阪神(★0対2☆)巨人 =リーグ戦5回戦(2019.04.20)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
巨人
0200000002611
阪神
0000000000400
勝利投手:ヤングマン(2勝0敗0S)
(セーブ:クック(0勝1敗5S))
敗戦投手:岩貞 祐太(1勝3敗0S)

本塁打
【巨人】石川 慎吾(1号・2回表2ラン)

  DAZN
◆巨人が投手戦を制した。巨人は2回表、1死一塁から石川がバックスクリーン左に飛び込む2ランを放ち、幸先良く先制する。投げては、先発・ヤングマンが8回3安打無失点の快投でリードを守りきった。敗れた阪神は岩貞が7回2失点と力投するも、打線が散発4安打と沈黙した。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)が20日、出場選手登録を抹消された。 メッセンジャーは、19日巨人戦に先発。5回途中8安打6失点でKOされた。5回には亀井の打球が右手付近に直撃。試合中に西宮市内の病院に向かい「右前腕の打撲」との診断を受けた。骨に異常はないものの腫れがあり、首脳陣は出場選手登録の抹消を決断した。 これで先発ローテーションから、メッセンジャー、ガルシアが消えた。4月にして、虎の投手陣が窮地に立たされている。

◆巨人石川慎吾外野手(25)が、先制の1号2ランを放った。 2回1死一塁、阪神岩貞のスライダーを中堅バックスクリーンにたたき込んだ。2シーズンぶりの1発で、チームメートからはサイレントトリートメントで祝福された。「いい先制点になって、よかったです」とコメントした。

◆巨人は2回、石川の2年ぶりの本塁打となる2ランで先制し、2点を守り切った。ヤングマンが8回無失点で今季2勝目を挙げ、クックが5セーブ目。岩貞が一発に泣いた阪神は拙攻も響き、巨人戦は開幕から5連敗となり昨年から1分けを挟んで8連敗。

◆巨人が開幕から阪神戦に5連勝。昨年9月8日からは1分けを挟んで8連勝となり、甲子園球場でも昨年7月16日から1分けを挟んで8連勝だ。 巨人が阪神戦で開幕から5連勝以上は41年6連勝、59年5連勝、67年7連勝、87年7連勝に次いで32年ぶり5度目。87年の5連勝目は甲子園球場で行われた5月23日で、当時6番二塁で出場していた原監督が6回に勝ち越し打を放って勝利した。ちなみに、阪神戦で開幕5連勝以上した過去4年の巨人はすべて優勝している。

◆阪神が序盤の好機を生かせず、巨人に完封負けを食らった。1回は無死三塁、3回は1死二、三塁と巨人先発のヤングマンを攻めた。だが、好機であと1本が出ない。後続を打ち取られて機を逸すると、4回以降は二塁を踏めず。いずれも単打の4安打で0行進のまま終わった。 阪神は岩貞が7回2失点。終盤にジョンソン、ドリスをつぎ込む継投をみせたが、それも勝利には届かず。巨人戦は今季開幕から5戦5敗。しかもチームの借金は今季ワーストの5に。厳しい状況で、21日に平成最後の「伝統の一戦」を迎える。 矢野監督は勝ちパターンの救援投手で継投したことについて「それはまあ、これだけやられています。やれることはやろうと、やりたいなということですね」。21日はチームトップの防御率1・57で2勝をマークする西をたてて臨む。指揮官は「毎日、僕たちは結果を踏まえながら前に進んでいかないとダメなので。反省する、改善することはもちろんですけど、前を向いて明日も頑張ります」と、勝利をもぎ取る決意をみせていた。

◆体調不良から復帰した阪神の守護神ドリスが9回を無失点に抑えた。 2点ビハインドで登板し、先頭の丸に中前打を許すも、ビヤヌエバを遊ゴロ併殺打。4番岡本にも右翼へヒットを許したが、上本の好送球もあり、二塁で刺した。 17日のヤクルト戦を体調不良で欠場。18日に戦列復帰しての初登板となったが「全然もう大丈夫です。最後の最後までどうなるか分からないスポーツ。あきらめないで自分の仕事に集中していきたい」と話した。

◆巨人の守護神ライアン・クック投手が、汚名返上の5セーブ目を挙げた。2点リードの9回から登板。先頭の大山に安打を許したが、福留を併殺打、中谷を遊ゴロで無失点に抑えた。 17日の広島戦では同じ2点リードで逆転され、来日初の救援失敗。「間隔が空かずに登板が巡ってきて、抑えられて良かった」と安堵(あんど)した。

◆巨人石川慎吾外野手が、今季初安打となる決勝2ランで起用に応えた。 2回1死一塁、阪神岩貞のスライダーをバックスクリーン左に運んだ。試合前、亀井から「緊張してる? 失敗してこい」と背中を押され、われに返った。 「亀さんのおかげ」と感謝し「攻める気持ちでいった」と2シーズンぶりの1発を振り返った。

◆巨人が今季初の無失点リレーで阪神に連勝し、平成最後の「伝統の一戦」の勝ち越しを決めた。 先発のテーラー・ヤングマン投手(29)が8回3安打無失点の好投で今季2勝目。9回はクックが締め、5セーブ目を挙げた。原辰徳監督(60)は「投手戦という形でね。早いうちに点が取れたというところはあったんですけど、なかなか次の点が取れなくて。こっちもヤングマンが非常に粘り強く放って、何となく荒れ球が功を奏した。ナイスピッチングでしたね」と評価した。 打線では、今季2度目のスタメン出場だった石川慎吾外野手(25)が、今季初安打となる決勝の1号2ランを放った。石川の起用について、原監督は「吉村コーチがぜひ使ってくれと。私の中では半分半分だったんですけど、彼の強い言葉に後押しされてね。ヨシが推薦して、『分かった』と。私はコーチの言うことを全て聞きます。分かりました、ということでね」と説明。意気に感じた石川は、決勝弾を含むマルチ安打で起用に応えた。

◆宿敵の"ピンストライプ"をなぎ倒した。巨人テイラー・ヤングマン投手が阪神打線を8回無失点に封じ、2勝目を挙げた。来日最多の119球に「自分の投球を信じて投げ切れた」と納得顔だ。 縦じまのユニホームを前に興奮せずにはいられない。米国テキサス州出身だが、幼少期からレッドソックスの大ファン。ベーブ・ルースが生み出したヤンキースとの「伝統の一戦」はテレビにかじりついた。「マニー・ラミレス、デービッド・オルティズに憧れた。特別な一戦だね」と幼心に刻みつけてきた。 テキサス大オースティン校時代のライバルは元阪神バースの出身校、オクラホマ大だった。在籍した3年間は無敗で通した。ヤンキースタジアム...ではなく、甲子園でも来日後2戦2勝。「大歓声の中で投げられてうれしかったよ」と虎党の悲鳴が心地よかった。 外国人枠の関係で今日21日の3戦目に先発するメルセデスに代わって登録抹消の予定。「シーシー(メルセデス)にも活躍してもらって、投げるチャンスがきたら、いいピッチングをしたい」。好きな色は「オレンジ」と公言するナイスガイが、永遠のライバルを蹴散らした。【桑原幹久】

◆阪神近本光司外野手が好走塁で沸かせた。初回先頭で遊撃内野安打を放ちって一塁を駆け抜けると、二塁のベースカバー不在を確認。「行けると判断したというか(反応で)勝手に行っていました」。 一塁岡本から返球を受けていたヤングマンが慌てて二塁に投げた悪送球も呼び込み、一気に三塁を奪った。後続が凡退して得点にならなかったが、矢野監督は「次の塁を狙う姿勢というのはうちのチームではすごく大事なこと。スキがあれば行くというのはいい判断だった」と評価した。

◆阪神岩貞祐太投手が1球に泣いて3敗目を喫した。2回1死から四球で出した走者を置いて石川に2ランを被弾。 それ以外は緩急を生かした投球で7回を4安打に抑えたが、この2失点が重く響いた。「梅野がきっちりとリードしてくれた。そのリードに応えることはできたと思う。ただ、先制点を与えてしまったことは反省したいです」。メッセンジャーとガルシアがローテから離脱し、苦しいチーム状況が続く。「ここから連戦にもなってくる。1戦1戦、しっかり前を向いてやっていきたい」と力を込めた。

◆受け継がれたタクトを振った。巨人原辰徳監督(60)がベンチを統率し、平成最後の「伝統の一戦」で勝ち越しを決めた。 今季2度目のスタメン起用した石川慎吾外野手(25)が1号決勝2ラン。1回には前進守備を敷いた直後に二塁ゴロと、攻守に采配がずばり的中した。3度目の就任となった指揮官は、一変した若きコーチ陣とチームを強固にまとめ、阪神に32年ぶり5度目の開幕5連勝を飾った。五分五分に揺れる針を迷わず動かした。2回1死一塁。原監督はバックスクリーン左に飛び込む石川の1号決勝2ランを見届けると、右隣の吉村打撃総合コーチを指さした。「吉村コーチが『ぜひ、使ってくれ』と。彼の強い言葉に後押しされて、使って良かった。私はコーチの言うことを全て聞きますから」。前日19日に3安打の亀井ではなく、陽岱鋼でもない。試合前まで今季無安打だった若武者の起用で勝負を決めた。 呼び水は1回の守備にあった。阪神近本の内野安打に失策が重なり、いきなり無死三塁のピンチを迎えた。1死後、打席には糸井。カウント2-1の3球目までは遊撃手坂本勇だけが前進守備を敷いた。カウント2-2になり、定位置だった二塁手山本も前進した。元木内野守備兼打撃コーチは「初回だけどやすやすと点をあげたくない。データの部分もある。監督が指示を出してくれたし、はまったからうれしいよね」。狙い通りに糸井を平凡な二ゴロに仕留め、得点を許さなかった。 ミスターから受け継いだ"秘伝の采配"がある。ヘッドコーチ時代にスタメンを当時の長嶋監督に提出する役割を担った。「いつも長嶋監督は『うん』とうなずくだけだった。だから私はこれでいいんだと思っていた」。ある試合前に本当の正解を知った。「その日は『それだよ!』と言われた。その時に分かった。そういうことだったんだと」。否定には思考を求める。肯定を明確に示し、コーチ陣を育てるのも監督の役割だと教えられた。 第3次原政権を、吉村打撃総合コーチ以外は新任コーチで組閣した。リーグ優勝7回と百戦錬磨の指揮官は、選手にとどまらず現場未経験だったコーチも束ねる。阪神戦は開幕から5連勝で突き進むも「まあ、でも1戦1戦、まだまだ始まったばかりなので。また明日は新たなスタートラインで競いたいと思います」と締めた。キラリと光る原監督の眼光に、無限の奥行きが備わっている。【為田聡史】

◆平成最悪の悲劇にはまだ続きがあった。「投壊」のあとは拙攻だ。前日今季最多12失点を喫した甲子園で一夜明けのデーゲーム。快晴のなか、ゆううつを吹き飛ばせない。巨人ヤングマンと今季初対戦。スコアボードは淡々と「0」だけが刻まれていく。今季2度目の完封負け...。矢野監督も厳しい表情だった。 「2回チャンスがあったところで、点を取れなかった。それがこういう流れを作ってしまいました。(初対戦は)言い訳にならないので。まずは、しっかり点を取らないと勝てない」 勝負の分岐点は早くも1回に訪れる。遊撃内野安打で一塁を駆け抜けた1番近本が、がら空きの二塁ベースを見て猛ダッシュ。敵失も絡んで一気に三塁まで達した。相手のスキを突いて無死三塁になる。だが、糸井、糸原、大山の上位打線3人が内野ゴロ。絶好の先制機を逃してしまった。 その直後の2回表、石川の2ランであっさり先制点を奪われるなど、流れは巨人に傾く。3回には再び1死二、三塁の反撃機を築くが糸原と糸井が凡退。198センチの長身右腕が投げ下ろすカーブやカットボールに手を焼いた。浜中打撃コーチも「(初回は)そこで1本出れば、いつものことですけど、かえせてるとまた違う展開になっていた。選手もかえそうと思ってやっている」と悩ましげだ。 この日は16年から3シーズン、阪神で指揮を執った金本知憲前監督(51)が昨年10月に退任後、初めてチームの現場を訪れ、毎日放送のテレビ中継で解説した。大山、糸原、中谷...。手塩にかけた若き教え子たちは、活躍できなかった。チームも元気を出せずに惜敗。今季巨人戦は87年以来、32年ぶりの開幕5連敗で平成で初めての屈辱を味わっている。なじみ深い元号での「伝統の一戦」は今日21日が最終戦。負け続けて終われない。指揮官も語気を強めた。 「しっかり点を取れるように頑張ります。毎日、僕たちは結果を踏まえながら前に進んでいかないとダメなので。反省、改善するのはもちろんですけど、前を向いて明日も頑張ります」 今季最多の借金5に増えて、広島と並ぶ最下位に落ちた。矢野阪神よ、令和を迎える前に、せめて立ち上がれよ!!【酒井俊作】

◆巨人原辰徳監督(60)がベンチを統率し、平成最後の「伝統の一戦」で勝ち越しを決めた。3度目の就任となった指揮官は、一変した若きコーチ陣とチームを強固にまとめ、阪神に32年ぶり5度目の開幕5連勝を飾った。 ▼巨人が開幕から阪神戦に5連勝。昨年9月8日からは1分けを挟んで8連勝となり、甲子園球場でも昨年7月16日から1分けを挟んで8連勝だ。巨人が阪神戦で開幕から5連勝以上は41年6連勝、59年5連勝、67年7連勝、87年7連勝に次いで32年ぶり5度目。87年の5連勝目は甲子園球場で行われた5月23日で、当時6番二塁で出場していた原監督が6回に勝ち越し打を放って勝利した。ちなみに、阪神戦で開幕5連勝以上した過去4年の巨人はすべて優勝している。

◆阪神前監督の金本氏が20日、昨年10月中旬の退任後、初めて現場を訪れ、巨人5回戦(甲子園)の毎日放送のテレビ解説に臨んだ。師弟関係にあった前広島の新井貴浩氏(42)らと同席。 中継の中で、木浪の打撃について「インサイドのさばき方は天性のものを感じます」と高評価した。16年から3シーズン、阪神の指揮を執った。「(在任中)一番成長したのは梅野。捕手の守備面、打撃も一番、成長の幅が大きい」と明かした。チームは巨人に完封負け。「選手個々が考えて強い気持ちを持ってやっていかないといけない」とエールを送った。また、この日のネット裏席には俳優渡辺謙の姿もあった。

◆阪神遊撃木浪が好守でみせた。 4回は岡本の痛烈な当たりをしっかりつかんで遊ゴロに。9回無死一塁ではビヤヌエバの打球を併殺にさばいた。「まずは守備からと思っていて、集中していました。アウトにできたので良かったです」。矢野監督も「難しいプレーやったと思う。ナイスプレーが多かった」と称賛。打撃でも3回先頭で好機をつくる右前打。長身のヤングマン相手に「角度があると聞いていたので、打席の立ち位置とか工夫して打ちました」と1本もぎとった。

◆巨人・石川慎吾外野手(25)が20日、阪神5回戦(甲子園)に「6番・右翼」で先発出場。二回1死一塁の1打席目にバックスクリーンへ飛び込む、先制の1号2ランを放った。  「良い先制点になってよかったです。まだまだいきます! 頑張ります!」  相手先発・岩貞が投じた2球目、130キロのスライダーを一閃。先発起用に応えた。

◆阪神が20日の巨人戦(甲子園)で4安打に封じられ、今季2度目の零封負け。開幕から巨人に5戦全敗。序盤の得点機を逃したのが大きかった。  一回無死からD1位・近本が遊撃内野安打で出塁すると、相手の隙をついて二塁を陥れると、ヤングマンの送球ミスもあり、一気に三塁へ進んだ。無死三塁の先制機も、糸原、糸井、大山が内野ゴロで得点ならず。先発した岩貞も二回、石川に先制2ランを浴びた。  阪神は三回にもD3位・木浪の右前打から1死二、三塁としたが、得点につながらず。その後はチャンスもつくれないまま、わずか4安打。完封負けは10日のDeNA戦(甲子園)以来、今季2試合目。21日の巨人戦がいよいよ平成最後の伝統の一戦。負けたままで、令和を迎えてしまうのか。試合後の矢野監督は「2度のチャンスで(点が)とれなくて、こういう流れを作ってしまった。毎日、結果を踏まえながら前に進まないと。あしたも頑張ります」と険しい表情だった。

◆阪神・矢野燿大監督が20日の巨人戦(甲子園)で零封負けを喫し、険しい表情で振り返った。  --ヤングマンをつかまえきれなかった  「2回チャンスがあったところで点を取れなかった。それがこういう流れを作ってしまいましたね」  --特に序盤の攻めを生かしたかった  「(三回と)どっちもですよね」  --今季初対戦で攻略しづらい面を感じたか  「それは言い訳にならないのでね。結果を受け止めて頑張ります」  --岩貞の投球の印象は  「点の取られ方は四球で、カウント有利なところでホームランということなんで。打たれ方は良くない。全体的に見れば、岩貞の投げっぷりというか、本来の岩貞らしい姿は見られた部分も多かった。そこは次回につなげていってもらえればありがたいですね」  --メッセンジャーが抹消で岩貞への期待の比重ももっと大きくなる  「中継ぎも含めて全体で補っていかないとダメですし。まずは、しっかり点を取らないと勝てないのでね。しっかり点を取れるよう頑張ります」  --継投にも監督のメッセージを感じたが  「それはまあ、これだけやられていますしね。やれることはやろうと、やりたいなということですね」  --厳しい数字が並ぶ敗戦となったが、明日は西で明日こそ  「もちろんですね。毎日僕たちは結果を踏まえながら前に進んでいかないといけないので。もちろん反省する、改善するってことはもちろんですけど、前を向いてあしたも頑張ります」

◆阪神の岩貞は7回2失点。打線の援護がなく今季3敗目を喫したが「前回、前々回と課題だった粘りというところに関しては良かった」と収穫を口にした。  先制を許した二回は1死から四球を出し、直後の石川に「抑えないといけないところでうまく打たれた」と2年ぶりのアーチを献上した。その後は内角を突いたリズムのいい投球。矢野監督も「打たれ方は良くなかったが、全体的に見れば本来の岩貞らしい姿が見えた」と一定の評価を与えた。

◆巨人は20日、阪神5回戦(甲子園)に2-0で勝利。先発のテイラー・ヤングマン投手(29)が8回3安打無失点、九回に登板したライアン・クック投手(31)が1安打無失点に抑え、今季チーム初となる零封勝利を飾った。  一回、先頭の近本に遊撃内野安打とされ、野選とヤングマンの暴投でいきなり無死三塁のピンチを招いたが、「予想外のプレーが重なって、三塁走者を出してから、低め意識して抑えました。冷静に、なんとか回を抑えてうれしいです」と後続を断った。  ヤングマンは4四球を与えるも、要所を締めて2勝目。九回は新守護神・クックが1安打を浴びるも無失点に抑え、助っ人リレーで、18試合目での今季初となる零封勝利を完結させた。

◆巨人は20日、阪神5回戦(甲子園)に2-0で勝利。先発のテイラー・ヤングマン投手(29)が8回119球を投げ、3安打無失点で2勝目を挙げた。平成最後となる「伝統の一戦」でカード勝ち越しに導いた助っ人右腕だが、あす21日にメルセデスが登録されて先発するため、出場選手登録を外れる。  --ナイスピッチングでした  「ありがとうございます」  --8回無失点  「制球のことを考えてていて、低めに集めてゴロを打たせる意識がありました」  --一回にいきなり無死三塁のピンチになったが  「積極的に攻める意識を持って投げました」  --打線は石川が援護してくれた  「石川にとっては貴重な先発出場をいただいて、そのチャンスをうまく生かしてうれしいです」  --最後まで投げたかったのでは  「シーズン序盤で120球を超えるのは、自分ではちょっと多すぎると思ったので」  --甲子園の雰囲気は  「雰囲気はすごいし、ファンも素晴らしいし、相手のチームも素晴らしい。この球場で投げることができてうれしいです」  --チームは連勝。次に向けて  「明日はC.C(メルセデス)が投げると思う。C.Cにも活躍してもらって、自分が投げるチャンスがきたら、今日みたいにいいピッチングをしたいと思います」

◆阪神・岩貞祐太投手が20日の巨人戦(甲子園)に先発し、7回2失点の力投も2敗目(1勝)。二回1死一塁で石川に浴びた2ランが決勝点となった。  「先制点を与えてしまったことは次回に向けて反省していきたいです」  それでも、前回13日の中日戦(甲子園)で5回6失点と踏ん張れなかった反省を生かし、「前回、前々回は粘れなかった。今回粘れたのはよかったです」と手応え。この日、メッセンジャーが出場選手登録を抹消。先発投手が続々と離脱していく中で、しっかりと試合をつくった。

◆前日19日にプロ初本塁打を放った阪神のD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)が20日の巨人戦(甲子園)に「8番・遊撃」で出場し、攻守で魅せた。  三回、先頭で打席に立つとフルカウントから低めのカーブを右前へ運んでチャンスメーク。「(ヤングマンは)角度があると聞いていたので打席での立ち位置とか工夫して打った」。守備でも鋭い打球を何度も処理し「まずは守備から。アウトにできてよかった」と振り返った。

◆阪神は打線が振るわず完封負け。巨人に開幕から5連敗となり、今季最初の甲子園デーゲームでの伝統の一戦で、今季最多4万6462人が声援を送ったが、ため息に変わっていった。三重県からきた竹内海斗くん=高校生=は「巨人強いね。やられてしまった」と脱帽も「まだまだこれから。巨人を倒さなきゃだめ」とここからの巻き返しを願った。  奈良県の立石宏明さん(47)=会社員=は「大山はこのまま4番で使い続けてほしい。若手に経験を積ませて、まずはチームの土台を作ってほしい」とここまで全試合で4番の大山をはじめ、若手野手陣の成長に期待を込めた。福島県から遠路はるばる駆けつけた山下正明さん(51)=会社員=は「楽しみにしてきたのに...。一回のチャンスで先制していれば。あそこで雰囲気を作るの必要ですよね」と嘆いた。

◆いわゆる"時差ボケ"という現象はぶり返すのでありましょうか...。  この日、運動部の当番デスクは白石大地...そうです。会社の金で米のオーガスタまで『マスターズ』のT・ウッズの14年ぶりの栄光を見にいったラッキーなヤツです。  まだ帰国して3日とあって、時差ボケが少し残る中...春の小川はさらさら行くよ...なんて鼻歌の一つも出るハズでした。  そして、このポカポカ陽気の甲子園。今度は伝統の一戦の当番デスクとして「まだ少し眠気もありますが、そうも言っていられません。勝ち運のある僕が阪神の甲子園初星を...」と威勢がよかったんです。  その頃、甲子園ではトラ番キャップ大石豊佳が「前監督の金本知憲さんが、テレビ解説で甲子園にこられました。チームはメッセが抹消されて、能見投手の父上が亡くなられてお休みとか、いろいろございましたが、とにかく気分を切り替えてのぞみますョ」という電話だ。  金本氏はいわゆる解説の仕事で"登板"なのだが、たまたま中日担当の三木建次記者が甲子園に助っ人で顔を出しているのにバッタリ。いつもならジョークの一つも言うところだが、そこは軽く「オウ!オウ...」と目配せ程度のごあいさつ。三木は「そうはいっても前監督の金本さんの顔を見て選手はピリッとするはずで、その微妙な空気感に期待したい」と言ってきた。ワラにでもすがりたいのが本音なのです。  そしたら...どないだ。いきなり先頭の近本が遊撃内野安打と相手守備の一瞬のスキをついて脱兎のごとく二塁に走り、慌てたヤングマンの悪送球も誘い、一気に三塁まで...。非常にいい流れを呼び寄せる近本のナイスな走塁だったんです。  いきなり「無死三塁」の場面...普通なら...まず絶対に先制点が入る。そしてリズムと主導権をこっちに呼び込み...あとは何点入るかお楽しみ! というのだが...そこから糸原→糸井→大山へのヤングマンの11球は虎にとっては西城秀樹の『ヤングマン』のようにはいかなかった。♪さぁ立ち上がれよ...もう悩むことはないんだから...Y・M・C・A...とはなりまへん。  でもって、すぐ二回に石川の2ランで、もうヒレハレホレ...となりまして我がタイガース打線はヤングマンのヌラリクラリの投法に零封負け。  実は、44年前の1975年の4月20日は後楽園での巨人-阪神に、阪神は江夏豊、巨人は堀内恒夫がともに『150勝一番乗り』をかけて対決したのです。  この頃の江夏は往年の剛球はなく、巨人を苦手としていた。伝説の左腕はさび付いていたのか。しかし彼はこの年にこう決意した。  「投手にとって一番大切なものは根気とコンビネーションの緻密さなんや...」と。  そして後に南海へのトレード、抑えの重要性に活路を見いだすが、この4月20日の対巨人でその新境地への活路を発見するのだ。八回までノーヒットノーランの快投...そして九回に2失点でその記録はついえたが、150球の完投。4-2で勝利。見事に堀内との『150勝先陣争い』を制した。  そして...このオフ12月26日に突如として新聞に『江夏南海へ』という衝撃の記事...。年が開けて76年1月23日に、この衝撃的なトレードは成立する。  そこからの江夏豊の革命的な「抑えの哲学」は繰り返すまでもない。しかし、その転機となった150球の"軟投"こそ、この日の援護0に耐えて七回まで力投した左腕岩貞に強く伝えておきたい...。

◆--ヤングマンは今季初対戦で攻略しづらい面を感じたか  矢野監督「それは言い訳にならないのでね。結果を受け止めて頑張ります」  --岩貞の投球の印象は  「点の取られ方は四球で、カウント有利なところでホームランということなんで。打たれ方は良くない。全体的に見れば、岩貞の投げっぷりというか、本来の岩貞らしい姿は見られた部分も多かった。そこは次回につなげていってもらえればありがたいですね」  --継投にも監督のメッセージを感じたが  「それはまあ、これだけやられていますしね。やれることはやろうと、やりたいなということですね」  --厳しい数字が並ぶ敗戦となったが、明日は西で明日こそ  「もちろんですね。毎日僕たちは結果を踏まえながら前に進んでいかないといけないので」  --ヤングマンのカーブとカットに苦しんだ  「対戦としてはあれかもしれないけど、目で見ないとわからない部分ももちろんあるし、そんなに簡単だと思ってない」  --近本が好走  「ある意味当たり前だと思うんだけど、当たり前にそれができるというのはそれはそれですごくナイスプレーやと思うし、次の塁を狙う姿勢というのはうちのチームではすごく大事なことなので。隙あれば行くというのはいい判断だったと思います」  --木浪はいい守備をみせた  「難しいプレーやったと思うし、俺も内野はやったことはないけど、デーゲームって見にくかったりっていう部分も内野手にはあると聞くから。そういう意味では反応という部分はすごく大事なところではあるのでね。ナイスプレーが多かったですね」

◆アハハハ...もう笑っちゃうしかない! 本日も貧打、4安打完封負けで開幕から対巨人5連敗ってありかよ...。  いや、俺は阪神の負けを認めんぞー! そーだ、今日は阪神は野球じゃなくてゴルフをやったのだ。と、なればスコアは巨人「2」(ツーオーバー)、一方わが阪神は「0」(パープレー)でタイガーウッズならぬタイガースの勝利!!  ハ~ア。しかし、一回無死三塁、三回1死二、三塁のチャンスに、まともにバットに当たらないかねえ?  当たらない...ハッ、なるほど、あの場面、虎打線は野球じゃなくてドッジボールをやってたのね。それなら当たったらアウトだから、お見事なプレーでバンザー...って俺もう自分が情けなくなってきた...(涙)。  伏兵・石川によもやの先制2ラン(結果的に決勝点)を許したとはいえ、7回を4安打2失点に抑えた先発・岩貞は責められないし...いや、ほぼ見殺しなのだ。次の登板の時はバスケットボールくらい点を取ってやれー!!  さあ、いよいよ平成オーラスの伝統の一戦、終わり良ければ全て良し!! で、虎よ大暴れしたれー!! 思い切って3番・近本、4番・大山、5番・梅野の未来型虎のクリーンアップでもええよー!!

◆ドリスが2点ビハインドの九回に登板。先頭の丸に中前打を浴びるも、ビヤヌエバを遊ゴロ併殺に仕留めた。17日のヤクルト戦(神宮)では体調不良を理由に、試合前に早退していたが「完全に大丈夫です」。これで今季は6試合連続無失点。「こんなときだからこそ、自分の仕事に集中する。誰も諦めていないので」と力強く誓った。

◆原采配は守備でも当たった。一回、1死三塁で糸井の場面。三塁手と遊撃手だけが前進し、二塁手は強打に備えて定位置に構えた。ただ、カウント2-2と追い込んだ時点で二塁手も前進。結果、二ゴロで三走・近本をくぎ付けにし、結局この回を無失点で切り抜けた。原監督は「勝負にいった」とし、元木内野守備コーチも「うまくいったね」。カウントによってスイングも配球も変化することを前提に細かく守備位置を変え、ベンチワークで失点を防いだ。

◆「1番・中堅」で先発したD1位・近本光司外野手(大阪ガス)が好走塁だ。一回、遊撃への内野安打で一塁を駆け抜けると、ベースカバーがいないがら空きの二塁へ(記録は野選)。さらにヤングマンの悪送球を誘い、一気に三塁まで到達した。「セカンドのカバーが空いていたので、いけるという判断です」。筒井外野守備走塁コーチも「準備のたまもの」と褒めちぎった。

◆前日19日にプロ初本塁打を放ったD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)が攻守で魅せた。「8番・遊撃」で出場し、三回に先頭で打席に立つとカウント3-2から低めのカーブを右前へ運んでチャンスメーク。「(ヤングマンは)角度があると聞いていたので打席での立ち位置とか工夫して打った」。守備でも鋭い打球を何度も処理し「まずは守備から。アウトにできてよかった」と振り返った。

◆元阪神監督の金本知憲氏(51)と昨季で現役を引退した元広島の新井貴浩氏(42)が20日、MBSテレビで生中継された阪神-巨人で解説として初タッグを組んだ。  冒頭、金本氏が「新井さんのいいところを引き出していきたい」と先制"口撃"すると、新井氏は「不安で寝られなかった」と明かした。試合後、初タッグの感想を問われた新井氏はなかなか言葉が出ず、金本氏から「不本意でしたか?」と突っ込まれていた。

◆阪神は20日、巨人戦(甲子園)に0-2で敗れ、今季2度目の完封負け。"平成最後の伝統の一戦"は2戦目も落とし、開幕からG戦5連敗で広島と並んで最下位となった。  阪神が巨人に開幕5連敗を喫するのは、7連敗した1987年以来。巨人戦は昨季から引き分けを挟んで8連敗で、2012年に9連敗して以来。1991年の10連敗がワースト。

◆ジョンソンが名誉挽回の好投を披露した。前回17日のヤクルト戦(神宮)は同点打を浴びたが、この日は0-2の八回に2番手で登板し、下位打線を簡単に料理して最後は坂本を148キロ直球で右飛に仕留めた。追いかける展開ながら、1回無安打無失点で「投手ゲームのなかで、勝利に貢献するために投げられたことはよかったです」とうなずいた。

◆先発した岩貞は7回2失点の力投も、2敗目(1勝)。二回1死一塁で石川に浴びた2ランが決勝点となった。「先制点を与えてしまったことは次回に向けて反省していきたいです」。それでも、前回13日の中日戦(甲子園)で5回6失点と踏ん張れなかった反省を生かし、「今回粘れたのはよかったです」と手応えを口にした。「いる選手でしっかりやっていかないと。一戦一戦前を向いてやっていくだけです」。次こそ、勝利をつかみとる。

◆2点リードの九回に守護神・クックが登板。先頭の大山に右前打されたが福留を二ゴロ併殺打、中谷を遊ゴロに仕留め、リーグ2位の5セーブ目を挙げた。17日の広島戦(リブワーク藤崎台)では2点差を逆転され、救援に失敗したが、中2日で今季初の零封リレーを締め「間隔を空けずに登板が巡ってきて、抑えられてよかった」と胸をなで下ろした。

◆阪神は甲子園で巨人に0-2で敗れた。D1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=とD3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=のルーキー2人が作った2度のチャンスを生かせず、巨人戦開幕5連敗に矢野燿大監督(50)はぶ然。21日、平成最後の伝統の一戦でやり返すしかない。  新人のこれ以上ないおぜん立てを2度も生かせなかった。屈辱の完封負けで巨人戦は開幕から5戦5敗。矢野監督はぶつけようのない怒りを静めるように、ぶ然とした表情を浮かべた。  「2回チャンスがあったところで点を取れなかった。それがこういう流れを作ってしまいましたね」  一回、先頭の近本が遊撃内野安打で出塁すると、緩慢守備をついて二塁へ。さらに失策で三塁までいった。快足ルーキーの超積極走塁で無死三塁。ベンチも虎党も、誰もが1点はもらったと思ったが、待っていたのは悪夢のような展開だった。  糸原は1ストライクから2球目を引っかけて一ゴロ。糸井は2ボールと有利になりながらも追い込まれると、カウント2-2から二ゴロ。ともに前進守備の網に引っかかった。ボテボテの当たりでも、外野フライでも手にできたはずの1点に届かず、続く大山も三ゴロで先制点は消えた。  2点ビハインドの三回にも悲劇は再び。先頭の木浪が右前打を放つと、岩貞は四球。続く近本が犠打を決め、下位打線からつないで1死二、三塁の大チャンスをおぜん立てした。しかし糸原は投ゴロで、三走が三本間で挟殺。2死一、三塁となり、糸井にはカウント3-0。しかしここからストライクを3球見逃してまさかの三振。矢野監督は「1回も振らんかったからどうっていうのはチーム全体として改善していかないとダメだけど、結果論だけでは言いたくない部分もある」と言葉を飲み込んだ。  新人が作った2度のチャンスをつぶした2人は、無言でクラブハウスへと引き揚げた。  この日、指揮官は近本と木浪の新人コンビを再び先発起用。2点を追う八回からジョンソン→ドリスと勝ちパターンをつぎ込む執念の采配も見せた。しかし不発。借金は今季最多の5に膨らみ、広島とゲーム差なしの最下位に沈んだ。  21日は平成最後の巨人戦。矢野監督は「反省することはもちろんですけど、前を向いてあしたも頑張ります」と言葉を振り絞った。令和の逆襲につなげるためにも、意地を見せたい。 (大石豊佳)

◆阪神打線の前に、立ちふさがった。先発した巨人のテイラー・ヤングマン投手(29)が8回119球を投げ、3安打無失点で2勝目。チーム18試合目で今季初の完封勝ちに貢献した。  「試合の序盤は制球に苦しんだけど、投げれば投げるほど制球も定まって、いい投球ができた」  一回、近本の遊撃内野安打から野選、自身の暴投もあり、いきなり無死三塁のピンチ。だが「冷静に、低めを意識して抑えた」と後続を断った。198センチの長身から繰り出す直球とブレーキのかかったカーブで封じ、平成最後の「伝統の一戦」3連戦でカード勝ち越しに導いた。  自身もかつて"ライバル対決"に胸を高鳴らせた。「ヤンキースとレッドソックスは特別な試合で、子供のときに見るのが楽しかった」。レ軍のファンでマニー・ラミレスらを応援し、米大リーグ、ア・リーグ東地区で繰り広げられた幾多の名勝負に熱中。テキサス大時代は、宿敵オクラホマ大に3年間無敗だったという。  21日にメルセデスが先発するため、出場選手登録を外れる。だがヤングマンは「投げるチャンスが来たらいい投球をしたい」と誓った。 (赤尾裕希) ヤングマンについて巨人・宮本投手総合コーチ 「彼はカーブで組み立てていくピッチャー。そのカーブがよかった。本当に完璧でした」

◆巨人は20日、阪神5回戦(甲子園)に2-0で勝利。平成に入ってからでは初となる対阪神の開幕5連勝を飾った。原辰徳監督(60)が「6番・右翼」に抜擢(ばってき)した石川慎吾外野手(25)が二回、そのまま決勝弾となる1号2ラン。守っては外国人投手のリレーで今季初の無失点勝利を収めた。21日はいよいよ"平成最後の伝統の一戦"を迎える。  甲子園を埋めた4万6462人の視線を、独り占めにした。二回1死一塁。石川の打球は中堅手の頭を越え、バックスクリーン左へ着弾した。  「チームが勝てたことがうれしい。攻める気持ちだった」  ため息の虎党とは対照的に、一走・ゲレーロに追いつきそうなほど軽快に走って生還した。  巨人の元気印が"一発回答"だ。原監督は、主に対左腕で起用してきた陽岱鋼に代えて起用。第1打席で岩貞の130キロのスライダーを捉え、これが決勝点だ。采配が的中。指揮官は「吉村コーチがぜひ使ってくれと。私の中では半分、半分だったが、彼の強い言葉に後押しされて」と明かした。石川はここまで4打数無安打。それでも好調さを感じ取った吉村打撃総合コーチを信じて起用したことが、値千金の一撃につながった。  大阪・堺市出身の石川。幼少期は虎党で、井川慶が憧れだった。「試合を見るのはいつも甲子園だった」という思い出の地。東大阪大柏原高3年時に甲子園出場は果たしているが、プロ生活を含めて聖地での本塁打は初。今季は2軍落ちも経験したが「気持ちが落ちることはなかった」と静かに爪を研いでいた。  首脳陣も周到に準備していた。前日19日にはあえて亀井を右翼から左翼に回し、石川を六回から右翼に入れた。左翼が主戦場の石川にとってはこの日のためのテストでもあり、原監督は「予定通り」としてやったりだ。  昨秋のキャンプでは野手キャプテンに任命されるなど期待値は高く、指揮官は「十分戦力になれる人」と評した。丸、ゲレーロ、陽、亀井と実力者がひしめく外野手争いに、25歳が殴り込みだ。  阪神には1987(昭和62)年以来32年ぶり、平成初の開幕5連勝。21日は"平成最後の伝統の一戦"を迎える。原監督も幾多の名勝負を繰り広げてきたカード。2008年には、阪神との最大13ゲーム差を逆転して優勝。岡田彰布監督(当時)との緊迫した優勝争いは「男同士の勝負」だったという記憶が今も鮮烈に残っている。  「あした(21日)もあるので。すぐに来ますよ、熱い時間が」と指揮官。次の宿命の対決を見据えた。 (伊藤昇)

◆阪神は20日、巨人戦(甲子園)に0-2で敗れ、今季2度目の完封負け。"平成最後の伝統の一戦"は2戦目も落とし、開幕からG戦5連敗で広島と並んで最下位となった。通算465本塁打を放ち、西武、中日で打撃コーチなどを務めた土井正博氏(75)=サンケイスポーツ専属評論家=は、巨人との打力の差を「歴然としている」と指摘。「クリーンアップを打てる外国人を緊急補強すべきだ」と提言した。  振り返れば一回に無死三塁で1点も取れなかったのがすべてだ。ヤングマンの出はなをくじくチャンスに、糸原、糸井、大山が凡退し、相手に流れを引き渡してしまった。  直後の二回、岩貞が石川に2ランを浴びてからは打線もヤングマンの術中にはまった。そんなとき、流れを引き寄せられるのはやはりホームラン。だが、スタメンを見れば、両チームの差は歴然としている。巨人は4番岡本の前後をビヤヌエバ、ゲレーロ。1、2番には坂本勇、丸...と、長打力のある打者がズラリと並ぶ。一方、阪神は糸井、福留と4番大山くらい。この違いがとてつもなく大きい。  岡本は「自分が打たなければ」というプレッシャーが大山と違って少ない。いい意味で気楽な立場で打席に立てる。大山との違いは打席でのプレッシャーの差。ひいてはその前後を打つ外国人選手の差だ。  誤算は4番候補として期待したマルテだろう。右ふくらはぎを痛めて、開幕から一度も試合に出場していない。フロント、現場もマルテの合流を待ちわびているのだろうが、開幕からまもなく1カ月。早急に新外国人捜しの方にかじを取るべきだ。  おそらく、フロントは水面下で調査はしていると思う。あとは決断。今後、1軍に合流したマルテがはまってポジションがだぶるような形になってもいい。それはうれしい誤算で、そのときに考えればいいこと。まずは低迷する打線を活性化させることが先決だ。  巨人のようにクリーンアップに一発のある外国人選手が2人並べば、大山にかかる負担も軽減される。違った結果が出てくるかもしれない。福留と糸井が6番前後にドシッと座れば、打線の破壊力や相手投手へのプレッシャーも大きく変わる。  現状を打破するために矢野監督も打線の組み替えをやっているが、特効薬はない。巨人だけでなく、セ・リーグの上位にいるチームには頼りになる外国人打者がいる。外国人補強となると1カ月単位で時間を要する。借金は「5」。時間の猶予はない。 (サンケイスポーツ専属評論家) ★キナチカ復活を  土井氏は、開幕スタメンだった木浪、近本の新人1、2番コンビ復活を提唱した。「先発が左腕だとスタメンを外れることも多いが、それでは成長できない。木浪はバットコントロールが素晴らしい。近本も同じで、プラスして意外にパワーがある」。昨年まで2年間、打撃コーチとして在籍した中日では京田、高橋らを結果が出なくてもスタメンで使い続けた。「彼らは今年、花が開こうとしている。2人の2、3年後のことを考えれば、スタメンでどんどん使ってほしい」と話した。

◆原監督には引き続き、"お試し采配"を見せてもらいたかったね。2点差の九回にクックを投入。あそこは、ヤングマン続投で、きっちり完投できるかどうか見極めるチャンスだったよ。  クックで締めるパターンを、一刻も早く確立したいという気持ちは分かる。ただ、この時期は、先発陣を充実させることも大事。先を見据えたら、むしろその方が、チームにプラスになるんじゃないかな。  菅野に続く先発・完投型を、1人でも増やせれば、それ以外の試合でリリーフ陣を集中起用できる。打線の援護も昨年より数段見込めるだけに、勝ちを拾えるケースも増えていくはず。  何よりクックには、相手を「こいつが出てきたらアカン」とあきらめさせる脅威感はまだ、ない。ベンチで見守ったヤングマンも、不安げな表情だった。あれなら、自分で続投した方が精神的にも楽だったんじゃないかな(笑)。  菅野、山口、そしてヤングマン。ローテーションに完投能力のある先発をそろえることが本来、Aクラスへの最低条件。そこからもっと走るためにも、お試しには絶好の展開だったと思うよ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
1271 0.632
(↑0.021)
-
(-)
123108
(+5)
84
(+3)
23
(+1)
7
(+1)
0.252
(↑0.001)
3.930
(↑0.05)
2
(-)
巨人
1170 0.611
(↑0.023)
0.5
(-)
12591
(+2)
71
(-)
29
(+1)
5
(-)
0.277
(↓0.004)
3.650
(↑0.22)
3
(1↓)
中日
1080 0.556
(↓0.032)
1.5
(↓1)
12579
(+3)
59
(+5)
17
(-)
14
(+1)
0.282
(-)
3.240
(↓0.1)
4
(-)
DeNA
9100 0.474
(↓0.026)
3
(↓1)
12475
(+2)
76
(+9)
22
(+2)
4
(-)
0.242
(↓0.003)
3.690
(↓0.32)
5
(1↑)
広島
7120 0.368
(↑0.035)
5
(-)
12463
(+9)
95
(+2)
15
(-)
6
(+1)
0.220
(↑0.009)
4.020
(↑0.11)
5
(-)
阪神
7121 0.368
(↓0.021)
5
(↓1)
12375
(-)
106
(+2)
16
(-)
7
(-)
0.236
(↓0.004)
4.450
(↑0.13)