阪神(☆2対1★)ヤクルト =リーグ戦1回戦(2019.03.29)・大阪ドーム=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:桑原 謙太朗(1勝0敗0S)
敗戦投手:石山 泰稚(0勝1敗0S)
  DAZN
◆阪神がサヨナラ勝ち。阪神は1点ビハインドの6回裏、近本の適時三塁打で同点とする。そのまま迎えた延長11回には、1死三塁から暴投の間に三塁走者が生還し、試合を決めた。投げては、5番手・桑原が今季初勝利。敗れたヤクルトは、中盤以降の好機であと1本が出なかった。

◆阪神の開幕セレモニーがヤクルト戦の開始前に京セラドーム大阪で行われ、劇団四季の俳優、飯田達郎が君が代を独唱した。 飯田は7月28日に京都劇場で開幕する「ノートルダムの鐘」で、孤独な青年カジモドを演じる。この日は開幕日の「728」の背番号の阪神ユニホーム姿で、試合開始前のグラウンドに登場。大ヒットミュージカル「オペラ座の怪人」のラウル役などでミュージカルファンの心をとりこにする伸びやかな歌声を披露し、球春到来を祝った。 飯田は甲子園に年間指定席を持つほどのタイガースファン。愛するタイガースナインを前に歌うのは、本職といえども「こんなに歌うって緊張するのか、と思いました」と苦笑。大役を務め「タイガースの背中を押す激励の思いを込めて、歌いました」と、ようやく笑顔を見せた。お気に入りの選手は鳥谷で「かっこいい方だし、ショートのポジションを奪い取ると頑張っておられる姿を見ると、本当のプロだなと感じます」と語っていた。

◆サッカー女子日本代表DFの鮫島彩(31=INAC神戸)が29日、阪神-ヤクルトの開幕戦で始球式を務めた。 今年6月には女子サッカーW杯が開催されることもあり、背番号「2019」のユニホームを着て登場。投球は惜しくもワンバウンドとなり「ノーバウンドで投げたかった。でも練習よりもまともだったのでOKです」と振り返った。

◆阪神ドラフト1位近本光司外野手(24)が、タイガースファンを総立ちにさせた。1点を追う6回2死から、1番のドラフト3位木浪聖也内野手(24)が敵失で出塁。近本はヤクルト小川の初球チェンジアップを捉え、右中間を真っ二つに破った。プロ初安打はタイムリー三塁打。一塁から木浪が本塁に生還し、新人の1、2番コンビで同点に追いついた。 開幕戦に先発した新人が打点を挙げたのは、球団史上初。「2死から(木浪)聖也が出塁してくれて、ランディもずっと粘りの投球を続けてくれていたので、なんとしても1点取りたいと思っていました。結果、最高のタイムリーになってくれてよかったです」と、エースを助けた同点打に声を弾ませた。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手が7回6安打1失点の粘投で、開幕投手の責任を果たした。 立ち上がり、先頭の坂口から3連打を浴びながらも、中堅・近本の本塁好返球や併殺などでヤクルトに得点を許さず。 4回に村上に先制犠飛を打たれたが、その1点だけで抑えた。1-1の状況で交代し、日米通算100勝は持ち越し。「2019年シーズン最初の登板で、基本的には自分の投球ができていたと思う。次もチームの勝利につながる投球ができるように頑張るよ」と前を向いた。

◆日本球界復帰2年目の開幕を迎えたヤクルト青木宣親外野手が、19年12球団最速で猛打賞をマークした。 第1打席で内野安打を放ち、第2打席で二塁打。5回の第3打席でも右越え二塁打。8回の第4打席も二塁へ内野安打を放ち4安打の固め打ち。「少しずつ(開幕に向けて)ピリッとする感じがある。試合が始まれば、勝手に(気合は)入ります」と話していた通り、いきなり結果を出した。

◆延長戦は、ヤクルト守護神石山泰稚投手の暴投で幕切れとなった。先頭の鳥谷敬内野手に真ん中に入った直球を三塁打とされ、1死三塁で近本への初球フォークがひっかかり暴投となった。 石山は「先頭(鳥谷)に投げ切れていないので。それしかないです」と猛省。小川監督は「(最後)ああいう形にはなったが(投手は)よく頑張った。もう少し(打線が)援護してあげられたらよかった。そこが一番じゃないですか」と振り返った。

◆64年高山忠克以来55年ぶりの高卒2年目での開幕スタメン出場を果たしたヤクルト村上宗隆内野手が、チーム初打点を挙げた。 4回1死満塁、阪神メッセンジャーの3球目、フォークボールの落ち際をうまく拾って右犠飛とした。「ものすごく緊張したけど、雰囲気に流されることなく入れた。(4回に)安打を打っていれば、2、3点と入っていた。チームが負けて悔しい」と話した。

◆ヤクルトは、3年ぶり4度目の開幕投手を任された小川泰弘投手(28)が、安定した投球で試合を作った。 3回、阪神梅野に初安打を許したが、続くメッセンジャーがバントした打球に素早く対応。捕球後、二塁へ送球して刺す好判断で、併殺打で切り抜けた。 しかし6回に野手の失策で2死一塁。続く近本に、甘く入ったチェンジアップを痛打されて三塁打を許し1失点。7回を被安打4の1失点(自責0)で降板した。「立ち上がりは、前回(オープン戦)の反省をいかして100%以上のイメージでいい入り方ができた。最少失点でいけたことはよかったけど、失策後のあの1球は反省しないといけない。2死だったし、球数をかけていいところだった」と振り返った。

◆阪神は延長11回、先頭の代打鳥谷敬が右翼への三塁打。1死後、近本の打席で暴投があり、サヨナラ勝ちした。   お立ち台に上がった鳥谷への一問一答は以下の通り。   -今シーズンの初勝利、ひとことファンにメッセージを 鳥谷 なかなか点が入らない中で、こんなたくさんのファンの皆さんが最後まで残ってくれたので、なんとか塁に出たいなという気持ちが、サヨナラにつながってよかったと思います。 -誰がお立ち台に上がってくるのか、ファンの皆さん期待感を高めて高めて待っていました。ファンの声援をあらためてお立ち台で聞いていかがですか 鳥谷 本当はホームランで決めたらかっこよかったんですけど、三塁打の後、代走も出されてますし、最後決めたわけじゃないので、ちょっと恥ずかしい感じもしますけど。 -あの打席フルカウント、仕留めた1球はどういう待ち方、スイングで 鳥谷 ランナーなしの状態だったので、フォアボールでもいいという状況だったんですけど、なんとかこう、塁に出ようという気持ちがああいう打球になったと思います。 -三塁キャンバスに立った瞬間に、矢野監督が試合が決まったかのようなガッツポーズをして、ダッグアウトを出てきました 鳥谷 それ見て自分もついついつられてガッツポーズしてしまいましたけど、はい。 -勝利の後、ダッグアウトでどういう雰囲気、どんな言葉が発せられていたのですか 鳥谷 なんとか初戦勝ちたいというところだったので、勝ってよかったなという話になっていました。 -16年目キャンプから開幕を迎えるまで、どういう気持ちで日々過ごしていたんでしょうか 鳥谷 ショートのレギュラーを目指してキャンプからやってきましたけど、今はほんとに、与えられたところでやるしかないので、その中でしっかり結果出せてよかったです。 -矢野監督も「トリは代打だけじゃない。これから競争が待っている」とはっきりと明言していました 鳥谷 ほんとに今日のように、チャンスをどんどん生かせるように頑張っていきたいと思います。 -投手陣が、メッセンジャーから最少失点でつないできた 鳥谷 なんとか先発ピッチャーに勝ちをつけたいという気持ちはあるんですけど、ピッチャーが粘ってるなかで、最後勝ったんでよかったと思います。 -勝利でスタートを切りました。試合は続いていきます。あすも含め、今シーズン鳥谷さん自身の目標も含めて聞かせてもらえますか 鳥谷 まずは今日の勝ちを明日につなげて、明日明後日と勝ちたいと思います。個人的にはしっかりチャンスを生かして、もう1回ショートのポジションに立てるよう頑張っていきたいと思います。

◆阪神梅野隆太郎捕手のスーパープレーが流れを変えた。 1回無死一、二塁から山田哲の中前打に中堅近本がホームへ返球。ハーフバウンドのボールを好捕してタッチし、三塁走者坂口をアウトにした。 矢野監督は「あれは捕手や。リュウ(梅野)が頑張ったタッチプレー」と絶賛。7回には一塁けん制で走者を刺し、8回には一塁ベンチ前に上がったフライを好捕。梅野は「こういうゲームで勝てたというのは自信になるし、価値がある」と冷静に話した。

◆7回1失点の阪神メッセンジャーに負けじと、自慢のブルペンが勝利を呼び込んだ。8回からジョンソン-ドリス-能見-桑原の継投でツバメ打線を封じ込めた。 8回。相手1番からの好打順に相対したのは、新戦力のジョンソン。バレンティンへの与四球などで2死一、二塁のピンチを背負うも、雄平を遊飛に抑えた。球場全体を揺るがす阪神ファンの応援を初めて経験し「最高です。すごいパワーになる」と実感した。 同点の9回に登場した守護神ドリスは完全投球。延長10回は能見が2死一、二塁を無失点で切り抜け、延長11回は桑原が2三振を奪う圧巻の投球で締めた。「試合自体がいい試合だったので、勝てたことがよかった」とドリス。全員の力投が報われた開幕になった。

◆矢野阪神が劇的なサヨナラ勝ちで開幕戦を飾った。1-1同点の延長11回、代打鳥谷敬内野手(37)の三塁打から相手暴投で決勝点をゲット。プロ16年目で初めて開幕スタメンを外れた男が、意地の一撃で矢野燿大監督(50)に初陣勝利を届けた。満員札止めの京セラドーム大阪に、今年最初の六甲おろしの大合唱。最下位からの頂点へ、最高の弾みがつく球春到来だ。阪神矢野監督が執念のタクトで一生モノの「指揮官初白星」を挙げた。劇的勝利直後、ナインとハイタッチ。白い歯を見せ、満面の笑みがこぼれる。「ちょっと騒々しい勝ち方でしたけど何でもいいです、勝てたので。一生忘れない1勝になる」と声を上ずらせた。 矢野阪神の戦いを凝縮した白星だった。1点を争う好ゲーム。「本当に投手陣がよく頑張ってくれた。点をたくさん取って勝てるのが一番いいけど、うちの今年はこういう試合をもぎ取っていくのが大切なポイントになってくる」。ディフェンス重視でしのいで、勝機を探る。泥臭い試合運びこそ今年の戦い方になる。 昨年10月中旬に監督に就任。東京に行けば多忙の合間を縫って野村克也元監督に会いに行ったという。現役時に薫陶を受けた恩師だ。「俺が野村さんによく言われたのは『あんまり球が速くない投手をどうするかは、お前にとってすごくいい勉強になる』」と明かしたこともある。この日も現役時と同様の守り勝ちだ。 心からアプローチする指揮官だ。「楽しむ」をテーマに掲げ、この日も「俺自身は緊張しながらも楽しめた」と振り返った。最下位から巻き返す1年。ナインには祝福をあらかじめ予定して前祝いする「予祝」を勧める。実は小さな奇跡も起きている。開幕1軍に入った江越は言う。「いいことを信じてやればかなう。2軍戦でホームラン打てたりとか、開幕1軍とか思ったことが本当にできた」。20、21日の2軍戦で3本塁打を放ったのも、前祝いの成果だという。残り142試合。全員で喜びを積み重ねていく。【酒井俊作】

◆矢野阪神が劇的なサヨナラ勝ちで開幕戦を飾った。1-1同点の延長11回、代打鳥谷敬内野手(37)の三塁打から相手暴投で決勝点をゲット。プロ16年目で初めて開幕スタメンを外れた男が、意地の一撃で矢野燿大監督(50)に初陣勝利を届けた。満員札止めの京セラドーム大阪に、今年最初の六甲おろしの大合唱。最下位からの頂点へ、最高の弾みがつく球春到来だ。白球が捕手中村のミットをすり抜け、バックネットまで転がった。延長11回1死三塁。石山が投げた近本への初球はワンバウンドした。三塁走者の代走江越がホームを踏んだ。サヨナラだ。ベンチからドッと虎ナインが飛び出した。ヒーローは誰...? 追いかけられたその先に、歓喜のシャワーを浴びる鳥谷がいた。劇的フィナーレの主役は、お立ち台に立って照れくさそうに笑った。 「本当はホームランで決めたら格好良かったんですけど、三塁打のあと代走も出されてますし、最後決めたワケじゃないんで、ちょっと恥ずかしい感じもします...」 1-1で迎えた延長11回。土壇場の先頭で代打の打席に立った。フルカウントから石山の7球目だ。真ん中速球を思い切り引っ張ると、打球は高々と右翼上空を舞いフェンスに直撃。快足を飛ばして、一気に三塁に達した。「ベンチから全員出てくる感じだったので、それに乗せられた(笑い)」と、珍しく感情を爆発。両手をたたいて喜んだ。無死三塁。ベテランのひと振りで決定機を築き、サヨナラ劇につなげた。 球団史上最多の安打数を誇る実力者が、泥臭く前を向く。2月の沖縄・宜野座キャンプは志願して遊撃のレギュラーを競った。キャンプでは初日から若手に交じって全メニューを消化。開幕戦こそ、オープン戦好調の木浪にスタメンを譲り、自身が新人から続けていた開幕戦先発は15年連続で途切れたが、勝負どころでの代打で輝いた。 矢野監督もその姿勢に感服だ。「16年連続スタメンっていうのは、俺がストップさせちゃったけど、いい場面で何とかと思っていた。昨日の練習も外野で(自分の練習後)ずっとボールを捕ってるトリの姿っていうのを。見てたから。気持ちはすごく感じていた」と、深くうなずいた。 「まずは今日の勝ちを明日につなげて、明日、明後日と勝ちたいと思います。個人的にはしっかりチャンスを生かして、もう1回ショートのポジションに立てるよう頑張っていきたい」 黄色に染まったスタンドに向かって、鳥谷はそう宣言した。昨季、10連敗を喫するなど最下位に沈んだ一因となった因縁のヤクルト戦から開幕星を挙げた。逆襲を期す鉄人の一撃からのサヨナラ劇。矢野阪神、最高の船出だ。【桝井聡】

◆阪神ドラフト1位近本光司外野手(24)が快足を飛ばして、グングン加速した。満員の京セラドーム大阪のファンも一斉に立ち上がった。 一塁も二塁も蹴って一気に三塁へ-。三塁に到達すると、にこやかに両拳をあげる「Vポーズ」。同じタイミングで虎党はメガホンを上げた。ベンチでは矢野監督も「Vポーズ」だった。 「夢中でしたね。(三塁)ベースに到着して、手袋を外して、六甲おろしが終わったぐらいにブワァって盛り上がってるのを一周、見たんですけど、そのときにブルってきましたね。これが阪神ファンなのかと感じました」 2番中堅でスタメン出場。ドラフト1位がオープン戦の好調をそのまま体現した。6回2死、失策で出た1番木浪を一塁に置き、小川の初球を狙った。外角高め128キロチェンジアップを捉えると打球は右中間を割った。近本が「しっかり、やりたいことができてよかった」と、爽やかに振り返えれば、矢野監督も「初球にああいう形で点を取れたというのは、相手に与えるダメージも大きかった。良い1点でした」と、新人の一振りをねぎらった。 守備でも魅せた。初回、無死一、二塁のピンチで山田哲が中前打。だがセンターからの好返球で間一髪タッチアウトにした。「結構あの場面は手汗がひどかった。(刺殺で)緊張がほぐれたというか、ふと我に返って、いつも通りを心掛けました」。春季キャンプやオープン戦では周囲からは「肩が弱い」と指摘も受けた。ただ、そんな声が耳に入っても気にしない。「カットマンまで強く正確に。もちろん、ひとりでホームまで投げる意識もあります」。打点1に等しい千金守備でメッセンジャーを援護した。 どこまでも持ってる男だ。延長11回1死三塁のサヨナラ機。「絶対、ここで決めてやろうと。まさかの...」。相手暴投を呼んで、ナインにもみくちゃになった。初ヒットの記念球は「親に渡します。今日、見に来てくれていたので」。公式戦のデビュー戦で、最高の親孝行だ。淡路島で生まれ関西で育った。虎に地元スターの誕生だ。【真柴健】   ▼近本が放った6回にプロ初打点。阪神の新人が開幕戦で打点をマークしたのは、56年大津淳が広島戦で2打点を挙げて以来、63年ぶり。   近本の父・恵照(よしてるさん)(現地で観戦して初ヒットを目撃)「あれだけの歓声の中で打ってくれた。チームのための初ヒット、初打点になった。やっとプロとしてのスタート。阪神ファンのみなさんを喜ばせるプレーを続けてほしい」   巽史明氏(近本の東浦中時代の担任で野球部監督)「泣いちゃいましたね...。あの場面で打つとは。自分のことのようにうれしかった。興奮しました。でも1本出てホッとしましたね。ここからも頑張ってほしい」

◆オープン戦最多安打のドラフト3位ルーキー阪神木浪聖也内野手が1番遊撃でデビューした。6回の打席ではショートのエラーを誘う痛烈な当たりで出塁。続く近本の適時三塁打で生還し、矢野阪神の初得点を刻んだ。 「(開幕戦は)緊張しました。決めてやろうという気持ちでいきましたが...」。延長11回無死三塁のサヨナラ機で三振に終わった場面を悔しがった。

◆矢野阪神が劇的なサヨナラ勝ちで開幕戦を飾った。1-1同点の延長11回、代打鳥谷敬内野手(37)の三塁打から相手暴投で決勝点をゲット。プロ16年目で初めて開幕スタメンを外れた男が、意地の一撃で矢野燿大監督(50)に初陣勝利を届けた。 <近年の阪神新監督の開幕戦> ◆星野仙一(02年3月30日、3○1巨人=東京ドーム)井川が完投勝利。前年までのチーム開幕戦連敗は11でストップ。闘将は「めでたいこっちゃ。でも今日はこれで忘れる。また明日や」と前を向いた。 ◆岡田彰布(04年4月2日、8○3巨人=東京ドーム)1点を追う8回に一挙6点を挙げた。開幕戦逆転勝利はチーム15年ぶり。「投手が辛抱すれば、必ず終盤に逆転できる。信頼関係のできた、いい試合だった」と満足顔。 ◆真弓明信(09年4月3日、5○2ヤクルト=京セラドーム大阪)金本が3回に1号。先発安藤に7イニングを任せ、ウィリアムス-藤川の継投で逃げ切った。「ゲームの流れをつかむのが大事だった」と笑顔を見せた。 ◆和田豊(12年3月30日、5△5DeNA=京セラドーム大阪)7回に関本の代打逆転3ラン。9回藤川が打たれ同点。10回に勝ち越されたが、その裏追いつき引き分け。「絶対にあきらめないという気持ちが、各バッターに出ていた」。 ◆金本知憲(16年3月25日、2●5中日=京セラドーム大阪)1番高山、2番横田とプロ初出場を並べた。メッセンジャーが踏ん張れず、守備も乱れ黒星発進。それでも「負けたけど本当にいいものを見せてくれたと思う」とねぎらった。

◆プロ初の「H」ランプは値千金の同点打。阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)が29日の開幕ヤクルト戦(京セラ)で、プロ初安打となる適時三塁打を放ってみせた。  「2死から(木浪)聖也が出塁してくれて、ランディ(メッセンジャー)もずっと粘りの投球をしてくれていたので、何としても1点取りたいと思っていました。結果、最高のタイムリーになってくれてよかったです」  待望の快音は、1点リードを許した六回2死一塁。ヤクルト・小川の初球チェンジアップにバットを伸ばすと、打球は右中間を真っ二つ。スライディングすら必要ない、悠々の三塁打。力投を続けるメッセンジャーにうれしいプレゼントだ。  守備でもチームを救った。一回無死一、二塁。ヤクルト・山田哲の鋭い打球が中前へ。これに猛チャージをかけると、170センチの体を目いっぱい使ってバックホーム! 梅野がショートバウンドで受け取ると、二走をシャットアウト。チーム助けるビッグプレーで、華々しくプロとしてのスタートを切った。

◆ヤクルトは石山泰稚投手(30)が延長十一回に一死三塁から暴投を犯しサヨナラ負け。開幕戦を勝利で飾れなかった。3年ぶりに開幕投手を務めた小川泰弘投手(28)は7回1失点の好投を見せたが勝ち負けは付かず。三塁手としては球団史上最年少での開幕スタメンを飾った2年目の村上宗隆内野手(19)は四回に先制の犠飛を放った。

◆阪神・矢野燿大監督は初采配となった29日の開幕・ヤクルト戦(京セラ)にサヨナラ勝ち。1-1の延長十一回、先頭の代打鳥谷の三塁打から、相手の暴投で白星を手にし、試合後は興奮気味に話した。  「ちょっと騒々しい勝ち方でしたけど、何でもいいです。勝てたので」  サヨナラ勝ちをおぜん立てした鳥谷については「何回も(代打の)準備させてたので。後ろで『トリ、悪い、準備疲れするんじゃないか』と言ったら、ニコってしてね。先頭は最後はトリで行くと決めていた。本当に気持ちを感じる一打だったので、ベンチの前まで出てしまいましたけど(笑)」  自身の監督初勝利については「始まったらすごい、どんだけかくねんっていうぐらい手に汗かいてたね。本当に信じるしかできないけど、信じた結果というか。頑張ってくれ、頑張ってくれとしか言うことしかできなかったけど、ほんとにみんながそれぞれ頑張ってくれた。最後は打って決めてくれるんか、というのもあったけど、どんな形(暴投)でも勝てたのは、一生忘れない1勝になると思います」  ウイニングボールについては「転がっていったから(笑)。テニスのボール拾いにいく人みたいに取りに行かれへんやろ」と笑いながら話した。

◆ヤクルトの小川は7回1失点(自責点0)で勝敗は付かなかった。  1-0の六回2死から木浪のゴロを遊撃手の広岡が失策。直後に三塁打を許した近本には浮いたチェンジアップを捉えられ「失策で出た走者をかえすまいとカバーしたかったが、甘い球をうまく打たれた」と悔やんだ。  自身3年ぶり4度目の大役だった。重圧がかかる開幕戦でこれまでと同様に安定感を発揮したエースは「試合はつくれた」と話した。 村上(四回の満塁機で先制犠飛) 「あそこでヒットを打っていれば、2、3点は入っていた。チームの負けが一番悔しい」 ヤクルト・田畑投手コーチ(先発の小川に) 「開幕戦の重圧の中、ボールを操っていた」

◆阪神のメッセンジャーは7回1失点。日米通算100勝は持ち越しとなったが、5年連続の開幕戦先発で持ち前の粘りを発揮し、サヨナラ勝ちにつなげ「チームに勝つチャンスを与えられたという意味では、これ以上ない仕事ができた」と満足感を口にした。  一回、いきなり連打を浴び、山田哲に中前に打ち返されたが、近本の本塁好返球に救われた。四回に犠飛で1点を先行されても追加点を許さず、球団では小山正明、江夏豊に並んで最多となった6度目の大役の責任を果たした。 桑原 「しっかり抑えられて、勝ちが付いたので良かった」 ジョンソン(来日初登板で無失点) 「ファンの大声援にパワーを感じた。自分の仕事ができた」 ドリス(九回を抑え) 「すごくいい試合だった。最初の勝利は大きい」 阪神・金村投手コーチ(無失点の救援陣に) 「慣れている投手たちだが、やっぱり開幕戦は違う。ゼロでいってくれたのはすごい」 阪神・浜中打撃コーチ(鳥谷に) 「まだまだ欠かせない」 木浪(新人で先発出場して無安打) 「緊張した。まだまだかなと思う」 梅野(好守と好リード) 「一つ(試合を)取れたのはすごく大きなこと」

◆ヤクルトのベテラン青木が、昨年の坂口らに並ぶチーム最多記録の開幕戦4安打を放った。  一回の内野安打に始まり、右翼線二塁打で出塁した四回は村上の犠飛で先制のホームイン。五回は右翼フェンス直撃の二塁打とし、八回にも安打を放ち、「個人的にはいいスタートが切れた。結果が付いてくれば乗っていける」と話した。  米大リーグから7年ぶりに復帰した昨季序盤は日本球界への適応に苦しんだが、「1年やって知っているのは大きい。手応えはある」。自信を持って迎えた開幕戦で快打を重ねた。

◆ヤクルト・小川泰弘投手(28)が29日、阪神との開幕戦(京セラ)に先発し7回4安打1失点(自責0)の好投を見せた。  直球とチェンジアップがさえ、開幕の緊張感の中で試合を作った。右腕は「立ち上がりは100%以上でいって、いい入り方ができたと思う」と納得の表情を浮かべた。  しかし、六回2死から遊失で走者を出し、続く近本に適時三塁打を浴びた場面を悔やみ「最少失点でいけたのはよかったけれど、失策の後だったので、球数をかけても場面だった」と振り返った。

◆ヤクルトは29日、阪神との開幕戦(京セラドーム)に1-2でサヨナラ負けを喫した。延長十一回に守護神、石山泰稚投手が先頭の代打鳥谷に三塁打を浴び、最後は暴投で三塁走者の生還を許した。  石山は「先頭打者に対して投げきれなかった。そこしかないですよね」と反省。小川監督は「(投手陣は)よく頑張っていたが、最後ああいう形になってしまった。打撃陣がもう少し援護してあげられれば良かった」と冷静に振り返った。

◆2019年シーズンが開幕。延長の末、矢野阪神が初陣で白星をつかみ、虎党も興奮さめやらぬ様子だ。  友人と開幕戦を初めて観戦した兵庫・姫路市の大石凌さん(19)=学生=は「ヒットもそうだけど近本の一回表の(本塁への)あの送球がすごかった」とルーキーの攻守での活躍を称賛。京都・宇治市の駒田泰子さん(45)=看護師=は「若手とベテランが融合していた。1、2番コンビは耐えて使い続けてほしい」と、さらなる活躍に胸を膨らませていた。  鳥谷のユニホームを着て応援した大阪・浪速区の檀原秀章さん(49)=会社員=は「打線があと1本が出なくて厳しかったかなと思ったけど、最後に鳥谷さんがやってくれた。あの1打で会場をドカンと盛り上げてくれたし、興奮した」と笑顔だった。

◆D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は、延長十一回無死三塁のサヨナラ機に空振り三振。「1番・遊撃」で挑んだデビュー戦は、ホロ苦い5打数無安打だった。「決めてやろう、打ってやろうという気持ちはあったんですけど、ああいう形で終わったのでまだまだです」。ただ一回先頭の左飛は鋭い当たりで、0-1の六回2死、遊撃失策を誘った痛烈な打球も「H」ランプが点灯してもおかしくなかった。「仕方がないです、それは」と、気持ちを切り替えていた。

◆「4番・三塁」で先発した大山が4打席目に今季初安打を放ち、意地を見せた。「(最後に安打がでて)よかったと思います」。九回の第4打席。2死から3番手・ハフの2球目、外角チェンジアップをバット折りながら左前に運んだ。球団の生え抜き選手で開幕4番を務めるのは、2003年の浜中治(現打撃コーチ)以来。次こそは勝利に直結する快音を響かせる。

◆矢野監督猛虎劇場よ、最高のドラマをアリガトウ~!! ルーキー近本が劣勢の中で六回2死から虎党大興奮の同点三塁打に、延長十一回の打席ではサヨナラとなる暴投を誘った大活躍!!  そこでオレは思う!! 4月1日に発表になる新元号を、日本国のエライ方々は若者に未来を託し『近本』ではどうでしょう? 人間関係の希薄さや格差が広がっている現代に、「近」く隔たりのないその「本」(原点)にしません? もしくは平成の30年間、冷え切った時代とともに、一度も日本一に輝かなかった虎党に逆転の夢を託し、新元号を『阪神』にしましょう!!  サヨナラを演出した大ベテラン、代打・鳥谷の「ルーキー木浪にスタメンは渡したけど、これがプロや!!」の三塁打に全国の虎党が涙し、日本選手登録された開幕投手のメッセンジャーが、味わい深い「だし」のあるピッチングでの1失点!!  矢野野球は「自分のできることを全力でヤル!!」と、早くも開幕戦で見せてくれたのだ!! 最下位予想した野球評論家(実に多かった~)、秋は首を洗って待ってろよ~!!

◆--劇的な勝利だった  矢野監督「ちょっと騒々しい勝ち方でしたけど何でもいいです。本当に手に汗を握りながら、緊張しながら見ていました。本当に投手陣がまずよく頑張ってくれた。リュウ(梅野)も(一回の)タッチプレーも、リードもすごくさえていた。バッテリーがすごく頑張ってくれた」  --メッセンジャーは  「気持ちあふれる投球でチームの流れを作ることができました。彼のハートというか、気持ちは俺もわかっている中で(六回の打席で)かえる選択肢はなかった」  --救援陣も  「みんなすごく緊張感のあるなかでの初登板の場面だったので、それぞれすごく大変だった。気持ちを前面に出して投げてくれている姿は熱くなる。うれしかった」  --延長十一回には鳥谷が三塁打  「何回も準備させてたので。後ろで『トリ、悪い、準備疲れするんじゃないか』と言ったらニコってしてね。先頭は最後はトリで行くと決めていた。本当に気持ちを感じる一打だったので、ベンチの前まで出てしまいましたけど(笑)」  --ウイニングボールは  「転がっていったから(笑)。テニスのボール拾いにいく人みたいに取りに行かれへんやろ。誰か行ってくれ、みたいな(笑)」  --験担ぎは  「あまりしないんだけど、桜は見に行ったよ。昨日も見にいったから、きょうだけのことじゃないんだけど。特に何もしないってことが験担いでるんだけど。きょう勝ったから何か、今日と明日、同じことをしそうな気がするけど」  --ファンに向けて  「点をたくさん取って勝てるのが一番いいんでしょうけど、うちは、こういう試合をもぎ取っていくというのが大切なポイントになってくる。みんなで勝ち取った試合と思うので、こういう試合をこれからもたくさんやっていきます」

◆三塁側で「がんばってください」。一塁側で「お願いします。浮沈がかかっているんです」。  それじゃ引き分けになってまうやないの。なかなか点が入らなかったのは、そのせいか...。  試合前、わがサンスポのおエラ方が京セラドームに集結いたしました。片山雅文産経新聞大阪代表、鳥居洋介取締役サンスポ担当、吉川達郎東京執行役員サンスポ代表、畑恵一郎大阪サンスポ編集局長が、まずは練習中だったヤクルトベンチへ。その後、阪神ベンチを訪れ、それぞれの球団関係者を表敬訪問させていただいたのです。  吉川サンスポ代表は法政大野球部出身で、ヤクルトの小川監督や衣笠剛球団社長と話し込んでいると大学の後輩の大引選手も挨拶にきて、昨季の2位から今年こそはと景気のいいやりとりになりました。その後、一塁側に移動し、ここでは熱狂的な虎ファンの片山大阪代表が、阪神の揚塩健治球団社長、谷本修副社長に「阪神に、サンケイスポーツの浮沈がかかっているんです」。  神様はどっちを応援したらいいのか、迷ったことだろうと思います。  同行した大澤謙一郎運動部長は、4人のアテンドを終えると『当日券はありません』という球場入り口の張り紙に目をとめ、球団の営業担当と話し込んでいました。  「この3連戦はすべて完売で、チケットの売れ行きは去年以上だそうです。去年は雨で日程消化が遅くなった影響で見込みより10万人減くらいになったけれど、今年は2017年(303万4626人)以来の300万人動員が期待できると言うてはりました」  昨年が主催71試合で289万8976人でした。143試合のうち72試合を主催する順番の今季は、300万人超えが十分に期待できる勢いなのだそうです。  「去年最下位だったのに、ファンは矢野阪神にこんなに期待してはるんやなあと、改めて思いました」  そんな熱いファンが声援を送ってくれる中、トラ番たちも気合が入っておりました。  「初心に戻ってこのネクタイにしました」  前日「勝負服でいきます」と宣言していたキャップ大石豊佳は、10年前の入社式でしめていたネクタイを引っ張り出しました。産経新聞、サンスポ、夕刊フジなど東西合わせて20人の中で、なぜか大石に、「新入社員代表挨拶」の役目が回ってきたのだそうです。  「なぜ僕だったのか、何を話したのかも覚えていません。でも、そういう"運"があるネクタイだから、験担ぎにいいかなと思って」  3年目のトラ番竹村岳は、ワインレッドの水玉のネクタイ。昨年の誕生日(3月14日)に友人から「魂を燃やして仕事をしろ」と贈られたプレゼントです。  「去年の開幕戦にしていったら、メッセンジャー投手が好投して巨人に5-1で勝ったので」  なんだ去年と一緒かと言ったら、「いつもと同じが一番です」と返されました。  「全然ピリピリしてないです。新人の木浪選手も、近本選手もいい意味でのびのびしている感じでした」  その木浪と近本で六回に同点にして、最後はベテラン鳥谷が!! いけるぞ。大阪サンスポも阪神も、一緒に浮上するぞ~。え? 東京サンスポの浮沈? それはこのあとヤクルトに、広島や巨人相手のときに頑張っていただいて...ネ。

◆昨季のゴールデングラブ捕手・梅野が攻守で存在感だ。難しいバウンドになった一回の中堅・近本のバックホームを好捕し、タッチアウトに。「無回転くらいのハーフバウンドで簡単な球じゃなかったけど(近本も刺そうと)勝負にいっているし、捕れたことはすごく大きい。近本も自信にしてほしい」とうなずく。捕邪飛や、ワンバウンドストップでもハッスル。三回1死の今季初打席ではチーム初安打となる中前打も放ち、バットでも魅せた。

◆5年連続6度目の開幕投手を務めたメッセンジャーは、さすがのゲームメイクで7回6安打1失点。日米通算100勝はお預けになったが「チームに勝つチャンスを与えるという意味では、これ以上ない仕事ができたと思う」と胸を張った。一回先頭から3連打を浴びるまさかの立ち上がりも、中堅・近本の本塁補殺に救われた。続くバレンティンを遊ゴロ併殺とし「助かったし、みんなが助けてくれて勢いに乗れた」と感謝しきりだった。

◆試合前に出陣式が行われ、揚塩球団社長が「秋に甲子園で矢野監督を胴上げすることを強くイメージしましょう」と訓示。球団史上最年少主将を託された糸原が「去年悔しい思いをした分、今年はやり返す気持ちで『オレがヤル』という気持ちを持って、やっていきましょう。また苦しい時期がくると思いますがチームがひとつになって、同じ方向を向いて、最後に、矢野監督を胴上げできるように頑張っていきましょう!」と声を張りあげ、全員でハイタッチを交わした。

◆プロ野球が開幕し、矢野燿大新監督(50)が就任した阪神は、京セラドームでヤクルトに延長十一回、2-1でサヨナラ勝ちした。  桜宮高、東北福祉大の1年先輩で現在は大阪市内でワインバー「base」を経営する松本俊彦氏(51)は「印象に残っているのは大学入学の時ですね」と懐かしそうに目を細めた。  「高校の先輩でもあるから、仙台駅まで僕が車で迎えにいって。『どっか遊びに行こか?』って言ったら『遊びに来たわけじゃないので。すぐ練習に行きます!』って...。驚いたなぁ」  松本氏が大学4年時、3年生だった矢野監督は三塁を守っていた。「嫌々やってるように見えて。『嫌々やるな』って言ったんです。そうしたら『キャッチャーがいいんです。サードじゃプロにいけませんから。キャッチャーじゃないとプロは無理なんです』って返されて。印象に残ってますね」と振り返った。

◆高卒2年目の19歳、村上が三塁手として球団最年少で開幕スタメンで出場。四回1死満塁から右犠飛を放ち、チーム唯一の得点をもたらした。開幕戦で10代の選手が打点を挙げたのは球団史上初。安打は出ずに「チームが負けてしまったので。ヒットを打っていればもう2、3点入っていたと思う」と悔やんだが、「明日(30日)はしっかり勝ちたい」と前を向いた。

◆初勝利おめでとう! 東北福祉大時代に投手として阪神・矢野燿大監督(50)とバッテリーを組み、ともに中日に入団した吉田太氏(50)がサンケイスポーツに祝福メッセージを寄せた。わずか4年で仲間が戦力外となったことが、矢野監督の"転機"といわれているが「ちょっとでも矢野の野球人生の役に立っていたなら十分」と笑った。  本当に、おめでとうしかいえないです。  ゆくゆくは監督になるんやろうなと(同級生)みんな思っていたと思いますが、さすがに(東北福祉大で1学年下の)金本の次でびっくりしました。あまり大変そうな感じは見せてないですが、大変なんやろうなぁ。プレッシャーもあるでしょうけど「矢野やったら何とかしてくれる」っていうのが昔からありましたから。期待しています。  大学時代は毎日一緒にいましたね。ご飯とか、パチンコとか...。パチンコは矢野が負けた記憶があまりなくて「何もかももっとるな!!」って話したことがありますねぇ。矢野は知らないと思うんですが、大学時代からファンの女の子がいて、僕がいつも一緒にいるからしょっちゅうプレゼントを預かって。そのお弁当をこっそりいただいたこともありました(笑)。やっぱりモテていたイメージはありますね。  ドラフトのときは4人(注)一緒に監督室で待っていて。矢野は巨人と中日に2位で指名されて、中日が引いたときは「えっ!」と不安な顔で言ってましたよ。巨人に、と祈ってましたけどね。唯一、中日だけ知り合いがいなかったみたいで。その後、僕も4位で中日から指名が来たときは喜んでくれました。  プロでは僕がほとんど2軍だったので、あまり接点がなくなってしまって。僕が解雇されたときに部屋に訪ねてきてくれたそうですが、もう出てしまった後で、会えなくて...。人づてに聞きました。僕の解雇で気持ちを新たにしてくれたんですか? ちょっとでも僕が矢野の野球人生の役に立っていたなら、それで十分ですよ(笑)。  今月に大学の関西OB会で会ったときも雰囲気が変わった様子は全然なかったです。去年12月には全国の同級生で仙台に旅行にいって(伊藤義博監督の)お墓参りにいきました。矢野は監督になったばかりで急きょ来られなくなってしまって残念でしたが、やはり同級生で集まると矢野の話になります。その際、同級生で矢野の応援ツアーをやろうかって話が出て。甲子園ツアー、できるとしたら今年ですかね。楽しみにしています!  (注) 1990年11月24日に行われたドラフト会議で、東北福祉大からは矢野輝弘(当時)が中日2位、吉田太が同4位、宮川一彦が横浜2位、小坂勝仁がヤクルト2位で指名を受けた

◆ボールがバックネットに転がるのを確認し、矢野監督がベンチを飛び出した。右手を突き上げ、満面の笑みだ。劇的すぎる初陣。虎の新監督史上初めて、開幕戦サヨナラ初勝利を手にした。  「すごい、どんだけ手に汗かくねんっていうぐらい手に汗かいてた。本当にみんながそれぞれ頑張ってくれた。最後は打って決めてくれるんか、というのもあったけど、どんな形でも勝てたのは、一生忘れない1勝になると思います」  選手が打てば一緒に両手を突き上げて喜び合い、初采配を楽しみ、初白星がついてきた。  本意ではない形でのバトンだった。17年ぶりの最下位に終わった昨季終了後、盟友・金本前監督が辞任。志し半ばだったことは誰よりもわかっていた。10月18日、就任会見の後に気の置けない仲間に電話で就任を報告。東北福祉大で、主将の矢野監督を副主将として支えた石田稔之さん(50)に「引き受けることになったわ...」。声のトーンは低かった。金本氏のことを気にしていたことは、電話越しでも明らか。旧友を心配させた。  それでも覚悟を決めて受け入れた。ドラフト翌日の10月26日には元阪神監督の恩師、野村克也氏(サンケイスポーツ専属評論家)の東京都内の自宅を訪問。2017年12月に亡くなった沙知代夫人の遺影に手を合わせた。「野村さんのおかげで(阪神で)レギュラーも取れた。考える野球を教えてもらったのも、野村さん」。捕手としても、虎将としても大先輩。その教えを改めて胸にしまい、決意を新たにした。  「俺自身は緊張しながらも楽しめたというのはあるし。見てる範囲で選手たちもそういうムードを持って戦えたのかなと思う」  誰も予想しなかった形のスタート。矢野阪神の誰も予想できない"楽しませる"シーズンが始まった。(大石豊佳) 矢野監督と同様に就任1年目の初戦勝利に阪神・藤原オーナー 「最高です、みんなようやりました!」

◆予想外の幕切れだった。延長十一回にヤクルトの守護神、石山泰稚投手(30)が暴投。3時間29分の死闘をサヨナラ負けで終え、小川淳司監督(61)は「(投手陣は)よく頑張っていたが、最後ああいう形になってしまった。打撃陣が、もう少し援護してあげられればよかった。それが一番じゃないか」と振り返った。  開幕戦の独特の緊張感の中、決定打を欠いた。一回無死一、二塁から山田哲が3者連続安打となる中前打を放ったが、二走が本塁憤死。続くバレンティンは遊ゴロ併殺打で無得点と、試合の流れをつかめなかった。  延長十回2死一、二塁では代打・塩見が遊ゴロ。得点圏に5度走者を進めながら、得点は村上の犠飛のみだった。投手陣は粘っただけに、執念を1勝目につなげたい。 (長崎右) 7回1失点(自責点0)のヤクルト・小川 「立ち上がりは100%以上でいって、いい入り方ができた。最少失点でいけたのはよかった」

◆大声援に背中を押され、ぐんぐん加速した。打球は右翼フェンス最上部で跳ね返ったが、三塁ベースに到達した鳥谷は拳を握り、珍しく感情をあらわに。ナインは身を乗り出し、矢野監督もファンも興奮は最高潮だ。虎一筋16年目のベテランが勝利に導いた。  「本当はね、ホームランで決めたらかっこよかったんですけど(笑)。三塁打の後、代走も出されてますし最後決めたわけではないので、ちょっと恥ずかしい感じもしますけど。何とか塁に出ようという気持ちがああいう打球になったと思います」  矢野虎のお立ち台第1号に照れ笑いを浮かべながら、歓声を全身で浴びた。1-1の延長十一回無死。代打で登場し、フルカウントから石山の147キロを振り抜く三塁打。直後のサヨナラ暴投を呼び「どんな形でもヒットを打てるのはいいこと」とうなずいた。  プロ16年目。1年目から続いていた開幕スタメンは、初めて途切れた。それでも遊撃再挑戦を直訴した37歳は、強い決意で開幕を迎えた。  エールを送る一打だった。今年2月。キャンプ休日に病院を訪問し、平良良拡ちゃんと出会った。まだ0歳の小さな体で戦う病名は「左心低形成症候群」。ベッド横に立つ屈強な"大男"に良拡ちゃんは大泣きだったが、親族から「沖縄好きですか?」と聞かれると、「好きですよ」と柔和な笑みを浮かべ、写真におさまった。  近々手術を受ける予定の小さなファンと家族にとって背番号1の活躍は必ず励みになる。矢野監督は「(連続開幕スタメンは)俺がストップさせちゃったけど、いい場面で何とかとは思っていた。本当によく打ってくれたな」と最敬礼だ。  「きょうの勝ちを明日もつなげて、明日も明後日も勝ちたいと思います。個人的には、しっかりチャンスをいかして、もう一回ショートのポジションに立てるように頑張っていきたい」と鳥谷。熱い思いを込めたひと振りで、これからも何度も虎を救っていく。(新里公章)

◆付け入る隙を与えなかった。同点の八回以降、矢野監督が次々に投入した勝ちパターンの投手が全員、好投! ジョンソン、ドリス、能見、桑原のリレーで4回をわずか2安打、無失点だ。  「試合自体がすごくいい試合だったので。最後もああやって勝てたのは大きいし、チームとして最初の試合で最初の勝利というのはよかったと思います」  冷静に振り返ったのは守護神を任されたドリスだ。今季の九回は「オレがヤル!」と言わんばかりの快投で、九回を三者凡退でシャットアウト。昨季は同点のマウンドで勝ち越される場面が目立っていたが、来日4年目の今季はひと味違う。  まずは村上を153キロ高め直球で空振り三振。続く広岡は1球で三邪飛に詰まらせ、最後は中村を外角低め137キロスライダーで見逃し三振。力でねじ伏せた。  来日1年目で初登板となったジョンソンは直前の八回に登板し、1安打1四球も無失点。最速151キロの直球は力があり、燕打線のバットを次々と詰まらせた。「最高でした。ファンの方々の大声援にパワーを感じたし、チーム全体でいい野球ができました。自分の仕事ができたと思います」と。劇的な勝利に喜びをあらわにした。  延長では能見が十回を抑えれば、十一回は桑原だ。「開幕戦でしっかり抑えられて、勝ちもついたのでよかったです」。2奪三振で三者凡退。2年連続60試合以上登板を果たした虎の頼もしいリリーバーは、今季も抜群の安定感だ。  「苦しい展開、厳しい場面でよくやってくれた。慣れてる投手なので、しっかり抑えてくれたのはデカイ」と金村投手コーチ。虎の救援陣は今季も盤石。ブルペン一丸となって白星を拾い集めていく。(箭内桃子) 十回を抑えた阪神・能見 「緊張しました。(スーパークイックも挟んだが)球が速くないので、うまいことやりながら。打線がいいので難しいですね。トリがよく打ってくれました」

◆ありがとう、近本! プロ野球が開幕し、矢野燿大新監督(50)が就任した阪神は、京セラドームでヤクルトに延長十一回、2-1でサヨナラ勝ちした。ドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=がプロ初安打となる適時三塁打を放つなど攻守に躍動。新生タイガースが劇的発進だ!!  生まれ変わった猛虎が劇的に産声をあげた。内角球を避けた近本は三走・江越を大きく手招き。そしてバンザイ! ホームベースに出来る歓喜の輪と、ドームを揺らす六甲おろしの大合唱-。抑えられない興奮とともに笑顔が弾けた。  「決めてやろうというか、点につながるような結果にしたいと。まさかのワイルドピッチという感じです」  1-1の延長十一回1死三塁で打席へ。石山の初球が暴投となり、球団では4年ぶり2度目の開幕サヨナラ勝利! お立ち台は鳥谷に譲ったが、チームを救ったのは間違いなく24歳の若虎だ。  一回の中堅守備。メッセンジャーが連打で無死一、二塁を招き、山田哲の打球も中前に跳ねた。やられた...誰もがそう思った瞬間、170センチの体をめいっぱい使って、渾身のバックホーム! ワンバウンド返球を梅野も好捕し、絶妙のタッチでプロ初補殺。一気に大量失点の流れを、出場わずか数分で食い止めた。  「手汗がすごかったです...。(あれで)ふっと我に返ったというか」  守でリズムを作ると、バットでも流れを呼び戻した。小川の前に打線が沈黙し、0-1で迎えた六回。2死からD3位・木浪が遊ゴロ失策で出塁すると初球チェンジアップをとらえた。右中間を破るプロ初安打は、千金の同点三塁打。虎のルーキーが開幕スタメンで適時打を放つのは、1956年の大津淳以来、実に63年ぶりとなった。  矢野監督は「初球にああいう形で点を取れたというのは相手に与えるダメージも大きかったし、いい1点」と絶賛。"矢野1期生"となるドラ1が起用に応え、攻守の活躍でチームに3年連続の開幕星をもたらした。  大阪ガス時代、都市対抗で優勝し、橋戸賞も受賞した逸材。最後の試合となった昨年11月27日のオーストラリア遠征は、阪神入団が決まっていたたため出場しない予定だったが...。「出たいです! 出させてください!!」。志願して代打で出場。空振り三振も、チームへの感謝と、自分なりのけじめをつけて、プロの世界へ飛び込んだ。  2月の春季キャンプ中には木浪ら若手と"福留会"に参加。打撃投手やブルペン捕手と一緒にアグー豚のしゃぶしゃぶを囲んで、教えを受けた。  「グラウンドで暴れることができるのは、ここにいる(裏方の)みなさんのおかげ。感謝の気持ちを忘れちゃいけないよ」。テーブルを率先して回る41歳の姿に、近本は「すごい話ばかりでした」と感嘆。プロで全てを吸収して迎えた開幕で最高のスタートだ。  「すげえな...。阪神で野球ができているのはすごいなと思いました」  大歓声を浴び、目を細めた。劇的に始まった近本のストーリー。勝利だけを祈り、これからも走り続ける。(竹村岳) ★恩師「うれしい」  淡路・東浦中時代に監督として近本を指導した巽文明先生(46)=現津名中勤務=は教え子の活躍に「とにかくうれしい」と連呼した。試合結果はスマートフォンでチェック。年末はともに鍋をつつきながら野球談義に花を咲かせ「頑張れよ」と背中を押したという。「プロになっても人間的には変わらないです。ずっと野球小僧ですよ」と先生として喜びをかみしめた。

◆延長十一回、サヨナラ劇の口火を切る三塁打を放った代打・鳥谷に象徴されるように、矢野新監督の適材適所のさい配は見事だった。代打、代走の起用、投手の継投などすべてスムーズで、緊迫した展開ではあったが、終始、いい流れの中で野球ができていた。  勝因を挙げるなら、やはり投手陣。先発のメッセンジャーは力で抑えようとせず、制球を重視。粘って粘って投げていた。ことしのメッセはこのスタイルで投げることが大事だろう。救援陣も全員、自分の仕事を果たしてつないだ。  守備面で光ったのは梅野。(一塁)走者を動きをしっかり見て、ピックオフで刺した七回のプレーが象徴的だった。  新人コンビも褒めたい。開幕の緊張感の中、初球から打って適時三塁打を放った近本もたいしたものだし、木浪もヒットこそなかったが、いい内容の打席が多かった。  少ない点数を投手陣を中心としたディフェンスでしのぐ。ことしの阪神が目指すベストの勝ち方を開幕戦でできたことは大きい。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
100 1.000
(↑0.418)
-
(-)
142
(-579)
5
(-646)
0
(-175)
1
(-94)
0.000
(↓0.262)
0.000
(↑4.12)
1
(3↑)
DeNA
100 1.000
(↑0.525)
0
(↓15)
142
(-430)
8
(-634)
1
(-180)
1
(-70)
0.000
(↓0.25)
0.000
(↑4.18)
1
(5↑)
阪神
100 1.000
(↑0.56)
0
(↓20)
142
(-435)
2
(-626)
1
(-84)
0
(-77)
0.000
(↓0.253)
0.000
(↑4.03)
4
(2↓)
ヤクルト
010 0.000
(↓0.532)
1
(↑6)
142
(-516)
1
(-664)
2
(-133)
0
(-68)
0.000
(↓0.266)
0.000
(↑4.13)
4
(1↓)
巨人
010 0.000
(↓0.486)
1
(↑12.5)
142
(-483)
0
(-575)
5
(-147)
0
(-61)
0.000
(↓0.257)
0.000
(↑3.79)
4
(1↑)
中日
010 0.000
(↓0.447)
1
(↑18)
142
(-456)
1
(-653)
8
(-89)
0
(-61)
1.000
(↑0.735)
0.000
(↑4.36)