ソフトバンク(☆5対2★)日本ハム =クライマックスシリーズ3回戦(2018.10.15)・福岡ヤフオクドーム=
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日本ハム
0100010002811
ソフトバンク
10020200X51215
勝利投手:石川 柊太(1勝0敗0S)
(セーブ:森山 孔介(0勝0敗1S))
敗戦投手:杉浦 稔大(0勝1敗0S)

本塁打
【日本ハム】横尾 俊建(2号・2回表ソロ)
【ソフトバンク】明石 健志(1号・1回裏ソロ),デスパイネ(2号・4回裏ソロ),松田 宣浩(1号・4回裏ソロ),デスパイネ(3号・6回裏ソロ),中村 晃(2号・6回裏ソロ)

  DAZN
◆ソフトバンクが一発攻勢でファイナルステージ進出を決めた。ソフトバンクは同点で迎えた4回裏、デスパイネと松田宣のソロで2点を奪い、勝ち越しに成功する。その後は6回に、デスパイネの2打席連続本塁打となるソロと中村晃のソロで追加点を挙げた。敗れた日本ハムは、打線が好機を生かし切れなかった。

◆日本ハム横尾俊建内野手(25)が、2試合連続の本塁打を放った。 0-1の2回2死の場面。ソフトバンク先発東浜の150キロ直球をとらえ、左中間スタンドへと突き刺す同点ソロ。 「完璧でした。追い込まれていたのでいろんな球種に対応できるように準備していました。勝ちたい、という気持ちがいい結果につながってくれていると思います」。この試合は、クライマックスシリーズファイナルステージ進出をかけた大事な1戦。横尾の一振りでゲームは振り出しに戻った。

◆日本ハム杉浦稔大投手が、1発攻勢に沈んだ。 1回1死、明石に右越えソロを浴び先制を許した。1-1の4回、先頭デスパイネに勝ち越しの中越えソロを献上。リードを許し3回1/3を3安打2失点で降板となった。今季は1軍登板3試合ながら大役に抜てきも、無念の降板となった。 「いきなり本塁打で先制点を取られてしまって、その後は最少失点に抑えることだけを考えて割り切って投げました。1失点ならチャンスがあると思っていたのですが、最後も本塁打を打たれてしまったのは悔いがあります。短期決戦は1発が流れを変えると思って、気を付けていたのですが」と悔やんだ。

◆逆王手を懸けていた日本ハムが、ソフトバンクの1発攻勢に屈し1勝2敗、CSファーストステージで敗退し今シーズンを終えた。 3試合制のCS、プレーオフで1勝1敗で迎えた第3戦は過去15度あるが、逆王手を懸けたチームが第3戦で勝ったケースは過去4度しかなく、突破率27%の狭き門だった。 日本ハムは04年、15年にも逆王手を懸けながら、いずれも敗退。「3度目の逆王手」でジンクス打破を狙ったが2年ぶりのファイナル進出はならなかった。 意地は見せた。1点を追う2回2死から6番横尾が左中間に2試合連続となるソロ本塁打を放ち同点とした。2点ビハインドの6回にも1死三塁から3番近藤がしぶとく中前に落とす適時打で1点差と詰め寄った。 しかし、投手陣がソフトバンク打線にソロ5本塁打を浴びて5失点。最後まで1度もリードを奪うことができなかった。

◆日本ハムがCSファーストステージで敗退した。 投手陣がソフトバンク打線にソロ本塁打を5本浴びた。打線は2回に横尾が2戦連発となる同点ソロ、6回には近藤の適時打が飛びだしたが2点止まり。相手のパワーに屈する形となった。 栗山英樹監督は「選手たちは一生懸命やってくれたんですけど、僕の能力が足りず、本当にすいませんでした。とにかく勝ちきって北海道に少しでも元気、勇気を届けたいと思っていた。結果はこっちの責任なので」と、振り返った。

◆ソフトバンクがデスパイネの2発含むソロ5本塁打で日本ハムに2勝1敗、5年連続のファイナルステージ進出を決めた。

◆ソフトバンクがソロ5本塁打の一発攻勢で日本ハムを下し2勝1敗でCSファーストステージを突破した。 5年連続のファイナルステージ進出を果たしたソフトバンクは、17日からパ・リーグ覇者西武と対戦する。ファイナルステージは6試合制。10年ぶりにリーグ優勝した西武が1勝のアドバンテージを持ち、先に4勝したチームが日本シリーズ進出となる。 試合後、工藤公康監督は、興奮気味だった。「(試合前は)心臓が飛び出るくらい緊張していた。ファンの声援もどんどん大きくなるたびに心臓も大きくなったけど、熱い声援のおかげ。(ソロ5本塁打は)打席の中で集中して(走者を)残さないようにやってくれた。野球の神様も宿ってくれたと思うけど本当にいいホームランだった」と顔を紅潮させた。 12球団NO・1を誇るシーズン202発の強力打線が火を噴いた。 1回1死走者なしから2番明石が右越えに1号ソロを放ち先制。同点で迎えた4回には先頭のデスパイネがバックスクリーン左に2号ソロで勝ち越し。さらに1死から松田宣が左中間に1号ソロを放ち、リードを2点差と広げた。 1点差に詰め寄られたソフトバンクは6回無死。デスパイネが左越えに2打席連続となる3号ソロ。続く6番中村晃も右越えに2者連続となる2号ソロで5-2と突き放した。 もはや理屈ではない。工藤監督は選手の執念が5本のアーチを生んだと信じてやまなかった。「選手たちが絶対勝つんだ、という強い思いがボールに乗り移ったホームラン。(流れを変える本塁打に)絶対負けない、勝ってファイナルに行くんだという思いを打席の中で出した選手の強さを感じた。そんな中で指揮することができて幸せに感じた」。 工藤監督の采配も光った。勝ち投手の権利目前の先発東浜が5回途中で四球を与え無死一、二塁とピンチを招くと、中継ぎ右腕の石川を即投入しこの回無失点。前夜、被安打を許した嘉弥真、加治屋も起用しながら自信を回復させるなど、先を見据えた投手起用でセーブ王森まで計5投手投入。1度も日本ハムにリードを許すことはなかった。 「(先発東浜は)この3試合に臨むにあたり精神的に疲れもあったかなと思う。早めに代える決断もあった。(石川はシーズンの)疲れもあると思うがしっかり投げてくれた。(嘉弥真、加治屋も無失点でともにホールドをマーク)嘉弥真君は厳しい場面で良く投げてくれた。加治屋君も(前夜の)リベンジできて良かった。1年間投げてきて今日投げて良く抑えた。良かった」(工藤監督)。 勝利の方程式の一角を占める加治屋の好投にお立ち台からベンチ内の加治屋に向かって「おめでとう~っ!」と称賛の声を直接届けた。 2年連続日本一を狙うソフトバンクは、下克上へ向け次の関門で西武と対戦する。「(今日の勝利は)声援のおかげ。今日の日本ハムは強かった。試合はドキドキした中で始まったが勝てたのは、選手の力。西武に勝って日本シリーズにいきたい。シーズンと同じように選手を信じて、勝ちにいって1つずつ戦っていきたい。1年間、苦しい戦いをして『心をひとつにもう一丁』をスローガンに立てて、やってきた。その思いでやっていきたい」。昨年まで4年間で3度の日本一。今季は守護神サファテ、セットアッパー岩崎、主砲内川ら主力をけがで欠く中、シーズンは2位に甘んじたが、工藤監督も、日本一の座だけは渡さないつもりだ。

◆日本ハムのルーキー、清宮幸太郎内野手はネクストバッターズサークルで敗戦を見届けた。 CSは第1戦の8回に代打で二ゴロに終わったのが、唯一の出番だった。「自分の力不足。来年は信頼を得て、結果を残して、この舞台に帰ってこられたら」と気持ちを込めた。 レギュラーシーズンは53試合に出場し、打率2割、7本塁打、18打点だった。「難しいことばかりだった。このオフに見つめ直し、やるべきことをやって、進化した自分で帰ってきたい」と来季の飛躍を期した。

◆ソフトバンクがソロ5本塁打の一発攻勢で日本ハムを下し2勝1敗でCSファーストステージを突破した。5年連続のファイナルステージ進出を果たしたソフトバンクは、17日からパ・リーグ覇者西武と対戦する。 3試合制のCS、プレーオフで日本ハムは04年、15年にも逆王手をかけながら、いずれも敗退。「3度目の逆王手」で2年ぶりのファイナル進出を目指したが、あと1歩およばなかった。 ソフトバンクが先手を取った。1回1死走者なしから2番明石が右越えに1号ソロを放ち先制した。 日本ハムも2回2死から反撃。6番横尾が左中間に2試合連続となるソロ本塁打を放ち、同点とした。 ソフトバンクは4回、先頭の5番DH・デスパイネがバックスクリーン左に2号ソロを放ち勝ち越し。さらに1死から松田宣が左中間に1号ソロを放ち、リードを2点差と広げた。 2点を追う日本ハムは6回。1死三塁から3番近藤がしぶとく中前に落とす適時打で1点差と詰め寄った。 1点リードのソフトバンクは6回無死。先頭の5番DH・デスパイネが左越えに2打席連続となる3号ソロ。続く6番中村晃も右越えに2者連続となる2号ソロで5-2と突き放した。 2年連続日本一を狙う工藤監督の執念采配も光った。勝ち投手の権利目前の先発東浜が5回途中で四球を与え無死一、二塁とピンチを招くと、中継ぎ右腕の石川を即投入しこの回無失点。前夜、被安打を許した嘉弥真、加治屋も起用しながら自信を回復させるなど、先を見据えた投手起用でセーブ王森まで計5投手投入。1度も日本ハムにリードを許すことはなかった。 ファイナルステージは6試合制。10年ぶりにリーグ優勝した西武が1勝のアドバンテージを持ち、先に4勝したチームが日本シリーズ進出となる。

◆ソフトバンク加治屋蓮投手が涙のリベンジを果たした。 前日の第2戦では同点の8回に大田、近藤にタイムリーを打たれ負け投手に。「絶対にリベンジしたい」と話していたが、すぐにその舞台はやってきた。 3点リードの8回、変わらぬセットアッパーのポジションで出番が回ってきた。しかも打者は大田からだ。加治屋は「野球の神様がいるのかなと思った。ここしかリベンジのチャンスはなかった。ラッキーだと思いました」。意気に感じ、マウンドに立った。 先頭の大田は変化球で攻めた。前日にフォークのサインに首を振り、直球を打たれた反省を生かしフォークで三ゴロに打ち取った。続く近藤もフォークで空振り三振。4番中田も遊ゴロに抑え、3人で切った。 ベンチに戻ると、目に涙がにじんだ。工藤監督からは「やったな。8回は任せているから、次も頼むぞ」とねぎらわれ「ブルペンで名前を呼ばれるか不安で、呼ばれたときからウルウルきていました。3人で抑えられたときに、こらえられなくて泣いてしまった。こういううれし涙、ホッとした涙は記憶にないです」と感無量の様子で振り返った。

◆ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ外野手が2打席連続本塁打を含む猛打賞で大暴れした。同点の4回、高め直球をバックスクリーン左のスタンドへ決勝打となる勝ち越し2号ソロを放った。 6回にはトンキンから左翼ポールのはるか上のスタンドへ届く推定140メートルの大アーチ。日本ハム栗山監督がリクエストを要求したが、判定は変わらなかった。デスパイネは「最初はファウルと思ったけど、入ってよかった。完璧だったよ。負けられない試合。全打席集中しているよ」と笑った。 7回にこの日3安打目となる左前安打を放つと、まだ3点リードだったが、代走塚田と交代した。前夜14日はグラシアルの34歳の誕生パーティーで盛り上がった。藤本打撃コーチは「家で膝を打ったらしい。打撲。あいつはどこか痛い方が打つんじゃないか。(本当に)痛かったらあそこまでボールは飛ばないけどね」と、冗談交じりにデスパイネの集中力の高さに驚いた。 CS第1ステージ3試合、12打席で11打数6安打、3本塁打、6打点とチームを猛打でファイナルステージへ導いた。デスパイネがファイナルステージ舞台、敵地メットライフドームでも爆発する。

◆ソフトバンクが04~06年のプレーオフ時代を含め5年連続11度目のファイナルS出場を決めた。 セ・リーグでは07~12年中日が6年連続でファイナルSに出場しているが、パ・リーグで5年連続は初めて。通算11度目は両リーグを通じて最多記録だ。過去10度のファイナルSの結果は優勝4度、敗退6度。公式戦2位以下から出場した06、12、16年はファイナルSで敗れシリーズ進出を逃したが、今年はどうか。

◆ソフトバンクがソロ5本塁打の一発攻勢で日本ハムを下し2勝1敗でCSファーストステージを突破した。 デスパイネが2打席連発の通算6、7号。プレーオフ、CSの1試合2本塁打は15度目のタイ記録で、2打席連発は10度目。デスパイネはロッテ時代の16年1S第1戦でも2本打っており、マルチ本塁打を2度はフェルナンデス(西武)に次いで2人目。第1戦の満塁弾、この日の1本目はともに勝利打点付きのVアーチ。3試合制の1Sで勝利打点2度は08年ウッズ(中日)以来2人目で、1SでVアーチ2本は初。

◆ソフトバンクが、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦を本塁打攻勢で制し、5年連続11度目のファイナルステージに進出した。1試合5本塁打はポストシーズン最多のプロ野球タイ記録で、12球団最多のシーズン202本塁打の本領を発揮。明日17日からの最終決戦でシーズン196発の山賊打線の西武に打ち勝ち、球団史上初の2位以下からの下克上日本一へ駆け上がる。 負ければ終戦の第3戦で、202発打線がCS最多タイの5本のアーチをかけた。工藤監督は「本当に心臓が飛び出るくらいに試合前から緊張していた。選手たちが絶対勝つんだという気持ちがバットに乗り移った本塁打だった。心の強さを感じた。すべて効果的だった」と、選手たちをほめた。 1回に2番明石が初球を右翼スタンドへ先制ソロ。初回の守りで西川の二塁へのゴロを一塁悪送球したミスをすぐに取り返した。同点に追いつかれた4回にはデスパイネが中堅へ勝ち越しソロ。ここまで9打席無安打だった松田宣も左中間へ130メートルの特大ソロをスタンドへたたき込んだ。6回にはデスパイネが2打席連続となる3号ソロを左翼ポールのはるか上のスタンドへ。「ファウルにならなくてよかった。完璧だったよ」。流れを変えたい日本ハム栗山監督からリクエストがあり、ビデオ判定にもなったが、判定も、試合の潮目も変わらない。続く中村晃も右翼スタンドへソロをたたき込んだ。 CS3試合で11打数6安打、3本塁打、6打点と大暴れしたデスパイネは「負けられない試合。全試合集中して打席に立てている」とキューバの主砲は、短期決戦で抜群の勝負強さを発揮している。就任4年目の工藤監督は4年連続、チームは5年連続のCSファイナルステージ進出となった。15年の監督就任と同時に本拠にはホームランテラスが誕生。左中間、右中間は最大で10メートル前にフェンスができた。フェンスの高さも5・84から4・2メートルと下がった。だが、この日のソロ5発はいずれもテラスではなくスタンドへ突き刺した。12日の練習を視察に来た王球団会長は、フリー打撃を見て「昔からみんな外野席中段の通路をめがけて振っていた」と目を細めた。伝統は変わらず、常日頃から長打を追求している。01年の203発に次ぐ、球団2番目の202発を量産し、工藤監督は「相手からすれば本塁打は脅威」と破壊力を頼みにする。悲劇の歴史も破壊する。プレーオフでは04年、05年とシーズン1位通過も敗退。10年もリーグ優勝しながら3位ロッテに下克上を食らった。16年は工藤監督が指揮し、シーズンは最大11・5ゲーム差をひっくり返され2位に落ち、CSも敗れた。CSの屈辱を知るホークスが、山賊打線との打ち合いを勝ち抜き、下克上の勝ちどきを上げる。【石橋隆雄】▼ソフトバンクはソロ本塁打5本。プレーオフ、CSの1試合5本塁打は07年2S第2戦ロッテ、17年ファイナルS第5戦DeNAと並ぶタイ記録。日本シリーズでも63年第7戦巨人の5本が最多でポストシーズンでは4度目のタイ記録。ソロ5発はポストシーズン史上初めて。1Sのソフトバンクは2本→1本→5本の8本塁打。3試合制の1Sでは04年西武の6本を抜いて最多。

◆1回に山梨学院大付出身のソフトバンク明石が、右翼席に先制ソロを放った。2回は日大三(東京)出身の日本ハム横尾が左中間スタンドに同点ソロを運ぶ。山梨学院大付OBの現役プロは明石1人だけだが、日大三OBって多いはず。そもそも最も多くOBをプロに輩出している高校はどこだろうか。勝負の第3戦の試合前、春日部共栄(埼玉)出身の日本ハム城石打撃コーチに聞いてみた。 「それは...やっぱり大阪桐蔭じゃないですか」 日本ハム中田が代表的だが、意外にもソフトバンクには不在。18年シーズンのプロ在籍人数を調べてみると、今夏の甲子園100回大会を制した王者は僅差でNO・1ではなかった。 <1>横浜(神奈川)18人 <2>大阪桐蔭 17人 <3>広陵(広島)16人 <4>東海大相模(神奈川)11人 <5>日大三 9人 <5>仙台育英(宮城)9人 2000年以降のドラフトで、3球団以上が1位競合した選手のくじはソフトバンクが12球団NO・1の5回(寺原、大場、東浜、高橋純、田中正)、日本ハムは2位の4回(中田、斎藤、有原、清宮)引き当てる。ともにスカウティングを選手育成の柱と重視する中で、横浜OBは両チームで計4人。ファーストステージ在籍NO・1は帝京(東京)の計5人だった。 ソフトバンク中村晃、日本ハムは杉谷、松本、石川亮、郡。試合前夜は福岡で"帝京会"を開き、慰労し合ったという。帝京は14日の秋季東京大会2回戦で9回裏に3点を奪って辛勝。杉谷は「頑張ってほしいです。昨日も創価にサヨナラ勝ちでしたから」と母校の結果を欠かさずチェックする。ファイナルステージ進出を懸けた勝負の一戦は、中村晃が6回にソロを放ち、杉谷は7回1死一、二塁から代打で捕邪飛に倒れた。プロ野球選手が必ず通る原点の3年間。5発で快勝した最年長の中村晃が「帝京魂」を集結して所沢に乗り込む。【前田祐輔】

◆ソフトバンク工藤監督が「マシンガン継投」でシーソーゲームの流れを引き寄せた。好投していた東浜を5回無死一、二塁であきらめ石川を投入した。ピンチを断ち、イニングまたぎで6回もピシャリ。7回に無死一、二塁とすると次は嘉弥真だ。後続を3人で抑え、加治屋につないだ。 加治屋は涙のリベンジを果たした。3点リードの8回、今季つかんだセットアッパーの役割でマウンドに上がった。迎えるは前日に決勝打を許した大田。打たれた直球は1球も使わず、自慢のフォークで三ゴロに打ち取った。続く近藤にも適時打を打たれていたが、フォークで空振り三振。4番中田もバットを折りながら遊ゴロに仕留めた。 ベンチに戻ると涙がこみ上げた。「抑えられて良かった。ブルペンで名前を呼ばれるか不安で、呼ばれたときにウルウルきた。3人抑えられて、こらえ切れなくて泣いてしまった」。工藤監督は「加治屋くんはこの1年頑張ってきて、今日また抑えてくれて良かった。おめでとう」。最後は守護神森が無失点で締め、CS初セーブを挙げた。17日からは西武とのファイナルステージ。ブルペン総動員で獅子を倒す。【山本大地】

◆最後はソフトバンクの強力打線に屈した。敗戦を見届けた日本ハム栗山監督は、帽子を取って深々と一礼した。「去年より悔しくてしょうがない。監督の責任。申し訳ない」。リーグ5位で終わった17年よりも、頂点に少しだけ近づいた分、悔いは残った。 手は打ったが、勝利をもぎ取れなかった。先発を託した杉浦は初回に明石、4回にデスパイネに1発を浴びた。「力のある直球でねじ伏せて欲しい」と、抜てきも4回途中で降板。杉浦の後を受けた井口も松田宣にアーチを打たれ、6回に登板した4番手のトンキンも2発を浴びた。全てがソロ本塁打で5失点。力負けだった。 攻撃でも仕掛けが実らなかった。4回1死一塁で4番中田がフルカウントに持ち込むと、一塁走者の近藤にスタートを切らせた。ランエンドヒットで併殺だけは避けようとした。ただ、中田の打球は遊撃正面の痛烈なゴロ。思惑は外れ、併殺。5回無死一、二塁では鶴岡が送りバントを失敗。2度、繰り出したリクエストも失敗と、指揮官の手で流れを引き寄せることは出来なかった。 来季も続投する。今季は大谷、増井、大野ら主力が抜けながら、低い下馬評を覆してCSまで進出した。それでも栗山監督は「やらなければいけないことが山ほどある。足りないものばっかりだ。全てだ。全ての要素が足りない。オレ自身の能力も含めて、もう1回考えていきます」と、一気に吐き出した。全てを見つめ直し、来季へ向けて新たなスタートを切る。【木下大輔】

◆工藤ホークスがCSファーストステージを突破した。本塁打5発で日本ハムを打ち崩した。ホームランは「野球の華」と言われる。世界の本塁打王でもあるホークス王球団会長は、ダイヤモンドを周回する瞬間について、「誰にも止めることができない最高の時」と話したことがある。今季、日本ハムとはチーム本塁打数で60本以上の大差をつけた。豪快なホークス打線は、短期決戦でもまざまざとその威力を見せつけた。 今ステージで、助っ人デスパイネは初戦の満塁弾を含む3発を放った。初戦を取ったとき、後藤球団オーナー代行兼社長は笑顔で言った。「私たちが取り組んできた『キューバ戦略』が成功してきましたね」。1発こそなかったが今季加入のグラシアルも打線に名を連ねた。先発投手のミランダら、キューバ出身選手を含めた中南米からの助っ人戦略に、大きな手応えを感じ取っているようであった。 04年からスタートしたプレーオフ(CS含む)で、ホークスの通算本塁打は53本。昨年は5試合で9本を記録したが、今季は3試合ですでに8本。工藤政権になってこの4年間でCS18試合で27本のアーチを量産。試合数の関係もあるが、半数以上は工藤ホークス時代という計算だ。ファイナルステージで激突する西武も本塁打のイメージが強い。豪快なアーチ合戦を制して、日本シリーズの切符を手にすることができるだろうか...。むしろ、この日の7本のヒットと3つの四球がありながら、無得点に終わったことの方が気がかりではあるが...。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆海外FA権を保持している37歳の日本ハム田中賢介は、来季について「ゆっくり考えたい」と話したが、現役続行が濃厚だ。 この日は5回に代打で出場も、空振り三振。3打数無安打2三振に終わった。「チームが負けてしまったので悔しいですね」。来季も若いチームを下支えする。

◆4打数無安打に終わった日本ハム中田は「自分の責任。みんなが頑張って勝ちに行っていたのに最後の最後で自分が足を引っ張った」と、悔しさをにじませた。 CSの打率は1割ちょうどで「すごく情けない」と伏し目がち。今季海外FA権を取得したが「まだまだ、分からない。何も考えていない。今は悔しいという思いだけです」と、国内FAも含め権利行使については明言を避けた。

◆勝つか、引き分けでファイナルステージ進出が決まるソフトバンクは一回、明石健志内野手(32)が先制のソロ本塁打を放った。  明石は一回、一死走者なしの場面で打席に立つと、杉浦の高めの143キロを捉えた打球は右翼スタンドに飛び込んだ。先制の一発を放った明石は、「打ったのはストレートです。初回の守りでミスしてしまったけど、1球でしっかり捉えられました。 まず先制できてよかったです」とコメントした。

◆勝てばファイナルステージ進出が決まる日本ハムは二回、「おにぎり君」こと横尾俊建内野手(25)が2試合連続となるソロ本塁打を放ち同点に追いついた。  この日6番に打順が上がった横尾は1点を追う二回、二死走者なしの場面で打席に立つと、カウント2-2から東浜の150キロの真っすぐをフルスイング。打球は左翼スタンドに飛び込み、すぐさま同点に追いついた。横尾は「完璧でした。追い込まれていたので、色んな球種に対応できるように準備していました。勝ちたい、という気持ちがいい結果につながってくれていると思います」とコメント。

◆勝つか、引き分けでファイナルステージ進出が決まるソフトバンクは四回、アルフレド・デスパイネ外野手(32)が勝ち越しのソロ本塁打を放った。  デスパイネは1-1で迎えた四回、先頭で打席に立つと、カウント1ボールから杉浦の141キロの高め真っ直ぐをバックスクリーン左へ運んだ。デスパイネは勝ち越しの一発に「トップバッターだったので、何とか出塁と思ったけど、いいバッティングができたし、勝ち越せてよかった」とコメントした。

◆勝てばファイナルステージ進出が決まる日本ハムは、先発の杉浦稔大投手(26)が四回途中3安打2失点でマウンドを降りた。  杉浦は一回、明石にソロ本塁打を浴び先制を許した。二回、三回は無失点で切り抜けたが、1-1出迎えた四回、デスパイネに勝ち越し弾を許すと、続く中村晃を遊ゴロに抑えたところで降板した。

◆勝つか、引き分けでファイナルステージ進出が決まるソフトバンクは先発の東浜巨投手(28)が、五回途中で降板した。  東浜は1点リードの二回、横尾にソロ本塁打を浴びたが、三回、四回は無失点に抑えた。しかし五回、先頭のアルシアに右前打、続く横尾に四球を与え、無死一、二塁のピンチを招くと交代を告げられた。2番手の石川が後続を絶ちピンチを無失点で切り抜けた。  東浜は「負けられない試合、初回からとばしていきました。早い回で降板することになり、中継ぎのみなさんに申し訳ないですが、何とか勝っている展開にもっていけたのでよかったです。あとはチームが勝つように応援します」とコメントした。

◆勝つか、引き分けでファイナルステージ進出が決まるソフトバンクは四回、松田宣浩内野手(35)がソロ本塁打を放ちリードを広げた。  ここまで9打席無安打だった松田は2-1で迎えた四回、一死走者なしの場面で打席に立つと1ストライクから井口の内角低めの真っすぐをうまくとらえた。高く上がった打球は左翼スタンドへ飛び込んだ。ベンチ前で「熱男」のパフォーマンスを披露をした松田は「自分のいいスイングができました。 巨(東浜)も頑張って投げていたので、 いい追加点になりよかったです」とコメントした。

◆勝つか、引き分けでファイナルステージ進出が決まるソフトバンクは六回、アルフレド・デスパイネ外野手(32)が2打席連続弾。続く中村晃外野手(28)もソロ本塁打を放った。  デスパイネは3-2で迎えた六回、先頭で打席に立つと、1ボールからトンキンの149キロの高め真っすぐをフルスイング。高く上がった打球は左翼席中段に飛び込んだ。栗山監督からリクエストが出されたが、判定は覆らず。さらに続く中村晃にも本塁打が飛び出し2者連続弾で5-2とし、日本ハム4番手のトンキンをわずか5球でマウンドから引きずり下ろした。  2打席連続弾のデスパイネは「完璧だった。ファウルにならなくてよかった」と自画自賛した。

◆ソフトバンクがデスパイネの2打席連続ソロ弾を含むCSの1試合最多本塁打記録となる計5本塁打で、5ー2で日本ハムを下した。シリーズ2勝1敗として、5年連続となるクライマックスシリーズファイナル進出を決めた。2年連続日本シリーズ進出をかけて、17日から1位・西武と敵地で対戦する。  ソフトバンク・東浜、日本ハムは杉浦が先発。先制は、ソフトバンク。一回一死から2番・明石が、右中間スタンドへ飛び込むソロ本塁打を放ち、1-0とした。日本ハムは二回二死から、6番・横尾が2試合連続本塁打となる左中間へソロ弾を放ち、同点とした。  ソフトバンクは四回、先頭のデスパイネがシリーズ2号となる勝ち越し中越えソロ弾を放ち、2-1とした。さらに一死から、松田が代わったばかりの2番手・井口から左中間スタンド中段へ1号ソロ本塁打を放ち、3-1とリードを広げた。 日本ハムは、六回一死三塁から、近藤が2番手・石川から中前適時打を放ち、1点差に詰め寄った。ソフトバンクは六回先頭で、デスパイネが代わった4番手・トンキンから2打席連発となる4号ソロ本塁打を左翼ポール横上段にたたき込んで、再び4-2とリードを広げた。さらに続く中村晃も2者連続弾となる右越えソロ本塁打を放ち、5-2とした。3点リードの九回には今季パ最多の37セーブをマークした守護神・森がマウンドに上がり、無失点で締めた。

◆ソフトバンクの東浜は五回途中1失点だった。二回に横尾に同点ソロを浴びたものの、四回1死一塁で4番中田を遊ゴロ併殺に仕留めるなど丁寧に投げた。  ただ、五回はアルシアに右前打、横尾に四球を与えて1死も取れずに降板。「初回から飛ばしていった。早い回で降板することになり、中継ぎの皆さんに申し訳ない」と反省した。

◆ソフトバンクがデスパイネの2打席連続ソロ弾を含むCSの1試合最多本塁打記録となる計5本塁打で、日本ハムを下した。シリーズ2勝1敗として、5年連続となるクライマックスシリーズファイナル進出を決めた。2年連続日本シリーズ進出をかけて、17日から1位・西武と敵地で対戦する。ソフトB・工藤監督は、インタビューでCSファイナルシリーズ向けての意気込みを語った。  --CSファイナル進出を決めた  「今日の試合は心臓が飛び出るぐらい始まる前から緊張していて、ファンの皆さんの声援がどんどん大きくなるにつれて、私の心臓もどんどん大きなってはきたんですけど、それが力となりこうやって勝つことができて、ほんと熱い声援ありがとうございました」  --5得点全てホームラン  「ほんとに打席の中でみんなが集中してくれて、甘い球を逃さないように、そこに野球の神様も宿ってくれたと思うんですけど、ほんとにいいホームランを打ってくれたと思います」  --明石選手の先制のホームランから始まり、同点に追いつかれたデスパイネと松田選手の一発が出た  「ほんと選手たちの今日絶対勝つんだという強い思いがバットに乗り移って打ってくれたホームランだと思います」  --六回にはデスパイネ、中村選手の一発。ホームランが流れを引き寄せた  「もうその通りだと思います。絶対負けない、勝ってファイナルに行くんだという思い。そしてそれを打席の中で出してくれる選手の心の強さというものを改めて感じましたし、そういう中でこうやって指揮ができてほんとに幸せです」  --先発の東浜選手を中盤で変えた  「この3連戦に臨むに当たってかなり精神的な疲れもあったでしょうし、ほんとに一球一球魂込めて投げてくれたので、普段の倍くらいは疲れてると思ったので今日は早めに変える決断はしてたんで、そこで変えるようにしました」  --その後石川投手もナイスリリーフだった  「疲れてる中、よく投げてくれたと思います」  --七回には嘉弥真投手、そして八回は加治屋投手で、九回は森投手がいいピッチングをした。今季の勝利の方程式  「嘉弥真くんは厳しい場面でほんとによく投げてくれたと思いますし、加治屋くんはほんとに(昨日の)リベンジができてよかったと思いますしね、改めて彼がね、ほんとにこの一年頑張ってきて、今日また投げて抑えてくれたっていうのはほんとによかった。おめでとう」  --2位からファイナル進出を決めた  「みなさん、ほんとにありがとうございます。声援のおかげです。今日日本ハムさんはすごく強かったですし、ドキドキしながら試合は始まったんですけど、そういう中でしっかり勝てたというのはまた選手たちの成長にもつながったなというふうに思いますし、とにかくファーストステージの代表として、西武と戦って日本シリーズに行けるようにしっかり頑張っていきたいと思います」  --所沢ではどんな戦いをみせたい  「シーズンと同じようにみんなを信用して、ひとつづつ明日のことは考えないで戦っていきたいと思います。一年間苦しい戦いを続けてくれてまたここからもということになりますけど、とにかく今年をチームをひとつに心をひとつにもう一丁というスローガンを立ててやってきたので、これからもその思いを持ち続けながら1試合1試合戦っていきたいと思います」

◆日本ハムのルーキー、清宮はネクストバッターズサークルで敗戦を見届けた。CSは第1戦の八回に代打で二ゴロに終わったのが、唯一の出番だった。「自分の力不足。来年は信頼を得て、結果を残して、この舞台に帰ってこられたら」と気持ちを込めた。  レギュラーシーズンは53試合に出場し、打率2割、7本塁打、18打点だった。「難しいことばかりだった。このオフに見つめ直し、やるべきことをやって、進化した自分で帰ってきたい」と来季の飛躍を期した。

◆日本ハムの中田は4打数無安打で、今CS3試合で計1安打に終わった。「足を引っ張ってしまった。自分のせい」と4番打者として敗退の責任を背負った。  1-1の四回1死一塁で併殺打に倒れるなど、速球派が並ぶ相手に抑え込まれ「正直、すごかったし、打ち崩すことができなかった」と脱帽した。海外フリーエージェント(FA)権を取得しており、去就が注目されるが「今は何も考えていない」と話すにとどめた。球団は残留を求めていく。

◆日本ハムの横尾が0-1の二回に東浜の甘く入った直球を完璧に捉え、左中間席に2試合連続のソロ本塁打を放った。ただ、チームは敗れ「悔しい。勝ちたい思いがすごくあった」と唇をかんだ。  自身初のCSで3試合連続安打をマークし、故障で離脱したレアードの代役をきっちりと務めた。プロ入り3年目の内野手は「少しずつ成長している。いい経験にしたい」と来季に向け、意欲的に語った。

◆ソフトバンクの明石が一回に先制ソロを放った。杉浦が投じた初球の速球を右翼席へ運んだ。一回の二塁の守りでは悪送球で先頭打者を出していただけに「プラマイゼロですね。真っすぐ系が多かったので、それに合わせていった」とほっとした様子だった。  この一発で打線は勢いづき、CSの1試合最多本塁打記録に並ぶ5本塁打をマークした。ファイナルステージに向け「みんな結構本塁打を打って、気分的にも乗っていけると思う」と喜んだ。 中村晃(六回に2試合連続本塁打) 「普段通りにいった」 柳田(CSファイナルステージの西武戦へ) 「やるからには頑張りたい。勝ちたい」 ソフトバンク・藤本打撃コーチ(5本塁打の打線に) 「本塁打は効果的だった。いい形でファイナルステージにいける」

◆日本ハムのレアードは左腹斜筋肉離れのためにCS全3戦を欠場した。最後の出場は9月17日のオリックス戦で「悔しい。自分も一緒にグラウンドでプレーしたかった」と残念がった。  今季で2年契約が切れる。来日した2015年から4年で通算131本塁打の実績を持つ強打者は来季について「可能であれば戻ってきたい。ファイターズがすごく好き。どうなるかわからない」と話した。関係者によると、他球団からの打診があれば話を聞く用意はあるという。

◆ソフトバンクの加治屋が八回を三者凡退に抑え、勝利に貢献した。第2戦では同点の八回に2点を勝ち越されて敗戦投手になっただけに、雪辱を果たし「ほっとした。抑えた時に、こらえ切れなくなった」とベンチで涙を流した。  第2戦で勝ち越し二塁打を許した大田といきなり対戦。打たれた速球ではなく、フォークボールで三ゴロに仕留め「一歩引いた感じでいけた」とうなずいた。

◆加治屋が八回を3者凡退に抑え、勝利に貢献した。第2戦では同点の八回に2点を勝ち越されて敗戦投手になっただけに、雪辱を果たし「ほっとした。抑えた時に、こらえ切れなくなった」とベンチで涙を流した。第2戦で勝ち越し二塁打を許した大田といきなり対戦。打たれた速球ではなく、フォークボールで三ゴロに仕留め「一歩引いた感じでいけた」とうなずいた。 五回途中1失点だったソフトバンク・東浜 「初回から飛ばしていった。早い回で降板することになり、中継ぎの皆さんに申し訳ない」 七回無死一、二塁のピンチをしのいだソフトバンク・嘉弥真 「あまり覚えていない。今までで一番緊張した」

◆ソフトバンクに5本のソロを浴びて5失点。日本ハムは打線も8安打を放ちながら2点止まりと元気なく、敗退した。  「結果的にこっちの責任。こういう終わり方をすると(シーズン5位だった)去年より悔しい。選手に申し訳ない」  栗山監督は、深々と頭を下げた。一回に先発の杉浦が明石に先制のソロ本塁打を被弾。すぐさま横尾の2試合連発の同点弾で追いついたが、徐々に引き離された。  9月に起きた北海道地震では練習ができないなどの影響を受けた。栗山監督は「北海道に元気になってもらいたい」と臨んでいた。「これを忘れないようにしたい。俺自身も含めて、全ての要素が足りない」と指揮官。20代の選手が中心の若いチーム。悔しさを胸に、来季に向かう。(中田愛沙美) 2者連続本塁打を浴びた日本ハム・トンキン 「ストライク先行でいこうと思ったが、高めに浮いてしまった」 CS敗退に選手会長の日本ハム・中島 「引っ張っていくことができなかった。もう少し、頼られる選手になりたい」 0-1の二回に左中間席に2試合連続のソロ本塁打を放った日本ハム・横尾 「悔しい。勝ちたい思いがすごくあった」

◆パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦が行われ、リーグ2位のソフトバンクが5-2で同3位の日本ハムを下し、対戦成績を2勝1敗とし5年連続のファイナルステージ進出を決めた。アルフレド・デスパイネ外野手(32)の2本塁打などCS最多タイの1試合5発をマークした。17日から西武と日本シリーズ進出をかけて敵地・メットライフで戦う。  アーチがかかる度に総立ちの外野席が揺れた。地鳴りのような歓声を何度も呼んだ。今季を象徴する一発攻勢の主役はデスパイネだ。  「達成感は感じるよ。第1戦から本当にチームに貢献したかったからうれしい。2本とも完璧だったね」  1-1の四回先頭で高めの直球を左中間へ。勝ち越しの2号ソロは第1戦の満塁弾に続く決勝弾だ。滞空時間の長い一発は仲間にも火をつけた。  一死後、CSは9打数無安打の松田宣が左翼席へ。1点差に迫られた六回には助っ人が2打席連続の3号ソロを左翼席上段に運ぶと、中村晃が2者連続で続いた。一回に明石の先制弾でゴングを鳴らすと、5本のソロでファーストステージを突破した。  今季は西武の強力打線が目立ったが、本塁打は鷹が上回った。プロ野球史上13度目の大台となる202本。最大の武器が威力を発揮し、1試合5本塁打はCS史上最多タイだ。ファーストステージ8本も新記録で、工藤監督は「絶対に勝ってファイナルにいくという思いを打席で出してくれる心の強さ」と誇った。  チームは10日に決起集会を開いた。1軍野手は翌11日にも集合した。現役を引退した本多の送別会。花束を渡して焼き肉を囲むと、鷹一筋13年の戦友からエールを受け取った。「応援している。同じ気持ちで戦っているからな」。その本多がテレビのゲスト解説を務める前で全員が躍動した。  西武とは12勝13敗の互角だが、メットライフでは3勝9敗だ。特に9月の5連敗が響いて優勝を逃した。屈辱の場所で再挑戦。3試合で11打数6安打、6打点のデスパイネは「打線はこっちも負けないよ」と宣戦布告。指揮官も目を赤くした。  「プレッシャーがかかる試合を乗り越えて先に進めることは自信にもなる。アウェーに負けない強い気持ちで戦うことが大事だと思う」  球団初となる「下克上」からの日本一へ、最大の山。何よりも、意地をみせる戦いだ。(安藤理) 一回に先制ソロを放ったソフトバンク・明石 「真っすぐ系が多かったので、それに合わせていった。みんな結構本塁打を打って気分的にも乗っていけると思う」 CSファイナルステージの西武戦へソフトバンク・柳田 「やるからには頑張りたい。勝ちたい」

◆ソフトバンクの勝因は3-1の五回無死一、二塁のピンチで、先発の東浜を交代させたことだ。2番手の石川が鶴岡のバントの打球を処理して、二走を三塁で封殺。後続も抑えて、五回以降はリードを守り続けた。逆転されないまでも、追いつかれていたら、どうなっていたかわからない。  東浜の投球には、がっかりした。四回に2点を勝ち越してもらった直後の大事なイニング。先頭のアルシアを追い込みながら、ストライクを取りにいって安打を許し、続く横尾にはストレートの四球では話にならない。  東浜だけでなく、第1戦のミランダも、第2戦の千賀にも同じことが言える。打者に向かっていく姿勢がなく、かわそうとするピッチングに終始していた。  リーグ優勝の西武と戦力を比較すると、打線は西武が上、先発陣はソフトバンクが上とみていたが、ファーストステージを見る限りは、そうも言えなくなってきた。逃げの投球が目立ったのは、3位の日本ハムが相手なので負けられないという重圧があったからだと願いたい。そのくらい情けない投球だった。  ファイナルステージでは逆の立場になる。挑戦者として開き直れば全く違う投球ができるはずだし、できないと勝ち上がるのは難しい。(サンケイスポーツ専属評論家)