないことを知っていた。それが本日の意地のひと振りだったのだ!  大山、近本よ。虎の顔をかけて競り合って『大近世代』を作るべし!! 待ったー。同じ1994年生まれなら、木浪も北條も黙ってられへんでェの『大近木北世代』到来か?!  おっと、忘れてもらっちゃ困るやないかーで投手陣からも藤浪、小野がのろしを上げて、『大近木北藤小世代』となるのか?! おれたちもおるわで福永、長坂、板山に育成の横山、片山まで出てきたぞー! あー、もうみんな、『若虎令和最強世代』でまとめさせてくださーい!!

◆昇格後5試合目で初めてスタメンを外れたマルテが1-1の八回無死、代打で出場。エスコバーの3球目、低め148キロをとらえる左翼線二塁打で、チャンスメークした。「チームがいい感じにきているので、自分もそのなかで貢献できてよかった」。代走・植田を送られてベンチへ。得点にはつながらなかったが「明日も頑張りたい」と気合を入れた。

◆藤川は西のバトンを受け、九回に登板。2安打2四球など2死満塁のピンチを迎えたが、最後は代打・佐野を中飛に斬った。好中継プレーの直後の1死二塁では、近本がロペスの右中間のライナーを好捕。「近本が頑張ってくれた。僕どうこうはないですよ」と頭を下げた。2軍調整を経て4月27日に昇格後、3試合連続無失点。「それ(チームの勝利)しか思っていない。みんな頑張っていますから」と安どの表情だった。

◆糸井は今季31試合目で初めて先発から外れた。延長十回1死に代打で登場するも、遊飛に終わった。清水ヘッドコーチは「あしたベストでいってもらうための、ね。あしたは嘉男(糸井)がやってくれるでしょう」と説明。本人は無言でクラブハウスへと引き揚げたが、4日は先発出場する見込み。昨年、糸井が欠場した試合は7勝17敗と大きく負け越していた。

◆阪神は3日からのDeNA3連戦(甲子園)で「ゴールデンウイーク こどもまつり」を実施。甲子園のスコアボードの選手名がひらがな(外国人選手はカタカナのまま)で表示された。また阪神の選手が打席に入ったときなどには「こどもの頃プロ野球選手以外になりたかった職業」を紹介した。

◆延長十回に2イニング目に入った5番手の三嶋が力尽き、今季3度目のサヨナラ負け。連勝が2で止まった。1-1の九回無死一塁で筒香が中越え二塁打を放ったが、一気に本塁を狙った一走・ソトが憤死。上田三塁コーチは「(中堅手の)近本がファンブルしたのでいけると思った。結果論になるが、(三塁で)止めておけばよかった」と振り返った。

◆173センチの体を目いっぱい使って、振り抜いた。スタンドの子どもたちの歌う六甲おろしに背中を押されて、足早にホームイン。試合を振り出しに戻したのは、上本の値千金の一発だ。  「(初球は)いつも狙っています。初球から積極的に打ちにいったことが、最高の結果となりました」  プロ初登板先発だった19歳・阪口の前に、五回を終えて、わずか2安打に封じられていた。迎えた六回。代わったばかりの国吉の初球147キロを完ぺきにとらえ、左翼ポール際へ放り込んだ。  昨年5月1日のDeNA戦(甲子園)以来となる通算30号。昨年は、その4日後の5月5日の中日戦(同)で左足を負傷して離脱。「左膝前十字靱帯の再建術」を受けた。それから1年-。力強い放物線で、ファンに復活をアピールした。  今季は代打など途中出場では存在感を見せてきたが、スタメンでは5試合目で初の快音。矢野監督は「小さい体であれだけのホームランを打てるのは魅力。(試合に)出たり出んかったり、難しい状況の場面の中で...」と最敬礼だ。  今もなお続く関係がある。昨年、阪神からDeNAにFA移籍した大和とは仲間であり、ライバル-。今春のキャンプ中にも、時間を取って食事へ。杯を交わし、つかの間の瞬間を楽しんだ。朝から「きょう、大和といくねん」と周囲にもらすほど、楽しみにしていたという。「連絡を取ったりはあまりしないですけどね」と笑うが"戦友"の前で架けたアーチも、うれしかったはずだ。  「あしたはあしたで」  クールな表情が頼もしい。小さな体で放った渾身のひと振りが、多くの人に夢を届けた。 (竹村岳)

◆サヨナラ負けを喫したDeNAだが、2年目右腕・阪口皓亮投手(19)が聖地に鮮烈な印象を刻んだ。先発でプロ初登板し、5回2安打無失点。勝利こそ逃したが満点デビューを飾り「思っていた以上に自信になりました」と振り返った。  一回に近本、上本を連続三振に斬り、上々のスタート。四回1死一、二塁のピンチも武器のカットボールで梅野を遊ゴロ併殺打に仕留めた。  北海道・北海高3年時に夏の甲子園大会(結果は2回戦敗退)で踏んだマウンド。その経験を踏まえ、ラミレス監督がデビューの舞台をお膳立てした。4日に出場選手登録を外れるが、指揮官は「期待以上の投球をしてくれた。チャンスは近いうちに来る」と明言した。  「高校とプロでは違うけれど、どちらもいい思い出にできました」と阪口。故郷の大阪で家族が見守る中、将来のエース候補が輝きを放った。 (佐藤春佳)

◆テンポよく、次々と打者を打ち取った。西が8回107球、3安打1失点の熱投。白星こそつかなかったが、ローテの柱として「8イニング」の責任を果たした。  「カードの頭で、責任を持って長いイニングを投げられたので、よかったと思う。ジョンソンを休ませたいという気持ちで、八回までなんとかいけてよかった」  唯一の失点は二回。先頭の筒香に四球を与え、1死一、二塁から神里に右前打を許した。高山の好返球で本塁アウトの判定も、リクエストでセーフに。先制点を献上したが、そこから立ち直ったのはさすがだ。三回以降は圧巻の投球。七回2死一塁では神里をフォークで三振に仕留めてガッツポーズと、マウンドで闘志をむき出しにした。  12連戦の真っただ中。矢野監督は2連投していたジョンソンを温存したい考えがあったこと(結果的に延長十回に登板)を明かし「もっと早く点を取って西に勝ちをつけて、ドリスでしっかり締めるゲームができればよかった」と話した。  八回まで西、九回は守護神ドリス。そんな高いハードルに応える好投に「西が本当に粘り強く頑張ってくれたおかげ。(大山)悠輔よりも、もしかしたら西の方がヒーローだと思う。それぐらいのピッチングをしてくれた」と"マイ・ヒーロー"に推した。  チームを救い、そして仲間に助けられた。「いいリズムで守ってくれました。野手のみんなに感謝したい」と西。D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)とは、序盤にこんな会話があったという。  木浪「(きょうは)笑顔が少ないですよ」  西「ありがとう!」  試合を通じて何度も激励の声をかけた木浪は、「西さんには、特にいろいろと助けてもらったので」と話す。開幕直後の不振の際に「いつか打てるから」と前向きな言葉をかけ続けてくれた"恩人"だ。西も「(木浪に)そういうことを言われて、我に返ることができた。自分のピッチングを続けることができた」と感謝した。投手と野手、支え合う信頼関係こそが何よりもの力だ。  「前回(4月27日の中日戦で6回5失点)がカード頭というところを変に意識してしまった。今回は"言った通り"できたと思う」。試合前日に言った言葉とは「みんな一丸となって輝けるように」-。FA右腕を中心に、チームがかたく一枚岩となっていく。 (織原祥平) 10回を5安打1失点に抑えた投手陣について阪神・福原投手コーチ 「みんながひとつのアウトをとってくれました」 西についてバッテリーを組んだ阪神・梅野 「しっかり両サイドにわけて、粘れた。中継ぎも点をあげられないところ、つないでくれたし、バッテリーとしてすごく大きなゲームでした」

◆一直線に中堅上空へ運ばれた白球を、真っすぐにつなぎ返した。九回、勝ち越し点を防ぐ中継プレーを完成させた「近本-植田-梅野」のつなぎが、なんとかゲームをつないだ。"陰のヒーローたち"を、矢野監督は決して見過ごさなかった。  「やっぱりこういう試合は"見えない"というか、打った人だけがヒーローじゃなくてね。梅野もワンバウンドをよく止めていますし、中継もよくつないでくれた、というモノもあってのこういうゲーム。ホント、みんながそういう部分でね、よくやってくれました」  打てなければグラウンド上の全員で守り勝つ。中堅フェンス前からの一筋のつなぎに、虎の意地と総力が結集された。  糸井が今季初めて休養でスタメンを外れ、同点の九回のマウンドに送り出したのも、2連投でこの日を迎えていたジョンソンではなく藤川。総力戦だった。その藤川が無死一塁で、筒香に中堅フェンス直撃二塁打を浴びてしまう。だれもが肝を冷やしたが...。

◆4番が決めた! ちびっ子のヒーローは君だ!! 阪神は延長十回、大山悠輔内野手(24)が自身初のサヨナラ打を放ち、DeNAに2-1で勝利した。チーム今季2度目、セ・リーグでは「令和初」となるサヨナラで、再び借金を完済。後半に入ったゴールデンウイークを、このまま一気に突っ走る!!  夕日を受けて輝く放物線は4万6552人の大声援に押され、センターの外野フェンス上段を直撃した。これぞ4番! 大山が大仕事をやってのけた。自身3年目で初のサヨナラ打。劇的な二塁打で虎党を、ちびっ子ファンを大熱狂させた。  「打席に入る前に浜中さん(打撃コーチ)と話して、狙い球を決めて入りました。勝ちにつながりましたし、そういうところで打ってこそ意味がある。こういう一打というのを増やしていくことで、信頼というものが増えていくと思います」  4番の重責を担う男の顔だ。スイングに迷いが感じられた開幕直後とは違う。何度もピンチを切り抜け、1-1で迎えた延長十回。2死一塁で打席に立つと、三嶋の初球、外角スライダーを迷いなく振り抜いた。  中堅・神里のわずか上を越えた白球が、フェンスに当たって外野の芝生を転々。一走・糸原が一気に生還し、聖地に歓喜の輪が出来る。ベンチ裏へ指示を伝えにいっていて「たまたま(打った瞬間を)見ていなかった」という矢野監督も、大歓声に大急ぎでベンチから飛び出し、人さし指を高く天に突き上げた。  「あ~、ビックリした。最後よくね、悠輔(大山)が決めてくれました。ここぞっていうところで。興奮しています!」。顔を紅潮させた指揮官。糸井を今季初めて積極的休養でスタメンから外した試合、若き4番が決めてくれた。  「こどもまつり」の企画で、お立ち台のインタビュアーを務めたちびっ子からマイクを向けられた大山は「うれしいです! (心がけていることは)しっかり試合に臨む準備をすること」と声を張り上げた。そう。今年は"土台"が違う。  1月。大山は母校・白鴎大野球部グラウンドにいた。自ら工夫を凝らしたメニューで下半身をいじめ抜く日々。三塁でノックを受け、そのまま二塁、一塁、本塁と走って再び三塁でノック。何度もそれを繰り返す。1回で400球に達することもあった。外野でアメリカンノックを行い、ポール間ダッシュも...。過酷なトレーニングを自らに課し、精神的にも肉体的にも4番に耐えうる「準備」を整えてきた。  球団4番打者のサヨナラ打は2014年のゴメス以来。生え抜きでは02年8月3日のヤクルト戦での浜中(現打撃コーチ)以来17年ぶりだ。  「その打順(4番)を打たせてもらっている以上、期待だけで終わってしまったら意味がない。糸井さん、孝介さん(福留)にずっと頼りっぱなしではこの先もずっとチームの主軸となれない。僕は僕で結果を出そうと毎日やっています」  ゴールデンウイーク12連戦を5勝2敗とし、5割復帰。大山がこれからもチームを救う。何度だってヒーローになってみせる。 (新里公章) 初球をとらえた大山について阪神・浜中打撃コーチ 「いいところが出た。よかったです」 ★お立ち台のキッズインタビュアーに(チームメイトは)「最高の仲間」  「ゴールデンウイーク こどもまつり」と銘打たれた今回のDeNA3連戦。お立ち台のインタビュアーはファンクラブキッズ会員2人が務め、「仲のいい選手は?」という質問に、大山は「みんな仲がいいですが、やっぱり北條選手ですかね。よく(食事に)行きます」と笑顔。またチームについては「最高の仲間です」と胸を張った。

◆阪神の勝利のポイントを挙げるなら、九回のあの"スーパー送球"だ。近本からの中継プレーで一走・ソトの本塁突入を防いだ植田が、試合の流れを大きく引き寄せたといっていい。  DeNAからすれば、ソトが三塁で止まっても無死二、三塁。次打者はロペスだけに、三塁ベースコーチャーは「セーフになる」という確信があったからこそ、腕を回したはずだ。その判断を、植田の捕球からの素早い動きと、完璧な送球が覆した。見事だ。代走で出場し、この回から二塁守備に就いたが、きっちりとベンチで準備をしていた証しだろう。  藤川がピリッとしなかっただけに、植田のプレーがなければ大量失点の可能性もあった。本当に大きなプレーだった。  前日2日は7回無失点の岩田に勝ちがつかず、この日も好投の西が白星をつかめなかった。それでも、最後は4番・大山がサヨナラ打を放って、西や中継ぎ陣の奮闘、そして植田の好プレーを勝利へとつなげた。チーム全員でつかんだという意味では、今後に弾みのつく1勝だ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
18110 0.621
(↓0.022)
-
(-)
114145
(+3)
108
(+6)
40
(-)
15
(-)
0.263
(↓0.005)
3.490
(↓0.06)
2
(-)
ヤクルト
17131 0.567
(↑0.015)
1.5
(↑1)
112154
(+7)
134
(+2)
40
(+1)
12
(-)
0.252
(-)
4.050
(↑0.07)
3
(-)
阪神
15151 0.500
(↑0.017)
3.5
(↑1)
112117
(+2)
133
(+1)
23
(+1)
18
(-)
0.239
(↓0.002)
3.650
(↑0.1)
4
(1↑)
広島
14160 0.467
(↑0.019)
4.5
(↑1)
113103
(+6)
129
(+3)
27
(+2)
12
(+1)
0.233
(↑0.004)
3.460
(↑0.12)
5
(1↓)
中日
13160 0.448
(↓0.016)
5
(-)
114104
(+2)
106
(+7)
21
(-)
17
(+1)
0.266
(↓0.004)
3.590
(↓0.12)
6
(-)
DeNA
12180 0.400
(↓0.014)
6.5
(-)
113113
(+1)
126
(+2)
35
(-)
5
(-)
0.235
(↓0.002)
3.690
(↑0.07)