広島(★3対15☆)ヤクルト =リーグ戦2回戦(2019.04.10)・マツダスタジアム=
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ヤクルト
00120000012151620
広島
10002000003840
勝利投手:マクガフ(1勝0敗0S)
敗戦投手:中﨑 翔太(0勝2敗1S)
  DAZN
◆ヤクルトは1-1で迎えた4回表、バレンティンと雄平の連続適時打で勝ち越しに成功する。その後同点で迎えた延長10回には、バレンティンの適時打など打者一巡の攻撃で12点を挙げ、試合を決めた。投げては、5番手・マクガフが来日初勝利。敗れた広島は、守備の乱れから大量失点を喫した。

◆広島田中広輔内野手(29)が28打席ぶりに安打を放った。 1回裏先頭の打席。ブキャナンが投じた1ストライクからの2球目のチェンジアップを、中前に運んだ。連続打席無安打はプロ入りワーストとなっていたが、トンネルを抜けた。

◆広島野間峻祥外野手(26)が同点犠飛を放った。2点を追う5回無死満塁から、菊池涼の併殺崩れで1点を返し、なお1死一、三塁の場面。ヤクルト・ブキャナンの初球の142キロを右翼に打ち上げた。 「打ったのはカットボールかな。最低限の仕事ができてよかったです」と話した。

◆広島野村祐輔投手(29)は4回3失点で降板した。 5四球を出すなど制球に苦しみ、球数は103球に達した。今季初戦の中日戦では会心の勝利を挙げたが、リードを保つことはできなかった。「四球が多く自分で苦しい投球にしてしまいました」と話した。

◆広島が延長10回に力尽きた。守護神中崎や中田が踏ん張れず、2投手で12失点。開幕4カード連続の負け越しが決まった。しかし1番田中広輔内野手(29)が初回に28打席ぶりのヒットを記録し、先制のホームを踏んだ。暗くなっているヒマはない。マルチ安打のリードオフマンが反攻のキーマンになる。2球で止めた。「1番遊撃」で先発出場の田中広輔内野手は、1回裏の第1打席。ヤクルト・ブキャナンのチェンジアップをたたいて二遊間を破った。28打席ぶりの快音に、本拠地のスタンドは大きな拍手。いい流れをつくると、ランドエンドヒット(結果は一失)でチャンスを広げ、野間の二ゴロで生還した。自身3試合ぶりの得点が先制点となり、1番としての役割を果たした。 長いトンネルにはまっていた。3日中日戦から6試合、27打席連続で安打が出ていなかった。それまでのプロ最長は、まだレギュラーに定着していない16年5月19日から24日までの23打席連続。自身初の経験にも「始まったばかり。そこまで落ちることはない」と懸命に前を向き続けた。 常に準備は怠らなかった。本拠地ナイター試合ではグラウンドに一番乗り。入念なウオーミングアップからロングティーで体全体を使ったスイングを体にたたき込む。JR東日本時代から同じトレーニングを休日以外は継続。579試合連続フルイニング出場と、現役セ・リーグ最長記録を更新し続ける肉体と精神力を維持する。 まだ本調子とはいえない。ただ、3連覇の打線の切り込み隊長を務めた田中の役割は安打や四球を選んで出塁するだけではなかった。球を選び、ファウルで粘り、相手先発に球数を多く投げさせることで、球の軌道や調子を味方ベンチに伝える役割もこなしてきた。開幕から10試合は初球打ちの打席もありながら、1打席目に投げさせた総球数は49球。1打席約5球。だが、長いトンネルは積極打法で抜けた。 田中はトンネルを抜けたものの、チームは3連敗。開幕から4カード連続負け越しが決まった。過去に開幕4カード連続負け越しから優勝した球団はない。歴史を塗り替えるためには、コイの切り込み隊長の完全復活は欠かせない。【前原淳】

◆ヤクルト新加入マクガフ投手が、初勝利を挙げた。 3-3の9回にマウンドに上がり、三振を含む3者凡退でリズムを作って10回へつないだ。今季6試合に登板し無失点。 「数字は考えていない。1試合1試合、集中して優勝に貢献したい」と話した。ウイニングボールを手に帰路につき「(打線が)信じられない攻撃で、爆発していた。スペシャルデー」と喜んだ。

◆広島が延長10回の1イニングで12失点する衝撃的な内容で、ヤクルトに敗れた。これで開幕から4カード連続負け越し。過去優勝したチームで、4カード連続負け越しからスタートした例はない。リーグ4連覇を目指す王者が、厳しい状況に追い込まれた。 気迫の勝負手が、悪夢のシナリオに変わった。同点の9回を3人で抑えた守護神中崎が、10回も続投したところまではよかった。松山の悪送球などで1死満塁となった後、二塁への当たりを名手菊池涼がファンブル。捕球していても微妙なタイミングだったが勝ち越しの適時失策となった。さらに1点を失ったところで中崎は降板。代わった中田がさらに失点を重ねた。 10回だけで3失策。3回安部の失策を加え4失策。今季17失策はセ・リーグ断トツで、守りの野球を掲げる広島らしからぬ戦いが続いている。この日は救援陣が踏ん張っただけに、もり立てたいところだった。 あまりにショッキングな敗戦。緒方監督は「勝ちきれるチャンスがあったし、いい采配ができなかったということを自分の中で大きな反省として、また明日しっかりとした采配を振るだけです」と言葉を絞りだした。【村野森】

◆延長回に打線が目覚めた。ヤクルトが広島2回戦(マツダスタジアム)の10回、中村悠平捕手(28)の中前打を皮切りに打者16人、8安打に2四死球と敵失を絡め一挙12得点。空席が目立ち始めた球場に東京音頭が鳴りやまなかった。 延長回の1イニング12得点は、96年阪神の11点を更新するプロ野球新記録。小川淳司監督(61)の掲げる「執念」で歴史をつくった。これで巨人に並び今季初の首位タイ。3カード連続勝ち越しで、貯金3とした。打って、走って、また打った。延長10回だけでヤクルトは打者16人、敵失も絡み30分以上攻め続けた。歴史的な「12」をスコアボードに刻んだ。小川監督は「すごい。点が入る時は入るものですね。向こうのミスに乗じて、つながりのある攻撃だった」と笑顔で振り返った。 3-3の10回、先頭の中村がこの日3安打目となる中前打で口火を切った。1死満塁、山田哲が広島の守護神中崎の2球目直球に反応し、強い打球は広島二塁手菊池涼のファンブルを誘った。三塁走者の荒木が土煙を上げながら生還し、1点を勝ち越した。 バレンティンも続き、中崎をKOした。ベンチからの「行ける!行ける!」の声に乗るように、1死満塁で雄平が広島6番手中田から中前打を放ち追加点。「広島は強いし、今日は負けちゃうかなと思ったけど、粘っこく、根負けしないようにと思っていた」と話した。猛打賞の雄平に、青木は帰りのバスに乗る際「今日は雄平に尽きるでしょ」と肩を強く抱いた。 シーズン開幕の前日3月28日、全員ミーティングで小川監督は静かに訴えかけた。「120%の準備をして、執念を持って戦ってほしい」。プロ野球選手として、100%の準備を怠らないことは当たり前。その上の準備を心がけ、勝利の下地を作る重要性を説いた。就任した昨季から何度も口にする「執念」は、確かに実を結んでいる。この日も試合中、控え選手は自分の出番、試合展開を予測してベンチ裏でバットを振っていた。さらに6、7日と無安打に終わっていたバレンティンは、試合前に石井琢打撃コーチに練習を志願。ブルペンで直球、変化球を投げてもらい、打ち返していた。 今季、延長戦での勝利は2度目。青木は「あそこで去年は勝ち切れなかったけど、一押しできた」と納得の表情。劇的な勝利で、さらに上昇気流に乗っていく。【保坂恭子】

◆ヤクルトが広島2回戦(マツダスタジアム)の10回、中村悠平捕手(28)の中前打を皮切りに打者16人、8安打に2四死球と敵失を絡め一挙12得点。空席が目立ち始めた球場に東京音頭が鳴りやまなかった。延長回の1イニング12得点は、96年阪神の11点を更新するプロ野球新記録。小川淳司監督(61)の掲げる「執念」で歴史をつくった。 ▼ヤクルトが10回表に一挙12得点。延長イニングの得点では阪神が96年8月9日横浜戦(横浜)で12回表に記録した11点を上回る史上最多となった。延長イニングの2ケタ得点は阪神の11点に次ぎ2度目。延長戦の12点差は前記阪神の11点差(14-3)を更新する最多。ヤクルトの1イニング12得点以上は50年4月23日大洋戦の12点(6回)、98年4月22日中日戦の13点(1回)に次いで球団3度目。なお、1イニング最多得点のプロ野球記録はロッテが09年6月11日広島戦の6回に挙げた15点。セ最多は98年ヤクルトなど4チームがマークした13点。 ▼ヤクルトがマツダスタジアムで2連勝したのは15年8月11、12日以来4年ぶり。

◆延長回に打線が目覚めた。ヤクルトが広島2回戦(マツダスタジアム)の10回、中村悠平捕手(28)の中前打を皮切りに打者16人、8安打に2四死球と敵失を絡め一挙12得点。空席が目立ち始めた球場に東京音頭が鳴りやまず、広島ファンの中には涙を流す姿も見られた。延長回の1イニング12得点は、96年阪神の11点を更新するプロ野球新記録。小川淳司監督(61)の掲げる「執念」で歴史をつくった。これで巨人に並び今季初の首位タイ。3カード連続勝ち越しで、貯金3とした。 打って、走って、また打った。延長10回だけでヤクルトは打者16人、敵失も絡み30分以上攻め続けた。歴史的な「12」をスコアボードに刻んだ。小川監督は「すごい。点が入る時は入るものですね。向こうのミスに乗じて、つながりのある攻撃だった」と笑顔で振り返った。 3-3の10回、先頭の中村がこの日3安打目となる中前打で口火を切った。1死満塁、山田哲が広島の守護神中崎の2球目直球に反応し、強い打球は広島二塁手菊池涼のファンブルを誘った。三塁走者の荒木が土煙を上げながら生還し、1点を勝ち越した。 バレンティンも続き、中崎をKOした。ベンチからの「行ける!行ける!」の声に乗るように、1死満塁で雄平が広島6番手中田から中前打を放ち追加点。「広島は強いし、今日は負けちゃうかなと思ったけど、粘っこく、根負けしないようにと思っていた」と話した。猛打賞の雄平に、青木は帰りのバスに乗る際「今日は雄平に尽きるでしょ」と肩を強く抱いた。シーズン開幕の前日3月28日、全員ミーティングで小川監督は静かに訴えかけた。「120%の準備をして、執念を持って戦ってほしい」。プロ野球選手として、100%の準備を怠らないことは当たり前。その上の準備を心がけ、勝利の下地を作る重要性を説いた。就任した昨季から何度も口にする「執念」は、確かに実を結んでいる。この日も試合中、控え選手は自分の出番、試合展開を予測してベンチ裏でバットを振っていた。さらに6、7日と無安打に終わっていたバレンティンは、試合前に石井琢打撃コーチに練習を志願。ブルペンで直球、変化球を投げてもらい、打ち返していた。今季、延長戦での勝利は2度目。青木は「あそこで去年は勝ち切れなかったけど、一押しできた」と納得の表情。劇的な勝利で、さらに上昇気流に乗っていく。【保坂恭子】▼ヤクルトが10回表に一挙12得点。延長イニングの得点では阪神が96年8月9日横浜戦(横浜)で12回表に記録した11点を上回る史上最多となった。延長イニングの2ケタ得点は阪神の11点に次ぎ2度目。延長戦の12点差は前記阪神の11点差(14-3)を更新する最多。ヤクルトの1イニング12得点以上は50年4月23日大洋戦の12点(6回)、98年4月22日中日戦の13点(1回)に次いで球団3度目。なお、1イニング最多得点のプロ野球記録はロッテが09年6月11日広島戦の6回に挙げた15点。セ最多は98年ヤクルトなど4チームがマークした13点。▼ヤクルトがマツダスタジアムで2連勝したのは15年8月11、12日以来4年ぶり。

◆ヤクルトの雄平が3安打4打点と活躍し勝利に貢献した。「前にすごい打者が多いので、いい場面での打席が多い」と仲間に感謝した。  0-1の三回1死一、三塁で右前へ適時打し「チャンスをつくってくれたので何とか同点にしようと思った」と勢いづいた。四回に適時二塁打で今季初の2試合連続複数打点をマークし、延長十回にも2点適時打を放った。前日9日は2打点を挙げるも無安打だっただけに「昨日打てなかったので貢献したかった」と喜んだ。 マクガフ(同点の九回を抑えて来日初登板から6試合連続無失点で初勝利) 「いい感じで投げられた。特別な夜だ」 田代(延長十回に代走で出場し、打者一巡で回ってきた打席で3点三塁打) 「何が起きるか分からないので、最後まで緩めずにいこうと思った」 ブキャナン(先発して今季初登板し、5回3失点で勝敗付かず) 「緊張はなかった。(失点した五回は)もう少し丁寧にいけば良かった」

◆広島・野村祐輔投手(29)が10日、ヤクルト戦(マツダ)で先発したが、4回を投げ終えて球数を103球も要して6安打3失点、5四球で早期降板した。  一回2死満塁では西浦をスライダーで一飛、二回2死二塁では太田をチェンジアップで空振り三振に斬ってピンチをしのいだが、3度目につかまった。  1-0の三回1死で山田哲に左中間二塁打を浴びると、雄平の右前適時打で同点に。四回には先頭の投手ブキャナンを四球で歩かせるなどなど2死一、二塁のピンチを招き、バレンティンに左前適時打、雄平の左翼線適時二塁打で2点の勝ち越しを許した。ヒットを浴びる度に、マツダスタジアムのスタンドからは大きな悲鳴が起った。  野村は登板前に「初回と回の入りをしっかりしたい。良い打者が多いので1つ1つアウトを取っていけるようにしたいです」と語っていたが、悔しい結果に終わった。

◆広島の田中広が7試合ぶりの安打を放った。一回に中前に運び、七回にはバント安打と2安打を記録。ただ、チームが大敗し「僕自身もチームも、もう一度、戦う姿勢を見せていかないといけない」と言葉に気持ちを込めた。  不動の1番打者が不振に苦しみ、チームもシーズン序盤でつまずいている。「まだ、先は長いので、いい流れを持って来られるように」と復調を誓った。 菊池涼(延長十回に失点に絡む2失策) 「この敗戦を生かすも何も、やるしかない」 野村(4回3失点で降板) 「四球が多く、自分で苦しい投球にしてしまった」

◆野村は5四球と制球に苦しみ、4回で103球を要し、6安打3失点で降板した。「自分で苦しい投球にしてしまいました。ボールが先行してしまったし、追い込んだ後でも粘られて慎重になり過ぎてしまいました」。五回に味方が同点に追いついて黒星は免れたが、今後に不安が残る内容だった。

◆ヤクルトは10日、広島2回戦(マツダ)に15-3で大勝。延長十回に12点を奪い、延長で1イニング最多得点のプロ野球新記録を樹立した。  ちなみに、米大リーグの歴史や記録を主に扱う「ベースボール・アルマナック」によると、延長に入って十二回までの1イニング最多得点は11得点。ヤンキースが1928年7月26日のタイガース戦で、ツインズが69年6月21日のアスレチックス戦で奪った。

◆優勝確率0%。4連覇を目指す広島が、屈辱的な数字を突きつけられる大敗で、12年ぶりの開幕から4カード連続の負け越しとなった。  延長十回表に3失策が絡んで、ヤクルトに一挙12点を勝ち越された。延長での1イニング12失点はプロ野球ワースト記録。1950年の2リーグ分立後、開幕から4カード連続で負け越したチームは優勝したことがなく、数字上ではあるが、11試合目で早くも優勝の可能性が消えるという状況に、緒方監督もファンにざんげするしかなかった。  「こういう展開になったけど最後まで声援があった。期待に応えることができなかった。勝ち切れるチャンスはあったけど、采配がふるわなかった」  守備の乱れで流れを失った。十回無死一塁から、荒木の打球を処理した一塁・松山が二塁へ悪送球。このエラーなどで1死満塁とされると、山田哲の投手頭上を越える難しいバウンドのゴロ打球を、今度は名手・菊池涼がグラブに当てながらこぼしてしまい、勝ち越し点を献上した。  さらに菊池涼のこの回2つ目の適時失策などを挟んで、抑えの中崎と中田が一気に崩れていく。マツダスタジアムは静まりかえり、ファンはどんどん席を立った。最後まで残って応援していたカープ女子は顔を覆い、そのほおを涙がこぼれ落ちていった。  ファンだけでなくナインも放心状態だった。松山は「とにかく、反省です」と肩を落とした。中田は人目もはばからず涙を流すと、タオルを頭にかけたままロッカールームへ引き揚げた。  借金5で最下位を独走するカープ。田中広は「僕自身もチームも、もう一度、戦う姿勢を見せていかないといけない」。菊池涼も「やるしかない」と必死に前を向いた。チーム17失策は昨季の同時期の8から倍増し、両リーグワースト。カープの代名詞「守り勝つ野球」にはほど遠い試合が続いている。 (柏村翔) 両リーグ最多の17失策に、広島・高ヘッドコーチ 「しっかり守るしかない」 九回から登板し、1回1/3を3安打5失点(自責0)で今季2敗目を喫した広島・中崎  「(失策は関係なく)打たれているので、次はしっかり頑張りたい」 2失策の菊池涼を含め、松山、安部と3人の内野手が4失策を記録したことに広島・山田内野守備走塁コーチ 「試合は続く。全員がやれることをやるしかない」 ★2007年シーズンの広島  ブラウン監督の2年目で、開幕から8カード連続で勝ち越しがなく、4月は11勝15敗と出遅れ。5月に調子を上げ、月間12勝11敗1分けとわずかに盛り返したが、これが月別で唯一の勝ち越しだった。交流戦でも投打ともに不調で5勝18敗1分けの12球団最下位。最終的には60勝82敗2分けの借金22で、首位巨人と19・5ゲーム差の5位でシーズンを終えた。

◆ギネス打線の再来だ!! ヤクルトは10日、広島2回戦(マツダ)に15-3で大勝。延長十回に12点を奪い、延長で1イニング最多得点のプロ野球新記録を樹立した。十回は1死満塁で山田哲人内野手(26)の二ゴロ失策で勝ち越すと、雄平外野手(34)が2点打を放つなど、打者16人で8安打の集中打を昨季王者に浴びせた。マツダスタジアムでの1カード3連戦の勝ち越しはリーグ優勝した2015年8月以来、4年ぶり。2連勝で巨人と並び、首位に浮上した。  球史に残る猛攻で"鬼門"を突破した。延長十回1死満塁、山田哲の二ゴロを菊池涼が失策して勝ち越すと三塁ベンチがわいた。  バレンティンが、雄平が、そして西浦が適時打で続く。最後は代走で途中出場の田代が3点三塁打で締めた。打者16人、本塁打なしの8安打で12得点。リーグ3連覇中のセ王者に襲いかかった。  「点が入るときは入るものだね。(延長十回には犠打失敗など)いろいろミスがあったが、向こうのミスに乗じて点が取れた。つながりがある攻撃だった」  日本列島を『平成最後の寒波』が襲い、広島市も延長突入時は気温11度と冷え込んだ。4時間29分の熱戦後、小川監督はホッと息をついた。  2009年6月14日のオリックス戦では11打数連続安打のプロ野球記録を達成し、ギネス記録に認定された燕打線が、10年の時を経て、復活した。延長での12得点で、1996年に阪神が記録した11点を更新。延長の1イニング最多得点のプロ野球新記録を樹立した。  打線の中心にいたのは、雄平だった。5-3で迎えた十回1死満塁では、広島6番手の中田から中前に2点打。「きのうは全然打てなかったので貢献したかった」と三回1死一、三塁で右前適時打。四回2死一、二塁では左翼線に適時二塁打を放つなど、3安打4打点で大勝利に貢献した。「根負けしないように。(十回は)みんなもベンチ裏で準備していたので、頑張って声を出した」と振り返った。  同学年の盟友への思いがある。坂口が3月31日の阪神戦(京セラ)で死球を受け、左手親指を骨折した。打撃論を交わし、時には悩みをぶつけてきた仲。骨折直後には回復に効果的な酸素室などの情報を何通もメールで送った。「『坂口の分も』という思いでやっている。坂口はまた戻ってくる。その時まで結果を残していきたい」。その思いはナインも同じだ。  昨季の広島戦は6勝19敗。マツダスタジアムは2勝9敗と"鬼門"だった。同球場での勝ち越しはリーグ優勝した2015年8月11-13日以来、4年ぶりだ。  「連勝して3つ目を勝てないのが2カード続いている。明日いい試合ができれば」と小川監督は勝ってかぶとの緒を締めた。「明日はわが身。足をすくわれないようにしたい」と4安打した選手会長の中村も表情を引き締めた。目指すは球団設立50周年の優勝。強力打線で最後まで突っ走る。(長崎右) ★ヤクルトのギネス打線VTR  2009年6月14日のオリックス戦(京セラドーム)。2-2で迎えた五回、先頭青木の中前打を皮切りに9連打の猛攻。この回2度目の打席が回った青木の四球を挟み、続くガイエルの満塁弾で10打数連続安打。飯原も中越え二塁打で続き、米大リーグにも例のない11打数連続安打を達成した。球団は同記録を「ギネス世界記録」へ申請し、"ギネス打線"として認定された。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
ヤクルト
740 0.636
(↑0.036)
-
(↓1)
132
(-1)
56
(+15)
37
(+3)
10
(-)
5.000
(-)
0.000
(-)
1
(-)
巨人
740 0.636
(↓0.064)
0
(-)
132
(-1)
47
(+2)
37
(+3)
14
(-)
5.000
(↑1)
0.000
(-)
3
(-)
DeNA
650 0.545
(↑0.045)
1
(↑1)
132
(-1)
54
(+2)
45
(-)
13
(+2)
3.000
(-)
0.000
(-)
4
(1↑)
中日
560 0.455
(↑0.055)
2
(↑1)
132
(-1)
41
(+3)
39
(+2)
11
(+1)
7.000
(-)
0.000
(-)
4
(1↓)
阪神
560 0.455
(↓0.045)
2
(-)
132
(-1)
38
(-)
50
(+2)
5
(-)
4.000
(-)
0.000
(-)
6
(-)
広島
380 0.273
(↓0.027)
4
(-)
132
(-1)
35
(+3)
63
(+15)
11
(-)
3.000
(-)
0.000
(-)