阪神(★2対10☆)中日 =リーグ戦2回戦(2019.04.13)・阪神甲子園球場=
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中日
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阪神
0100010002711
勝利投手:柳 裕也(2勝0敗0S)
敗戦投手:岩貞 祐太(1勝2敗0S)

本塁打
【中日】京田 陽太(2号・4回表満塁),堂上 直倫(2号・8回表満塁)
【阪神】近本 光司(2号・6回裏ソロ)

  DAZN
◆中日は初回、ビシエドの適時二塁打で先制する。その後1点リードで迎えた4回表に京田の満塁弾で4点を追加すると、8回には堂上にも満塁弾が飛び出し、試合を決めた。投げては、先発・柳が7回2失点の好投で今季2勝目。敗れた阪神は先発・岩貞が試合をつくれなかった。

◆阪神岩貞祐太投手が13日の中日戦で開幕2勝目を目指す。6日の広島戦(マツダスタジアム)は4回4失点で降板。 「前回の反省として、追い込んでから甘いところに投げてしまった。しっかりアウトを取りきれるように攻め込んでいきたい」と反省を生かす。昨季は甲子園で11試合に先発し、4勝5敗ながら防御率2・01。「阪神ファンも多く入る球場なので、いい投球を見せられるように」と意気込んだ。

◆中日がまた満塁弾で突き放した。6-2の8回、堂上直倫内野手(30)が左腕岩崎から左越えのグラウンドスラムをたたき込んだ。 今季2号に「2ボールだったので直球1本に絞って思い切り打ちました」と胸を張った。 この瞬間、逆転を期待していた阪神ファンが続々と席を立ち、内野席は緑のシートが目立つようになった。 中日は4回にも京田陽太内野手(24)が満塁アーチを放っていた。中日の1試合満塁本塁打2本は3度目。69年9月の広島戦で江藤慎一と江島巧が、95年6月のヤクルト戦でメル・ホールと立浪和義が放っており、24年ぶりだ。

◆阪神先発の岩貞祐太投手が5回13安打6失点と炎上した。4回には1番京田にグランドスラムを浴びた。 「序盤から制球が定まらず、ピンチの場面で失投を打たれてしまいました。なんとか修正したかったのですが、最後まで自分の投球ができずに、先発の役割を果たすことができませんでした。チームに申し訳ないです」 球数は97球。5回を投げたが毎回安打を許すなど、結果が出なかった。

◆阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)が、6回に2号ソロを放った。 5点ビハインドと劣勢の状況に甲子園は静まりかえっていたが、ひと振りで沸かせた。 中日柳の3球目、131キロ内角直球をとらえると打球は右翼席に着弾。黄色のメガホンが揺れた。11日の中日戦に代打でプロ初アーチを記録。ドラフト1位が調子を上げている。

◆中日京田陽太内野手(24)が3年目でプロ初の満塁本塁打をマークした。 2点リードで迎えた4回無死満塁で、岩貞の初球の変化球を強振。右翼席に運んだ。 「チャンスだったので積極的にいこうと思っていた。しっかり自分のスイングができました」。 1年目の17年は4本塁打すべてソロ。18年はソロ1本、2ランが3本。今年もソロが1本だった。

◆阪神ドラフト3位の木浪聖也内野手(24=ホンダ)がプロ入り初となる適時打を放った。 2点を追う3回2死一、三塁。5球目、外角低めの124キロチェンジアップをうまく拾った。体勢を崩されながらもバットに乗せて、中前へ。新人のタイムリーで1点を返した。 「『チャンスで俺に回って来い!』という気持ちで待っていました。しっかりタイムリーを打つことができて良かったです」 一塁ベース上では右拳を一塁ベンチへ突き出して"グータッチ"だ。 12日の中日戦(甲子園)で、プロ初安打を放ったばかり。プロ18打席目での初安打に「ずっと出なくて苦しかったので、うれしかったです」。その言葉が表現するように、一皮むけてきた。

◆中日が1046日ぶりの「貯金」に成功した。球団史上24年ぶり3度目の満塁本塁打2本で阪神を沈め、今季初の3連勝。成績を7勝6敗にした。京田陽太内野手(24)は人生初というグランドスラム。与田剛監督(53)のもと出場機会を増やす堂上直倫内野手(30)が終盤にダメを押した。借金ばかりだった3年の間に2人の監督が退任。6年連続Bクラスと長い低迷期にある老舗球団に明るい話題だ。 右翼への飛球を押し戻す甲子園の浜風に負けなかった。4回無死満塁。京田が岩貞の初球を強くたたいた。会心の手応えだったが「思ったより飛んでなくて。でも何とか入ってくれた」。満塁弾はプロどころか「人生初」だという。過去2年は年間4本ずつ。レアな一振りでリードを5点に広げ、新生・与田竜に記念の1勝をもたらした。 17年新人王の京田は昨年、ワースト2位の打率2割3分5厘。危機感が高まる状況で、注目ルーキー根尾が入ってきた。内心、穏やかなはずがない。ただ京田には苦しみ抜いた2年間がある。ゴロの捕り損ねで、打ち損じで、バント失敗で精神を病み、試合中のベンチで涙も流した。悪夢にうなされる日々でも、早出練習は欠かさなかった。 今年の開幕戦はついにスタメン落ち。その悔しさをバネに再び「1番遊撃」をつかんだ。満塁弾1本に安住する男ではない。「1日1日が勝負ですから。(同期の)柳が投げて京田が打って。最高の試合じゃないですか!」と笑ってバスに乗り込んだ。 2本目の満塁弾を放った堂上も心境は同じだ。最近2年間はその京田に遊撃を譲ったが、京田、根尾との真っ向勝負を宣言してきた。8回に阪神にとどめを刺す満塁弾を左翼に運んだ。「直球が来ると思って思い切りいった。しっかり打ちにいけました」。 与田監督は徹底した競争原理を持ち込んでいる。昨年と野手のメンバーは同じだが、固定化をやめ、この日、プロ初の3安打を放った加藤や三ツ俣らを迷いなく抜てきした。アベック満塁弾は新監督が掲げる方針と無関係ではない。 谷繁監督、森監督が果たせなかったAクラス。ただ、これまでの体制で苦労を重ねてきた選手は、与田監督のもと、何とか花を咲かそうとしている。「貯金が何年ぶりかとは意識していない。1つでも多く勝って、首位を目指す気持ちを変わらず、ずっと持っている」。与田監督はファン待望の貯金生活にも、一喜一憂する様子はなかった。【柏原誠】

◆大敗で今季2度目の4連敗を喫した阪神だが、ルーキーコンビの活躍が救いだった。ドラフト1位の近本光司外野手が6回に2号ソロを放った。 「先頭打者だったので、積極的に、と考えて打席に入りました。しっかり(バットを)内から出せたかなと思います」。5点を追う状況での一振り。3球目、内角131キロ直球を捉えると打球は右翼席に着弾。本拠地甲子園は、一斉に黄色のメガホンが揺れた。 ドラフト3位の木浪聖也内野手も躍動した。2日巨人戦以来のスタメン出場で、2回の第1打席にプロ初タイムリー。12日にプロ18打席目にして初安打をマークしたこともあり「思い切っていけた。(ネクストバッターズサークルで)『まわしてくれ!』と思ってました。結果が出てよかったです」と手応えを語った。 矢野監督も「近本はいい打球を打てだせている。木浪も(12日に)1本出て、今日も最初に出た。ルーキーなので、どんどん成長していく過程にある」と期待を寄せる。もちろん、近本は「勝ちにつながればいいんですけど...。また明日から勝ちにつながるプレーをしていきたいと思います」と勝利を誓う。"キナチカ"コンビの快音は、虎浮上に欠かせない。【真柴健】

◆矢野阪神どうした!? 阪神が球団史上初めて1試合で満塁本塁打を2本食らって、中日に大敗した。 4回に岩貞が京田に、8回は岩崎が堂上に被弾。5投手で17安打を浴びて10失点し、打線の反発も遅れて今季最長タイの4連敗となった。被本塁打22、被安打132はともに12球団ワースト。甲子園6連戦はここまで1勝4敗と虎党の嘆きが深まっている。超満員の甲子園が沈黙した。1点を追う4回。大島、加藤の連打から、柳のバントヒットで迎えた無死満塁。岩貞の京田に投じた初球スライダーが、外角に構えた捕手のミットから内寄りに入った。衝撃音を残した打球は、黄色く染まった右翼スタンドに着弾。一瞬で点差が5点に広がった。序盤に浴びた痛恨の満塁本塁打で試合の流れを手放してしまった。 悲劇はこれで終わらない。8回には4番手岩崎が2つの四球と守備のミスも絡んで2死満塁とすると、5番堂上に左翼席へ満塁アーチを被弾。これで完全にトドメを刺された。阪神の1試合で2満塁本塁打の被弾は、長い球団の歴史でも初めてとなる惨事。さすがの矢野燿大監督も「満塁ホームランを2本打たれているわけやから、こっちに流れが来るってことはなかなか考えにくい」と、険しい表情を浮かべた。 前日12日は先発メッセンジャーが主砲ビシエドに2被弾を浴びるなど9失点の大敗。リーグワーストの防御率4・79と自慢の投手陣が波に乗れない。チーム132被安打、22被本塁打も、ともに12球団ワーストと投壊状態だ。ただ、指揮官は「どっちかだけの責任じゃない。打てないところはピッチャーに対するしわ寄せになっている部分もある」と分析。その言葉通り攻撃面でもチーム打率2割2分1厘(リーグ5位)と元気がない。 DeNA、中日と2カード連続の負け越しが決定。2度目の4連敗を喫し、最下位広島とのゲーム差も1ゲームとなった。指揮官は「ありきたりやけど粘るってことをしていかないと、チームとして勝つという方向にはなかなかいかない」と力を込めた。14日には前回7日広島戦で完封劇を演じた西が先発マウンドに上がる。負のスパイラルを断ち切りたい。【桝井聡】

◆阪神の4番大山悠輔内野手は2回に遊撃京田の頭上を抜く当たりで出塁し、木浪の適時打で反撃のホームを踏んだ。ただ「最終的に負けているので」とその後に内容が続かず、試合後は厳しい表情を貫いた。 残る3打席は凡退し、8回の三塁守備では京田の強いライナーをグラブではじく失策が満塁弾につながってしまった。

◆中日は柳裕也投手がプロ初の甲子園マウンドで2勝目を挙げた。 「普通でした」と大観衆にも平常心。緩急をつけて制球よくコースに投げ分ける本来の投球で7回2失点。同期の京田の1発にも助けられた。 「あの本塁打はすごかった。加藤さんがしっかりリードしてくれました。次もチームを勝たせられるようにしたい」と感謝した。

◆中日が1046日ぶりの「貯金」に成功した。球団史上24年ぶり3度目の満塁本塁打2本で阪神を沈め、今季初の3連勝。成績を7勝6敗にした。 ▼中日が3連勝で貯金1。中日の貯金は16年6月1日(26勝25敗3分け)以来となり、貯金に挑戦した試合は17~19年の開幕戦を含め11連敗していた。セ・リーグで貯金が2年以上続けてなかったのは17、18年中日が7度目。今年も貯金をつくれなければ56~59年大洋、08~10年横浜に次いでセ3度目の屈辱になるところだった。ちなみに、セ最長の4年連続貯金なしの大洋は、60年6月7日に5年ぶりの貯金をつくると、その年に優勝した。 ▼4回に京田、8回に堂上が満塁本塁打。チーム1試合2本の満塁弾は18年8月26日ソフトバンク以来26度目のプロ野球タイ記録。中日では95年6月15日ヤクルト戦でホールと立浪が打って以来3度目。

◆阪神のD3位・木浪聖也内野手(24)=大阪ガス=が13日の中日戦(甲子園)に「8番・一塁」で先発出場。前日12日に代打で出場しプロ初安打を放ったルーキーが、2日の巨人戦(東京ドーム)以来のスタメンとなった。  また、鳥谷が「6番・遊撃」で2試合ぶりに先発出場。組み替えた打線で3連敗脱出を狙う。

◆阪神のD3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=が13日の中日戦(甲子園)で二回に柳からプロ初適時打を放った。  「打ったのはチェンジアップ。『チャンスで俺に回ってこい!』という気持ちで待っていました。しっかりタイムリーを打つことができてよかったです」  打ったのは2点ビハインドの二回2死一、三塁。カウント2-2から124キロチェンジアップを中前に運んだ。前日12日にプロ初安打を放ち、この日は10試合ぶりに先発出場。好機で結果を残し、スタメン起用に応えた。

◆阪神・岩貞祐太投手(27)が13日の中日戦(甲子園)に先発し、5回13安打6失点で降板した。  一回2死一塁でビシエドに左中間への適時二塁打を浴びて先制を許すと、二回2死一、二塁では京田の右前適時打で2点目を失った。極めつけは四回。先頭の大島から3連打で無死満塁のピンチを背負い、京田に右翼席へ満塁弾を浴びてしまった。  前日12日には竜打線について「上位で出塁させてかえすという打線だからこそ、下位を抑えて丁寧に投げていきたい」と分析していた左腕。しかしこの日は7、8、9番に計7安打を浴び、苦しい投球となった。

◆阪神は13日、本拠地甲子園で中日と対戦、投手陣が崩れ、4連敗した。先発した岩貞は5回13安打6失点で降板。一回、ビシエドに左中間適時二塁打で先制を許すと、二回、京田の右前適時打で2点目。四回には無死満塁から、京田に右翼席へ満塁弾。八回2死満塁から岩崎が堂上に左翼席へこの日チーム2本目の満塁弾を浴びた。  打線は停滞が続き、二回、D3位・木浪(ホンダ)の中前適時打と六回、D1位・近本(大阪ガス)の右越え2号ソロで2点を奪うのがやっとだった。  阪神は2カード連続の負け越しで、借金は4。投手陣は最近5試合で34失点。

◆「8番・一塁」で先発した阪神の新人木浪が二回に適時打を放ち、プロ初打点を挙げた。2死一、三塁から柳のチェンジアップに食らい付いて中前へ。2日の巨人戦以来となる先発起用に応え「何とか打ってやろうという気持ちだった」と胸を張った。  ホンダからドラフト3位で入団。開幕後は不振に苦しんだが、12日に待望のプロ初安打を放って勢いに乗る。矢野監督は「成長していく過程にある。いいものを出してくれれば」と期待した。 近本(六回に2号ソロ) 「積極的にいった。しっかり力を出せた」 阪神・清水ヘッドコーチ(2本の満塁本塁打を浴びて大敗し) 「バッテリーで防がないと」 阪神・福原投手コーチ(岩貞に) 「逆球が目立った」

◆中日の柳は投打で活躍し、7日のヤクルト戦に続く登板で2勝目を挙げた。直球とカーブなどの変化球を使い、緩急をつけて打たせた。四死球なしで7回を2失点にまとめ「無駄な四球がなかった。インコースに投げられたし、加藤さんもリードしてくれた」と手応えを実感した。  打っても2安打。四回にバントが内野安打となり、五回も右前打にした。この日、満塁本塁打を記録した京田と同じ3年目の柳は「次に向けてチームを勝たせるようにしたい」と意気込んだ。 ビシエド(一回に先制二塁打) 「低めの球だったけど、しっかり前で打つことができた」 与田監督(2016年以来の貯金に) 「何年ぶりは意識していないが、一つでも勝っていくことは変わらない」

◆阪神は13日、本拠地甲子園で中日に2-10で敗れ、4連敗。借金は今季ワーストの4となった。先発岩貞は5回13安打6失点の乱調。ボールが高めに浮いた左腕について矢野燿大監督は試合後「全部やろうね。あれだけのイニングであれだけのヒットを打たれるんやから。まあ、高いというだけではないと思うし。そこじゃない」と話した。ローテの軸として投げてほしい投手だが、次回先発については「考えます、はい」と明言しなかった。  先制される展開が続いていることについては「これはどっち(投手も野手も)もね。きょうに関しては投手があれだけやられちゃうと。打線も追い上げるというところではなかなか苦しい部分はあると思うけど、どっちかだけの責任じゃないと思うしね。この状況をつくっているということに関して、打てないところはピッチャーに対するしわ寄せになっている部分もある。まずはホームでやってる時はピッチャーが頑張ってくれてというのが理想になってくる」とコメント。  岩貞、岩崎がそれぞれ満塁弾を浴びたことについては「もちろん流れの中で大きいしね。満塁ホームラン2本打たれてるわけやから、流れがこっちに来るってことはなかなか考えにくい」と語った。  敗戦の中で光明となったのは新人コンビ。タイムリーを放ったD3位木浪(ホンダ)、2号ソロを放ったD1位近本(大阪ガス)については「近本はいい打球を打ちだしてる。木浪も昨日も1本出て今日も最初に出たんで。もう1本ねなんとか打って欲しかったのはあるけど。ルーキーなんでどんどん成長していく過程にあると思うので。いいものをどんどん出していってくれたらなと思います」と期待を寄せた。

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(大阪ガス)が13日、「1番・中堅」で出場した中日戦(甲子園)でチーム単独トップの2号ソロを放った。  「先頭だったので(塁に)出ることを意識しながら積極的に、というのを考えて打席に入りました。しっかり(バットを)内から出せたと思います」  1-6の六回、柳の3球目、内角131キロの直球を一閃。甲子園の強い浜風にも負けず、打球は右翼席最前列へ着弾した。  11日のDeNA戦(甲子園)で、七回に代打でプロ1号ソロ。翌12日の中日戦では5試合ぶりにスタメン復帰して猛打賞。4連敗と沈む虎のなか、この日も2安打と希望の光となっているルーキーは「明日から勝ちにつながるプレーをしていきたい」と誓った。

◆阪神は13日、甲子園で中日に2-10と大敗し、今季初の4連敗。今季ワーストの17被安打で、1試合2本の満塁本塁打を許すのは球団史上初の屈辱だ。ここまで懸念されていた貧打が目立っていたが、これで甲子園5戦で34失点と投壊ぶりも浮き彫りになった。  「ホームでやっているときはピッチャーが頑張ってくれて、というのが理想」と矢野監督。貧打の打開策も見えないまま、生命線の投手陣までが崩れた"二重苦"。「(投手と野手)どっちかだけの責任じゃない。打てないところは投手にしわ寄せになっている部分もあるし、先に点を取られることで野手が追っかけられない。どっちにも原因がある」と厳しい表情だった。

◆(武蔵は)巌流の眼の中へ、櫂の先を突っ込むように、正眼に寄って来たのである。その無造作に、巌流が、はっと詰足を止めた時、武蔵の姿を見失いかけた-  これは吉川英治『宮本武蔵』の巌流島の対決のシーンである。  何も1612年のこの4月13日の武蔵と佐々木小次郎の対決をもちだして、このなんともやりきれない『甲子園』の試合のストレスをゴマ化そうというのではない。ただそんな"決闘"というほどの時期ではまだないかもしれない。解説者の方はいずれも「まだ始まったばかりだから...」と言葉を結ぶけれど、もう14試合経過してる。  先の見える14試合ではない。先が見えそうな14試合にしてもらいたいからあえて申し上げる。  いわゆる"暗黒時代"にトラ番キャップをやってきた編集委員上田雅昭は、こういう消化不良のゲームを何度も見てきている。だから我慢強いし、僅かな光りを求めて日々タイガースを追いかけている。  彼が情熱を胸に阪神を取材していた1996年のこと。「10月9日の甲子園の中日戦の一回やったかなぁ...新庄と塩谷が満塁ホームランをそれぞれ打ってますヮ。その時の中日のキャッチャーは...矢野さん(現阪神監督)ですヮ。選手としても、監督としても、甲子園で1試合に2満塁本塁打を打たれているんです。なんか"満塁"に縁があるんですなぁ...」。  それがシーズン最終戦でもあったらしい。つまりそれほどびちゃびちゃ状態を経験している上田がそう言っておいて「先輩みたいにいちいち『どうするんやコレ...』なんていわれても困るんですヮ」と電話の向こうでクギをさしてきたョ。ごもっとも...。それにしてもさすがの"博覧強記"のトラ博士。  「その試合、ピヨピヨ記者として手伝いにいってました。打たれたの金森隆浩投手でしょ。星野監督が激怒されたのをよく覚えています」とシャシャリ出てきたのは運動部長大澤謙一郎。よもやの満塁2発が相手方に出るとは...。  実は試合前にトラ番キャップ大石豊佳と話していたら「練習で(前日に初安打が出た)木浪と、11日に1号が出た近本のルーキーコンビはハキハキとしていて元気でした。特に木浪はガラリと表情が一変してましたから...この2人に注目していてください」とやや控えめに電話をくれた。  マジメ人間の大石はこのところほとんど昼メシ抜きで走り回っているが、デーゲームなのにこの日は「チキン南蛮を食べましたッ」と余裕? をのぞかせていた。そうあってほしいぞよ大石と励まして電話を切ったけれど...ああ神様...。  もう一つ、不思議な"偶然の暗合"というべきか、ちょうど1年前のこの4月13日に甲子園でのヤクルト戦に先発した藤浪晋太郎。それまで2試合、ゲーム途中に突如として四球をだして乱れまくっていた藤浪投手が、このヤクルト戦では、独特の弓をギリギリと引くポーズをとりいれて7回を2四球で1失点だけの"粘投"を見せた。  この試合もまた(書きたくはないが...)打線がさっぱりで2-3の1点差に惜敗した。  しかし金本監督(当時)は藤浪復活の兆しに「次が大事なんだ」と声をはずませていたのだ。  ところでそれで思い出したが我らが藤浪晋太郎はいずこに? 鳴尾浜を取材していた菊地峻太朗に電話したら「元気に練習してましたョ」とのこと。おーい藤浪よ、早く戻ってきてくれョ。そうでないと酒がまずいヮ。♪俺は待ってるぜ!

◆ゲゲゲ~!! わが阪神は2-10の大敗。しかも4連敗に腹を立てて、ついに大の虎党だけど、失言だらけのサクラダ大臣が、しゃしゃり出てきちまったよ~!!  「福留打ってくれよ~。この4連敗中、わずかに1安打はないだろ~!! 41歳でしんどいのは分かるけど、年俸1500円ももらってんだから!!」  「1億5000万円ですよ、大臣さん」  「えっ? あ、撤回いたします」  「でも、中日の与田監督も事前に先発投手を通告してくれないのはズルいよな~」  「予告先発だから、してますって」  「撤回させていただきます」  「でも、虎のルーキー金本の2号ホームランはレンポウ議員のように威勢が良かったね!!」  「近本にレンホウ議員ですから...」  「撤回!! 全て撤回!! そして、私は虎党を辞任させていただきま~す。サヨナラ~!!」  ホッ、厄介な失言男は自滅で去っていったけれど、大自滅した先発の岩貞はどうしましょう。5回13安打の6失点...。しかも8、9番のバッテリーに5安打は、決して矢野首相、いや監督の任命責任なんかじゃないんかな~!! 岩貞よ、辞任は許されないんだから、次は本日の投球を撤回する勝利を挙げてくれ~!!

◆--岩貞の乱調は球が高かった  矢野監督「全部やろうね。あれだけのイニングであれだけのヒット打たれるんやから。まあ、高いというだけではないと思うし。そこじゃない」  --ホームランでやられてしまうとチームの士気にも関わる  「満塁ホームラン2本打たれてるわけやから、流れがこっちに来るってことはなかなか考えにくいし。まあ一気に流れを持っていかれた。う~んっていう部分はどうしても、そういうホームランというのには出てしまう」  --新人2人が躍動  「木浪も昨日も1本出て今日も最初に出たんで。もう1本なんとか打って欲しかったのはあるけど。ルーキーなんでどんどん成長していく過程にあると思うので。いいものをどんどん出していってくれたらなと思いますけど」  --近本は足のある選手だが長打も期待  「もちろん打てるに越したことはないしね。でも1番こっちも期待してるし相手も嫌なのは、あいつが数多く塁に出るってことのほうが大事。その中のプラスアルファのアピールポイントとして、そうやって打てるっていうところの順番の方が俺はいいと思うけど」

◆清水ヘッドコーチが、近本の中堅での守備について言及した。「あれは捕らないとダメ。慣れていないかもしれないけど、捕ってやらないと。そのあとホームランを打ったけど、あそこは防がないと」と指摘。一回1死一塁の場面で、ビシエドの中越えの打球判断を誤り、一度前に出てから下がった。打球が風に押されて伸びたこともあり、先制二塁打にしてしまった。

◆先発の岩貞は5回13安打6失点。一回に2死から先制を許し、四回には京田に右翼へ満塁弾を浴びるなど粘れなかった。「満塁ホームランのところ、ああいうところを粘っていかないとゲームにならない。本当に申し訳ない気持ちです」と険しい表情。6日の広島戦(マツダ)でも4回4失点で降板となっており、矢野監督も「考えます、はい」と2軍降格の可能性を示唆した。

◆前日12日に今季初めて途中交代となった大山は4打数1安打。二回先頭の第1打席で初球109キロカーブにうまく合わせた。打球は遊撃の頭を越えて左前に落ちる安打に。さらに鳥谷の右前打で二塁に進み、木浪の中前適時打でホームを踏んだ。一方守備では八回無死一塁で三塁への低めのライナー性の当たりを捕球できずにはじき、失策も。その後の堂上の満塁弾につながる走者を出してしまった。

◆中日が、今季最多17安打の猛攻で3連勝を飾った。2016年6月1日以来3年ぶりとなる"貯金生活"。京田陽太内野手(24)は自身初、堂上直倫外野手(30)は16年以来2度目となる満塁本塁打を放って阪神を圧倒した。  「状態は良い。一日一日が勝負なので気を引き締めていきたい」  この日3安打5打点の活躍でチームを3連勝に導いた京田が会心の笑みを浮かべた。  昨季対戦成績が・308と得意にしていた相手先発・岩貞を攻略した。二回に適時打を放ち、圧巻は2-1の四回。無死満塁から初球のスライダーを右翼席に運び「初球から積極的にいこうと思っていた。しっかり自分のスイングで打つことができた」と納得の一打で引き離した。  堂上は6-2の八回2死満塁、カウント2ボールから岩崎の直球を左翼席に運び「ストライクが来ると思って思い切りいった。しっかり打ちにいけた」。チーム1試合2本の満塁弾はプロ野球タイ記録で、球団では24年ぶり3度目の快挙だ。  「(野手に)本当に2試合続けて援護をもらった」と与田監督。今季から就任した新指揮官の下、5度目のチャンスをようやく生かし、1046日ぶりに貯金を「1」とした。6年連続でBクラスに沈む竜が波に乗ってきた。

◆全身を使って思い切りよくバット振り抜くと、打球はあっという間に右翼席へと消えた。劣勢の中で必死に応援する虎党へ、D1位・近本光司外野手(大阪ガス)が希望の光を放った。  「先頭だったので、(塁に)出るというのを意識しながら積極的にというのを考えて打席に入りました。しっかり(バットを)内から出せたと思います」  1-6の六回だ。先発・柳の3球目、内角に入った131キロ直球を迷わず振り抜いた。歴代の左打者の"壁"となった甲子園の強い浜風にも負けず、打球はグングンと伸び、右翼席最前列へ着弾。ここ3戦2発。打線が低迷する中、チーム単独トップの2号で存在感を示した。  三回の第2打席でも低めの変化球にしぶとく食らいつき、二塁内野安打。前日12日の同戦(甲子園)でも猛打賞を記録しており、2試合連続の複数安打となった。11日のDeNA戦(甲子園)では七回に代打で出場すると、プロ1号ソロを放ち、翌12日には5試合ぶりにスタメンに返り咲いていた。  主軸以上のパンチ力をみせる1番に、矢野監督も「近本はいい打球を打ちだしてるので。あっち(右方向)に引っ張った打球はなかなか上がらないっていうのが多かったけど、だんだん上がるようになってきている」と打撃面での成長に目を細めた。  前日にプロ初安打をマークしたD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)も「8番・一塁」で10試合ぶりに先発出場を果たすと、0-2の二回2死一、三塁で先発・柳のチェンジアップを中前にはじき返し、プロ初の適時打。「点もほしかった場面で回ってきたのでなんとかしようという気持ちで結果が出てよかった」と振り返った。  4連敗と沈む虎のなかで、連日躍動する"キナチカ"コンビ。「明日から勝ちにつながるプレーをしていきたい」と近本。次こそ勝利に導く一打を放つ。(織原祥平)

◆今季も甲子園で勝てないのか!? 阪神は中日相手に2-10で敗れ、今季2度目の4連敗。球団初となる1試合2本の満塁弾を浴びる屈辱的大敗だった。昨年21勝39敗2分けと"鬼門"と化した本拠地で、今季5試合で34失点の投壊ぶり。17年ぶりの最下位の要因ともなっただけに、二の舞はもうゴメンだ!  ファンにあいさつするためベンチを出た矢野監督がスタンドを見つめると、その表情がみるみる曇っていった。4万5699人で満員だったはずの聖地が、ガラガラに。今季2度目の4連敗で借金4。その数字以上に屈辱的な大敗だった。  「満塁ホームラン2本打たれて、流れがこっちに来るってことは考えにくい。ありきたりやけど、粘ることをしていかないと勝つ方向にはいかない。もう1回、そういう意識の確認をしていく必要がある」  虎党の期待が完全に打ち砕かれたのは2-6の八回だ。4番手・岩崎は2四球に失策も絡み、1死満塁のピンチ。ここで4番・ビシエドを遊飛に仕留め、ホッとしたのもつかの間だった。続く堂上に高めの直球を左越えに運ばれ、まさかの満塁被弾。四回の京田に続く満弾で8点差とされると、多くの観客は席を立ち、グラウンドに背を向けた。  今季ワーストの17被安打で、1試合2本の満塁本塁打を許すのは球団史上初の屈辱となった。ここまで懸念されていた貧打が目立っていたが、これで甲子園5戦で34失点と投壊ぶりが浮き彫りに。「ウチが優勝する条件は投手陣。本当に手応えを、自信を持っている」と話していた将も「ホームでやっているときはピッチャーが頑張ってくれてというのが理想」と想定とはかけ離れた展開にため息交じり。貧打の打開も見えないまま、生命線の投手陣までが崩れた二重苦だ。  「どっちかだけの責任じゃない。打てないところは投手にしわ寄せになってる部分もあるし、先に点を取られることで野手が追っかけられない。どっちにも原因がある」  甲子園で史上ワースト39敗を喫した昨年の悪夢が蘇る4連敗となったが、まだわずか14試合。こんなところでうつむくわけにはいかない。 (大石豊佳)

◆先手を取られると打線が低調なので一気に苦しい展開になる。開幕からこのパターンが続いている。ベンチは打線を組み替えて工夫しているが、効果が薄いのが現状。好調を維持している選手がほとんどいないので、仕方がない。  打線全体の調子が上向きなら、将来的に2番近本が理想だが、今は糸原が2番のほうが働きやすそうなので、この1、2番がベター。クリーンアップも動かすべきではない。  そもそも、短期間で打てるようになるものでもない。活発になった中日打線をみても、昨年からの地道な努力が実ったもの。一朝一夕ではない。  阪神も地道に、選手個々のレベルアップを期待したい。試合前の練習で1つ提案したいのが「まわし打ち」。現在は時間制で打っているが、どうしても特打をしている感じになりがち。何人かで少ない球数を順番に打つことによって、準備をして、打席に入って、1球目から打つというイメージを作りやすい。集中力も違ってくるはずだ。  最後に、やはり必要なのは起爆剤。現状の1、2軍の選手を見渡してもマルテしかいない。故障の程度は分からないが、一日でも早く、未知数の助っ人を打線に加える状況を作ってもらいたい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
ヤクルト
950 0.643
(↑0.028)
-
(↓0.5)
129
(-1)
74
(+11)
51
(+6)
15
(+4)
5.000
(-)
0.000
(-)
2
(1↓)
巨人
850 0.615
(↓0.052)
0.5
(↑0.5)
130
(-1)
59
(+6)
49
(+11)
19
(+3)
5.000
(-)
0.000
(-)
3
(1↓)
DeNA
860 0.571
(↓0.044)
1
(↓0.5)
129
(-1)
66
(+1)
53
(+6)
17
(+1)
4.000
(-)
0.000
(-)
4
(-)
中日
760 0.538
(↑0.038)
1.5
(↑0.5)
130
(-1)
60
(+10)
45
(+2)
15
(+2)
9.000
(-)
0.000
(-)
5
(-)
阪神
590 0.357
(↓0.028)
4
(↓0.5)
129
(-1)
46
(+2)
74
(+10)
8
(+1)
4.000
(-)
0.000
(-)
6
(-)
広島
4100 0.286
(↑0.055)
5
(↑0.5)
129
(-1)
43
(+6)
76
(+1)
12
(-)
5.000
(↑2)
0.000
(-)