ソフトバンク(☆4対1★)広島 =日本シリーズ4回戦(2018.10.31)・福岡ヤフオクドーム=
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広島
0001000001401
ソフトバンク
00210100X4902
勝利投手:東浜 巨(1勝0敗0S)
(セーブ:森山 孔介(0勝0敗2S))
敗戦投手:野村 祐輔(0勝1敗0S)

本塁打
【広島】鈴木 誠也(3号・4回表ソロ)
【ソフトバンク】上林 誠知(1号・3回裏2ラン),デスパイネ(2号・4回裏ソロ)

  DAZN
◆ソフトバンクが連勝。ソフトバンクは3回裏、上林の2ランで先制する。その後は、4回にデスパイネのソロで加点すると、6回には代打・長谷川勇の適時打で貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・東浜が5回1失点の好投。敗れた広島は、打線が4安打1得点と沈黙した。

◆広島鈴木誠也外野手が、2戦連発だ。2点を先制された直後の4回、2死無走者からソフトバンク東浜の高めストレートをフルスイング。打球は左中間スタンドへ飛び込んだ。 鈴木は前日30日に2打席連続の本塁打を放っており、2試合連続、今シリーズ3本目のアーチとなった。失点した直後の1発で、反撃ののろしを上げた。

◆ソフトバンク上林誠知外野手(23)が、日本シリーズ初本塁打となる1発を放って先制点をもたらした。 3回2死一塁で迎えた第2打席、広島先発の野村の変化球をとらえた打球は、右翼スタンド中段に突き刺さった。前日(30日)の第3戦でようやく日本シリーズ初安打。「打撃の調子は悪くなかった」という言葉通り、この日はホームランを放ってチームに勢いをつけてみせた。「打ったのはカットボール。走者が一塁だったので、引っ張れる球を狙って打ちにいきました。それがホームランになり先制点になったので良かった」と声を弾ませた。 4回にはデスパイネの2戦連発となるソロも飛び出し、この日もチームの長打力が光った。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手(25)が、またも「キャノン砲」で広島の足を封じた。 5回2死一塁。打者田中の時、二盗を狙ってスタートを切った安部を、二塁ベース上にしっかりコントロールされた「剛速球」でタッチアウト。今シリーズ4度の二盗を封じてみせた。 「いつも仕掛けてくることを意識して準備している」と、甲斐が肩で広島の機動力を封じた。

◆広島の野村祐輔投手が5回途中3失点で降板した。 3回2死まで1人の走者も出さない完璧な立ち上がりだったが、甲斐に初安打されると、続く上林に甘く入った変化球を右翼席に運ばれた。4回には、デスパイネに内角球を左翼席へ打ち込まれた。 野村は「立ち上がりはしっかりとよい準備ができて自分の投球をすることができました。3回、上林に対して投げきれることができずに甘く入ってしまいホームランを打たれたことで相手に流れを与えてしまいました。チームによい流れを持って来ることができず申し訳ないです」と悔しがった。

◆ソフトバンク上林誠知外野手が3回に日本シリーズ初となる先制2ランを放ち、シリーズ2勝目に大きく貢献した。 0-0の3回2死一塁、広島先発の野村の変化球をとらえ、右翼中段席まで運んだ。 「最低限、一、三塁にできることを目標に打席に立ったんですけど、最高の結果になったので最高です。(打った瞬間は)楽勝で行くと思いました」と笑顔で振り返った。 第3戦でようやく初ヒットが出たが、この打席の前まで打率1割を切っていただけに復調の気配をうかがわせる一発となった。 「(状態は)ヒットは少ないですけど、状態は悪くないと思うので明日以降頑張りたいです。明日まず勝って、王手をかけて広島にプレッシャーをかけたい」とファンに向けて約束した。

◆ソフトバンクが広島に4-1で快勝して2連勝を飾り、対戦成績を2勝1敗1分けとした。 3回、上林の2ランで先制。1点差とされた4回にデスパイネのソロ、6回には代打長谷川勇の適時打で加点した。東浜は制球良く5回1失点。救援陣が無失点でつなぎ、森が2戦連続でセーブを挙げた。 広島は野村が2本塁打を浴びた。打線も好機でつながらず、4回の鈴木のソロのみに終わった。

◆連覇を狙うソフトバンクが2夜連続で「地の利」を生かして、34年ぶり4度目の日本一を目指す広島を下し今シリーズ連勝を挙げ2勝1敗1分けとした。 試合は一発攻勢で動いた。ソフトバンクは3回2死一塁、この打席まで打率が1割を切っていた1番上林が右翼席へ先制2ランを放った。広島は4回に4番鈴木誠也の3号ソロで反撃。1点差に追い上げられたソフトバンクは4回にデスパイネが2試合連発の2号ソロが飛び出て、再びリードを2点にした。 ソフトバンク先発の東浜は5回1失点で降板。6回から2番手モイネロが投入された。ソフトバンクは6回1死一、三塁で代打長谷川が中前へしぶとく適時打を放ち、4-1とした。7回から武田、嘉弥真でつなぎ、最後は守護神・森が締めくくった。 先制2ランを放つ活躍でお立ち台に立った上林は「(本塁打は)最高の結果になったので最高です。(状態は)ヒットは少ないですけど、状態は悪くないと思うので明日以降頑張りたいです。明日まず勝って、王手をかけて広島にプレッシャーをかけたい」とシリーズ3勝目に向けて意気込んだ。 広島は第3戦に16安打8得点の猛攻を見せたが、この日は対照的に4番鈴木のソロ本塁打の1点のみ。5回以降は無安打無得点に抑えられ、4試合連続で"甲斐キャノン"二盗を阻止されるなど好機を作れなかった。 ソフトバンクは本拠地で11年に中日との第6戦で敗れたのを最後に、日本シリーズプロ野球最多連勝記録を更新する11連勝となった。これまでの最多は巨人で、70年第1戦から73年第5戦の10連勝。45年ぶりに記録更新となった。工藤監督は11連勝に「ファンのみなさんのおかげです」と感謝した。 第5戦もソフトバンクが部類の強さを発揮するヤフオクドームで行われ、移動日を挟んで第6戦(11月3日)から広島ホームのマツダスタジアムに移る。また第5戦の先発予定はソフトバンク千賀、広島大瀬良。

◆広島・野村祐輔投手が5回途中3失点で負け投手となった。 3回2死まで1人の走者も出さない完璧な立ち上がりだったが、甲斐に初安打されると、続く上林に甘く入った変化球を右翼席に運ばれた。4回には、デスパイネに内角球を左翼席へ打ち込まれた。 野村は「先に点を与えているし、悔しいです。(デスパイネには)狙ったところには投げられましたが...勝たないといけない戦いに負けてしまった」と、生まれ故郷福岡での登板を勝利で飾れず、唇をかみしめた。

◆セ・リーグ王者広島は2連敗となり、今シリーズ1勝2敗1分けと1歩リードされた。 先発野村は上林に先制2ラン、デスパイネにソロと2被弾で5回途中3失点。6回には今村が1点を追加された。打線は鈴木のソロによる1点にとどまった。 緒方孝市監督(49)の談話は以下の通り。 -野村が粘れなかった 緒方監督 ひと回りはいい投球をしてくれた。 -1回に先制機 緒方監督 先制したかったけど、しょうがない。 -なかなか得点できず 緒方監督 いい采配ができなかった。 -次戦に向けて 緒方監督 切り替えてしっかりやるだけ。 -菊池は大事を取ったのか 緒方監督 自打球を当ててちょっと痛そうにしていたから。

◆ソフトバンクのジュリスベル・グラシアル内野手(33)が右手指を痛め欠場した。 前日30日の第4戦で、帰塁時に負傷。工藤監督は「今日1日休めば、というのもあった。代打では待機してもらっていた」と説明した。 グラシアルは「プレーできない状態ではない。また明日になってから」と話した。1日以降の出場は状態を見て判断される。

◆ソフトバンク上林誠知外野手が、3回に先制となる決勝2ランを放った。今シリーズは体調不良もあって出遅れたが、タカのリードオフマンが復調の兆しだ。ヒーローインタビューは次の通り。 -3回の第2打席に先制2ラン 上林 最低限、一、三塁にできることを目標に打席立ったんですけど、それが最高の結果になったので、最高です。 -低めの球をうまく運んだ 上林 それが長所でもあるので。そこに来たら、確実にとらえていきたいと思います。 -打った瞬間はいくと思ったか 上林 楽勝でいくと思いました。 -もう1本、もうちょっとでホームランというのもあった 上林 ありましたねー(場内笑い)。自分ではいったと思ったんですけどね、審判が絶対なので、まあまた明日以降、打てるように頑張ります。 -バッティングは上昇気流に乗ってる 上林 はい、ヒットは少ないですけど、状態は悪くないと思うので、明日以降頑張りたいと思います。 -明日、王手を期待しているファンにひとこと 上林 明日まず勝って、王手をかけて、広島にプレッシャーをかけられるように、頑張りたいと思います。熱い応援よろしくお願いします。

◆ソフトバンクの先発東浜巨投手が、5回4安打1失点で勝利投手になった。先発の役割を果たした右腕はお立ち台で喜びを語った。 -どんな気持ちでマウンドに 東浜 成績が1勝1敗(1分け)で、ここでしっかり勝ち越して、いい流れでこのシリーズを戦いたいなという思いで、マウンドに上がりました。 -どんな準備を 東浜 まずは自分の状態を整えるということで、そこだけ考えて、あとはシーズン中やってきたことを出していこうと。 -初回にピンチあったが、中継でビッグプレーがあった 東浜 あのプレーがすべてだと思いますし、初回、不安な中で投げてるときに助けてもらったんで。ほんとに今日は、今日もですね、野手の皆さまに感謝したいと思います。 -その後も低めに集める素晴らしいピッチング 東浜 カープ打線は上位も下位もすごい、いいバッターがそろってるので、ソロホームランならOKだという気持ちで割り切って、低めにコントロールすれば、なんとか試合は作れると思ってた。それが最低限できたのかなとは思います。 -鈴木選手に本塁打された 東浜 打たれたところは悔しかったですけど、試合は続いてますし、なんとか勝った状態で試合を進めることができたので、そこは割り切って、投げることができました。 -1つ勝ち越した 東浜 僕だけじゃなくて、チーム全員でつかんだ勝利だと思うので、また明日につながる勝ちだったと思います。 -ファンにひとこと 東浜 ヤフオクでの試合は明日が最後で、また敵地に乗り込むので、明日また勝って、王手をかけた状態でいきたいと思いますので、明日も熱い声援よろしくお願いします。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(30)が守備で流れを引き寄せた。 初回1死一塁。丸の打球が右中間を破り、一塁走者の菊池が一気にホームを狙った。柳田はフェンスの跳ね返りを落ち着いて処理し、カットの明石まで正確に送球。明石も本塁に鋭く返し、タッチアウトにした。 先制を許さず、先発東浜を援護。「普通にやっただけ。バーンと跳ね返ったのを、カットマンにしっかり投げた。きっちり投げればタイミング的にはアウト。ミスしないことを心がけた。肩だけはあるので」と豪快な柳田節で振り返った。

◆ソフトバンク上林誠知外野手(23)が日本シリーズ自身初の本塁打を打った。 3回2死一塁で広島野村から、右翼席上段への特大弾。先制2ランが決勝点となり「最低でも一、三塁を目標に打席に入って、最高の結果になった。楽勝で(スタンドに)いくと思いました」と喜んだ。 7回にも右翼ポールのはるか上に大飛球を打った。手応えはあったが、ファウル判定はリプレー検証でも変わらなかった。「いったと思ったけど、審判が絶対なので。また明日頑張ります」。気持ちを切り替え「明日勝って王手をかければ相手にもプレッシャーになる」と3連勝に向け意気込んだ。

◆ソフトバンク長谷川勇也外野手が代打で大きなダメ押し打を打った。 2点リードの6回1死一、三塁。松田宣に代わっての打席だった。「あまり気にしない。ちゃっちゃっちゃっと仕事をして帰ろうと思っていた」。重圧のかかる場面でも、落ち着いていた。 広島今村の初球をたたき、二遊間を破る適時打。3点差に広げる一打が今シリーズ初安打となった。塁上では何度もガッツポーズ。「ゲッツーっぽかったけど、(翌日の)新聞を見たら『中安』になっているからいいでしょう」と笑った。

◆ソフトバンク内川聖一内野手が弟子たちの本塁打合戦を複雑な心境で見つめた。 自主トレをともにする上林が決勝2ラン。同じく内川に師事する広島鈴木は2戦連発の3本目を打った。 まだ今シリーズ本塁打のない内川は「あいつらすごいよな。オレも入れろよな。ちょっとうらやましいですね」と苦笑いした。 「複雑な心境ですよね。(上林)誠知の場合はチームのためにもなるしうれしいけど、(鈴木)誠也の場合は、そこまで打つかというくらい打つ」。それでも「ああいう姿を見るとうれしいし、ぼくも頑張らないといけない気持ちになる。ありがたいですね」と刺激を受けていた。

◆ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ」第4戦で広島に連勝し、2勝1敗1分けとした。立役者は甲斐拓也捕手(25)だ。5回に二盗を試みた安部を刺し、今シリーズ広島が甲斐に対して仕掛けてきた盗塁4度をすべて阻止。大舞台でさく裂している「キャノン」が流れを引き寄せ、チームはヤフオクドームでの日本シリーズ連勝を11とし、パ・リーグチームは本拠地連勝を14に伸ばした。球団史上初の下克上から連続日本一へと導く。 この日も楽々アウトだった。2点リードの5回2死一塁。外角シンカーをつかんだ甲斐が「キャノン」を発動。二塁ベースの角に構えた遊撃手今宮のグラブにスッポリ収まり、安部の足にタッチするだけだった。 「準備していたが意識はしていなかった。走ったのは見えたので、あとは自分の送球をするだけだった」 甲斐に対し、第1戦から4度仕掛けてきた広島の足。今季セ・リーグ断然トップの95盗塁、成功率6割6分0厘の機動力を完璧に封じている。工藤監督は試合後「盗塁をあまり試みなくなっている。相手になかなかスタートを切らせない」と広島ベンチの作戦そのものも封じていると評価した。甲斐は「投手が頑張ってくれているおかげ」と共同作業の成果だと話した。 甲斐は「そんな強肩じゃないんです」といつも言う。謙遜ではない。西武炭谷を参考に、捕る瞬間に左足を1歩出すなど、素早い送球フォームと正確なコントロールに磨きをかけ続け「甲斐キャノン」と呼ばれる武器に磨き上げた。1・90~1・95秒だと速いと言われる二塁送球。甲斐は1・8秒台で、1・71秒をたたき出したこともある。公称170センチの体もプラスだ。「僕は小さいし手足も短い。だから低い位置、最短距離で送球できる」。正捕手2年目の今季、盗塁阻止率は4割4分7厘でパ・リーグトップだ。登録名「拓也」で2軍本拠地雁の巣でプレーしていたころから、他球団の編成担当が「あの肩はドラフト1位。一級品」と口をそろえていた。ひのき舞台で真骨頂を発揮した。バットでもみせた。3回の左前打は、今シリーズ10打席目での初ヒット。第1打席の登場曲は、川島らに勝手に変更された真心ブラザーズ「どかーん」。歌詞の「どかーんと景気よくやってみよう~」の通り、野村の外角チェンジアップを引っ張り、上林の先制2ランにつなげた。勝ち試合の終盤はベテラン高谷と交代する。この日も7回から交代した。真の正捕手と評価されるにはもう少し。この日から、ケガ防止のため打席ではヘルメットにフェースガードをつけた。このまま2年連続日本一をつかみにいく。【石橋隆雄】▼甲斐が4度続けて盗塁を刺した。シリーズで4連続盗塁刺の捕手は、52年広田(巨人)58年藤尾(巨人)に次いで60年ぶり3人目のタイ記録。広田は6試合で××○○○××××、藤尾は7試合で××××(○は許盗塁、×は盗塁刺)。1度も盗塁を許さずに4連続で刺したのは藤尾と甲斐だけ。また、<1>戦野間(捕手高谷)と<2>戦田中(投手のけん制で飛び出す)を加えた広島の6連続盗塁死はシリーズワースト記録。

◆<日本S博多の陣> ソフトバンク東浜巨投手(28)がポストシーズン12試合目で初勝利を挙げた。5回まで先頭打者を全てアウトに取り、ゲームをつくった。4回には鈴木に中堅左へソロを浴びたが、最少失点で切り抜けた。5回1失点。「チームが勝つことが一番。その中で個人的にも勝ちがついた。今回のウイニングボールは大事にしたい」と、ナインから贈られた白球を握りしめた。 1回は中堅柳田、二塁明石、捕手甲斐の中継プレーに助けられた。「あれで救われた。乗っていけた。広島打線は初球から振ってくる。初球から決め球のつもりで投げた」。 昨年最多勝を挙げ、今季はキャンプから調整を任された。例年は実戦に投げて調子を上げるスタイルだったが、3月の侍ジャパンに選出されたことなどが影響し、オープン戦での登板は2試合のみ。結果も出せず「もっと投げればよかった。任せてもらえるレベルではなかったかもしれません」と無力さに打ちひしがれた。開幕後もなかなか勝てないまま、右肩を痛め5月26日に1勝5敗で降格。だが、2カ月半のリハビリ後に8月7日から復帰すると、そこから9戦6勝負けなし。抜群の安定感を発揮し、ポストシーズンでは軸となった。 千賀、武田と先発の中心は自由人が多い。その中で、今季左肩痛で1軍登板のなかったベテラン和田から「東浜こそエースになるべき存在」と認められた。東浜は「(第7戦は)何でもいける準備はしていく」と、もつれれば再びマウンドに上がるつもり。投手陣の精神的支柱となる。 ソフトバンク東浜が亜大に入学した直後、09年春に聞いた言葉がある。3年生になった日本ハム斎藤(当時早大)に続くスターを欲していた大学球界は、沖縄尚学でセンバツ優勝し、ドラフト1位確実だった右腕に沸いた。1年春から東都大学リーグで4勝を挙げ、フィーバーが起きていた。「僕は『なんくるないさー』って言葉、好きじゃないんです」明るく奔放な沖縄を象徴するかのように「何とかなるさー」という使われ方で流行していた時代。甲子園で沖縄代表校のアルプスに行けばアルコールの香りが漂い、指笛が響く。高い身体能力はあっても「沖縄タイム」と呼ばれた時間のルーズさもささやかれた。沖縄出身選手の指名をためらうスカウトもいた時に、18歳の東浜は周囲に流されない意思を持つ存在だった。同じ09年、東京6大学リーグでは明大2年の広島野村が、前年秋に44年ぶりの防御率0・00を記録するなどブレーク。ともに夏の日米大学野球の日本代表に選出された。互いにドラフト1位で入団し、大学、プロを通じて初の投げ合いで東浜が勝利した。この1勝が、沖縄出身投手の日本シリーズ初勝利になった。80年以降東浜を含めて計9人が登板したが、白星はつかなかった。80年 広島 安仁屋宗八88年 中日 上原晃97、98年 西武 デニー友利99年 ☆ダイエー 佐久本昌広03年 ダイエー 新垣渚09年 ☆日本ハム 糸数敬作12年 ☆巨人 宮国椋丞17、18年 ソフトバンク 嘉弥真新也※☆は先発昨年は16勝で最多勝に輝き、今季のパ・リーグ最多勝は沖縄出身の西武多和田だった。実績を考えれば不思議なほど遅かった県勢初勝利は、「なんくるないさー」ではない準備を積み重ねてきた東浜がつかんだ。【前田祐輔】

◆日本シリーズ第4戦はソフトバンクの完勝となった。上林の2ランでの先制から中押し、ダメ押しと本拠地で連勝を決めた。これで対戦成績はソフトバンクの2勝1敗1分け。頂上決戦に熱視線を送り続ける広島OBで日米203勝のレジェンド、黒田博樹氏(43)は「広島はフランスアの早い起用で流れを変える考えもあるのでは」とした。ソフトバンクのいいところが目立った試合になった。攻撃ではここまで不振だった上林に本塁打が出て先制すると、デスパイネも2試合連続本塁打をマークした。さらに6回には初めてのヒットエンドランが効き、追加点を挙げた。 石川が抜けたブルペンも左腕モイネロから武田、そして左の嘉弥真から抑えの森と効果的につないで、前日は粘りを見せた広島打線を5回以降、無安打に抑え込んだ。 一方の広島は、正直、流れがよくない。先制された後の4回、鈴木の本塁打で1点差にしたもののその裏、すぐデスパイネに本塁打された。 この本塁打には意味があったと思う。2回の打席で野村-会沢の広島バッテリーはうまくデスパイネを抑えていた。2ボールからの3球目、内角にツーシームを投げたのだ。デスパイネはこれをファウルしたが、この配球に「おや?」という思いを持ったかもしれない。 強打者に対し、ボール先行のバッティングカウントになれば普通は長打を警戒して外角に投げることが多い。それが内角球だった。これで迷いが生じたはず。そしてフルカウントからの6球目、外角スライダーを見逃し三振に倒れた。この球でデスパイネは打席で体が少し開いていた。3球目に来た内角球の残像があったのだろう。だが4回、今度はその内角球を本塁打した。2ボール1ストライクからの4球目、内角に来たツーシームをすくい上げられた。凡退を受け、次に内角に来たら仕留めてやろうという気持ちがあったのかもしれない。広島は得意の機動力を封じられている。5回に二盗を狙った安部がまた甲斐に刺された。東浜の投球モーションを盗んだスタートだったがそれでもアウトになった。甲斐は肩もいいが送球コントロールが抜群だ。メジャーにも強肩の捕手はいるが、ここまでコントロールの安定しているタイプはあまり知らない。それを考えれば広島は足で攻めてくることはできない状態になっている。プレッシャーを感じているだろう。そんな苦しい流れを変える1つの策としてフランスアの起用法がある。広島のブルペンでは唯一の左腕投手だ。シーズンでは終盤のセットアッパーだったが、短期決戦の中では状況によって早い段階で起用してもいいかもしれない。フランスアは福岡ではまだ投げていない。早めの起用で、仮に回またぎをしたとしても2日は移動日でもあり、体力面でも無理はないはず。守りから攻めに転じるという意味でもそこを考えたい。(元広島投手)

◆ソフトバンク上林誠知外野手(23)が、価値ある日本シリーズ第1号を放った。3回2死一塁、右翼へ先制2ラン。試合の流れを一気に引き寄せた。王球団会長も認めるそのパワーを、ともに自主トレを行う「兄弟子」広島鈴木の前で見せつけた。若き大砲に導かれ、チームは大きな1勝を挙げた。 度肝を抜く打球が鷹ファンの元に飛び込んだ。3回2死一塁。上林は広島野村の変化球を右翼席上段まで運んだ。先制2ランは自身の日本シリーズ初本塁打。「楽勝で(スタンドに)行くと思いました。うれしい。本拠地に来たら打てる気がしていた」と喜んだ。 ブレークした昨年はCSファイナルステージ途中でメンバー落ち。シリーズは代打1打席で三振と、何もできなかった。今季のファイナルSでは全試合に出場し、史上最多タイの10打点をマークする活躍。最終第5戦の前には「普通の試合と同じ気持ちでやれているのが大きい。(MVPを)狙えるのなら、狙いたいですね」と話すほど余裕を持ってプレーしていた。今シリーズは体調を崩した影響もあり、初戦で6打数無安打。第2戦は先発を外れた。「昨日(30日)が開幕だと思ってやった」と気持ちを切り替え、ホームに戻った第3戦で初安打。今季143試合に出てつかんだ、不調を引きずらない引き出しが生きた。 右翼の守備位置から見つめるのは、広島鈴木の打撃だ。オフには師匠の内川とともに自主トレする「兄弟子」。年齢も1歳違いで、ライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)する仲だ。鈴木は前日30日の第3戦で2打席連続本塁打。上林は「体がやばい。でかくなっている。(鈴木の)おやじさんに似てきましたね。会ったことはないですが、テレビで見たことがあります」と独特の表現でたたえた。この日も上林の先制弾直後に、鈴木が2戦連発のソロで反撃。「あの人は打ちまくる。打ち負けられないと思ったら、今日も打ちやがった。まだまだ実力は及びませんが、ポジションも背番号も一緒。セ・リーグで一番意識している」。好敵手の活躍も刺激に、主力として日本一をつかむ。【山本大地】

◆ソフトバンクが2連勝。本拠地のヤフオクドームでは11年<7>戦から11連勝となり、70年<1>戦~73年<5>戦巨人の後楽園球場10連勝を抜いてシリーズの同一球場連勝の新記録をマークした。 また、この白星でソフトバンクは南海時代からシリーズ通算50勝に到達(51敗2分け)。シリーズで50勝以上は巨人109勝、西武68勝に次いで3球団目。

◆4番が意地の1発-。広島鈴木誠也外野手(24)が、4回にソフトバンク東浜から左中間席に2戦連発となるソロを放った。先制点を奪われた直後の1発で反撃。今シリーズ3本塁打と好調をキープするも、すべてソロと複数得点に結びつかず、広島打線は4安打と沈黙した。敵地ヤフオクドームで連敗を喫し、1勝2敗1分けとなった。 4番のシリーズ3号も、空砲に終わった。2点を先制された直後の4回。鈴木はソフトバンク先発東浜の浮いた144キロ直球に反応した。完璧に捉えた打球は左中間スタンドへ一直線。前日の2本塁打に続く、2戦連発で静まり返っていた福岡の広島ファンを盛り上げた。劣勢で意地を見せる1発も、反撃ののろしとはならなかった。広島打線はソフトバンク投手陣に4安打に抑えられ、敵地で痛い連敗を喫した。 1回は2死二塁から内角真っすぐに手が出ず、見逃し三振に倒れた。先制機を逃した悔しさを次の打席にぶつけた。前日は6点ビハインドとなった直後に1発を放つ反発力。この日も先制点を許した直後に生まれた。「狙ってはいない。塁に出ることしか考えていなかった」。広島4番としての意地の1発だった。 CSファイナルステージは初戦に本塁打を放ったが「今の僕にはあれ(変化球待ちで)しか打てない。でも短期決戦なので結果が出れば...」ともらした。本調子とはほど遠く、3試合で1安打、打率1割2分5厘に終わった。CSから日本シリーズ開幕まで、不振の原因となっていた直球の対応を磨いた。 日本シリーズ初戦、球界を代表する千賀の真っすぐに振り負けなかった。「試合前練習から良かった。いけると思う」。5打数2安打という数字以上の収穫があった。前日の連弾を含め3本塁打はいずれも真っすぐを捉えたもの。直球だけでなく、変化球にも対応でき、見逃すこともできている。「考えすぎず、シンプルに決めを持って(打席に)入れている」。シリーズ3発で、東出打撃コーチが「打ち出すと手が付けられない」と言う"ゾーン"に入っている。劣勢に立たされたチームを若き4番がバットで鼓舞し続ける。【前原淳】

◆いつの間にやら10月31日のお祭り「ハロウィーン」が日本でもすっかり定着した。本来は秋の収穫祭の意味合いがあるようだが、球界最大の祭典でもある「日本シリーズ」で、工藤ソフトバンクも大きな収穫を得た。1番起用の上林がシリーズ初体験の豪快な先制2ラン。昨年、米国から古巣ソフトバンクに戻った川崎から「モンスター」とニックネームをつけられた5年目の大砲候補が大舞台で覚醒した。 ハロウィーンの夜に「モンスター」がお目覚めとは、34年ぶりの日本一を目指す広島にとっては何とも不気味だろう。自主トレを共にする鈴木も2戦連続、計3発の大当たりだが、赤く染まったスタンドの応援とは裏腹、カープは星を落としてしまった。 今シリーズ開戦前夜。上林は師匠でもある内川と広島名物のお好み焼きに舌鼓を打った。同席したのは内川と交流のある大相撲の嘉風、琴奨菊。競技は違っても同じスポーツ界で活躍するだけに、2人の力士の話に大きく影響を受けた。移動日のない地方巡業...。地方都市から地方都市へ、取り組みが終わればバス移動する厳しい環境...。巨漢男に挟まれて、何度もうなずいた。 この日も計3発の本塁打が飛び出したが、ホークスはしっかり守り勝った。セットアッパー石川を欠きながら中継ぎ陣も踏ん張り最少失点でしのいだ。初回の中継プレーでセカンド明石が本塁好返球。しっかり本塁で菊池を刺した。好守にリズムを取り戻したホークスが収穫多い1勝を手にした。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンク甲斐の母小百合さん(51)も、大分の自宅で息子の活躍に目を細めた。 前日30日の第3戦は、ヤフオクドームに足を運んで、甲斐のプレーに声援を送っていたが、この日は自宅でじっくりテレビ観戦。「昨年はハラハラドキドキで見ていましたが、今年は落ち着いて見られるようになりました。すっかり正捕手となって頼もしいです」と成長を認めていた。 今シリーズは武器でもある強肩ぶりを発揮。「すごいですね。あまり野球の話はしないんですが、言葉とか行動とかに精神的に成長したなと感じることはあります」。女手一つで育て、今は大分市内で個人タクシーに乗っている。ナンバーは「・・62」。甲斐の背番号と同じナンバーで「誰も気付いてくれませんけどね」と笑うが思いは確実に通じている。「ヤフオクの近くに引っ越したみたいで、今までより距離が近くなったことで疲れは感じなくなってるかもしれませんね。これからもケガなくやってもらいたいです」と「健康第一」を願う親心はこれからも変わらない。

◆今日こそ勝つ! 「SMBC日本シリーズ」第4戦は、セ・リーグ王者広島がソフトバンクに敗れて2連敗。1勝2敗1分けとなった。先発野村は2被弾で5回途中3失点。6回にも今村が4点目を奪われた。打線は鈴木のソロ1点にとどまった。緒方孝市監督(49)は「切り替えてしっかりやるだけ」と反攻を誓った。 緒方監督は試合後、ごった返す報道陣に囲まれながらベンチ裏の通路を歩いた。11年第7戦からヤフオクドームで連勝を続けるソフトバンクに、また屈した。顔を上げ、前を向きながら、敗戦を潔く受け止めた。 「先制したかったけど、しょうがない」。悔しがったのは1回だ。1死一塁から丸が右中間二塁打。三塁を蹴った一塁走者菊池が本塁で憤死した。ソフトバンクのスキのない中継プレーに阻まれた。第1戦は広島が先制も追いつかれて引き分け。第2戦と第3戦は、先制したチームが結果的に勝利している。欲しかった1点を寸前で逃した。 これが分岐点となった。逆に野村が2発に沈んだ。3回、2死から甲斐に初安打となる左前打。そして上林に右越え2ランを運ばれた。外角要求のスライダーが内寄りに入る失投。1点差に迫った4回も2死から被弾。今度はデスパイネ。3球続けた内角ツーシームを、左翼席中段へ持っていかれた。それでも指揮官は「ひと回りはいい投球をしてくれた」と責めなかった。 打線は4回の鈴木のソロのみにとどまった。チーム4安打、1得点とも今シリーズ最少。前日の第3戦まで2戦連続2桁安打を放っていたが、相手5投手の前に沈黙した。5回の攻撃では、安部が二盗に失敗。またも"甲斐キャノン"に阻まれた。それでも足技への意識は持ち続ける。高ヘッドコーチは「12球団一の捕手だから。もちろん(今後も)いかせる」と話した。 「逆転のカープ」を信じ、ビジターで大歓声を送ったファンの期待に応えられなかった。緒方監督は「いい采配ができなかった。切り替えてしっかりやるだけ」と淡々と話した。足を止めている時間はない。やり返すだけだ。【大池和幸】

◆ソフトバンク・上林誠知外野手(23)が先制の2ランを放った。  上林は三回、二死一塁の場面で打席に立つとカウント2-1から野村のスライダーをうまくすくった。高く上がった打球は右翼スタンドへ飛び込んだ。  上林は「ランナー一塁だったので、引っ張れる球を狙って打ちにいきました。 それがホームランになり先制点になったのでよかったです」とコメント。

◆ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ外野手(32)が特大のソロ本塁打を放った。  デスパイネは1点リードの四回、二死ランナーなしの場面で打席に立つとカウント2-1から野村の変化球をフルスイング。打球は左翼席上段へ突き刺さった。  デスパイネは「打ったのはツーシーム。 完璧に捉えられた。2アウトランナーなしからホームランで追加点取れたのは良かったよ」とコメント。

◆ソフトバンク・東浜巨投手(28)が5回4安打1失点で勝利投手の権利を持って降板した。  東浜は一回、二死一塁から丸に右中間二塁打を打たれたが、中堅・柳田から中継した二塁・明石が好送球し、生還を狙った菊池を本塁で刺し守備に助けられた。  二回、三回は3人で終わらせたが、2点リードの四回、二死から鈴木に本塁打を浴び失点。五回を投げきりマウンドを降りた。  右腕は「初回から守備に助けられ、0点に抑えることができたのが大きかった。二回以降はリズムよく自分のボールを投げることができました。 何とか試合は作れたと思います」とコメントした。

◆ソフトバンクが広島に快勝し、2連勝で白星を先行させた。先発の東浜は5回を投げ4安打1失点と好投。守備では明石が再三の好プレーを見せ勝利に貢献した。広島は好機であと1本が出ず、得点は鈴木の本塁打による1点にとどまった。  広島は一回、2番・菊池が左前打で出塁し一死一塁とすると、3番・丸が右中間を深々と破る二塁打。しかし、ソフトバンクの中堅・柳田から中継した二塁・明石が好送球し、生還を狙った菊池を本塁で刺した。続く4番・鈴木は見逃し三振に倒れ、広島は先制機を逸する。明石は三回にも9番・安部の内野安打になろうかというボテボテの二ゴロを軽快にさばく好守を見せた。  ソフトバンクは三回二死から9番・甲斐が左前打で出塁すると、1番・上林が右翼席に飛び込む2ランを放ち先制した。広島も四回、4番・鈴木が左翼席へソロ本塁打を放ち1点を返したが、ソフトバンクはその裏、二死からデスパイネの左翼席中段に突き刺さるソロ本塁打で突き放した。  ソフトバンクは五回にも先頭の8番・今宮の右翼線二塁打と甲斐の犠打で一死三塁。広島はここで先発。野村を諦め、2番手・ヘルウェグをマウンドに送った。ヘルウェグは二死から四球でピンチを広げたが、3番・内川を投ゴロに打ち取ってしのいだ。ソフトバンクも六回から2番手・モイネロが登板。こちらも2つの四球を出したが、明石が二塁と外野の間に飛んだフライを後ろ向きにキャッチする好プレーもあり、無失点で切り抜けた。  六回、ソフトバンクは広島の3番手・今村から先頭の4番・柳田が中前打で出塁すると、一死後に6番・中村晃の右前打で一、三塁とすると、代打・長谷川勇が中前適時打を放ち追加点を挙げた。その後ソフトバンクは武田、嘉弥真とつなぎ、最後は森が締めた。

◆広島の鈴木が2試合連続本塁打となるソロを放った。2点を先制された直後の四回2死で、東浜の高めの直球を左中間スタンドに放り込み「塁に出ることだけを考えて打席に入った。甘く来たところを一振りで仕留めることができた」と振り返った。  第3戦では2打席連続でアーチを架けるなど、今シリーズ3号で4試合連続安打と絶好調。「シンプルな考えで打席に入れているのがいい」と今季自己最多の30本塁打をマークした24歳の4番打者が奮闘している。

◆ソフトバンクが広島に快勝し、2連勝で白星を先行させた。先発の東浜は5回を投げ4安打1失点と好投。守備では明石が再三の好プレーを見せ勝利に貢献した。広島は好機であと1本が出ず、得点は鈴木の本塁打による1点にとどまった。  以下、ソフトバンク・工藤監督の一問一答。  --1つ勝ち越した  「やっぱりヤフオクドームで負けるわけにはいかないと、これだけたくさんのファンの皆さんが来ていただける中で、こういうゲームが、日本シリーズというゲームができるのも幸せなんですけど、ここで多くのファンの皆さんに見守られて野球ができるという幸せをかみしめながら今日も勝つことができて、本当に今日もありがとうございます」  --ヤフオクドームでは日本シリーズ11連勝  「ありがとうございます。ファンの皆さんのおかげです。ありがとうございます」  --先発は東浜  「先制点を取られると、どうしてもね、相手のペースになってしまうところを、最初しっかりと素晴らしいチームプレーでホームをアウトにして。あそこで『よし、いける』というふうにちょっと思ったところはありましたし、そんな中で上林くんが見事なホームランを打ってくれて先制できたっていうのがね、非常に大きかったなと思います」  --本塁打の瞬間の感情は  「もう『やった!』っていう感じです」  --デスパイネにも一発  「非常に広島のバッテリーはコントロールが良くて、左右に投げ分けていたところなんですけど、狙ってというかね、この球が来たら絶対に逃さないぞと、そういう感じのホームランだったんで、ナイスホームランだったと思います」  --救援陣も踏ん張った  「まず東浜くんが素晴らしいピッチングをしてくれて、リリーフ陣がノーヒットですか。リリーフ陣が頑張ってくれているおかげで、野手が少しずつでも点を取ればね、どんどんどんどん勝ちに結びついていくというかね、勝つことができるので、クライマックスの最後からリリーフ陣には感謝しっぱなしです」  --一気に王手といきたい  「はい! いきたいのはもうやまやまですけど、とにかく明日の試合だけを考えて、それだけを考えて今日も眠って、それだけを考えて明日も戦いたいと思います。明日もどうか熱い応援よろしくおねがいします! ありがとうございました!」

◆広島の丸が7打席ぶり今シリーズ2本目の安打を放った。一回1死一塁で、3ボールから東浜の速球を狙い打ち、右中間を破る二塁打。一塁走者の菊池が本塁でアウトになり先制点とはならなかったが「球にコンタクトできていた。そのイメージを大事にしながらまたやりたい」と前向きに話した。  第3戦では1試合のシリーズ記録に並ぶ4三振を喫したが、復調の兆しを見せた。「先に点を取られると後手後手になる。先に点を取りたい」と言葉に力を込めた。 広島・緒方監督 「なかなかいい攻撃、采配ができなかった。また明日切り替えてやるだけ。(一回の攻撃は)先制したかったけど、あそこは仕方がない。(野村は)一回り目はいい投球をしてくれていた。球はいっていたと思う」

◆広島の菊池が八回の守備から途中交代した。八回表の打席で自打球が右脚に当たり大事を取った。緒方監督は「ちょっと痛そうにしていたからね」と説明した。

◆過去の日本シリーズで引き分けがあるケースも含めて1勝1敗から先に2勝目を手にしたチームは過去32度のうち25度、日本一になっており確率は78・1%となっている。  ソフトバンクが1勝1敗から勝ち越したのは前身の南海、ダイエー時代を含めて4度目。1999年は中日、2014年は阪神を下して日本一に輝いた。

◆ソフトバンクの長谷川勇が3-1の六回1死一、三塁から代打で適時打を放ち、貴重な追加点をもたらした。初球の低めの速球をたたきつけると、打球は中前へしぶとく抜け「投手のモーションをしっかり見て合わせていた。1打席しかないので準備はしっかりしている」とうなずいた。  昨年11月に右足首の手術を受け、地道なリハビリを経て、今年6月に戦列に復帰した。2013年には首位打者にも輝いた好打者が、左の代打の切り札として勝負強さを発揮した。

◆ソフトバンクの甲斐の強肩が光っている。五回2死一塁で盗塁を試みた安部を二塁で刺した。4試合連続で盗塁を封じ、一度も盗塁を許していない。  レギュラーシーズンでも、盗塁阻止率は12球団トップの4割4分7厘をマークした。日本シリーズでも、セ・リーグトップの95盗塁をマークした広島の機動力を完全に封じている。

◆ソフトバンクのグラシアルが欠場した。30日の第3戦で帰塁した際に右手親指を痛めたという。「プレーできないほどではない」と語り、工藤監督は「1日休めば大丈夫」と説明した。

◆ソフトバンク・上林と広島・鈴木がアーチ競演。内川の自主トレ門下生が元気に打ち合った。第1戦は6打数無安打だった上林の復活の裏には「師匠」の存在がある。  「内川さんから『短期決戦は、どれくらい打っているかではなくて、どこで打ったかが大事』といってもらった」。日本シリーズは14年、CSは3度もMVPに輝いた男の金言だ。その内川は4打数無安打。「上林も誠也も打って、いいな。うらやましい。励みというか、複雑だね。特に誠也。年々すごくなるのを見るのは楽しみだし、僕も頑張らないと。もう少しおとなしくしてもらいたいけどね」。自虐的なジョークを交えた不敵な笑いに、今後の"真打ち登場"の雰囲気が漂った。

◆ヤフオクを訪れた孫正義オーナーが快勝にご満悦だった。試合後は報道陣に囲まれて「いい試合でしたね。連勝してくれて。声援も素晴らしかったですね。お客さんも喜んでもらえたでしょうか」とニッコリ。このままなら、日本一になるとしても、舞台は本拠地ではなくマツダ。「仕事で広島には行けないんですよ」。連覇の瞬間を直接見ることはできないことには残念そうだった。

◆先発した野村は五回途中5安打3失点で降板した。二回までは走者を許さなかったが、三回二死一塁で上林に高めのスライダーを右翼席に運ばれて先制点を献上。1-2の四回にはデスパイネに被弾した。「上林にホームランを打たれたことで、相手に流れを与えてしまった。チームにいい流れを持ってくることができず申し訳ない」とうなだれた。

◆芸術的中継プレーが、広島の先制を阻んだ。一回一死一塁から丸が右中間二塁打。一塁走者・菊池が一気にホームを狙ったが、打球を処理した柳田-明石-甲斐と渡ってタッチアウトに。柳田は「普通のプレー。バーンと跳ね返ってきたから。キッチリ投げればタイミングはアウトだと思ってた」とニンマリ。明石も「(柳田の)送球も良かったし、いいラインに入れた」と会心の連係に笑顔だった。

◆得意の継投が決まった。六回はモイネロ、七回は武田がつなぎ、八回の嘉弥真と九回の森は三者凡退。全員が無安打無失点で、工藤監督は「無安打はよくやってくれた。強力な広島打線に向かっていってくれた」と称えた。石川が右肘痛で緊急離脱し、前夜は八回に加治屋が5失点。指揮官は試合前は「加治屋は同じところで使う」と話したが「ブルペンからの報告もあって」と調子を見極め、方針を変えた。 5回1失点でポストシーズンでは12度目の登板で初勝利を挙げたソフトバンク・東浜 「チームが勝ったのが一番だが、個人的にもうれしい。ウイニングボールは大事にしたい」

◆4番鈴木が2戦連続となる今シリーズ3本目のアーチだ。2点を先制された直後の四回二死走者なしから東浜の高めの直球を左中間スタンドに運んだ。「(本塁打を)狙ったわけではない。あまり考えすぎず、来た球をシンプルに振っている。それがいい結果となっている」と説明したが、チームの得点は、この1点だけ。打撃好調の主砲に笑顔はなかった。

◆またまた甲斐キャノンが炸裂だ。五回二死一塁。広島・安部が二盗を試みたが、糸を引くような送球で楽々タッチアウト。これで4試合連続盗塁阻止。シリーズでの4者連続盗塁阻止は、1958年の藤尾(巨人)以来50年ぶりの快挙だ。  「(盗塁を刺す)準備はしていましたが、意識はそれほどしてません。打者を打ち取ることを考えていたので。僕だけの力ではなく、投手の意識が高いからですよ」  大分・楊志館高から2011年育成6位指名で入団。育成からはい上がって、誰もが驚く強肩でブレークしたのが昨年。2年目の今季、盗塁阻止率・447は両リーグ通じて圧倒的1位(2位はチームメート高谷の・385)だった。  前夜は「足のスペシャリストを刺すんだから」と絶賛していた工藤監督。この夜は「相手もだんだん試みなくなってきてますね」と全幅の信頼だ。(上田雅昭)

◆広島が敵地で2連敗。今シリーズ初めて1勝2敗1分けと黒星が先行し、丸が悔しさをグッとかみ殺した。  「先制を許して厳しい展開になってしまった。あしたは先に点を取れるようにやっていきたい」  前日10月30日の第3戦ではシリーズワーストタイの1試合4三振を含む5打数無安打も、この日は一回一死一塁の1打席目で東浜の直球をとらえて右中間二塁打。ヨッシャ、不振脱出! と思ったのもつかの間、一走・菊池が本塁憤死し、得点に結びつかなかった。  結局、この日もこの1安打だけでその後の3打席は凡退。シリーズ打率・125、1打点で両チーム合わせて最多の8三振を喫するなど不振だ。レギュラーシーズン打率・306、39本塁打、97打点でMVP級の活躍した男が"逆シリーズ男"になりつつある。  2番・菊池が打率・313、4番・鈴木が・529とシリーズで好調をキープしているだけに3番・丸の不振がより際立つ。セ・リーグ最多の95盗塁を誇ったスピードを生かそうにも、5度企図して鷹の正妻・甲斐らの前にすべて失敗...。  緒方監督は「なかなかいい攻撃、采配ができなかった。またあした切り替えてやるだけ」と必死に前を向いたが...。これで2013年の楽天-巨人の第7戦(Kスタ宮城)から続く日本シリーズでのセの敵地連敗は14に伸びた。  「しっかりコンタクトができるようになってきた。そこを大事にしていきたい」と丸。34年ぶりの日本一を目指す赤ヘルに正念場がやってきた。(柏村翔) 一回、丸の打球で一走・菊池が憤死したことに三塁コーチャーの広島・玉木内野守備走塁コーチ 「少しでも返球がそれていればセーフになっていた。結果的にアウトになったので(自分の判断)ミスです」 ★菊池が途中交代  広島・菊池涼介内野手(28)が八回の守備から途中交代。八回表の打席で自打球が右脚に当たり大事を取った。緒方監督は「ちょっと痛そうにしていたからね」と説明した。

◆2年連続日本一を狙うソフトバンクが4-1でセ・リーグ優勝の広島に2連勝して対戦成績を2勝1敗1分けとした。三回に上林誠知外野手(23)が日本シリーズ球団最年少決勝弾となる先制2ラン。チームはV9に輝いた1970年代の巨人を上回る日本シリーズ新記録の本拠地11連勝となった。広島は打線が4安打と沈黙した。  超満員の右翼席の真ん中だ。白球が中段に届くと、鷹ファンの歓声が鯉党のため息を完全に飲み込んだ。日本シリーズ新記録の本拠地11連勝。"兄弟対決"で逆襲した上林が主役を奪った。  「打った瞬間にいったと思いました」  三回二死一塁。甲斐の左前打でチーム初の走者が出た直後に、野村のスライダーをとらえた。前夜の第3戦で日本シリーズの初安打を記録し、今度は初アーチ。23歳2カ月での決勝弾は日本シリーズ球団最年少だ。  「本拠地にきたら打てる気がしました。やり慣れているし、いつも通りできる」  本拠地11連勝は1970-73年のV9時代の巨人の記録を超えた。当事者の王球団会長は「いい野球ができている証拠」とうなった。しかも、歴史の扉を開けた主役は目をかけ、助言を送ってきた23歳だ。「上林の(本塁打)が効いた。技術的にも向上しているね」。若鷹は七回にも右翼ポール際へ。リプレー検証でファウルも、上段まで運んで場内の度肝を抜いた。  「あの人が打ちまくるから。負けていられないです」  2戦3発の広島・鈴木は内川の元で自主トレを行う1歳年上の"兄弟子"だ。「同じ外野で同じ背番号51。まだ及ばないけどライバルです。一番気になる存在」。今年1月はリハビリの鈴木が不参加も、シーズン中は連絡を取り合った。「たまに(助言を)聞いたりもします」と足の上げ方を参考にした。アーチ競演に「誠也さんはソロでよかった」。前夜は相手が2発で「(大ファウルが)入っていたら、やり返せたのに」と苦笑いも、この日は決勝2ランを放った自身の勝ちだ。  「あした勝てば相手はプレッシャーになる。勝ちたいですね」  ホームの"不敗神話"継続で、今季22発と成長した若鷹の一発も2018年の象徴。2年連続日本一を狙う鷹が、一気に前に出た。(安藤理) 四回に2試合連続本塁打を放ったソフトバンク・デスパイネ 「完璧だったよ。調子はずっといいからね。イメージした通りだった」

◆工藤監督のアグレッシブな投手起用が印象的だった。先発の東浜を5回79球で代えて、六回から継投。第3戦で先発のミランダを六回途中まで引っ張ってバタバタしたことが頭にあったのだろう。回の頭から投手をつぎ込み、広島の追撃を許さなかった。  結局、六回以降は4投手で無安打リレー。石川が故障離脱し、第3戦で加治屋が打ち込まれたものの、八回を3人で封じた嘉弥真に象徴されるように、それに取って代わる投手がいる。改めて選手層の厚さを感じたし、短期決戦の戦い方を熟知している工藤監督のすごみを感じた。  対する広島は、今季95盗塁をマークした足が完全に封じられているのが痛い。甲斐の強肩と正確なコントロールは、それほど脅威だ。  盗塁失敗は試合の流れを止めてしまう。フルカウントの場面を除いては盗塁を仕掛けず、割り切ってヒットエンドランなど別の作戦を取って相手バッテリーにプレッシャーをかけるのも手だろう。甲斐の肩と無理に勝負する必要はない。 (サンケイスポーツ専属評論家)