阪神(★1対2☆)ヤクルト =リーグ戦23回戦・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:梅野 雄吾(3勝2敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(3勝2敗34S))
敗戦投手:ドリス(1勝7敗30S)

本塁打
【ヤクルト】奥村 展征(1号・9回表ソロ)

  DAZN
◆ヤクルトが接戦を制して4連勝。ヤクルトは4回表、星の適時打で先制する。その後同点を許すも、9回に奥村のソロが飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、3番手・梅野が今季3勝目。敗れた阪神は、5回に代打・鳥谷の適時打で追いつくも、5番手・ドリスが誤算だった。

◆阪神鳥谷敬内野手が、球団最多となる通算2065安打を記録した。 1点を追う5回、2死二塁から代打で登場すると、ヤクルト先発星の初球をたたきセンター前へ抜ける同点タイムリーヒット。これが通算2065安打目で、並んでいた藤田平氏を抜き、球団最多安打記録で単独1位に躍り出た。

◆阪神はクライマックス・シリーズ(CS)進出の可能性が完全消滅した。 阪神は試合中だったが、CS進出争いをする巨人が広島に勝利。仮に阪神が残り試合を全勝しても勝率で巨人を上回ることができなくなり、4位以下が確定した。 16年に金本知憲監督が就任して今季で3年目を迎えた。この日ヤクルトに敗れて今季ワーストの借金16に膨らむなど単独最下位。ロードは34勝35敗だったが、ホームゲームは25勝40敗2引き分けと大きく負け越した。17年は2位でCS進出していたが、2年ぶりにCS進出を逃すことになった。

◆阪神青柳晃洋投手が、5回1失点と試合を作った。5回以外は毎回安打を浴びる苦しい投球。 4回にヤクルトの投手星に先制打を浴びたが、その1点で粘り6回から救援陣にバトンタッチした。青柳は「5回の三者凡退までいいリズムを作ることができませんでしたが、ランナーを出しても我慢の投球を続けることができました。4回に2死から投手にタイムリーヒットを打たれてしまい、粘りきることができず悔しいです」と話した。

◆阪神鳥谷敬内野手が、球団最多となる通算2065安打を放った。 1点を追う5回、2死二塁から代打で登場すると、ヤクルト先発星の初球フォークをたたきセンター前へ抜ける同点タイムリーヒット。これが通算2065安打目で、並んでいた藤田平を抜き、球団最多安打記録で単独1位に躍り出た。鳥谷は「積極的に行ったことがいい結果につながってくれました。(球団最多安打については)今まで積み重ねてきた結果で、これからもやるべきことは変わりません」と話した。

◆阪神がヤクルトに敗れ、CS進出の可能性が完全に消滅した。 5回に代打鳥谷のタイムリーで同点に追いついたが、9回に守護神ドリスがヤクルト奥村に決勝ソロを浴びた。この日も1得点だけ。 本拠地甲子園での得点力不足という課題が克服できないまま、終戦の時を迎えた。 金本監督の就任1年目となった16年以来、2年ぶりのBクラスが確定。指揮官は「受け止めてます、はい」と静かに話した。来季への課題を問われると、「まずは打線でしょうね。でも全部じゃないですか。すべて。立て直していかないとね」と答えた。今季は甲子園で19勝37敗2分と本拠地で大きく負け越した。残り7試合。チームは最下位で、5位中日とのゲーム差は「0・5」となった。01年以来、17年ぶりの最下位は免れたいところだ。

◆阪神は4日のヤクルト戦で球団最多2065安打を記録した鳥谷敬内野手の記念グッズを公式オンラインショップやチームショップアルプスなどで5日から販売する。 Tシャツやフェイスタオル、マフラータオルなど15種類以上を用意した。

◆ヤクルト先発の星知弥投手(24)が6回1失点と粘りの投球を見せた。打っても4回2死一、三塁で先制適時打でプロ初打点をマーク。5回に代打鳥谷に同点適時打を許したが、その1失点で踏ん張った。 勝敗こそつかなかったが、好投で4連勝への足がかりを作った。星は「走者をほぼ毎回出したけど、最少失点で抑えられて良かった。(プロ初打点)まぐれです。その後の得点圏で甘い球とらえられた。先頭の四球と、得点圏での勝負の入り方を反省して次につなげたい」と反省しきりだったが、田畑投手コーチは「ナイスピッチングだった。適時打はもったいなかったけど粘った。(クライマックスシリーズの先発候補に)もちろん入ってくる」と称賛。クライマックスシリーズでの登板に向け、アピールに成功した。

◆プロ5年目のヤクルト奥村展征内野手(23)が、土壇場でプロ初アーチを放った。休養のためベンチスタートとなった山田哲に代わって先発出場。1-1の9回2死、阪神ドリスから右翼へ決勝の1号ソロを放った。日大山形高時代に本塁打を放ち、甲子園父子アーチを達成した思い出の球場で、成長ぶりを示した。 風にも乗って、打球がグングンと伸びた。奥村が思い切りドリスの直球を振り抜くと、打球は右翼ポール際に吸い込まれた。本人もベンチも大騒ぎの、1号ソロ。「甘い球が来たら自分のスイングをすることだけを考えていた。風に乗ってスタンドに届いてくれた。うれしいです」とほおを緩めた。 この試合に、懸けていた。クライマックスシリーズ(CS)を見据え、バレンティンと山田哲が休養。代わって二塁スタメンに名を連ねた。「山田さんが休むことはなかなかないので今日の試合は大事だと思っていた」。練習で取り組んできた強いスイングで、大仕事をやってのけた。 仲間の活躍も刺激になった。同い年で同じ左打ちの内野手でもある宮本が入団。1軍で初打席初本塁打の村上や広岡も年下。同世代が1軍で代打で活躍する姿に、モチベーションが上がっていた。 奥村の一撃で、6年ぶりの阪神戦勝ち越しが決まった。小川監督も「よく打ってくれた。いい打撃だったね。右方向に飛ばすようになったのは成長したところ。前はああいう打撃はなかった。振り切れるようになっているね」と、成長ぶりを喜んだ。それでも、奥村は「高卒で入って5年目が終わろうとしている。チームの役に立てるように総合力をつけたい」と引き締めた。高校時代に名を上げた甲子園から、プロでの成長曲線を描きはじめた。

◆1日に戦力外を通告された阪神西岡剛内野手が、甲子園の観客にあいさつした。 7回に代打で登場し三振に倒れると、スタンドに向かって一礼。その意図を西岡は「今日で終わりですから」と明かした。5日にも原口と入れ替わり、出場選手登録を抹消される見込み。 この日の試合前に金本監督と話し合った西岡は「原口がケガから戻ってこれそうだと聞いた。(原口は代打の)記録がかかっているので、こっちを優先して下さいとお願いした」という。「監督は、どこかでスタメン起用くらいまで考えてくれていたが、(自分に)そこまでの価値はない。戦力外になったときに抹消されないといけない」。 それでも指揮官は「両親を甲子園に呼びなさい」とタテジマでプレーする姿を見せるよう、配慮してくれたという。「いいところを見せたかったですけど」と話した背番号5は、静かに阪神でのプレーを終えた。

◆これが到達点ではない。だから阪神鳥谷敬内野手(37)は表情を緩めることなく、控えめに右翼席へ頭を下げた。 1点を追う5回2死二塁。大歓声の中、代打登場で初球フォークを二遊間にはじき返した。「なんとかつなごうと思って。ヒットになって良かったです」。試合を振り出しに戻す適時打は、球団最多記録を更新する通算2065回目の快音となった。 今季は長すぎる道のりを、歯を食いしばって歩んできた。ベンチスタートが当たり前になった5月下旬。突然、甲子園のロッカールームにあった荷物を一斉に片付け、周囲を騒然とさせた。通算2000安打のトロフィーも記念バットも車に詰め込んだ。人知れず覚悟を決めた1日だった。 「自分から『2軍に行かせてください』と伝えようかとも思った。でも、それは選手が決めることじゃないよなとか、それは自分の勘違いなんじゃないかとか、いろいろ悩んで...。とにかく、もう2軍に落とされても仕方がないと考えて、荷物を整理した」 数日後の5月29日。甲子園のソフトバンク戦でついに連続試合出場が止まった。もう折れてしまいそうだった心に、もう1度炎を燃えたぎらせてくれたのは、他ならぬ家族だった。 大記録に終止符を打った夜、甲子園の駐車場で愛妻の携帯電話を鳴らした。「止まったよ」。短い言葉で伝えると、受話口から家族のおえつが聞こえてきた。 「悔しかったんだと思う。あの時、気持ちを共有してもらえるって本当にありがたいことなんだなと思った。父親として、子供に逃げるなって言っているのに、自分が逃げるわけにはいかないよね」 はい上がろう。そう思わせてくれた。 「自分はすぐに目標設定をできるタイプ。対戦相手のこの選手と打率が一緒なんだ、だったら今日抜いてやろう、とか。同じ打順の相手に勝とうとか」 そんな男だ。家族の思いもモチベーションに変え、腐っている暇があるわけがなかった。記念日は、CS進出の可能性が消滅した悲しい1日となった。終着地点は新たなスタート地点。もちろん、鳥谷は過去を振り返ることなく、また未来に向けて走りだす。【佐井陽介】

◆阪神・鳥谷敬内野手(37)が通算2065安打を放ち球団記録を更新した。  鳥谷は1点を追う五回、二死二塁のチャンスで代打で登場すると、ヤクルト・星の初球フォークを中前に運ぶ同点適時打を放った。この一打で、藤田平氏(70)の2064安打を抜いて、球団記録を更新した。

◆阪神は4日、甲子園球場で行われたヤクルト23回戦に1-2で敗れ、4位以下が確定した。来季以降も契約が残っている金本知憲監督(50)の処遇について問われた谷本修球団本部長は「もちろん、そうです。そのつもりです」と続投を示唆した。  昨季、金本監督はチームを2位に導き、就任3年目の今季の春季キャンプでは「一番強いと思う」と自信を口にしていた。前半戦を3位で折り返したが、終盤に主力にけがが相次ぎ失速。7試合を残して最下位と低迷している。

◆阪神の鳥谷が五回に同点打を放った。藤田平と並んでいた球団記録を更新する2065安打をマーク。代打で打席に入ると「何とかつなごうと思った」と星の落ちる球を中前に運んだ。送球間に進塁した二塁の塁上で、大声援に応えた。  生え抜き15年目で球団史を塗り替えても「今まで積み上げてきた結果でこれからもやるべきことは変わらない」とぶれない。六回からは甲子園で慣れ親しんだ遊撃の守備に就き「鳥谷コール」を全身で浴びた。 ドリス(九回に勝ち越し本塁打を浴び) 「風もあったと思うが、本塁打を打たれてはいけないところだった」 阪神・梅野(クライマックスシリーズ進出を逃し) 「現実を受け止めて、残りの試合で来季につながる戦いをしないといけない」

◆ヤクルトの石山が九回を締め、34セーブ目を挙げた。今季70試合目の登板。「体はいつもと違うが、僕もいくつもりだった」と気迫の投球を見せた。  セーブ数でリーグトップの山崎(DeNA)まであと1に迫った。頼れる守護神は「投げている分、うまくなっていると思いたい。数字は気にせず、いけるところはいって、結果的に(山崎を)超えられたらいい」と残り3試合での奮闘を誓った。 星(6回1失点。四回には適時打) 「最少失点でいけたのはよかった。(適時打は)まぐれです」 梅野(3勝目) 「打者としっかり勝負できた」 小川監督(奥村に) 「いい打撃だった。当てにいく打撃が多かったが、振り切れるようになってきた」

◆2年目右腕の星が6回3安打1失点と好投し、CSでの先発をアピールした。力強い直球を軸に5三振を奪ったが、五回先頭への四球をきっかけに失点し、「一人一人抑えていくつもりだった。先頭の四球を反省して次につなげたい」。田畑投手コーチは「(先発候補に)もちろん入ってくる。これから相談して決めたい」と話した。

◆"終戦"をバックネット裏5階の貴賓室で見届けた坂井オーナーは球場を出ると、複数の球団職員にガードされながら、足早に専用車に乗り込んだ。報道陣から4位以下が決まったことを問われたが、コメントすることはなかった。また揚塩球団社長も、問いかけに無言で球場を後にした。

◆虎のCSの夢が消えた...。ふ~(ため息)、今季の阪神を象徴するような貧打での"THE END"に、秋風が身にしみるぜ...ブルブル。  終わっちまったけど、幕引きの試合に代打で登場した虎党のみんな大好き♪ 鳥谷敬が藤田平さんの球団最多記録を抜く2065安打目を同点タイムリーで飾ってくれたのは、秋風に似たもの悲しさがあって味わい深かったのだ!!  鳥谷ー、このまま秋から冬に季節が変わるように終わってくれるなよー!! 来季もう一度、鳥は鳥でも不死鳥のごとく復活し、来シーズンの監督の下で(代わるなんて言ってませんよ~)カムバック賞を受賞し、いつものクールな顔が「やっぱり虎の顔はオレやろー」と豹変(ひょうへん)する顔を見せてくれー!!  さて、敗れた虎党の俺はこれからどーする? 決まってるでしょう。巨人のオレンジタオルをぐるぐる回して、ジャイアンツの応援よ!! そして、辞意を表明した高橋監督が日本シリーズで勝って巨人大混乱、というメチャクチャ性格の悪い大人になってやるー!!

◆――甲子園で勝ちたかった  金本監督「もちろん。ま、打線ですね、みての通りです。点がやっぱり...取れませんね」  ――青柳は  「よく投げた方だと思うけど、5回1失点。ちょっと、もったいなかったですね」  ――5回で降板。勝負にいった  「まず追いつく、と。トリ(鳥谷)がほんとにいきなりいって、あれから勢いづくかなと思ったんですけどね」  ――選手はこの悔しさをバネにしてほしい  「ま、そうですね、はい」

◆阪神・鳥谷敬内野手(37)が4日、ヤクルト戦(甲子園)の五回に代打で登場。中前へ同点打を放ち、藤田平と並んでいた球団記録を更新する2065安打をマークした。生え抜き15年目で塗り替えた球団史。  球団も即座に動いた。鳥谷の球団最多安打記録達成を祝した記念グッズが、5日の午前10時から緊急限定発売される。黒を基調とし胸元に「BEST EVER IN TIGERS」とあしらわれたTシャツ(税込3240円)や、アクリルキーホルダー(同800円)など15種類以上。販売場所は公式オンラインショップ(T-SHOP)、チームショップアルプス、甲子園球場タイガースショップ、公認ショップ(阪神梅田本店8階タイガースショップなど)。

◆別にヤクルトが2位確定済みで、阪神が崖っぷちにたっているから...というわけでは無いだろうが、明らかに"飛車角抜き"のオーダーをみせられると、かえってミジメになる。  秋吹くはいかなる色の風なれば...と和泉式部は詠んでいるが、どんな色でもいいからたまには"濃厚なヤツ"をドドッと注ぎ込んでもらいたい。あ、秋の夜長、誤解しないでください。ヘンな想像をしないでほしい。我々はたまにはどろりとした味を待っているんだといってるだけです。  「あの、この4日から『甲子園歴史館』で前日の広島戦(マツダ)の一回にプロ初安打を放った島田海史外野手のバッティンググローブが展示されているんですョ。ぜひ、甲子園に声援にかけつけたら歴史館にいって、ファンの皆さんは見てほしいと思いますョ」と新里公章が売り込んできた。  千里の道も一歩から...なんて野暮はいわないが、この夜、五回に阪神は梅野の四球から二死二塁となって、鳥谷敬が代打で登場。星の初球のフォークをとらえて二遊間を抜き、同点に追いついた。同時に阪神生え抜きの藤田平氏の持っていた球団最多安打2064を超えて「2065安打」を記録したが、そこにはずしりと心に響くものがあった。  若い島田海史はこれからそのガガとそびえたつ"大記録"にむかってやっと走り始めた。その目の前で鳥谷敬が昭和の大打者として、あの巨人王貞治(現ソフトバンク球団会長)に「私を追い抜くのは藤田平君だろう...」とまでいわしめたほどの至芸のミート打法。それを今、鳥谷はやっと乗り越えた...。  ベテラン編集委員上田雅昭は記者席からこんな熱い電話をかけてきた。「鳥谷がやっと藤田平という先達を乗り越えた。同時にその瞬間から若虎たちは、島田海史のようにその大記録に"挑む"ことになるんや。これがチームの伝統となっていかんとなぁ...」  もはやあがいても"今季の希望の炎"は残念ながら消えかかっているのは否めない。だが...視線を落とすことはない。胸をはれ、顔を上げろタイガース!  「それにしても...や」と突如、上田記者のトーンが落ちた。「あのなぁ...新里のヤツは買ってきたヨーグルトを記者席に置いたまま試合前の練習を取材や。それを秋のカラスがジッと待っとったんや。そして記者席のサンスポのエリアで"ヨーグルト宴会"でベトベトにしたらしいんや。これで新里のおやつを狙ったカラス宴会は3度目なんや...」と上田は苦笑い。  つまり甲子園の銀傘あたりを飛び回るカラスたちは、すっかり新里をターゲットにしているらしい。平身低頭の新里はどこからかティッシュペーパーを出してきて試合前に拭き掃除をしていたらしいが、沖縄育ちの彼はカラスにもやさしくて仲間意識をもたれているのか? 秋だねぇ...。  甲子園は八回、桑原がヤクルトのダイエット打線を料理した。とそこにマツダスタジアムでは同じ八回に巨人が阿部、それに長野がホームランで4ー0とし、投手はエース菅野という途中経過が伝わってきた。MBSラジオのマイクの前で解説の八木裕氏(サンケイスポーツ専属評論家)は思わずウーン...とうなり声である。巨人はそのまま菅野が楽々と完封した。甲子園の阪神はクライマックスシリーズ(CS)出場のチケットは浜風の夜空の闇にとんでいってしまって...ああ無情。  甲子園はドリス。九回表二死走者なしから、ヤクルトの奥村が右翼ポール際にポトリとプロ初本塁打...これが決勝点となって...。  和泉式部はこう嘆いたのです。ー身にしむばかりばかり あはれなるらむ...と。

◆ラスト、タテジマ-。1日に戦力外通告を受けた西岡が、1-1の七回一死一塁で代打で登場。空振り三振に倒れると、温かい拍手を送るスタンドのファンへ、大きく2度、お辞儀した。  「今日で終わりです。いいところを見せたかったけど、結果は見ての通り。結果を出せなくてすみません。監督はどこかでスタメンくらいまで考えてくれていたので、そこまでやってもらう価値はない。もう十分です」  金本監督と相談した上で、この日を阪神での最後の出場と決めていた。指揮官からは、両親を呼んで、阪神での最後の雄姿を披露するように気遣われたという。  5日に出場選手登録を抹消され、代わりに原口が昇格する。原口はシーズン代打安打の球団記録「23」まで、あと「1」と迫っており、西岡は「野球の人生で一回味わえるか味わえないかというチャンスをものにしてきている。骨折してでもいける状態になってきたと耳にしたので、そっちを優先してくださいということで」と、後輩のために身を引いた。 Bクラス決定に選手会長の阪神・梅野 「チームが上昇していくためには、こういう(悔しい)経験ありきでやらないといけない。(CSが)消滅したという現実を受け止めて、しっかり残りの試合、来季につながるような戦いができるようにやっていく」

◆阪神・鳥谷敬内野手(37)が4日、ヤクルト戦(甲子園)の五回に代打で登場。中前へ同点打を放ち、藤田平と並んでいた球団記録を更新する2065安打をマークした。生え抜き15年目で塗り替えた球団史。早大野球部の元監督で鳥谷の恩師、野村徹氏(81)が、サンケイスポーツに祝福のメッセージを寄せた。  おめでとう! でも喜んでないんだろうな。記録は名プレーヤーの証だが、鳥谷は自分の記録よりもチームの勝利を優先させる性格だから。  今の鳥谷が置かれている状況は、はっきりいって心配している。故障でもないのに、スタメンで出る機会が少ない。大学時代から常に試合に出続け、その中で、最高のパフォーマンスを出せるように準備してきたことを考えれば、まったく異なる環境にいきなり合わせるのは大変だ。  試合中にベンチ裏でいくら走って体を温めてもグラウンドに立っているのとは全然違うだろう。やはり、打って、守って、走っての選手。1打席勝負は合うはずがなく、コンディションは最悪だろうし、だからこそ、心配になる。  若返りを図っている今のチーム事情を考えれば、峠を過ぎている鳥谷の起用法は、ある意味、しかたがないのかもしれない。難しい時期であることを自分なりに受け止め、その中で腐ることなく新記録を樹立したのだから、とても価値があると思う。  藤田平さんのように体への負担が大きい遊撃というポジションで安打を積み上げるのは、人一倍の努力がないとできないこと。鳥谷の場合、大学2年春に当時最年少で三冠王を獲った直後の2年秋に不振に陥って、東大の越智啓一朗内野手にベストナインを唯一奪われた悔しさが、プロの世界でも生きているのだろう。  どれだけつらい状況に置かれても、気持ちを切らさず、初心を忘れず、1打席1球に集中する姿勢を貫いてほしい。エリート街道を歩んできた男が壁にぶつかり、それを乗り越え、また強くなる姿をファンも楽しみにしていると思う。息の長い選手になるために「土のグラウンドでプレーしたい」と阪神を逆指名。先見の明があった。なにより、よく頑張ったね。

◆阪神・鳥谷敬内野手(37)が4日、ヤクルト戦(甲子園)の五回に代打で登場。中前へ同点打を放ち、藤田平と並んでいた球団記録を更新する2065安打をマークした。生え抜き15年目で塗り替えた球団史。早大野球部の元監督で鳥谷の恩師、野村徹氏(81)が、サンケイスポーツに祝福のメッセージを寄せた。  誰もみたことのない景色に、虎一筋15年の男がついにたどりついた。球場を包む祝福の歓声の中心に、鳥谷がいた。ひと振りで期待に応えた。球団歴代単独トップの2065安打を、貴重な同点打で決めた。  「代打だったので、なんとかつなごうと思っていました。ヒットになってよかったです」  CS進出の可能性が消えた"終戦"の夜。チームの勝利のみを追い求める男に試合後、笑顔はなかったが、決して色あせないメモリアルな瞬間だった。0-1の五回二死二塁。青柳の代打で登場し、星の初球、外角寄りフォークを中前へ弾き返した。チームにとって甲子園で17イニングぶりの得点を刻む同点打。二進したベース上で記念プレートを受け取り、ヘルメットをとって頭を下げても、割れんばかりの拍手は鳴り止まなかった。  2日の広島戦(マツダ)で虎のレジェンド、藤田平氏の2064安打に並び、本拠地で決めるあたりは千両役者だ。直後の六回の守備からは今季2度目、甲子園では2016年9月2日のDeNA戦以来、762日ぶりとなる遊撃の守備につき、さらに聖地をわかせた。  今年5月29日のソフトバンク戦(甲子園)で、連続試合出場が1939(歴代2位)で途切れた。いまは常に、いつ出番が来るかわからない。難しさを抱えながら、誰よりも優しいまなざしを仲間に向ける。サヨナラ打を食らったドリスと、試合後に宿舎で顔を合わせると「ハート、大丈夫?」と声をかけて胸をトントンと叩いた。傷心の守護神は「チョット、ダイジョウブ」と笑った。優しさに救われた。  ロッカーで感情を高ぶらせたチームメートに明るい表情で「なに怒ってんの?」と話しかけ、場を和ませたことも。今季117試合出場のうち、スタメンはわずか45試合。それでも腐らず、チームのために動く姿に、周囲の信頼は少しも変わらない。  金字塔にも「今まで積み上げてきた結果で、これからもやるべきことは変わりません」と鳥谷。CS進出の望みは断たれたが、2066安打目はチームを勝利に導く一打にする。 (新里公章)

◆ヤクルトは4日、阪神23回戦(甲子園)に2-1で勝って4連勝を飾り、6年ぶりとなる同カードのシーズン勝ち越しを決めた。高卒5年目の奥村展征(のぶゆき)内野手(23)が「7番・二塁」で先発出場し、九回二死からプロ1号となる勝ち越しのソロ本塁打を放った。山田哲人内野手(26)が休養日で欠場した中、13日に開幕するクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージのメンバー入りを猛アピール。祖父、父、自身、弟が出場した甲子園で輝いた。  ドリスの内角150キロの直球に力負けしなかった。カウント2-1。奥村が振り抜いた打球は、高々と舞い上がって右翼ポール際に消えた。  「山田さんが休むことはなかなかないので、きょうの一戦が大事だと思っていた。守備の面で色々あったので...。風にも乗って届いてくれた」  休養日の山田哲に代わり、先発のチャンスが巡ってきた。二塁の守備では中継プレーでの握り直しや本塁へのワンバウンド送球と課題を残したが、最後に持ち味の打撃で輝いた。  打球方向が高卒5年目の成長を物語る。「左打者なので、引っ張れないと幅が広がらないと言われていた」と奥村。オフからのトレーニングで体重は2キロ増の79キロとなり、スイングに力強さが増した。小川監督は「右方向に打球が飛ぶようになったのが成長。前は当てにいく打撃が多かったが、振り切れるようになった」と眼を細める。  元文科副大臣の祖父・展三(てんぞう)さんは滋賀・甲賀高を監督として甲子園に導いた。父・伸一さんは滋賀・甲西高で出場し、プリンスホテルでは宮本ヘッドコーチとチームメート。自身は日大山形高で出場し、父子アーチも達成した。今夏には弟・真大さんが龍谷大平安高で出場。甲子園と縁が深い"華麗なる一族"の23歳が、土壇場で決勝弾を放った。  13日に開幕するCSファーストステージでのメンバー入り、そして"秘密兵器"として名乗りをあげた。「(大卒で)同級生が入った。年下も次々に出てきた。自分も何とか食い込みたいし、5年目の意地を見せたい」と奥村。最後には「記念のボール? 届いていないんですよ。どうなるんですかね?」と照れ笑いを浮かべながら、帰りのバスに乗り込んだ。 (長崎右)

◆それでも続投意欲-。阪神は4日、甲子園でヤクルトに1-2で敗れ、クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。2年ぶりのBクラスに終わった就任3年目の金本知憲監督(50)は、新たに結んでいる3年契約2年目の来季に向けて意欲を語り、球団首脳も続投方針を明言。低迷打線を立て直すべく、元中日の和田一浩氏(46)を1軍打撃コーチに招へいすることが、分かった。  「執念」はどこにいったのか。これまでの虎をぶち壊し、新しい時代を築こうとしたはずが、集大成の3年目に閑古鳥が鳴く甲子園で、金本阪神が"終戦"した。山田哲らを休ませたヤクルトに8連敗を喫し、4連敗で借金は16。何より本拠地・甲子園で7連敗&借金18という屈辱だ。  「(Bクラスを)受け止めています」  CS完全消滅に、厳しい表情を見せた金本監督。今春キャンプの打ち上げで「これまでのチームでは一番強い」と豪語した舌鋒の鋭さはない。ただ、来季について問われると「(課題は)まずは打線でしょうね。全部じゃないですか。打線も...。すべて立て直していかないとね」と続投に強い意欲を示した。  今季から新たに3年契約を結んだ。谷本球団副社長兼本部長も試合後、来季続投について「もちろん。もちろん、そうです。そのつもりです」と明言。就任4年目を託す方針を改めて示したが、前日3日には巨人・高橋監督が3年連続V逸の責任をとる形で今季限りでの退任を発表した。既定路線というフレーズだけで片付けられない厳しい成績と現実が、そこにはある。  指揮官が大失速の原因に打線を掲げたように、12球団最下位のオープン戦から始まり、結局、最後まで打てなかった。チーム打率・254。年俸3億4000万円で獲得したロサリオがわずか8発に終わった誤算もあったが、それ以上に、首脳陣が修正できなかった。昨季20本塁打の中谷も4発。2年目で三塁を託した大山も出遅れた。当然ながら、このまま"無風"で来季へ、というわけにはいかない。  首脳陣のテコ入れを検討している球団幹部は、「今、1軍に右打ちのコーチがいない。そこは補強ポイントだと思う」と説明。そこで白羽の矢を立てたのが、西武、中日の現役19年間で通算2050安打、319本塁打と活躍した和田一浩氏。来季の1軍打撃コーチとして、招へいすることが分かった。  金本監督とは東北福祉大の先輩後輩。2015年に引退後、指導者経験はないが、捕手出身の鋭い分析とわかりやすい解説に定評があり、球団サイドは昨オフもオファーしていた。球界関係者によると、和田氏も受諾に意欲を示しており、2年越しの就任は決定的。育成と勝利の二兎を追いながら、課題である右の長距離砲育成に尽力する。  7試合を残して、単独最下位。ファンが期待するのは、広い甲子園に負けない強い打者が育ってくることだ。就任4年目が正式に決定すれば勝負の年。もう、後がない。屈辱の2018年を胸に刻み、切り札の打撃コーチを招へいして、猛虎打線復活を目指す。 (阿部祐亮) CS進出を逃したことに阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチ 「まだシーズン残りあるから、最後まで頑張るだけです」

◆残念ながらCSにも出場できない結果になってしまった。とはいえ、残り7試合もファンのために、1つでも上の順位を目指して戦うのがプロ野球人の務め。同時に、来年につなげる7試合にしなければならない。  今季を振り返り、課題ははっきりしている。得点力だ。特に甲子園で苦戦が目立っただけに、「甲子園でどう勝つか?」「甲子園でどう打つか?」は検証が必要だろう。本拠地で弱い球団が優勝できるわけがない。  私が考えるのは「長打プラス盗塁」。足のある選手を抜てきし、相手にプレッシャーを掛け、クリーンアップの長打が出れば...。来季に向けて、他球団に比べて圧倒的な長打の少なさをどうするか。パワーアップ、技術の向上。一朝一夕にはいかないだろうが。  その一方で足の活用は残り試合でも試せる。幸いにして「走れ! 走れ!」の2軍で江越、熊谷、1軍にいる島田らが盗塁を重ねてきた。スタートを切るのが大変な1軍でどれだけ走れるか。残り試合から、レベルアップしてもらいたい。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
82582 0.586
(↓0.004)
優勝
(-)
1718
(-)
647
(+4)
175
(-)
94
(+2)
0.262
(↓0.001)
4.13
(-)
2
(-)
ヤクルト
73652 0.529
(↑0.003)
8
(↑1)
3645
(+2)
656
(+1)
132
(+1)
67
(-)
0.267
(-)
4.16
(↑0.03)
3
(-)
巨人
66715 0.482
(↑0.004)
14.5
(↑1)
1616
(+4)
571
(-)
150
(+2)
61
(-)
0.256
(-)
3.8
(↑0.03)
4
(-)
DeNA
65722 0.474
(-)
15.5
(↑0.5)
4560
(-)
632
(-)
178
(-)
71
(-)
0.252
(-)
4.24
(-)
5
(-)
中日
62772 0.446
(-)
19.5
(↑0.5)
2590
(-)
650
(-)
95
(-)
59
(-)
0.266
(-)
4.4
(-)
6
(-)
阪神
59752 0.44
(↓0.004)
20
(-)
7558
(+1)
595
(+2)
84
(-)
74
(-)
0.254
(-)
4.02
(↑0.02)