ソフトバンク(☆9対8★)広島 =日本シリーズ3回戦(2018.10.30)・福岡ヤフオクドーム=
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広島
00001205081614
ソフトバンク
00022410X91202
勝利投手:ミランダ(1勝0敗0S)
(セーブ:森山 孔介(0勝0敗1S))
敗戦投手:九里 亜蓮(0勝1敗0S)

本塁打
【広島】安部 友裕(1号・5回表ソロ),鈴木 誠也(1号・6回表ソロ),鈴木 誠也(2号・8回表ソロ),安部 友裕(2号・8回表満塁)
【ソフトバンク】デスパイネ(1号・6回裏3ラン),髙谷 裕亮(1号・7回裏ソロ)

  DAZN
◆ソフトバンクが乱打戦を制し、日本シリーズの対戦成績を1勝1敗1分のタイとした。ソフトバンクは4回裏、中村晃と今宮の適時打で2点を先制する。その後4-3で迎えた6回には、柳田の適時打とデスパイネの3ランでリードを広げた。敗れた広島は、8回に安部のグランドスラムなどで1点差に迫るも、あと一歩及ばなかった。

◆ソフトバンクが地の利を生かして逆襲に出る。今日30日から「SMBC日本シリーズ」3試合はヤフオクドームでの開催。広島での2試合を1敗1分けで終えたソフトバンクは、11年第7戦から日本シリーズ9連勝中と無敵を誇る本拠地で流れを変える。キーマンは甲斐拓也捕手(25)。カープ自慢の足と上位打線を封じ込め、勝機を呼ぶ。 また福岡に帰ってこられた。本拠地での試合はCSファーストステージ以来、2週間ぶりだ。広島から移動し、ヤフオクドームでの投手練習を見守った工藤監督は「落ち着いていますよ。地元に帰ってくると、選手ものびのびできるところはある」とかみしめるように話した。 広島での2戦は1敗1分け。ただ、手応えもあった。投手陣の奮闘に加え、広島の得意とする機動力攻撃を封じたことで大量得点を許さなかった。甲斐は初戦では、同点の9回2死、サヨナラの走者だった俊足の代走上本をアウト。2戦目でも鈴木を刺した。「投手もしっかりやってくれているから。投手が頑張ってくれた」と謙遜したが、12球団トップの阻止率はだてじゃない。 工藤監督は2戦目までを踏まえ「リリーフ陣を含めて、全員が150キロ近く、それ以上に投げてくる。打席に立たないとわからない部分もあるし、ビデオとは違う部分もあったんじゃないかと思う」と分析。広島投手陣から得点するのは容易ではなく、1点を争う展開が続きそうだ。甲斐も「いい打線。1、2番が出ると鈴木誠也がかえして、得点が増える。上位打線はしっかり抑えないといけない」と警戒。盗塁阻止だけでなく、タナキクマルら上位をマークし打線をつなげさせるつもりはない。 ホームでの日本シリーズでは絶対的な強さを誇る。しかも工藤監督は就任後、負け知らずだ。セ・リーグの本拠地とは違いDH制もある。普段どおりの戦い慣れた布陣で挑むことができる。「これまでの2試合の反省を踏まえた上で切り替えていく。タイに持ち込めば絶対、変わる」。相手にペースをつかませず、流れを一気に引き戻す。工藤監督が拳を握りしめた。【山本大地】

◆広島安部友裕内野手が反撃の一撃を見舞った。 2点を先制された直後の5回、1死からソフトバンクの先発左腕ミランダの3球目ストレートをとらえ、右中間スタンドへ運んだ。 チームにとってイヤなムードを吹き飛ばす一打で1点差とした。福岡県出身の安部にとっても、地元でのメモリアルな1発となった。

◆連覇を狙うソフトバンクが「地の利」を生かして、34年ぶり4度目の日本一を目指す広島を下し今シリーズ初勝利を挙げ1勝1敗1分けのタイに持ち込んだ。 壮絶な打ち合いを制した。ソフトバンクは0-0で迎えた4回、1死から柳田、デスパイネが連続四球。続く中村晃が右前に適時打を放ち1点を先制すると2死後、今宮の左前適時打で1点を加えた。 広島は5回、安部の本塁打で1点差に迫るがソフトバンクはその裏に守備の乱れなどで2点を追加。広島は6回に鈴木誠也の本塁打と会沢の適時打で再び1点差としたが、ソフトバンクはその裏に柳田の適時打とデスパイネの3ランで突き放し、7回にも高谷の本塁打で1点を加えた。 6点差とされた広島はそれでもあきらめない。8回、鈴木のこの日2本目となるソロ本塁打と、安部のこちらもこの日2本目となる満塁本塁打で三たび1点差に。驚異的な粘りを見せたが、あと1歩届かなかった。 ソフトバンクは本拠地で11年に中日との第6戦で敗れたのを最後に、日本シリーズプロ野球最多タイ連勝記録となる10連勝。それ以前にも日本シリーズ史上唯一、7戦全てが本拠地チーム勝利で決着した03年の阪神との「内弁慶シリーズ」も制するなど、ヤフオクドームで部類の強さを誇っている。 息を吹き返したソフトバンク。「庭」での戦いは第5戦まで行われる。

◆広島九里亜蓮投手は踏ん張りきれなかった。 序盤は無失点だったが、0-0の4回に1死から柳田、デスパイネと連続四球。中村、今宮に適時打を浴びた。 「平常心で試合に入れました。3者凡退が1回しかなかったのでチームに流れを持ってくることができなかった。四球から失点につながってしまっているので、そこは反省点です」 本人が反省した2四球の場面。まず柳田に対しては6球投げて内角は1球もなし。長打を警戒して細心の注意を払った投球だったが、微妙なボール判定が重なった。デスパイネには4球連続で外角へのスライダーが外れた。ここまでは想定内とも言えたが、後続を抑えられなかったのが痛かった。 5回にも失策も絡んで2失点したところで降板した。ビハインドの状況での降板に、悔しさが表情ににじんだ。 3戦目を任された右腕は、シーズン終盤に信頼を勝ち取った。巨人とのCSファイナルステージ第3戦では6回途中1失点。日本シリーズ行きを決める好投を演じていた。

◆広島の安部友裕内野手が故郷福岡で大暴れだ。2点を先制された直後の5回1死から、ソフトバンクの先発左腕ミランダの3球目のストレートをとらえ、右中間スタンドへ運んだ。チームにとってイヤなムードを吹き飛ばす一打。安部は「バッティングカウントだったので積極的に打ちに行きました。自分のスイングでしっかりとらえることができました」と話した。 福岡県出身の安部にとっても、地元でのメモリアルな1発。さらに8回には右翼線際のホームランテラスへ、ライナー性の満塁弾を放ち、1点差に迫った。「チャンスだったので必死に食らいついていきました。最高の結果になりました!」とグランドスラムに興奮した。

◆広島鈴木誠也外野手が日本シリーズ初アーチを放った。3点を追う6回、先頭打者で打席に入ると、ソフトバンク左腕ミランダの直球を右方向へ。打球は右翼席へ飛び込む1発となった。この一打をきっかけに会沢の適時打も飛び出し、この回2点を奪って1点差まで迫った。 鈴木は「点を取られた次の回だったので、何とかしたいという気持ちで打席に入りました。しっかりと振り抜くことができました」と振り返った。 6点差の8回には先頭打者で豪快な2打席連続弾。これが安部の満塁アーチを呼び、1点差にとした。

◆34年ぶり4度目の日本一を目指す広島が、連覇を狙うソフトバンクに敗れ1勝1敗1分けのタイに持ち込まれた。 広島は0-2で迎えた5回、安部の本塁打で追撃開始。1-4とされた6回は鈴木誠也の本塁打と会沢の適時打で再び1点差とした。6回に4点、7回にも1点を失い6点差とされても、8回に鈴木のこの日2本目となるソロ本塁打と安部のこちらもこの日2本目となる満塁本塁打で三たび1点差に迫ったが届かなかった。 パ・リーグの本拠地では巨人が楽天と対戦した13年の第7戦から14年阪神、15年ヤクルト、16年広島、17年DeNAと12連敗中だった。この日の敗戦で13連敗。セ・リーグが抱える暗黒の歴史を拭い去ることはできなかった。

◆広島・鈴木誠也外野手が日本シリーズ初アーチを放った。 3点を追う6回、先頭打者で打席に入ると、ソフトバンク・ミランダの直球を右方向へ。打球は右翼席へ飛び込む1発となった。この一打をきっかけに会沢の適時打も飛び出し、この回2点を奪って1点差まで迫った。 鈴木は「点を取られた次の回だったので、何とかしたいという気持ちで打席に入りました。しっかりと振り抜くことができました」と振り返った。

◆ソフトバンクが乱打戦を制し初白星を挙げ、対戦成績は1勝1敗1分けのタイになった。 4回、中村晃と今宮の適時打で2点を先制。4-3の6回にはデスパイネの3ランなどで4点、7回は高谷のソロで加点した。ミランダが6回途中まで3失点で白星を挙げ、1点差の9回は森が締めた。 広島は鈴木と安部がともに2本塁打と追い上げたが、九里が5回途中4失点と崩れるなど投手陣が粘れなかった。

◆広島が逃げるソフトバンクを懸命に追いかけたが及ばず、1勝1敗1分けのタイに持ち込まれた。 投手陣が中盤に崩れ、7回まで3-9の劣勢。だが8回に鈴木の2打席連発なるソロと、安部の満塁弾で5点を奪って1点差に肉薄した。9回も一打同点の好機をつくったが、届かなかった。緒方孝市監督(49)の談話は以下の通り。 -猛烈な追い上げを見せた 緒方監督 すごい集中力を見せてくれた。 -鈴木が2発 緒方監督 言ってるように状態は上がっている。 -失点を減らしたい 緒方監督 逃げていてもこうなる。しっかり投げきるだけ。 -負けたが相手に嫌なイメージを与えたのでは 緒方監督 また明日、自分たちの野球をやるだけ。打ち合いをしようとは思わない。

◆連覇を狙うソフトバンクが壮絶な乱打戦を制し今シリーズ初勝利を挙げ、1勝1敗1分のタイに持ち込んだ。 4回、中村晃と今宮の適時打で2点を先制。4-3の6回にはデスパイネの3ランなどで4点、7回は高谷のソロで加点した。ミランダが6回途中まで3失点で白星を挙げ、1点差の9回は森が締めた。 広島は鈴木と安部がともに2本塁打を放つなど、3度にわたり1点差に迫るなど追い上げたが、九里が5回途中4失点と崩れるなど投手陣が粘れなかった。 試合後のソフトバンク工藤監督の一問一答は次のとおり。 -すごい試合だった 工藤監督 (フーッと息を吐いて)ホッとしてます。勝てて良かったなと思います。 -ベンチからどう見ていたか 工藤監督 とにかく選手を信じて。ヤフオク(ドーム)に戻ってきたので本来の姿を出してくれるという風に思っていましたし、その通り選手も頑張ってくれました。 -先発ミランダがしっかりゲームを作った 工藤監督 広島打線は当たっている選手ばっかりだったんですけど、よく我慢してくれたと思います。 -このシリーズ初めて先制点も取った 工藤監督 四球からでしたがチャンスをしっかり生かしてくれた。選手が本当によく頑張ってくれた。選手に「お疲れさん」と言いたいです。 -特にデスパイネの3ランが効いた 工藤監督 あのホームランでベンチが一気にわいた。「よし、これでいけるぞ」という雰囲気を作ってくれた。素晴らしいホームランでした。 -広島の粘りもすごかった 工藤監督 いやもう本当...すごいと思いました。 -日本シリーズはヤフオクドーム10連勝 工藤監督 ありがとうございます。これもひとえにファンの皆さんが本当に熱い応援をしていただけるおかげ。選手が勇気を持って打席に入ることができますし、勇気を持って投げることができると思っている。本当にありがとうございます。 -明日に向けて 工藤監督 ここ(ヤフオクドーム)でやっている時は、選手が本当にイキイキして野球をやってくれる。明日、明後日とホークスらしい野球をやってしっかり勝てるように頑張ります。

◆広島安部友裕内野手が、出身地の地元福岡で満塁弾を含む2本塁打5打点の大暴れを見せた。 まず2点を先制された直後の5回1死、ソフトバンクの先発左腕ミランダの3球目のストレートをとらえ、右中間スタンドへ運ぶ、日本シリーズ初アーチ。安部は「自分のスイングでしっかりとらえることができました」と話した。 さらに、6点差となった8回には、鈴木のソロアーチに続き、右翼へ豪快な満塁弾。両親の見守る前での2発。1点差として、ソフトバンクを追い詰めた。試合後、安部は「誰もあきらめている人はいなかった。本塁打を狙ったわけじゃないですが、点差があっても相手が嫌だと思うことをやろうと。明日へ向けてしっかり準備したい」と闘志をみなぎらせていた。

◆ソフトバンク石川柊太投手が、右肘違和感のため、31日以降の日本シリーズ登板が絶望的となった。 この日、第3戦のベンチ入りメンバーから外れた。延長12回引き分けとなった第1戦(マツダスタジアム)では3番手で登板。2回28球を投げ1安打無失点投球と好投していた。「登板後に強い張りがあった。前回の登板で1発でなったわけではないが、いろんなところに疲れが出て、最終的に肘に来た。悔しい気持ちが一番。昔あったような感じ。手術など大げさな話ではない」と話した。 試合後、工藤監督も「このシリーズは厳しい」と、起用を見送る考えを明かした。今季、シーズンでは先発、中継ぎとフル回転し42試合に登板。13勝6敗、6ホールド、防御率3・60。CSでも武田とともに「中継ぎエース」として4試合に投げ、2勝0敗、防御率1・69だった。 石川は「リスクを恐れず全力で投げてつかんだもの。次へ向けて(状態を)よくしたい」と、前向きに切り替えた。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手が2安打2打点で渋く貢献した。 4回は四球で出塁。中村晃の適時打で先制のホームを踏んだ。5回1死一、三塁では一ゴロで相手失策を誘い、今シリーズ初打点を挙げた。6回にも2死一、三塁で高く弾む三ゴロを打ち全力疾走。適時内野安打とし、続くデスパイネの3ランを呼んだ。 8回には左翼線に二塁打も打ち、徐々に調子を上げてきた。「打点はでかいですね。シーズン中やったらあれやけど、短期決戦なので」。終盤の広島の反撃には「やばいでしょ。ピッチャーも頑張っているので、1点でも多く取れるように」と気を引き締めていた。

◆ソフトバンク高谷裕亮捕手が大きな1発を打った。 8-3の7回2死、途中出場の初打席で右翼テラス席へソロ本塁打。これが9点目となり、結果としては勝利をたぐり寄せる一打になった。 だが高谷は「それはいいです。ぼくは今日は5点を取られた方です」と自ら切りだし、8回守備での5失点を悔やんだ。鈴木のソロに始まり、安部の満塁弾で1点差。「最少失点に抑えないと。鈴木のソロのあと、嫌なランナーの出し方をして、安部の満塁ホームランは打たれてはいけなかった。ああいう点の取られ方をすると、明日の立ち上がりに響く。結果的に勝ったけど、気を抜けない。悔しいし、一番反省するところです」と振り返った。

◆連覇を狙うソフトバンクが大熱戦を制し今シリーズ初勝利を挙げ、1勝1敗1分のタイに持ち込んだ。広島は最大6点のリードを許しながら驚異的な追い上げを見せたが届かなかった。 ▼広島は鈴木が球団初の2打席連発、安部が満塁弾を含む2発。日本シリーズで1試合2発以上は15年第3戦で3打席連発の山田(ヤクルト)以来で、広島では80年(1)戦ライトル以来2、3人目。同一チームの2選手が2発は、日本シリーズ史上初めてだ。また、9番打者の満塁弾はシリーズ史上初で、9番で2発は73年第3戦堀内(巨人)に次いで45年ぶり2人目。シリーズで満塁弾を含む2本塁打は04年第3戦カブレラ(西武)に次いで2人目で、満塁弾を打ちながらチームが敗れたのは04年第3戦谷繁(中日)以来2度目となった。 ▼チーム4発は15年第3戦ヤクルト以来で、広島では84年第3戦に次いで球団2度目の最多タイ。4本塁打以上で敗れたのは、70年第4戦巨人、71年第2戦巨人に次いで47年ぶり3度目。また広島の16安打は球団新で、16安打以上で敗戦はシリーズ史上初。 ▼広島は第1戦上本、野間、第2戦鈴木、田中、第3戦田中と、盗塁を5度試みてすべて失敗。第1戦から成功なしの5連続盗塁失敗は58年西鉄の4連続を抜くシリーズワースト記録。5度のうち第1戦上本、第2戦鈴木、第3戦田中は甲斐に刺された。1度も盗塁を許さずに3度続けて盗塁を刺した捕手は、4連続でアウトにした58年藤尾(巨人)に次いで2人目だ。

◆大熱戦を制し、ソフトバンクが1勝1敗1分けのタイに戻した。舞台を福岡に移して行われた「SMBC日本シリーズ」第3戦。ソフトバンク打線が大量9得点を奪い、逃げ切った。終盤にセ・リーグ王者の広島に1点差に詰め寄られたが、必死の継投策でリードを守り抜いた。これで本拠地ヤフオクドームで日本シリーズ10連勝。パのチームも本拠地で13連勝となった。得意のホームで今日も連勝だ。 最後は冷や冷やだった。1点リードの9回2死一、三塁。守護神森が野間を一ゴロに仕留め、ようやく工藤監督に笑顔が出た。「ホッとしています。勝ててよかった。(広島の粘りは)すごいと思った」と本音を隠さなかった。 日本シリーズでは絶対的な強さを誇るヤフオクドームで、ソフトバンク打線がようやく爆発した。 序盤は着実に得点を重ねた。4回は四球からつかんだチャンスから、単打を重ね2点先制。5回には内野ゴロ2本で追加点を挙げた。強力打線が地味に加点し流れをつかむと、最後は得意の本塁打攻勢で勝利を引き寄せた。6回、デスパイネが自身日本シリーズ初本塁打となる3ランでリードを広げ、7回には途中出場、今季1本塁打の高谷が右翼テラス席へソロ。広島に1点差まで追い上げられた中、この1発が最後まで効いた。 この日、工藤監督は日本シリーズ出場資格40人のうち、若手の椎野、川瀬以外の38人をヤフオクドームへ集合させた。「状態を見たいということもあって。こっちにいる時はね」と説明。1試合ごとにベンチ入り25人を変更できるルールを最大限に利用した。野手では城所、江川ら、投手陣では中田、寺原、五十嵐らが顔をそろえ、五十嵐がベンチ入りをつかんだ。ヤフオクドームでは11年第7戦から日本シリーズ10連勝。パ本拠地で、パのチームは13連勝となった。広島での第1、第2戦は寒さにも悩まされた。ナインが「寒くない」と口をそろえるドームで3時間57分の熱戦を戦い抜いた。登場曲で打席に入れる「地の利」もある。柳田はこの日から、シーズン中に使用していたボートレースのCM曲を第1、第4打席に使用した。スタッフがリクエストに応え、タレント渡辺直美が美声を響かせるCMバージョンを手配。柳田のテンションをアゲるのに一役買っている。待望の1勝を挙げたが、工藤監督は「ここからが五分なので、しっかりやっていきたい」と気を引き締める。三塁側半分はカープファンに占拠されたが、本拠地ならではの「地の利」で、第4戦、第5戦も白星をつかむ。【石橋隆雄】▼ソフトバンクが9-8で逃げ切り、1勝1敗1分けのタイに戻した。シリーズで両軍8点以上は04年<3>戦西武10-8中日に次いで2度目。シリーズでは過去4度あった8-7を抜くビッグスコアの1点差試合となった。これでソフトバンクは11年<7>戦から本拠地のヤフオクドームで10連勝。シリーズで同一球場10連勝は、巨人が70年<1>戦~73年<5>戦に後楽園球場でマークして以来、2度目のタイ記録だ。<1>、<2>戦は広島が先制したが、<3>戦はソフトバンクが先取点。ヤフオクドームでは11年<7>戦から10試合すべて先制して勝っている。

◆1点届かなかった。だが、広島安部の一撃は決して「空砲」ではなかった。5点を追う8回1死満塁、加治屋の緩いカーブを強振。弾丸ライナーが右翼ホームランテラス席に飛び込んだ。一挙に1点差。ベンチはお祭り騒ぎだ。「必死に食らいついた。最高の結果になりました」と息をはずませた。 デスパイネの3ランなどでソフトバンクの強打を見せつけられていたが「誰も諦めていなかった。点差は開いても、相手が嫌がるようなことをやろうと思っていた」。8回は6点差で迎えていた。先頭鈴木のソロに続き、安部もこの試合2発目。敗色ムードを豪快に吹き飛ばし、次戦へ勢いをつなげた。 5回には左腕ミランダから右翼席に完璧なソロ弾。「バッティングカウントだったので積極的に打ちにいきました」。第1、2戦は計1安打とバットが湿っていたが、地元福岡でよみがえった。両親らも見守った晴れ舞台で今季わずか4本塁打の男が大暴れした。 今日31日の第4戦も、活躍の予感を抱かせる。先発する野村と安部は同じ89年(平元)6月24日に、福岡県内の同じ産婦人科医院で、30分違いで生まれた。奇跡のようなストーリー。福岡には敵地とは思えない風が吹いている...広島が見せた猛攻は、敗れてなお脅威を示した。【柏原誠】

◆広島鈴木誠也外野手(24)が、日本シリーズ初本塁打を含む2打席連発など、3安打猛打賞を記録した。最大6点のリードを許しながら、バットで諦めない意思表示。若き4番に引っ張られ、ソフトバンクを最後まで追い詰めた。戦績は1勝1敗1分け。終盤に見せた反発力をつなげ、ソフトバンクのシリーズ本拠地連勝を止めたい。 敗戦に悔しさをにじませながらも、球場を後にする鈴木の視線は、力強かった。「最後まで諦めず、ギリギリのところまでいけた。負けてしまったけど、簡単に勝たせてしまうと、もっと勢いづかせてしまう」。ヤフオクドームで最後の最後までソフトバンクを追い詰めた。今シリーズ初めて先制点を許す展開。一時は6点のリードを許した。それでも1点差に迫り、9回は一打同点の好機をつくった。驚異の粘りを見せた打線をけん引したのは、若き4番だった。 ソフトバンク先発ミランダに2打席凡退で迎えた6回。「チェンジアップが良かった。低めに目付けしてもクルクル回る」。低めを完全に捨てたことで、カウント1-1から浮いた真っすぐに素直に反応できた。シリーズ初アーチが右翼席に突き刺さった。点差が6点に広がった8回は、加治屋の代わりはなを捉えた。真っすぐを今度は左翼席へ。25年ぶり優勝を決めた16年9月10日巨人戦以来の2打席連発。諦めない姿勢を示し、安部の満塁本塁打でさらに4点をかえした。 一昨年の日本シリーズは打率2割2分2厘、0本塁打、2打点で終わった。だが、今年は全3試合で複数安打を記録し、打率5割7分1厘、2本塁打、5打点。日本シリーズに合わせて家族が広島入り。母の手作り料理に舌鼓を打ち、福岡にも家族は同行。前夜は家族で市内の焼き肉店に行き、だんらんのときを過ごした。重圧を和らげ力に変え、大きな舞台で暴れた。 戦績は1勝1敗1分けとなった。ソフトバンクにシリーズ本拠地連勝を10に伸ばされても、下を向く必要はない。緒方監督は「すごい集中力を見せてくれた。また明日、自分たちの野球をする」。鈴木も「負けたので明日、切り替えて戦いたい」と言った。終盤の猛追は、次戦につなげてこそ意味がある。【前原淳】

◆<日本S博多の陣> 69年の歴史の中で初顔合わせ同士の対戦になった平成最後の日本シリーズは、第3戦からヤフオクドームに戦いの場を移した。マツダスタジアムでの2試合に続き、両チームの話題などを「日本S 博多の陣」と題して、探ります。 激しい打ち合いになった第3戦は、パの本拠地でDH制が採用された。先発メンバー中、ソフトバンクは20代4人だったのに対して、広島は7人。両チームともベンチ入り野手は16人で、年齢層(年齢は本年度終了時点)を比べるとチームの現状が浮かび上がる。 <ソフトバンク>  ◆30代(10人) 高谷(37)、内川(36)、松田宣、川島(35)、長谷川勇(34)、明石、グラシアル(33)、デスパイネ(32)、柳田、福田(30) ◆20代(6人) 中村晃(29)、今宮、西田(27)、甲斐(26)、上林(23)、栗原(22) <広島> ◆30代以上(4人) 新井(42)、石原(39)、松山(33)、会沢(30) ◆20代(12人) 丸、安部、田中、菊池(29)、上本(28)、バティスタ(27)磯村、野間、メヒア(26)、鈴木、西川(24)、曽根(23) 主力の多くが30代のソフトバンクに対して、広島は20代が主力を張る。20年ほど前から松田オーナーの考案で、「年表」と呼ばれる選手の年齢表を作成。ポジションごとに「薄い年代」を整理し、ドラフト指名の指針にする。 スカウト歴42年の苑田スカウト統括部長は「カープアカデミーなどから来る外国人の年齢も入っている」と年表で補強ポイントが明確になる。例えば今年なら「タナキク」コンビがいる二遊間に即戦力内野手は必要ない。報徳学園・小園のような高校生を指名して、育成型のチームとして年齢バランスを重視する。 これまでFAで獲得した選手はソフトバンクが12球団2位の計13人(1位は巨人の24人)に対して広島は0人。ソフトバンクは27歳今宮と23歳上林の間の世代などが出てくれば、野手の層はさらに厚みを増す。ただ...そんな状況の中でも、32歳デスパイネが4打点、30歳柳田が2打点を挙げて打ち勝った。【前田祐輔】

◆ソフトバンク石川柊太投手(26)が、右肘違和感のため、30日の日本シリーズ第3戦のベンチ入りメンバーから外れた。 延長12回引き分けとなった第1戦(マツダスタジアム)では3番手で登板。2回28球を投げ1安打無失点と好投していた。「登板後に強い張りがあった。悔しい気持ちが一番。昔あったような感じ。手術など大げさな話ではない」と話した。試合後、工藤監督も「このシリーズは厳しい」と、起用を見送る考えを明かした。武田とともに「中継ぎエース」として期待していた右腕の離脱だけに、今後の投手起用が厳しくなった。

◆ソフトバンク・デスパイネが豪快に3ランを放った。6回2死一、二塁。広島岡田の外角151キロを逆らわず右翼スタンドへたたき込んだ。「大事な場面で打てた。こういう1本が出てうれしい」と、日本シリーズでは初めての1発に会心の笑顔だ。工藤監督も「あの本塁打で一気にベンチが沸いた。いけるという雰囲気をつくってくれた」と喜んだ。 下克上で2位から勝ち上がったCSでは8試合で打率3割6分4厘、3本塁打、10打点と大暴れ。だが、指名打者が使えないセ本拠地マツダスタジアムでの第1戦はベンチスタート。左翼を守った第2戦ではいきなり飛球を後逸してしまった。 「キューバでは左翼を守るし、指名打者は体が冷えるなど難しい」と話していたデスパイネだが、この日、本来の定位置指名打者に入り「ホームで今日は気持ちよかったよ」と喜んだ。前日29日の休みは、自らキューバ料理を作り、ミランダ、グラシアルに振る舞い、音楽を聴いてリフレッシュ。嫌なことは忘れて、活躍につなげた。 3ランで決着したかに思われた試合は、まさかの追い上げを食らった。「向こうの打線はすばらしい。最後まで油断できないよ」。キューバの大砲は勝ちながらも、広島打線に敬意を示した。第4戦、第5戦も気持ちを引き締めた男が、指名打者として暴れまくる。

◆日本シリーズ第3戦はまれにみる乱打戦になった。最後は9点を取ったソフトバンクが逃げ切ったが広島も終盤に1点差まで詰め寄った。激闘の頂上決戦、広島OB、日米203勝のレジェンド・黒田博樹氏(43)は継投の難しさを感じ、先は読めないとしながらも「勝ちパターンの投手を温存できたのは広島のプラス材料」とみる。 壮絶な試合だ。しかし率直な感想を言わせてもらえば、ソフトバンクにすれば「勝った気がしない」のではないか。6点差をつけていた8回表に5点を失い、最後は抑えの森を登板させた。9点を取って抑え投手を投げさせるのはきついはずだ。 広島にとっては負けたとはいえ、今季得意にした逆転ムードは出せた。1点差まで追い上げた粘りは4戦目以降につながると思う。対戦成績もこれで1勝1敗1分けのタイ。大きなダメージの残る敗戦とは思わない。 それにしても日本シリーズのような大舞台、短期決戦で両軍にビッグイニングが生まれる試合展開というのは、ある意味、異様だった。ソフトバンクが6回に4点、広島が8回に5点。どちらも盗塁やヒット・エンド・ランなど足を絡めた作戦はなかったのに、こんな展開になった。 そこに「継投の難しさ」を感じてしまう。ソフトバンクの8回は走者がたまっていっても加治屋を代えなかった。もちろんベンチ、当事者にしか分からない理由があるのかもしれない。だが安部に満塁弾を許した後、嘉弥真が出てきたことを見れば、例えば野間のところで継投してもよかったのではないか。広島岡田が4失点した6回も同じような感じで引っ張った印象は受けた。どちらも本塁打で大きく失点したので、難しかったのは間違いないのだが。 乱打戦の中で広島サイドのプラス材料になるのは勝ちパターンの投手をほとんど起用しなかった点だろう。一岡が投げたぐらいでフランスア、中崎は投げなかった。実質2日間、休めた形だ。森、武田らを使ったソフトバンクに比べて有利なはずだ。 逆に少し心配なのはこの日4三振を喫した丸に元気がないこと。田中、菊池が出て、丸、鈴木でかえす。鈴木は調子が出てきたが広島が得意とする本来の形には、まだ、なりきれていない。 さらに言えばデスパイネに右方向に本塁打されたのは広島投手陣にとって嫌な感じだろう。内角球をファウルさせてカウントをかせぎ、外角球で打ち取る。長打を防ぐパターンの投球が通用しないのでは、と考えるだろう。 元々、右方向にも打てるデスパイネだが、あの打席の前までは引っ張り中心だった。それが、あの1発で右にも打てる自分の形を思い出したかもしれない。今後、脅威になる可能性はある。 いずれにしてもマツダスタジアムでの2試合は投手戦だったが、3戦目で一気に両軍打線にスイッチが入った感じだ。先はまったく読めなくなってきた。(元広島投手)

◆4番の意地じゃ!! 広島鈴木誠也外野手(24)が「SMBC日本シリーズ」第3戦の6回、シリーズ初本塁打となるソロを右翼席に運んだ。8回にも2打席連発となるソロを左翼へ。安部友裕内野手(29)も満塁弾を含む2発を放ち、9失点ゲームで1点差まで追い上げた。鈴木は好調を維持して、初戦から3戦連続複数安打の大当たり。敗れはしたが、今日31日の第4戦に弾みがついた。 4番が意地を見せた。鈴木はリードを再び2点に広げられた直後の6回に日本シリーズ初本塁打となるソロを右翼席に放り込むと、6点ビハインドとなった8回には左翼席へたたきこんだ。初弾から2打席連続弾。諦めない姿勢をバットで示し、終盤の追い上げにつなげた。 2打席凡退していたソフトバンク先発ミランダとの3度目の対戦で、失投を仕留めた。カウント1-1から高めに浮いた真っすぐを上からたたいた。「点を取られた次の回だったので、何とかしたいという気持ちで打席に入りました。しっかりと振り抜くことが出来ました」。37打席目で初のシリーズ弾となった。 8回は加治屋の代わり端を捉えた。甘く入った真っすぐをとらえ、今度は左翼席へ。「自分のスイングでしっかり捉えることが出来ました。何とか点につながって良かったです」。4番の一振りが球場の流れを変え、この回、安部のグランドスラムも飛び出して1点差に迫った。 一昨年の日本シリーズは打率2割2分2厘、0本塁打、2打点に終わった。だが、今年は快調な滑り出し。広島での2試合、打率5割5分6厘、3打点で、この日は待望の1発が飛び出した。しかも、2打席連発のおまけつき。オンとオフの切り替えが奏功している。日本シリーズに合わせて家族が広島入り。母の手作り料理で舌鼓を打ち、福岡にも家族は同行。前夜は家族で市内の焼き肉店でだんらんのときを過ごした。日本シリーズの重圧を和らげてくれた。 鈴木は3試合連続複数安打、2試合連続複数打点と好調をキープ。この日は、シリーズ前に「停滞した空気を変えられるようにならないといけない。それが4番の仕事」と語っていた言葉通りの打撃で、ソフトバンクを追い詰めた。若き4番が示すように、日本一までの道のりでは反発力が試される。【前原淳】

◆何色の糸で結ばれているか分からないが、ホークスと広島は昭和の時代からリーグは違っても、つながりの深い球団だった。日本シリーズ初の顔合わせ。ホークスが福岡に移転して30シーズン目。ようやく大舞台で出会った。 世界の王が博多にやってきてからホークスは着実に「常勝」の道を歩み始める。1994年(平6)10月12日、ダイエー王監督が誕生。古巣巨人を離れ、九州の地で背番号「89」のユニホームに袖を通した。「打撃を中心にした打ち勝つ野球」を掲げつつ、巨人時代からその「強さ」に一目置いていた広島の「機動性」「守備力」を生かしたスキのない野球を目指した。約1カ月後に発表された王第1次内閣は広島OBの寺岡(ヘッドコーチ)達川(バッテリーコーチ)高橋(打撃兼走塁コーチ)の3人のコーチが就任した。当時のフロントも王監督の意外な人選に驚いた。広島出身コーチの招へいに向け球団幹部は広島まで足を運び、松田耕平オーナー(故人)に面会。組閣入りの内諾を得た。その後も水谷(打撃コーチ)らも加わり「総合力」の高いチーム作りを目指した。 昭和の時代までさかのぼれば広島を球団創設初のAクラス入りさせ「赤ヘル軍団」の礎(いしずえ)を築いたとされる根本監督(故人)がいる。のちにダイエー監督となりGM的立場で王監督を招へい。こちらもホークスの常勝の礎を築いた。 ホークスは「逆転の広島」に強烈に追い上げられたが、何とか本拠地ヤフオクドームで星を拾った。これで1勝1敗1分けの五分。因縁深い両チームはさらに激戦を展開しそうだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆日本シリーズは30日、ヤフオクドームに場所を移して第3戦が行われる。マツダスタジアムで1敗1分けに終わったソフトバンクは、2011年の第7戦から本拠地での日本シリーズは9連勝中。工藤公康監督(55)も5戦全勝で、地の利を生かした逆襲を宣言した。先発のアリエル・ミランダ投手(29)ら投手陣が本拠地で調整した。広島は全体練習は行わず、福岡入りした。  吸いなれた空気が激戦の疲れを癒やした。見慣れたグラウンドで投手の調整を見守った工藤監督は何よりも強い味方になるスタンドを見上げた。  「また福岡のファンに野球をみてもらえてうれしいし、ホークスのプレーをみせて勝ちにつながればいい」  地の利は実績が証明する。ソフトバンクは本拠地での日本シリーズは2011年の第7戦から9連勝中だ。さらに、パ・リーグのチームも13年の第7戦から本拠地12連勝。うち鷹は7勝で、工藤監督も15、17年の5試合をすべて勝ってきた。  さらに第3戦は"ミスター・ヤフオク"を先発に送る。ミランダは本拠地で3戦3勝、防御率0・42。広島打線については「いいチームだけど、いつもと一緒。しっかり準備をするだけ」と平常心で臨む。  戦い慣れたDH制で、デスパイネの左翼起用など敵地での悩みも一掃。第2戦まで21イニングで3得点の打線の復活も期待できる。「明日、タイに持ち込めば、流れも変わると思います」と指揮官。鷹党で埋まるホームで勢いをつける。 (安藤理)

◆広島の1勝1分で迎えた第3戦、ソフトバンクは第1戦で左太ももに死球を受けた内川が2試合ぶりスタメン。先発はソフトバンクがミランダ、広島が九里。

◆本拠地ヤフオクDに帰って迎えた第3戦。鷹打線が、四回に相手先発・九里をつかまえた。一死から柳田、デスパイネが連続四球を選び、一死一、二塁の好機を演出。続く6番・中村晃がカウント2-1から、九里の内角高めに来た変化球を捉え、右前に運ぶ先制適時打とした。なおも二死一、二塁から、8番・今宮が左前へ運ぶ適時打を放ち、2-0とリードを広げた。  ソフトバンク先発・ミランダは三回に一死満塁のピンチを迎えたが、2番・菊池、3番・丸をを連続空振り三振に仕留め、無失点で切り抜けた。

◆広島・安部友裕内野手(29)が一回、好守備を見せた。  安部は一回一死一塁、グラシアルの三塁線への打球を横っ飛びで好捕し一塁に送球してアウトに。抜けていれば先制点を奪われる場面で、堅い守備が光った。  解説の秋山幸二氏は「素晴らしいですね。グラシアルもうまく打ったんですけどね。今のサードの守備は最高ですね」とたたえた。

◆広島の先発・九里亜蓮投手(27)が四回、ソフトバンク打線につかまった。  九里は三回までソフトバンクを2安打無失点に抑えていたが、四回、一死から連続四球を与えると、中村に右前適時打を打たれて先制点を奪われた。さらに二死一、二塁から今宮に左前適時打を放たれて0-2。このシリーズ初めてソフトバンクが先制点を挙げた。

◆広島・安部友裕内野手(29)が五回にソロ本塁打を放った。  安部は2点を追う五回、一死ランナーなしの場面で打席に立つと、カウント2-1からミランダの142キロの真っすぐを強打。高く上がった打球は右翼スタンドに飛び込んだ。今シーズン4本塁打の安倍が大舞台で反撃の一発を放った。

◆広島の松山が3試合連続の安打を放った。四回にミランダの直球をはじき返し、右翼フェンス直撃の二塁打で好機を演出した。  移動日だった29日には休日返上し、マツダスタジアムで調整。「ちょこっと汗を流して、ケアに重点を置いた。自分の打撃、プレーをするだけ」と話した鹿児島県出身の巧打者は、第1、2戦で適時打をマークした好調を維持。福岡の地でも存在感を発揮した。

◆第1戦で左太ももに投球を受け、第2戦を欠場したソフトバンクの内川が先発に復帰し、二回2死で中前打を放った。まだ万全な状態ではないが「試合に出ている以上はできることをしっかりやりたい」と言葉に力を込めた。  一塁の守備でもスライディングキャッチを試みるなど、懸命なプレーを続けた。チームは星を五分に戻し「ホームに帰ってきて、最初の試合で勝てたのは良かった」と一息ついた。

◆広島の先発・九里亜蓮投手(27)が五回途中6安打4失点でマウンドを退いた。  九里は三回までソフトバンクを2安打無失点に抑えていたが、四回、ソフトバンク打線につかまって2失点。さらに五回、先頭の上林の左前打などで、一死一、三塁のピンチを招くと、柳田を一ゴロに抑えたが、一塁手のメヒアが二塁に悪送球。ボールが点々とする間に、三走・上林が生還し1-3とされて降板。なおも二、三塁から2番手のヘルウェグがデスパイネの遊ゴロの間に失点した。

◆ソフトバンクが五回に相手の失策などで、貴重な追加点を加えた。広島・安部の右越えソロ弾で1点差に詰め寄られたが、その裏すぐに反撃した。  先頭の上林が左前打で出塁し、明石が送りバントを決め一死二塁とすると、グラシアルも左前打で一死一、三塁とした。続く4番・柳田の放った一ゴロを広島・一塁のメヒアが二塁悪送球で、ボールがレフト方向に転がる間に三走が生還し、3-1とした。さらに一死二、三塁から、デスパイネが2番手ヘルウェグから放った遊ゴロの間に再び三走が生還。4-1とリードを広げた。

◆広島の安部が日本シリーズ史上20人目となる満塁本塁打を含む2本塁打を放った。八回1死満塁で「みんながつないでくれた。何とかしたいと必死に食らいついた」と加治屋の変化球を捉えて右越えの一発とした。  五回にはソロを放っていた。外寄りの速球を捉えて右中間席に運び「自分のスイングでしっかり捉えることができた」と手応え十分の一発を振り返った。  今季のレギュラーシーズンでは、72試合に出場して4本塁打。満塁弾も1試合2発もプロでは初めてのことだ。9番で出場した伏兵が出身地の福岡で大仕事を果たした。

◆広島は3点リードされた六回、鈴木誠也外野手(24)がソロ本塁打を放つと、会沢翼捕手(30)の右前適時打で1点差に迫った。  広島は六回、無死走者なしから、鈴木が反撃の一発を放った。3球目の真っすぐをうまく合わせ右中間スタンドへ運んで2-4。  松山が中前打を放つと、ソフトバンクはミランダから高橋礼に投手交代。続くバティスタは三振に終わったが、野間の左前安打でチャンスを広げると、会沢が一死一、二塁から右前適時打を放ち3-4とした。

◆ソフトバンクの5番・デスパイネが、2点リードの六回に貴重な3ランを放った。5-3で迎えた六回二死一、二塁の場面。相手3番手・岡田に対し、カウント1-1からの3球目、151キロの真っすぐを捉えた打球は、右中間スタンドに勢いよく飛び込む3点本塁打となった。小さく右手を挙げてダイヤモンドを回ったデスパイネはチームメイトの祝福を受けると、右翼スタンドに向かってお決まりの左足を上げるポーズを決めた。ソフトバンクはこの一発で、8-3とリードを広げた。

◆ソフトバンクのミランダは六回途中7安打3失点と粘った。0-0の三回1死満塁のピンチを菊池、丸から連続三振を奪って切り抜けた。2-0の五回は1死で安部にソロを浴びたが、2死一塁では丸に落ちる変化球を続け空振り三振に仕留めた。丸は3打席で3三振と完璧に抑えた。  西武との敵地でのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦では2回7失点と崩れたが、本拠地で踏ん張り「投げ慣れたヤフオクドームのマウンドでいつも通りの投球ができた」とうなずいた。

◆ソフトバンクの5番手で登板した加治屋が広島打線につかまった。9-3の八回からマウンドに上がり、先頭の鈴木にソロ本塁打を浴びると、1死満塁から安部に満塁本塁打を許した。1死しか取れず5失点。がっくりと肩を落として、降板した。  レギュラーシーズンでは球団歴代最多の72試合に登板し、セットアッパーとしてフル回転した。抑えの森とともに救援陣の柱だけに、第4戦以降に不安を残す投球となった。

◆両軍計28安打、17得点の乱打戦となった試合は、ソフトバンクが9-8で広島に競り勝って、対戦成績を1勝1敗1分けの五分に戻した。2点リードの六回にデスパイネが、右翼スタンドへ貴重な3ランを放った。終盤、広島の猛攻で1点差に詰め寄られたが、7投手の継投で逃げ切り、最後は守護神・森が締めた。  広島・九里、ソフトバンクは左腕・ミランダが先発した。先制はソフトバンク。四回一死一、二塁から、6番・中村晃が九里の内角高めにきた変化球を捉え、右前に運ぶ先制適時打を放った。なおも二死一、二塁から、8番・今宮が左前へ運ぶ適時打を放ち、2-0とリードを広げた。  広島は2点を追う五回、一死から安部がミランダの真っすぐを捉え、右翼スタンドに運ぶソロ本塁打とし1-2とした。1点差に詰め寄られたソフトバンクは、その裏すぐに反撃。一死一、三塁から、柳田の放った一ゴロを一塁のメヒアが二塁に悪送球。ボールがレフト方向に転がる間に三走が生還し、3-1とした。さらに一死二、三塁から、デスパイネが2番手ヘルウェグから放った遊ゴロの間に再び三走が生還。4-1とリードを広げた。  広島は六回、先頭の鈴木が右中間スタンドへソロ本塁打を放って、2-4とした。さらに会沢が一死一、二塁から右前適時打を放ち、3-4と1点差に詰め寄った。ソフトバンクはその裏、二死一、三塁から柳田が俊足を生かして、三塁内野適時打を放って5-3とした。さらに続くデスパイネが二死一、二塁で、相手3番手・岡田の151キロの真っすぐを捉え、右中間スタンドに勢いよく飛び込む3点本塁打を放った。小さく右手を挙げてダイヤモンドを回ったデスパイネはチームメイトの祝福を受けると、右翼スタンドに向かってお決まりの左足を上げるポーズを決めた。ソフトバンクはこの一発で、8-3とリードを広げた。七回には、高谷が右中間へソロ弾を放ち、9-3とした。  6点を追う広島は八回、先頭の鈴木が相手5番手の加治屋から左翼スタンドへ2打席連続となるソロ弾を放ち、4-9とした。さらに一死満塁の好機で、安部が加治屋の変化球を捉え、この日2発目となる満塁本塁打を右翼スタンドに運び、8-9と1点差に詰め寄った。1点を追う九回に二死一、三塁と好機を演出したが、最後は野間が守護神・森の前に一ゴロに倒れ、ゲームセットとなった。   ソフトバンク・工藤監督は、試合後のインタビューで「ホッとしてます。勝ててよかったなと思います。とにかく選手を信じて、ヤフオクに戻ってきたので本来の姿を出してくれると思っていた」と笑顔で話した。

◆SMBC日本シリーズ2018は30日、ヤフオクドームで第3戦が行われ、2年連続日本一を目指すソフトバンク(パ・リーグ2位)が9-8で34年ぶりの日本一を狙う広島(セ・リーグ優勝)との乱打戦を制して初白星を挙げた。対戦成績は1勝1敗1分けのタイとなった。  ソフトバンクは四回、中村晃と今宮の適時打で2点を先制。4-3と追い上げられた六回にデスパイネの3ランなどで4点を奪い、七回には高谷のソロで加点した。広島は鈴木と安部が2本塁打ずつ放つなど追い上げたが及ばなかった。  31日の第4戦の先発はソフトバンクが東浜、広島が野村と発表された。  日本シリーズは、どちらかが4勝した時点で終了する。11月2日は移動日で試合がなく、3日の第6戦から再びマツダスタジアムで行われる。 ソフトバンク・工藤監督 「デスパイネの素晴らしい本塁打でいけるぞという雰囲気になった。勝てて良かった。ほっとしている。ヤフオクドームに戻って来て選手が本来の姿を見せてくれた。ここでやると生き生きとやってくれる」

◆SMBC日本シリーズ2018は30日、ヤフオクドームで第3戦が行われ、2年連続日本一を目指すソフトバンク(パ・リーグ2位)が9-8で34年ぶりの日本一を狙う広島(セ・リーグ優勝)との乱打戦を制して初白星を挙げた。対戦成績は1勝1敗1分けのタイとなった。  ソフトバンクは四回、中村晃と今宮の適時打で2点を先制。4-3と追い上げられた六回にデスパイネの3ランなどで4点を奪い、七回には高谷のソロで加点した。広島は鈴木と安部が2本塁打ずつ放つなど追い上げたが及ばなかった。  31日の第4戦の先発はソフトバンクが東浜、広島が野村と発表された。  日本シリーズは、どちらかが4勝した時点で終了する。11月2日は移動日で試合がなく、3日の第6戦から再びマツダスタジアムで行われる。 緒方監督 「すごい集中力を持って戦ってくれた。選手の頑張り。(2本塁打の安部)大いに自信にしてやってほしい。(投手陣は)しっかり投げ切るだけ。厳しい戦いになるのは分かっている。また明日自分たちの野球をするだけ」 岡田(1回4失点) 「2死から打ち取った当たりが安打になって、そこからずるずると点を取られてしまった」 会沢(六回に適時打も敗戦) 「走者をかえすことを考えた。切り替えてやるしかない」 丸(日本シリーズ1試合最多に並ぶ4三振を喫し) 「僕が足を引っ張ってしまった。自分のスイングができなかった」

◆広島の鈴木が日本シリーズ自身初となる本塁打を2打席連続でマークした。六回、外角高めの速球を逆らわずに右越えへ。「点を取られた次の回だったので、何とかしたい気持ちで打席に入った。しっかりと振り抜くことができた」とうなずいた。  八回には左越えに一発を放ち、九回にも右前打と固め打ち、3戦連続の複数安打と絶好調で「簡単に負けるのではなく食らいついていけた。(あっさりと)負けていたら相手に勢いづかせた」と敗戦にも前を向いた。

◆ソフトバンクの中村晃が先制打を放った。四回1死一、二塁で、九里の内角球にやや詰まりながらも一、二塁間をゴロで破り「打ったのはカットボール。球種は頭に入っていた。いいところに転がってくれた」と喜んだ。  調子はそれほど良いわけではなく、第2戦までは9打数1安打だったが、要所で持ち前の巧打を発揮した。「とにかく勝つしかない。勝って勝って日本一になる」と本拠地のお立ち台で力強く宣言した。

◆レギュラーシーズン1本塁打だったソフトバンクの高谷が8-3の七回にソロを放った。中田の5球目を捉えた打球は右中間へ。広島打線が八回に5点を挙げて1点差になっただけに、勝利につながる貴重な一発になった。  七回の守備から出場し、マスクをかぶった。本塁打を放ったことよりも八回に追い上げを許したリード面を反省し「終盤にああいう点の取られ方をすると、次の日の立ち上がりに影響する」と笑顔はなかった。

◆ソフトバンクの石川が右肘の張りでベンチ入りメンバーから外れた。第1戦で2回無失点と好投するなど中継ぎとしてチームを支えてきた。本人は「すごく悔しい気持ち。肘の状態が良くなるようにやっていく」と気丈に話したが、工藤監督は日本シリーズ中の復帰について「難しいかもしれない」と慎重な口ぶりだった。

◆丸は5打数無安打。三回二死満塁の先制機で空振り三振に倒れるなど、日本シリーズワーストタイの4三振を喫した。3試合で12打数1安打、8三振となり、「僕が足を引っ張っている。自分のスイングができていない。捉えられる球をファウルにしている。あしたに向けて反省して、気持ちを切り替えていきたい」と雪辱を誓った。

◆阪神・金本知憲前監督(50)が第3戦のテレビ中継(MBS系)にゲスト解説で生出演し、阪神の監督を退任して以降、初めて公の場に現れた。  放送席では今季セ・リーグの出塁率で2トップだった丸(・468)と鈴木(・438)を「この2人の活躍なくして3連覇は語れない」と称賛。特に丸については「1、2番の流れを4、5番につなげる状況判断もできますし、長打力もあります。三振(今季130)も多いんですけど、四球(130)もものすごい取っていますので、ほんとうに嫌なバッターですね」と話した。  試合は終盤までもつれ、両軍合わせて6本塁打を含む計28安打の乱打戦。終了間際には「あす(31日)も打ち合いかなと思います」と第4戦の戦況を予想していた。

◆第2戦を欠場した2人が復帰して安打を放った。五回先頭で左前打を放った上林は自身の日本シリーズ初安打。「勝ったことが一番。ヤフオクドームは打席も守備もすべてやりやすい」。体調不良もあり、第1戦は4三振で6打数無安打に終わっていた。第1戦の左太ももへの死球から復帰した内川も二回に低めの難しい変化球を中前へ。「大丈夫。出ている以上はできることを」。死球を当てられたヘルウェグとも五回に対戦。「余計な意識は邪魔」と四球を選んだ。

◆先発の九里は五回途中4失点で降板した。三回までは無失点だったが、四回一死から柳田、デスパイネに連続四球。続く中村晃に先制の右前適時打を許し、二死後は今宮に左前適時打を浴びた。五回は2安打と内野ゴロで失点。「3者凡退が(三回の)1度しかなく、チームに流れをもってこれず、四球から失点につながった。そこが反省点」とうつむいた。

◆中継ぎの柱である石川が右肘を痛めてベンチ入りメンバーから外れた。「強い張りです。前回の登板後に強くなりました。期待に応えられなくて申し訳ないです」。もともと張りを抱えていたが、第1戦の登板で悪化した。シリーズ中の復帰について、工藤監督は「ちょっと難しいかもしれない」と表情を曇らせた。ロングリリーフ、接戦の終盤でフル回転していた切り札だけに痛い。

◆主砲・柳田が渋い活躍で勝利に貢献だ。五回一死一、三塁からの一ゴロが敵失を呼び、今シリーズ初打点。六回二死一、三塁からも三塁前への詰まった打球が幸運な内野安打。"内野ゴロ"2本で2打点を挙げた。「打点はデカイ。バッティングはカスですけれど...」。ギータ流の表現で、自分の現状を説明。ただし、八回の打席では左翼線へ、らしい二塁打。爆発の予感はしてきた。

◆最後はセーブ王が何とか踏ん張った。1点リードの九回二死一、三塁のピンチ。守護神・森が1球で野間を一ゴロに仕留め、ホークスがホッとひと息の初勝利だ。  「相手の諦めない姿勢はすごかった。初セーブよりも、ゼロに抑えて勝てたことが一番」  最大6点差が最後は1点差。それでも逃げ切ったのは、先発ミランダの奮闘が大きかった。0-0で迎えた三回。一死満塁から菊池、丸を2者連続三振に。この日、ミランダは菊池から2つ。丸から3つ。キクマルから5奪三振で流れを鷹に引き寄せた。  シリーズ前。工藤監督がポイントに挙げたのが「キクマル」だった。CSファイナルでも西武・秋山マークを公言し、抑えたが、再び狙い通りにキーマンを封じた。  「投げ慣れたヤフオクのマウンドで、いつも通りの投球ができた」とミランダがいえば、指揮官も「丸クンをしっかり抑えたのが大きかった」。カープ打線の恐ろしさは感じつつも、したたかに勝った。王者の底力だ。

◆セ・リーグ3連覇の広島は、パ・リーグ2位から勝ち上がったソフトバンクに8-9で敗れ、対戦成績を1勝1敗1分けとされた。しかし4番・鈴木誠也外野手(24)と9番・安部友裕内野手(29)がともに2本塁打。1試合で2選手が2発を放つのは日本シリーズ史上初の快挙で、粘り強く戦い続けた。  最大6点のビハインドを背負っても、ファイティングポーズを崩さなかった。広島はあと1点及ばなかったが、鈴木と安部がそれぞれ2本塁打を放って意地を見せた。  「最後まであきらめなかった。(勝利まで)ギリギリのところまで持っていくことができた」  鈴木が胸を張った。3-9で迎えた八回。先頭・鈴木が加治屋の真っすぐを左翼ホームランテラス席に運び、ムードが変わった。一死後、バティスタの左前打、野間の四球、会沢の中前打で満塁とすると、安部がカーブを右翼テラス席に運んだ。日本シリーズ史上20人目のグランドスラムで、あと1点に迫った。  日本シリーズでセ・リーグ球団は、2013年の楽天-巨人第7戦(Kスタ宮城)から敵地13連敗となったが、カープはただでは負けない。九回も二死一、三塁の好機を形成。野間が一ゴロに倒れて惜敗も、ソフトバンクに脅威を与え続けた。  鈴木は六回先頭でもミランダからシリーズ1号となるソロを放ち、八回は2打席連発だった。安部も五回先頭でシリーズ初本塁打となるソロを放っており、「何とかしたいと必死に食らいついた。打線はあきらめなかった」と鈴木と同じ言葉を口にした。1試合で2選手が2本塁打するのは、日本シリーズ初の快挙となった。  鈴木は3試合で14打数8安打5打点、打率・571と絶好調。自身の公式ブログに、広島での第2戦後に東京から駆けつけた母が好物の「ケチャップごはんのドリア」を作ってくれたエピソードを明かし、リラックスした様子を披露した。福岡にも家族が応援に訪れているとも記しており、家族の存在が24歳の心の支えになっているようだ。  「すごい集中力を持って戦ってくれた。(鈴木の)状態は上がっている。(安部は)自信にしてもらっていいよ」と緒方監督。両チームとも、目指すのはあと3勝。セ・リーグ王者のプライドを胸に、最後まで戦い続ける。 (柏村翔) 六回に適時打を放った広島・会沢 「走者をかえすことを考えた。切り替えてやるしかない」 出身地(糸島市生まれ)の福岡で1回無失点の広島・一岡 「本塁打は避けようと思っていた。こういう展開もあるのでしっかりやっていきたいです」 3番手で登板し、1回4失点の広島・岡田 「二死から打ち取った当たりが安打になって、そこからずるずると点を取られてしまった」

◆2年連続日本一を目指すソフトバンクが9-8で乱打戦を制して初白星を挙げた。対戦成績は1勝1敗1分けのタイとなった。アルフレド・デスパイネ外野手(32)が六回に貴重な追加点となる3ランを放った。ソフトバンクは11年の第7戦から本拠地での日本シリーズに10連勝。V9時代の巨人に並ぶ記録となった。広島は鈴木誠也外野手(24)と安部友裕内野手(29)がともに2本塁打。1試合で2選手が2発を放つのは日本シリーズ史上初の快挙で、敗戦の中、意地を見せた。  CSファーストステージから15日間、待ち続けた福岡のファンが総立ちだ。"不敗神話"を誇る本拠地で、打線が目覚めた。1勝1敗1分けの五分。じわじわと攻めた後の締めにふさわしい豪快な一発を放ったデスパイネが右拳を握った。  「二死からみんながつないで回ってきた好機だからね。積極的に打ちにいったよ」  六回に1点を追加し、なおも二死一、二塁で右翼テラス席へ。シリーズ自身初本塁打となる3ランで5点差。力勝負で、岡田の151キロをライナーで弾き返した。後の展開を考えると、値千金の一発だ。  直前に柳田の三塁適時内野安打で追加点。五回は柳田の一ゴロ失策とデスパイネの遊ゴロで2点を奪った。3本の"ボテボテ"のち"ドカン!"。得点源2人の6打点で、敵地の2試合で計3得点に終わった攻撃陣が12安打9得点で打ち合いを制した。  2011年の第7戦から本拠地での日本シリーズは10連勝。自身は6戦全勝の工藤監督は「ヤフオクに戻って、選手が本来の姿を見せてくれると思った。熱い応援で勇気を持って打席には入り、勇気を持って投げられる」とファンに感謝した。主役を奪った助っ人も福岡の空気を心地よく吸った。  「きのうは料理をして、音楽を聴きながらゆっくりできたよ」  福岡に戻った前日29日は自炊。グラシアルとミランダも部屋に招き、3人の故郷のキューバ料理を振る舞った。マツダでの第2戦は慣れない左翼守備に苦しんでチームも敗れたが、本来のDHに座って爆発した。  「相手もすばらしいチーム。野球は最後まで油断できないね。チームの勢いをつけて、みんなで頑張りたい」  まさに五分だが、2試合を残す本拠地での強さは不変。強力打線の激突で、相手に脅威を与える大砲が存在感を示した。 (安藤理)

◆ソフトバンクは勝つには勝ったが、勝った気がしないだろう。「勝ちに等しい引き分け」という言葉がある。敗れはしたが、広島にとっては「勝ちに等しい負け」でいいのではないかと思う。  第3戦だけを見れば、菊池と丸が2人合わせて7三振とブレーキになった。すべて空振りで4三振の丸は、ミランダにタイミングが合っていなかっただけ。武田と対戦した第4打席は球を捉えていた。九回に森から喫した三振もカーブに体を泳がされたのではなく、しっかりとバットを振っていた。心配はいらない。  菊池は高めのボール球やショートバウンドに手を出していたが、それが持ち味でもある。だから第1戦のようなホームランが打てる。後ろを打つ鈴木があれだけ打っているのだから、2人に当たりが戻れば手がつけられない打線になる。  第4戦の先発はソフトバンクが東浜、広島は野村。どちらも今季の投球は物足りない。第3戦で広島は岡田、ソフトバンクは加治屋が痛い一発を喫し、勝ちパターンで投げる"大事なカード"がともに1枚ずつ消えた。打撃戦を期待する者としては、ますますおもしろくなった。 (サンケイスポーツ専属評論家)