ソフトバンク(☆1対0★)阪神 =オープン戦1回戦(2019.03.02)・福岡ヤフオクドーム=
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阪神
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ソフトバンク
00100000X1500
勝利投手:千賀 滉大(1勝0敗0S)
(セーブ:川原 弘之(0勝0敗1S))
敗戦投手:浜地 真澄(0勝1敗0S)
  DAZN
◆ソフトバンクは、松田遼が2番手で登板。古巣を相手に、2回1安打無失点の投球を披露した。対する阪神は3年目・浜地が先発し、3回3安打1失点。開幕一軍を目指す若手右腕が、地元・福岡のマウンドで結果を残した。

◆阪神のドラフト1位近本光司(24=大阪ガス)が甲斐キャノンから盗塁を奪った。 3回表2死から9番中堅で先発出場していた近本が右前打で出塁。次打者鳥谷の打席の初球で二盗を決めた。ソフトバンクの捕手甲斐の送球は遊撃寄りにそれたとはいえ、果敢な姿勢が光った。

◆開幕ローテ生き残りを懸ける阪神藤浪晋太郎投手(24)が、新スタイルを披露した。ソフトバンクとのオープン戦で7回からマウンドへ。2イニングを2安打無失点に抑えた。走者がいない場面ではノーワインドアップで投球。リリースの腕も以前より下げた新投法で好結果。もがき苦しんだ右腕に光が差した。    ◇   ◇   ◇ 試行錯誤を続ける藤浪が今季初めて無失点でマウンドを降りた。7回から5番手で登板。先頭の栗原に、初球151キロを右前に運ばれたが、盗塁を捕手梅野が刺して1アウト。続く代打釜元をフルカウントから一ゴロ、周東も一ゴロに仕留めた。8回も1死から高田に左翼線二塁打を浴びたが、後続を打ち取り無失点。「一番いいタイミングでいいテンポで投げることができた。感覚は悪くなかった」と、表情は明るかった。 1週間前とはまるで別人だった。走者がいない場面では腕を振りかぶらないノーワインドアップ。リリースの位置はこれまでよりも下げてテンポよくボールを投げ込んだ。藤浪は「もともと完全なオーバースローではない。ルーキーの時も高校の時もスリークオーター。今日は極端に下げました。いろいろやっていきたい」と説明。最良の形を求めてのチャレンジだった。 沖縄・宜野座キャンプでは実戦計9イニングを投げ、被安打13、9四死球、6失点。前回の2月24日・中日戦でも死球から崩れ、4回を6四死球で4安打3失点と苦しんだ。矢野監督も「本人的には、そういう結果が1つホッとするっていうか、取り組んできたことがなにか、確認作業の1つとしてよかったかなとか、もっとこうかなっていうのが感じられる部分になると思う」と、大きな収穫とした。 練習前にはソフトバンク工藤監督にアドバイスを求めた。矢野監督、福原投手コーチを交えて話し込む場面があった。「あいさつをして、こういう感じで投げてみればと、助言を頂いた」。詳細は明かさなかったが、何事も貪欲に吸収する藤浪らしさは失っていない。新スタイルで投じた17球。この日の試合が復活を期す右腕にとって意味のあるゲームになった。【桝井聡】

◆昨季限りで現役引退した元ソフトバンクの摂津正氏(36)が2日、オープン戦阪神戦の前に引退セレモニアルピッチを行った。 背番号50のユニホーム姿で、登場曲「STRONG ISLAND」に乗って登場。まずはマイクを握り、ファンに向けてあいさつした。続けてマウンドに向かい、セレモニアルピッチが始まった。捕手役は高谷が務めた。摂津氏はゆったりとしたフォームから、外角低めいっぱいにノーバウンドでストライク投球を披露した。 セレモニーを終えた摂津氏は「緊張しましたね。いい思い出になりました。今日が最後なんだな、というさみしい気持ちもありますが、また次の目標に向かって頑張らないとな、とあらためて思いました」と振り返った。 実はセレモニー後にサプライズも考えていたが、緊張のあまり忘れてしまったことも明かした。「グローブを最後、ファンの方に投げたかったんですけど、緊張のあまり忘れていました」と苦笑いだった。投球後は摂津氏の元にサファテや森ら投手陣が多く駆けつけ、記念撮影などを行った。阪神藤浪や、元同僚の阪神飯田らもあいさつに訪れて送り出された。

◆阪神先発の浜地真澄投手が3回3安打1失点で降板した。 2回1死からは6番松田宣、7番グラシアルから連続三振を奪うなど、地元福岡での凱旋(がいせん)登板で首脳陣に好ピッチングをアピールした。4回からは能見がマウンドにあがった。

◆2年連続開幕投手が決まっているソフトバンク千賀滉大投手(26)が、自己最速を1キロ更新する158キロを計測した。 先発し、初回1番鳥谷への6球目のファウルと3番北條への5球目外角ボールの2球「158」をたたき出した。「(今日は)よくはなかったが、それくらい(球速が)出るかなと思っていた。この投げ方で出るのかと。もっとバランスよく投げていけたらいい」と話した。 この日は3回で37球投げ、2安打無失点。フォークボールは3球だけで、直球とスライダーを主体に投げた。「今日はツーシームは投げていない。ちょっと抑えないとケガをすると思う。こっち(ヤフオクドーム)に来て力んだ。もう少し。まだまだだと思う」と、3月29日の開幕戦まで、まだまだ調整が必要とした。

◆阪神藤浪晋太郎投手(24)が、ソフトバンクとのオープン戦で7回から登板し、2イニングを2安打無失点だった。 7回は先頭の栗原に、初球151キロを捉えられ、右安打を許したが、スチールを捕手梅野が刺して1つ目のアウト。続く代打・釜元をフルカウントから一ゴロに。次打者の周東も一ゴロに仕留めた。 8回は谷川原を投ゴロ。続く高田には左翼線二塁打を許した。1死二塁から高谷を右飛に、2死三塁で福田を二飛に打ち取った。 沖縄・宜野座キャンプでは実戦計9イニングを投げ、被安打13、9四死球、6失点。前回登板した2月24日・中日戦でも死球から崩れ、4回を6四死球で4安打3失点と苦しんだ。沖縄のブルペンで1日で200を超える球数も投じながら、懸命にフォーム固めを継続していた。 この日、走者がいない場面では、ノーワインドアップでの投球。リリースの腕も以前より下げた印象だった。

◆阪神先発の浜地真澄投手が故郷で開幕1軍への夢をつないだ。 3回を投げ3安打1失点。甲斐、今宮に単長打を許し、無死二、三塁となった3回のマウンドも牧原の犠飛による1点で踏ん張った。矢野監督は次も1軍で見たいか、と問われると「もちろん」と継続審議を決めた。 福岡大大濠出身の3年目。母や親族が見守る前で圧巻だったのはソフトバンク柳田への真っ向勝負。1回は高めの144キロストレートで空振りを奪い、最後は145キロで中飛に仕留めた。「いい緊張感の中で勉強できました。低めを狙ったボールが高めに入ることもあったので」と反省しながら、柳田にはあえて高めで勝負したことも否定しなかった。矢野監督は「(高めに)スピンの利いた球を投げるのが浜地の武器」と評価した。 2回には今キャンプで元中日の川上憲伸氏(野球評論家)に自ら直訴して学んだ136キロカットボールも試投。内川のタイミングを外し、右飛に打ち取った。期待の星が進化を続ける。 ○...昨季36本塁打のソフトバンク柳田が阪神浜地の球筋にうなった。1回の対戦では中飛に。3回2死三塁ではカーブを打ち損じて遊飛だった。この日は対戦2打数無安打。「浮き上がる感じ。スピードガン以上に伸びてきました」と振り返った。

◆矢野阪神がイケイケドンドンの「超積極盗塁野球」を披露した。矢野燿大監督(50)が今季初めて実戦でサインを解禁。1点を追う5回2死。一塁走者梅野が近本の初球で仕掛ける。甲斐の鋭い送球をかいくぐり、滑って二塁を陥れた。 指揮官が出したサインは鮮やかに決まった。得点できなかったが、矢野野球の輪郭が浮き彫りになった。「リュウ(梅野)も遅いわけじゃない。いい癖をリュウ自身もつけていけばチームにとっても大きい。カーブやったというのはあるにしても。甲斐から走れたというのはそれなりの自信につながる」と目を細めた。 3回には快足の近本が初球で二盗を決めていた。球界屈指の「甲斐キャノン」に対し、チームとして2度盗塁を企図して2度とも成功。指揮官は「チャンスがあればどんどんいけたら」と大号令をかけた。 2軍監督だった昨季、ウエスタン・リーグ新記録の163盗塁で2軍日本一の推進力になった。矢野監督は「アウトになったら、どうこうは全然ない。俺がとがめることもしない」と話す。果敢に走った昨季がモデルケースだ。オープン戦は3連敗発進だが、動く采配が光った。【酒井俊作】

◆阪神のドラフト1位近本光司(24=大阪ガス)が甲斐キャノンから盗塁を決めた。 3回表2死から9番中堅で先発出場していた近本が右前打で出塁。次打者鳥谷の打席の初球で二盗を決めた。ソフトバンクの捕手甲斐の送球は遊撃寄りにそれたとはいえ、果敢な姿勢が光った。 俊足が持ち味のルーキーは「初球に走ることが1番。投手にも捕手にもプレッシャーがかかるので。内容的にあまり良くなかったんですけど、自分がスタートを切れたのがよかった」と振り返った。 近本について、ソフトバンク甲斐は「足が速いのは新聞を見て意識していました。(対戦して)本当に足が速い」と話していた。

◆2年連続開幕投手が決まっているソフトバンク千賀滉大投手(26)が、阪神とのオープン戦(ヤフオクドーム)に先発し、自己最速を1キロ更新する158キロを計測した。 フォークボールに頼らない投球スタイルで3回、37球、2安打無失点。試合前には昨季限りで引退した摂津正元投手の引退セレモニーが行われた。5年連続開幕投手を務めた元エースの前で、大役への思いを高める投球だった。 千賀がリニューアルしたヤフオクドームの初戦で、いきなり自己最速を更新した。初回、先頭鳥谷の6球目のファウルと3番北條の5球目の低めボールで2度、新しいビジョンに「158キロ」の文字を表示させた。「よくはなかったが、それくらい(球速が)出るかなと思っていた。この投げ方で出るのかと。腕で投げている部分が強い」。投球フォームに納得はしていないが、球速が出る予感を持ってのマウンドだった。 この日はツーシームは使わず、決め球の「お化けフォーク」も3球しか使わなかった。スライダー、カットボールを丁寧に投げた。「ちょっと抑えないとケガをすると思う。こっち(ヤフオクドーム)に来て力んだ。もう少し。まだまだだと思う」。昨年はオープン戦最終登板で右腕が張り、開幕から2試合を投げて1度離脱した。それだけに、飛ばしすぎないようにキャンプから気をつけてきた。 試合前には昨季限りで引退した摂津正氏の引退セレモニーが行われた。先発の千賀は直接見られなかったが、5年連続で開幕投手を務めた元エースのすごさを改めて実感した。「5年って相当すごいこと。ちゃんとチームを代表する選手として立ち居振る舞い、そういうのを気にしてやってみようと思うからすごいと思う」。 昨年の開幕前と違い、千賀には責任感があふれている。「やらなくちゃいけない。(後の世代に)つないでいかないといけない」。球場からの帰り際、駐車場で摂津氏とバッタリ会った。車の窓を開けた元エースからの「頑張って」という短い言葉を胸に、エースへの思いをさらに強くした。【石橋隆雄】

◆ソフトバンクの松田遼馬投手が古巣斬りでアピールした。昨季途中に阪神からトレード加入した右腕は4回から2番手で登板。 1四球と1安打を許したが2回を無失点だった。同期入団の伊藤隼も二ゴロに抑え「変な感じはありましたけど、自分の投球に集中していた。相手よりも自分のことで精いっぱいです」と冷静だった。

◆ソフトバンク今宮健太内野手のバットが上昇気配だ。3回無死一塁の第1打席。ファウルで粘った末の7球目をとらえ、右翼線に二塁打。チャンスを広げ決勝点を呼んだ。 宮崎キャンプでは練習試合2試合で無安打だったが「いい打球。やっとタイミングが取れてきました。ファウルも良かったし、いい打席だった」と笑顔。今季初となった本拠地で「雰囲気もいいし気持ちが引き締まる」と話した。

◆阪神新外国人ピアース・ジョンソン投手(27=ジャイアンツ)が初のオープン戦登板で無失点に抑えた。 6回から登板。最速150キロの直球に130キロ台のパワーカーブなど変化球を織り交ぜて1イニングを3者凡退に抑えた。それでもジョンソンは「フォームのところでもっと取り組まないといけない」と貪欲。必勝リレーを期待される能見、桑原、ジョンソンが次々と結果を残し、矢野監督も「軸になるところがああやってしっかりした安定感を見せて投げてくれたのが、俺としては一番ホッとする」と話した。

◆阪神は開幕ショートを狙う鳥谷敬内野手が1番でスタメン出場したが、3打席無安打に終わった。「前向きに考えれば3打席入れて、速い球も見られたことでしょうか」。 ソフトバンク先発千賀の150キロ台後半のストレートを体感したベテランは「試合で感じたことを練習でクリアしていくだけです」と前を見据えた。

◆阪神ドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)が途中出場。 8回の打席で一塁走者の近本とランエンドヒットを成功させる安打を放った。一、二塁間をゴロで破り、キャンプから続く実戦での連続試合安打は「9」に伸びた。「近本が走りましたが、ボクは自分で打ちました。1試合1試合が勝負という気持ちでやっていますので」と結果を出し続けるルーキーはまったく気を緩めるそぶりは見せない。浜中打撃コーチは「1打席しかない中で価値あるヒット。監督も使いたくなる」と話した。

◆阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)が「甲斐キャノン」に挑み、盗塁を決めた。ソフトバンクとのオープン戦に9番センターで先発出場。2安打した打撃だけでなく、チャンスがあれば盗塁を試みることを掲げていたが、有言実行でソフトバンクの千賀-甲斐のバッテリーに挑戦し、二盗に成功した。期待の高まる新顔が開幕スタメンを目指し、一直線に突っ走る。 近本が迷いなくスタートを切った。加速し、二塁ベースに強くスライディング。あの甲斐キャノンから二塁を陥れた。 近本 初球に走ることが一番。投手にも捕手にもプレッシャーがかかる。内容的にあまり良くなかったんですけど、自分がスタートを切れたのが良かった。 果敢に1歩目を踏み出した。3回。自らのバットで快音を鳴らし、2死一塁とした直後。次打者鳥谷への初球だった。「モーションを盗んでとかではなく、状況判断で、です」。相手は強肩を武器に、育成選手から正捕手に上り詰めた甲斐だ。1秒90~1秒95で速いと言われる二塁送球で、1秒71を記録したこともある。2年連続日本シリーズ制覇にチームを導いたソフトバンクの扇の要。そんな相手にも向かっていった。 50メートル走5秒8のルーキーはソフトバンク戦に向けて「どの捕手、どの投手であれ、いいスタート、いいスライディングをしっかりできれば。どの捕手でも(盗塁に)挑戦していきたい」と意気込んでいた。甲斐は試合後に「足が速いのは新聞を見て意識していました。(対戦して)本当に足が速い。僕も準備していたけど、まだまだでした。向こうの方が上」。球界を代表する捕手にも強烈なインパクトを残したようだ。 好スタートを切れる秘訣(ひけつ)がある。投手から野手に転向した関学大時代。盗塁練習でうまくいかない時期があった。「反応してからの動きだしにロスがあった。できるだけロスを少なく、いかにスピードが出る姿勢に持っていけるかを考えた」。試行錯誤の末、足からではなく、まず頭、上体を二塁方向に傾けるスタート法を見つけた。「グッと体重を二塁(方向)に向けると、自然と足がついてくる。結果的にですけど、その方が速い」。今でも、そのスタイルは変わらない。 甲斐の送球がワンバウンドで遊撃手寄りにそれ、ベースカバーした今宮が捕球できなかったこともあるが、果敢な姿勢が生んだ二盗だったのは間違いない。矢野監督も「チャレンジしていけるのが近本のいいところ。走者で出ると、より楽しみが増える選手」。開幕スタメン目がけたスタートも切っている。【真柴健】 ○...近本は打撃でもアピールを重ねた。第1打席の右前打は千賀の「おばけフォーク」に対応したもの。「(フォークには)ビックリして手が出た感じです」と振り返ったが、低めに制球された球を見事にさばいてみせた。実戦9試合で打率は3割2分。打撃力も証明している。この日の2安打について、矢野監督は「よりランナーに出ることを求められるところで、追い込まれてももう1本打てた。近本のいいところがすごく出た」と賛辞を送った。 阪神浜中打撃コーチ(近本の打撃に)「変化球に対応できていて、あまり三振しない。対応力が高いね」

◆ソフトバンク育成左腕の川原弘之投手(27)が、実戦3試合連続無失点で支配下返り咲きへ前進した。1-0の9回に登板し、最速152キロをマークするなど5球で3者凡退に抑え"プロ初セーブ"。「意外と緊張はしませんでした。1つ1つの登板がチャンスなので、結果を残したい」と力強く話した。 12年以来となるヤフオクドームのマウンドを楽しんだ。「人が多くて新鮮だった。楽しかったですね」。だが周囲にのみ込まれない自信と集中力で打者に向かった。「投げるときは何も考えていません」。かつて最速158キロで話題をさらった武器のストレートで大山、江越、伊藤隼の1軍経験者をねじ伏せた。先輩の快投に、自主トレをともにする千賀も自分のことのように喜んだ。 宮崎キャンプ中に抜てきされた紅白戦、練習試合の西武戦に続けて3試合連続で0封となった。首脳陣の評価もうなぎ上りだ。 工藤監督 3試合結果を残しているので楽しみですね。 倉野投手コーチ 成長している。開幕1軍を争うメンバーにはいる。ここで投げているということは、そういうこと。 15年以来の支配下登録、そして左の中継ぎとして開幕1軍入りへまた近づいた。だが川原自身は注目が増えても動じない。「どう見られようが、やることは変わらない。継続です」。寡黙に虎視眈々(たんたん)と、腕を振る。【山本大地】

◆ソフトバンクは改修されたヤフオクドームで、初めての試合。収容人数はこれまでの3万8530人から4万178人に増え、センター後方の大型ビジョンが縦横5メートルずつ拡大された。工藤監督は「大きくなって見やすくなった世界一のビジョンがお披露目になった」と笑顔だった。  福岡への本拠地移転30年を記念し、公式戦5試合で着用する予定の特別ユニホームで選手たちはプレーした。 松田遼(古巣の阪神相手に2回無失点) 「投げる前はすごく変な感じがしたけど、投げたら変な感じはなかった」 今宮(三回に右翼線二塁打) 「オープン戦の初戦で、いい形でスイングできた」

◆阪神の浜地が、先発枠入りへアピール。先発で3回を投げ、失点は犠飛による1点のみ。柳田とは2度対戦し、高めの速球で空振りを奪うなど無安打に抑え「球界でもトップの選手。対戦して面白かったし、勉強になった」と笑顔だった。  福岡大大濠高出のプロ3年目。地元で成長した姿を示したが、「しっかり低めに投げられる正確さはもっと必要」と反省を忘れない。矢野監督は「1点で粘れたのは良かった。気持ち的に向かって行けたのは見ていて頼もしかった」と高く評価した。 矢野監督(五回に捕手の梅野が二盗) 「サインは出したよ。甲斐から走れたのは自信につながると思う」 能見(1回を三者凡退) 「自分で反省するところはあるが、元気に投げるだけなので」

◆阪神の藤浪が七回から登板し、2回を投げて2安打無失点。2月24日の中日戦は6四死球と乱れたが、これまでより腕を少し下げて150キロ台中盤の速球を投げ込み、「一番いいタイミングで投げられたと思う」と手応えを口にした。  フォームを修正した意図については「本来の体の使い方はスリークオーターなので。もうちょっといろいろやっていこうと思う」と説明した。2015年に14勝を挙げた実力者が復活へ試行錯誤を続けている。

◆ソフトバンクの育成選手で、左投手の川原が九回に登板し、三者凡退で締めた。投じた5球はいずれも150キロ以上。気迫の投球でアピールし「一回一回の登板が全部チャンスだと思っている。継続していきたい」と生き残りを誓った。  福岡大大濠高からドラフト2位で2010年に入団したが、左肩のけがなどに苦しみ、16年から育成契約になった。観戦した王球団会長は「あれだけの球が放れれば、左だしね。(支配下登録)枠もだいぶ空いている」と期待感を口にした。

◆阪神・藤浪晋太郎投手(24)がソフトバンク戦の七回から登板し、2回を2安打無失点とした。今オフから取り組んでいたワインドアップは封印。左打者のみとの対戦だったが、セットポジションから少し右腕を下げたフォームで最速156キロも計測した。  「(感覚は)悪くなかったと思います。毎回毎回、最低限こうしたいというのはできたかなと」  これまで実戦3試合はすべて先発だったが、0-1の七回に5番手として登板。先頭の代打栗原に初球151キロを右前打されたが、女房役・梅野が二盗を阻止すると、釜元、周東をともに一ゴロに仕留めた。八回1死から高田に左翼線への二塁打を許したものの、続く高谷を右飛、福田は二飛に退けた。左打者のみ7人との対戦だったが、結果を残した。  やや右腕を下げたスリークォーター気味の新フォーム。キャンプで続けていたワインドアップもやめた。「デビューのときも、高校のときもスリークオーターでしたし、本来の体の使い方はスリークオーターなので。そこから微妙な上げ下げはありますけど、きょうはちょっと極端に」。抜け球もなく、左打者の内角へのカットボールが効果的だった。  前回2月24日の中日戦(北谷)では4回4安打6四死球3失点の乱調。キャンプ終盤はほぼ毎日ブルペンに入り、例年行っていなかった投げ込みを敢行。総投球数は1500球を数え、福原投手コーチと二人三脚で試行錯誤を繰り返した。シュート回転しないように縦振りへの意識を強くしていたが、"逆転の発想"で極端なサイドスローやスリークオーターでの投球練習も。宜野座でつかんだ感触を、実戦のマウンドで試していた。  現状、開幕ローテはメッセンジャー、西、ガルシアしか確定していない。まずは一歩前進。ここから結果を残して這い上がっていく。

◆阪神のドラフト3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=の猛アピールが止まらない。実戦9試合連続安打で打率・500。(22打数11安打)。評価も天井知らずだ。  「1試合1試合が勝負なので。そういう気持ちでやっています」  勝負強い。連続試合安打を伸ばすチャンスは1打席しかなかったのだから。守備から途中出場で迎えた八回1死一塁、カウント1-0。同じくルーキーの一塁走者・近本がスタートを切る。盗塁狙い。真ん中付近のスライダーに、瞬時の判断で木浪のバットが反応した。打球は右前へ転がる。結果的にはラン&ヒットが大成功だ。  「よう打つねえ(笑)。見事やね。木浪もどこでどう使うかというのが。もっと打たせたいなというのはもちろんある。ああいう結果を見せられるとね、より、そういうふうに思う」  矢野監督も唸るしかない。木浪、開幕1軍-。その可能性は、試合を重ねるたびにアップしていく。

◆阪神の鳥谷敬内野手(37)は「1番・遊撃」で先発出場し、3打数無安打。それでも1打席目には千賀の最速158キロ直球をファウルで粘るなど、収穫もあった。「打てるのが一番ですけど、前向きに考えれば3打席入れて、速い球を見られたことは良かったです」。遊撃を争う北條がキャンプでMVPに輝いただけに、「試合で感じたことを練習でクリアして行くだけです」と表情を引き締めた。

◆阪神の浜地真澄投手(20)が地元福岡での凱旋登板でアピールした。先発して3回を3安打1失点。三回に連打と犠飛で1点を失ったが、柳田、内川、松田宣ら鷹の中軸を抑えるなど収穫いっぱいの投球となった。  「いろんな意味で楽しくというか、勉強しながら投げられました」  キレのある最速146キロの直球で押し込み、矢野監督も「見ていて頼もしかった。いいボール行ってるなって、もちろん分かってたし」と称賛。次回も1軍での登板が見込まれる。今後に向けて「正確さというのはもっと必要。もっと決め球というのを意識してやりたい」と力を込めた。

◆阪神の新外国人、ピアース・ジョンソン投手(27)が六回に登板し三者凡退に。「結果的に抑えられたのは良かった。球種のことだったりまだまだ取り組まないといけないことはあります」と表情を引き締めた。これで実戦登板3試合で3回パーフェクト。「オープン戦にも関わらずこれだけのファンの前で、この雰囲気で投げるのは楽しかったです」と初々しい笑顔で振り返った。

◆--新人2人で八回は好機を拡大。開幕まで時間は限りがあるが、悩みが増える  矢野監督「もっと見たいなと。ルーキーやし、俺らも分かっていない部分が多い。今日の最後、ランナーで出たときも、どういう動きするのかなというのも俺らとしても見てみたい部分でもある。打つとか守るとか以外にね。状況や場面を見て考えていく」  --浜地が真っすぐで押した  「もともと、アイツはああやって投球していかないと良さは出ない。向こうもいい打線やったから、気持ち的にも向かっていけたのは良かったかな。見ていて頼もしかった。1点で粘れたのはよかった」  --内容的にはまた1軍で見たい  「もちろんもちろん。見たいね」  --柳田から高めの直球で空振り  「低めだけじゃなくて、あそこにスピンの利いた球を投げるのが浜地の武器。そういうボールになっていくと思うから。コーナーにいい感じに決まって。真っすぐは本当によかった」  --藤浪が後ろで投げたのは  「知らん、福原(投手コーチ)が決めたから」  --左打者ばかりで  「それは俺らが言えることじゃないし、それはもうソフトバンクのことなんで。俺らはいるバッターをどう抑えるかっていうことしか、晋太郎もできへんし。それは仕方がないよね」

◆ヤフオクドームに着いて、トラ番キャップ大石豊佳が6年ぶりに元タカ番時代の空気を満喫していた。すると、その当時のホークス監督秋山幸二氏とバッタリ出くわした。現在、福岡の地元紙で評論家をされている。  「あのころから良くしてもらいましたが、何しろ現在の"黄金期"の礎(いしずえ)を築いた監督ですから...勉強になりました」と大石は言う。  ソフトバンクの本拠地も大きなビジョンに改修されて甲子園球場と同じような素晴らしいスタジアムに変身している。  まずそれを眺めながら元監督と元タカ番が6年ぶりの会話をした。  「強いですねぇ...」  大石が言うまでもない。今のソフトバンクはあきれるほど"強い"のである。秋山氏は言ったそうだ。「関西では阪神が人気だから連日大忙しなんだろ。最低でも4枚(4面)阪神でつくるのってすごいねぇ」と。マスコミの仕事をしているから大石の苦労が秋山さんにはよくわかるのである。同時に、ホークスのようにどこを切っても"金太郎飴"のように金太郎がクマ退治をしているならいいけど...現在の虎太郎はそうはいかない。なにしろつい数カ月前までどこを切ってもスッテンコロリンの最下位がのしかかっていたんだもの...。  キミががんばってるのはよくわかる。とにかくやるっきゃないぞ...てな激励を受けた大石は、千賀先発のソフトバンクに北條-大山-陽川のクリーンアップでいわば胸をかりる阪神というパターンはどうみても...。  でも...やってみなければわからない。事実、そうなった。「矢野阪神の武器は『ぶち破れ! オレがヤル』ですし...」と大石はもう何度とそのスローガンを口にしただろうか。  「田尾安志さん(サンケイスポーツ専属評論家)とソフトバンクの練習もていねいに見てたんョ。ところがオレは今、ものすごい"花粉症"なんよ。それで田尾さんのせっかくのていねいな現状分析なども上の空でフワフワなんョ。ヤフオクドームにも微妙に花粉が忍び込んできてるのがビンビンにわかる。この中で9回0-1は善戦としようか...」と編集委員上田雅昭はフガフガ言いながらそんな電話をくれた。  先発した千賀は初回に22球も投げている。鳥谷-糸原-北條に対して"三者凡退"に見えるが、カーブ、スライダー、カットボールなど変化球を多投していた。  結果的には3回を37球で虎打線を2安打...なぁんだ、相変わらずじゃねぇのか...となるが、そのころ、甲子園で居残り組の練習を取材していた竹村岳記者はマルテについて「彼らしいシュアな打撃をしていました。3日に福岡のソフトバンク戦に彼は合流するので、彼にとっても"いい風"を運んでいくんじゃないですか」とのこと。  この時期はいわゆる菅原道真公の「東風(こち)吹かば匂い起こせよ梅の花 主無しとて春な忘れそ...」が有名だが、まさに甲子園からマルテはふくいくたる"春風"となってくれるか。  もう一つ、この日の藤浪投手は七回から登板して2回17球。2長短...。宜野座キャンプでの計9イニング13安打、四死球9、失点6と比べると少しホッとする。彼の実力ではそんなところではいけないんだけれど...こちらはも"東風"がそのうちに...。  そして3日は『ひな祭り』です。昔はね、やがて夕方になると川辺で「形代(かたしろ)」という人形に、けがれや災いを封じ込めて流したという。これまでの虎の災いを誰がこの3日に流してくれるのだろう...。  女の雛の 髪ほぐれつつ 浪の間に...(山口誓子)

◆阪神戦前に、昨季限りで現役を退いた摂津正氏(36)の引退セレモニーが行われた。背番号「50」のユニホームを着てあいさつ。セレモニアルピッチで最後の投球を披露した。「試合より緊張しました。すごいところでやっていたんだなと」。高谷を相手に外角へストライク。通算79勝の右腕が、マウンドを降りた。

◆新外国人右腕のジョンソンが六回に登板し、三者凡退に。これで実戦3試合で3回パーフェクトに抑えているが、「結果的に抑えられたのは良かった。球種のことだったりまだまだ取り組まないといけないことはあります」と表情を引き締めた。勝利の方程式として期待がかかる能見、桑原との完全リレーに、矢野監督も「(リリーフで)軸になるところがしっかり安定感を見せてくれたっていうのが、俺としては一番ホッとする」。さらに抑えを争う藤川、ドリスも順調に調整を続けており、3日に登板する見込みだ。

◆サイン導入での初試合。清水ヘッドは「具体的なサインの内容に関しては勘弁して」と詳細は明かさなかった。ただ、サインを出しながら点を取れなかったことは反省も。「きょうは走者が出なかった部分もあるけれど、でも、そこでどうやって点を取っていくか。反省すべき点もあるし、これからいろいろ試していきたい」。これからは、さらに"動く矢野阪神"になりそうだ。

◆浜地が地元福岡での凱旋登板でアピールした。先発して3回を3安打1失点。三回に連打と犠飛で1点を失ったが、柳田、内川、松田宣ら鷹の中軸を抑えるなど収穫いっぱいの投球となった。「いろんな意味で楽しくというか、勉強しながら投げられました」。キレのある最速146キロの直球で押し込み、矢野監督も「見ていて頼もしかった。いいボール行ってるなって、もちろん分かってたし」と称賛。次回も1軍での登板が見込まれる。今後に向けて「正確さというのはもっと必要。もっと決め球というのを意識してやりたい」と力を込めた。

◆七回に藤浪が登板すると、先頭の西田に代打・栗原、続く塚田に代打・釜元と左打者を送った。西田も塚田も守備から途中出場したばかりで、打席に立たないまま交代。八回も先頭のグラシアルに左の代打・谷川原を起用した。制球難が目立つ藤浪は紅白戦や2月24日の中日戦(北谷)でも右打者への死球があり、この日対戦した7人は全員が左打者となった。

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が2日、ソフトバンク戦(ヤフオク)に「9番・中堅」で先発出場。  九州の地での活躍は必然だった!? 近本は昨年12月の入団会見時に趣味に「旅行」と書き、そのワケをこう語っていた。「九州を僕が好きなのは、醤油の味がけっこう好きなので。九州の醤油で作る料理はおいしいと思います。甘みとうまみが本当に強い」。甘くないソフトバンク投手陣から、堂々たる2安打1盗塁。水が合う、ならぬ"甘い醤油が合う"土地から、猛アピールへつなげた。

◆阪神・鳥谷は「1番・遊撃」で先発出場し、3打数無安打。それでも1打席目には千賀の最速158キロ直球をファウルで粘るなど、収穫もあった。「打てるのが一番ですけど、前向きに考えれば3打席入れて、速い球を見られたことは良かったです」。  遊撃を争う北條がキャンプでMVPに輝いただけに、「試合で感じたことを練習でクリアして行くだけです」と表情を引き締めた。

◆圧巻の球速にも、当然のような振る舞い。2年連続で開幕投手を務めるソフトバンク・千賀滉大投手(26)が、オープン戦初登板で自己最速を更新した。  「それくらい出るかなとは思いました」  一回、先頭の鳥谷への6球目と2死から北條への5球目が158キロ。自己最速を1キロ上回った。キャンプ中に得た手応えほど感触は良くなかったようで、「この投げ方で出るんだという感じ」と余裕の表情だ。三者凡退で立ち上がり、3回2安打無失点で締めた。  筋力強化で体重は4キロ増。ウエストが細く見えるのは尻まわりと上半身が大きくなったからだ。進化した右腕は、試合前に引退セレモニーが行われた摂津正氏を追った。  「チームを代表する選手の振る舞いとか、今年はそういうのも気にしようと思っているけど、改めて(摂津氏は)すごいなと思っています」  5年連続で開幕投手を務めたエースの後継者に「僕や巨さん(東浜)がそうなれば、次につながっていく」と立候補した。 (安藤理)

◆ルーキーのアピールは、どこまで続くのか。実戦9試合連続安打で打率・500。(22打数11安打)。D3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=の評価も天井知らずだ。  「一試合一試合が勝負なので。そういう気持ちでやっています」  勝負強い。連続試合安打を伸ばすチャンスは1打席しかなかったのだから。  守備から途中出場で迎えた八回1死一塁、カウント1-0。同じくルーキーの一塁走者・近本がスタートを切る。盗塁狙い。真ん中付近のスライダーに、瞬時の判断で木浪のバットが反応した。打球は右前へ転がる。結果的にはラン&ヒットが大成功だ。  「よう打つねえ(笑)。見事やね。木浪もどこでどう使うかというのが。もっと打たせたいなというのはもちろんある。ああいう結果を見せられるとね、より、そういうふうに思う」  矢野監督も唸るしかない。木浪、開幕1軍-。その可能性は試合を重ねるたびにアップしていく。 D1位・近本、D3位・木浪について阪神・浜中打撃コーチ 「(近本は)変化球にうまく対応していた。逆方向へのヒットもよかった。対応力がある。(木浪は)素晴らしい。結果的にランエンドヒットになったけど、最高の形を作ってくれた。途中出場でああいうヒットは価値があるし、監督も使いたくなる。新人2人に活躍はみんなの刺激になる。続けてやっていってほしい」

◆矢野野球見えた!! 阪神・矢野燿大監督(50)が、ソフトバンク戦で初めてサインを出した。オープン戦3連敗となったが"初采配"で梅野隆太郎捕手(27)を盗塁させるなど、超積極野球で戦う姿勢を見せた。  完封負けにも、矢野阪神の方向性は示した。2月の実戦はノーサインを貫いてきた矢野監督が初めてタクトを振るい、2度の盗塁とラン&ヒットを成功。巻き返しを期す今季の戦いが、垣間見えた。  「まだ試している段階。アウトになったからどうこうと、俺もとがめることもしないし。何かそこから学んでくれたら、オープン戦のアウトっていうのは意味があると思うから。リュウ(梅野)もセーフになったし、近本もセーフになったし。次もまたそういうの見せてくれるんじゃないかなって期待値は上がるよね」  三回にD1位・近本光司外野手(大阪ガス)を走らせると、五回には2死から右前打で出塁した梅野にサイン。すると初球のカーブで走り、甲斐から二盗を成功させた。  「リュウ(梅野)も遅いわけじゃないから。甲斐から走れたのは自信につながると思う。チャンスがあればどんどんいけたら」  昨季5盗塁の捕手にも躊躇なくサイン。隙あらば、いかせる。昨季2軍監督としてウエスタン・リーグ新記録の163盗塁を成功させた将の姿勢は、1軍でも変わらない。梅野も「トライしたい気持ちが強かった。躊躇しないで早いカウントでいけたのはよかった」と指揮官の思惑通り、自信を深めた。八回1死からも左前打で出塁した近本に盗塁のサイン。D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)の右前打で一、三塁と同点機を作った。ともに得点にはつながらなかったものの、超積極的にいかせるつもりだ。  「もっと打たないとアカンっていうのはもちろん。どう点を取るかっていうのを、もっともっと詰めていかないと」  オープン戦3連敗で、無得点に終わったことは大きな課題。しかし初タクトでそれをぶち破る可能性を、確かに感じさせた。  (大石豊佳)

◆試行錯誤中の新フォームで、光明が差した。阪神・藤浪晋太郎投手(24)がソフトバンク戦の七回から登板し、2回を2安打無失点とした。今オフから取り組んでいたワインドアップは封印。左打者のみとの対戦だったが、セットポジションから少し右腕を下げて繰り出すフォームで最速156キロも計測。無四球で抑え、手応えをつかんだ。  福岡の地で、再浮上へ希望の光が見えた。試行錯誤中の新しいフォームで、藤浪が無四球無失点。確かな手応えをつかんだ。  「(感覚は)悪くなかったと思います。毎回毎回、最低限こうしたいというのはできたかなと。一番いいタイミングで投げられたと思う」  これまで実戦3試合は先発だったが、0-1の七回に5番手として登板。先頭の代打栗原に初球151キロを右前打されたが、梅野が二盗を阻止すると、釜元、周東をともに一ゴロに仕留めた。八回1死から高田に左翼線への二塁打を許したものの、続く高谷を右飛、福田は二飛に退けた。左打者7人との対戦だったが、結果を残した。  やや右腕を下げたスリークォーター気味の新フォームを披露。キャンプで続けていたワインドアップも辞めた。「デビューのときも、高校のときもスリークオーターでしたし、本来の体の使い方はスリークオーターなので。そこから微妙な上げ下げはありますけど、きょうはちょっと極端に」。三振こそなかったものの最速156キロをマーク。抜け球もなく、左打者の内角へのカットボールが効果的だった。  前回2月24日の中日戦(北谷)では4回4安打6四死球3失点の乱調。キャンプ終盤はほぼ毎日ブルペンに入り、例年行っていなかった投げ込みを敢行。総投球数は1500球を数え、福原投手コーチと二人三脚で試行錯誤を繰り返した。シュート回転しないように縦振りへの意識を強くしていたが、新しい発想で極端なサイドスローやスリークオーターでの投球練習も。宜野座でつかんだ感触を、実戦のマウンドで試していた。  無四球で抑えた内容に、矢野監督も「結果が1つ出てホッとするっていうか、取り組んできたことが確認作業の1つとして『よかったかな』とか『もっとこうかな』というのが感じられる部分になる」と評価。あとは苦手とする右打者との対戦でどうなるか。  「カットと真っすぐ、フォークしか使わなかったので、今後は緩い球を使ったり。もうちょっといろいろ試しながらやっていこうと思います」  開幕ローテはメッセンジャー、西、ガルシアしか確定していない。まずは一歩前進。ここから結果を残して這い上がっていく。 (箭内桃子)

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が2日、ソフトバンク戦(ヤフオク)に「9番・中堅」で先発出場。鷹の開幕投手、千賀滉大投手(26)の「お化けフォーク」を拾い上げ右前打すると、次の球で甲斐拓也捕手(26)の「キャノン」から二盗。まばゆく輝く2安打1盗塁を刻み、中堅レギュラー争いへ猛烈アピールを見せた。  迷いも、ためらいもない。この足なら"砲撃の名手"の手元も狂わせられると知っているから、近本はいきなり行った。「甲斐キャノン」の発動を期待した博多っ子の歓声をしりぞけ、思いきり二塁に左足を突き刺す。これ以上ない、オープン戦初盗塁だ。  「初球に走ることが、キャッチャーにもピッチャーにもプレッシャーがかかる。スタートを切れたことが良かったです」  1球たりとも一塁上にジッとしていなかった。三回2死。鷹の開幕投手に決まっている千賀の代名詞「お化けフォーク」を、追い込まれながらも見事に拾い上げ右前へ。「見たこともないような球だったんですけど、ビックリして手が出た」。福岡に駆けつけた虎党は「博多どんたく」のようなお祭り騒ぎ。だが、最高の盛り上がりが直後にやってきた。  続く鳥谷への初球。スライダーを千賀が投じたときには、韋駄天は二塁を目指していた。甲斐が白球をつかむが、わずかに送球がそれ、遊撃手もタッチできない。昨秋の日本シリーズで新記録の6連続で盗塁を阻止し、MVPを射止めた男を、見事に"甲斐くぐって"二盗成功。打って走って、わずか2球の猛アピールだ。  矢野監督もうなるしかない。「ああいうピッチャーから打てるというのは大したもの。決め球をね。ああやって対応できるというのは自信になる。もちろん評価も上がる。ああいうバッティングを見せてくれると使いたくなる」と激賞。二盗についても「ましてや次の初球。チャレンジしていけるというのは近本のいいところ。ランナーに出ると、より楽しみが増える」と高く評価した。  八回の第3打席ではD7位右腕の奥村政稔投手(三菱日立パワーシステムズ)からも左前打。オープン戦初マルチ安打で打率・500(8打数4安打)。しかもそのすべてが、2ストライクからのものだ。高山、江越、中谷らがひしめく中堅レギュラー争いで、近本が間違いなく、大きく一歩前へ踏み出した。  社会人も経験し自身を知り尽くしているから、ここまで強みを発揮できる。近本の"オトナな一面"は野球以外でも表れる。数人の選手が球団職員と雑談していたとき。ある選手が職員に「自分で売り上げを増やせば、その分で職員さん自身の給料も上がるんですか?」と尋ねた。そこでスッと会話に入ったのが近本。「それは業績評価や昇進とかに関わってくるんじゃない?」。社会のことも知っている。投手出身とあってバッテリーの気持ちも知っている。経験があるから、ただのルーキーではない。  「内容的にはあまり良くなかった。結果はどうあれ自分が(スタートを)切れたのは良かったです」  冷静に振り返れるから、もっと進める。この足を必ず、開幕レギュラーにもねじ込んでみせる。 (長友孝輔) 安打と盗塁を許した近本についてソフトバンク・甲斐 「意識していました。(俊足という)記事も見ましたしね。足は速いし、いい打撃をしています。初球から走れるというのは。準備はしていたけど、僕もまだまだ。向こうが上でした。(打ったフォークは)けっこう落ちていましたし、悪い球ではなかったです」 ★虎の外野事情  左翼・福留、右翼・糸井の2人がレギュラーに座る可能性は高いが、矢野監督はあえて白紙とし、キャンプから競争を打ち出している。ベテラン以外では中谷、近本、高山、江越らに加え、2軍キャンプから1軍に合流した伊藤隼も虎視眈々と伺う。

◆今の藤浪に必要なのは「いいイメージ」で投げ終えること。ベンチも、藤浪が気持ちよくマウンドを降りて次につなげることを、技術うんぬんより優先させて考えるべきだ。  キャンプ中から腕を下げたり、ワインドアップからノーワインドアップに変更したり、と工夫を続けてきているが、まずは「いいイメージ」に重点を置くべき。そういう意味で、2回を無失点に抑えたこの日の投球は、評価してあげたい。  私も提案していたが、救援登板の短いイニングで結果を出させることは大賛成。相手が右打者を引っ込めて、左打者を並べてきた。確かに右打者への投球が課題になってくることは想像できる。でも、「それは相手の事情」であり、「相手が勝手に考えること」だと割り切ればいい。  相手打者の左右など気にすることなく、結果を出す。それだけをイメージしていく。今の藤浪はそこからはい上がっていくしかない。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ロッテ
100 1.000
(-)
-
(-)
3
(-)
1
(-)
0
(-)
4
(-)
0.229
(-)
1.000
(-)
1
(-)
楽天
200 1.000
(-)
0
(-)
14
(-)
6
(-)
5
(-)
0
(-)
0.303
(-)
2.500
(-)
1
(-)
ソフトバンク
100 1.000
(-)
0
(-)
1
(-)
0
(-)
0
(-)
0
(-)
0.185
(-)
0.000
(-)
1
(-)
広島
101 1.000
(-)
0
(-)
10
(-)
5
(-)
0
(-)
0
(-)
0.301
(-)
2.500
(-)
5
(2↓)
巨人
210 0.667
(↑0.167)
0
(↓0.5)
11
(+5)
12
(+4)
3
(+1)
2
(-)
0.289
(↑0.015)
3.670
(↓0.17)
6
(5↓)
DeNA
111 0.500
(↓0.5)
0.5
(↑0.5)
13
(+1)
14
(+6)
3
(-)
3
(-)
0.282
(↓0.074)
4.150
(↓1.15)
6
(-)
日本ハム
110 0.500
(↑0.5)
0.5
(↓0.5)
8
(+6)
4
(+1)
3
(+2)
1
(+1)
0.277
(↑0.027)
1.590
(↑1.79)
8
(5↓)
ヤクルト
120 0.333
(↓0.167)
1
(↓0.5)
15
(+4)
16
(+5)
6
(+3)
4
(+1)
0.237
(↓0.044)
5.470
(↑0.03)
8
(5↓)
中日
120 0.333
(↓0.167)
1
(↓0.5)
9
(+1)
13
(+3)
1
(-)
1
(-)
0.205
(↓0.032)
4.330
(↑0.67)
10
(-)
西武
010 0.000
(-)
1
(-)
1
(-)
6
(-)
0
(-)
1
(-)
0.212
(-)
3.000
(-)
10
(4↓)
阪神
030 0.000
(-)
2
(↓0.5)
5
(-)
13
(+1)
2
(-)
3
(+2)
0.211
(↓0.008)
4.880
(↑1.87)