中日(★0対4☆)阪神 =リーグ戦23回戦・ナゴヤドーム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
20001100041100
中日
0000000000500
勝利投手:藤浪 晋太郎(5勝3敗0S)
敗戦投手:ガルシア(13勝9敗0S)
  DAZN
◆阪神は初回、大山とナバーロの連続適時打で2点を先制する。その後は、5回表に藤浪の適時打で加点すると、6回にはナバーロの適時打でリードを広げた。投げては、先発・藤浪が9回完封で今季5勝目。一方の中日は、現役最終打席を迎えた野本がファーストゴロ、現役最終登板の浅尾は9回先頭打者から空振り三振を奪った。

◆中日のオネルキ・ガルシア投手(29)はここまで13勝をマーク。 今日の阪神戦で14勝目を挙げると、中日の外国人投手では00年バンチに並ぶシーズン最多勝利となる。今季10勝3敗と相性のいいナゴヤドームで助っ人タイ記録を目指す。

◆阪神糸井嘉男外野手(37)が29日、出場選手登録を抹消された。20日からの広島3連戦(マツダスタジアム)の守備で、ダイビングキャッチを試みた際に負傷。その後も治療をしながらプレーを続けてきたが、「左肩腱板部分の損傷」で出場選手登録を抹消された。 この日は、名古屋市内の病院に向かっており、チームバスに乗って、球場に姿を現すことはなかった。今後については未定。再登録可能は9日からとなる。 今季は6月末に受けた死球の影響で右足腓骨(ひこつ)骨折。7月3日には出場選手登録を抹消されていた。長期離脱は避けられない...かと思われたが、球宴にも"強行出場"して7月21日には1軍復帰。新たな"超人伝説"を作ってでも、虎を支えてきた。 今季は119試合に出場して打率3割8厘、16本塁打68打点、22盗塁の成績を残していた。主軸の糸井が離脱することは間違いなく痛手だ。 代わって高山俊外野手(25)が再昇格した。

◆今季初の4番に座った阪神大山悠輔内野手が、早速適時打を放って起用に応えた。 1回2死三塁で、ガルシアの146キロ直球を右翼線にはじき返す先制タイムリー。「追い込まれてしまいましたが、粘って反対方向に打ち返すことができました。先制のチャンスでランナーをかえすことができて良かったです」と振り返った。 5番ナバーロも右前適時打で続き、幸先よく2点を先行した。

◆まさに二刀流の輝きだ。阪神先発の藤浪晋太郎投手が自らのバットで追加点をたたき出した。 2点リードの5回1死二塁。ガルシアの141キロを捉えた。打球はセンターの頭上を越えワンバウンドでフェンスに到達。自身を援護する適時二塁打とした。 16日DeNA戦での満塁本塁打、22日広島戦での二塁打に続き、出場3試合連続安打。投球だけでなく打撃も光っている。

◆過密日程の阪神に、またしても逆風だ。6回表終了時、場内放送で台風24号の影響により、明日30日中日戦(ナゴヤドーム)が中止されることが発表された。 今季20度目の中止が決まり、日程消化はさらに厳しさを増した。

◆現役引退を表明した中日浅尾拓也投手と28日に史上初の1000登板を達成した岩瀬仁紀投手の"黄金リレー"がなされた。 9回に3番手として浅尾が登板。阪神中谷を6球目にフォークで空振り三振を奪った。これで通算500奪三振となった。ここで岩瀬に交代が告げられると、マウンド上で岩瀬と抱擁を交わし、目を赤くしながら頭を下げた。 岩瀬は藤浪と対戦となったが、右前打を許した。これで1001試合目の登板となった。 10、11年リーグ優勝を支えた2人の継投に球場は大きく沸いた。

◆現役引退を表明した中日浅尾拓也投手と野本圭内野手が試合後に引退セレモニーが行われた。 野本は8回に代打で登場し、一ゴロでヘッドスライディングを見せた。「どんなときでも暖かいご声援を下さったファンの皆さま、感謝しています。今後はドラゴンズファンとして選手を応援していきたいです。10年間ありがとうございました」とあいさつした。 浅尾は9回に阪神中谷と対戦。5球目にあわや本塁打性の特大ファウルを打たれたが、最後はフォークで空振り三振を奪った。「つらかった時期が多かったですけど、野球を続けて良かったです。初登板も最終登板も阪神でした。今日対戦してくれた中谷君が全力で勝負してくれたことを本当に選手としてうれしかったです。ありがとうございましたとお伝え下さい。12年間でしたが、たくさん応援していただきありがとうございました。これからもドラゴンズを応援し続けていきます」と感謝した。 10、11年リーグ連覇を支えた2人は最後に場内を1周してファンに別れを告げた。

◆中日岩瀬仁紀投手(43)が連投で通算1001試合を記録した。28日に通算1000試合登板を達成したばかり。実はこの日が引退試合だった浅尾から登板を熱望されていた。 「特別ですよ。そういう時代があった」。10、11年には鉄壁リレーを組んで、球団史上初のリーグ連覇に貢献。その再現となった。入団した時の指揮官だった故星野仙一監督にちなんだ登板数になり、「よー、がんばったと言ってくれていると思う」と感慨深げだった。

◆阪神は投打の歯車がかみ合い、最下位転落をまぬがれた。 先発藤浪は速球、フォークともに制球が良く、復活を印象づける完封勝利。負傷離脱した糸井の代役4番に入った大山も4打数4安打と大当たりで貢献した。金本知憲監督は「(藤浪は)今年一番でしょうね。藤浪が投げるときはよく打つわね、なぜか。彼が何とか勝ち星をつけて、自信をつけてほしいという思いを、選手が共有してくれているような点の取り方ですね。毎回、4、5点取ってくれて」と話した。大山は、くしくも藤浪が先発した16日DeNA戦(横浜)でも6打数6安打7打点の打ちっぷり。またも「同学年の絆」で猛打を再現した。今季、これまで1勝3敗と苦戦していた先発ガルシアも攻略した。負けていれば、再び単独最下位に転落する危機だったが、踏ん張った。

◆昨年9月20日以来の4番に起用された阪神大山悠輔内野手が、4打数4安打1打点と大暴れだった。 初回2死三塁でガルシアから右翼線へ先制の適時二塁打を放つと、勢い止まらず4安打の固め打ち。試合後は「チームが勝ったのでそれが一番よかったです」と冷静に振り返った。 「左肩腱板(けんばん)の部分損傷」で出場選手登録を抹消された糸井の代役4番を務め、チームの連敗ストップに貢献した。

◆阪神藤浪晋太郎投手(24)が、チームの窮地で「二刀流」の輝きを放った。 投げては9回5安打7奪三振で、2年ぶりとなる完封勝利。打っては5回に中越え適時二塁打と岩瀬打ちで、プロ初のマルチ安打。今季5勝目で、自身の通算50勝目を飾った。チームは負ければ自力CS進出消滅の可能性があったが、藤浪の活躍で踏ん張った。 ▼藤浪が高卒6年目にしてプロ通算50勝に到達。阪神の高卒ドラフト入団投手では、江夏豊の3年目((1)12勝(2)25勝(3)15勝)に次ぐペースで、右腕に限れば最速となった。 ▼藤浪の完封勝利は通算6度目で、16年6月2日楽天戦以来、2シーズンぶり。ナゴヤドームで阪神の投手が完封勝ちを収めたのは、16年9月24日メッセンジャー以来4人目。日本人投手では、同球場開場初年度の97年8月24日の川尻哲郎以来、21年ぶり2人目。 ▼藤浪は打ってはプロ初のマルチ安打。3試合連続安打は、16年4月5日巨人戦~同26日巨人戦4試合連続以来、プロ4度目。なお最長は5試合連続で、14年4月1日中日戦~同30日広島戦で記録。

◆阪神藤浪晋太郎投手(24)が、チームの窮地で二刀流の輝きを放った。投げては2年ぶりとなる完封勝利の力投だ。「調子、ボール自体は悪くなかった。守備に助けられたり、なんとか周りに投げさせてもらいました」。大崩れすることなく、9回5安打無失点。134球で7三振を奪い、四球は2つ。「意図通り、意図したボールがいっていたのではないかと思います」。抜群の安定感で今季5勝目。16年6月2日楽天戦以来のシャットアウトで、自身の通算50勝目を飾った。 バットでも強烈なインパクトを残した。5回の中越え適時二塁打に、金本監督は「めちゃくちゃ、すごい当たりやったな。二刀流できるんじゃないかという感じ」。16日DeNA戦でプロ入り初の満塁弾をかっ飛ばすと、22日広島戦でも二塁打。非凡な打撃センスはますます光る。この日は9回に引退することが判明した中日岩瀬からも右前打を放ち、プロ入り初のマルチ安打を記録した。 自身3連勝。金本監督は「(カウント)3-1から変化球を投げたり、3-2から投げたり。最近の藤浪では、ちょっと見られなかった。自信を持ってフォークもうまく使っていました」と、失点した前回2度の登板との違いを強調。9回に打席が回ってきたが、続投。指揮官は「本人に確認したんですけど『お任せします』と言うから。完封で自信をつけてほしい願いがあったから。『お任せするというより、行こうや』と。行かせました。残り試合も期待できる」と完全復活といわんばかりだ。 チームは負ければ、自力CS進出が消滅する可能性もあったが、藤浪の活躍で踏ん張った。残り11試合。もちろん、厳しい状況に変わりはないが、背番号19の投球とバットが、虎にはある。【真柴健】 ▼藤浪が高卒6年目にしてプロ通算50勝に到達。阪神の高卒ドラフト入団投手では、江夏豊の3年目(<1>12勝<2>25勝<3>15勝)に次ぐペースで、右腕に限れば最速となった。 ▼藤浪の完封勝利は通算6度目で、16年6月2日楽天戦以来、2シーズンぶり。ナゴヤドームで阪神の投手が完封勝ちを収めたのは、16年9月24日メッセンジャー以来4人目。日本人投手では、同球場開場初年度の97年8月24日の川尻哲郎以来、21年ぶり2人目。 ▼藤浪は打ってはプロ初のマルチ安打。3試合連続安打は、16年4月5日巨人戦~同26日巨人戦4試合連続以来、プロ4度目。なお最長は5試合連続で、14年4月1日中日戦~同30日広島戦で記録。

◆今季限りでの現役引退を表明している中日浅尾が最後のマウンドに上がった。 セットアッパーとして10、11年のリーグ連覇に貢献した右腕は9回に登板。阪神中谷からフォークで空振り三振を奪った。打者1人を投げ終えると、全盛時のリレー再現を熱望していた岩瀬にバトンタッチ。「岩瀬さんにつなげて、うれしかった。待ってくれているファンに、来年もやるという決断ができなかったのは申し訳ない。でもお疲れさまと言ってもらえた。逆に、ありがとうと伝えたい」と目を潤ませた。

◆通算1001試合目は、おとこ気登板だった。中日岩瀬が浅尾からバトンを受け、連投のマウンドに立った。9回1死。藤浪に右前打を打たれ、降板したが、かつての鉄壁リレーを本拠地で実現させた。「酷なことをさせますね。タクがそうやって言うんだから。頑張りましたけどね」と苦笑交じりに振り返った。 入団時の指揮官である故星野仙一監督の名前にちなんだ登板数。「よー、頑張った、と言ってくれていると思う」と感慨深げだった。

◆中日野本圭内野手(34)が魂のヘッドスライディングで現役最後の打席を締めた。 8回裏に代打で登場。高くバウンドした打球は一塁手のグラブに収まった。間に合わないのは明らかだったが、それでも頭からベースに突っ込んだ。気迫のこもったプレーに、森監督は「それしかないだろ、アイツの取りえは。肉離れしてなくて、よかったよ」と指揮官流の表現でねぎらった。引退セレモニーでは、「どんなときでも温かい声援をくださったファンの皆さま、本当に感謝しています」と気持ちを込めた。 ◆野本圭(のもと・けい)1984年(昭59)7月7日生まれ、岡山県出身。岡山南-駒大-日通を経て08年ドラフト1位で中日入り。名バイプレーヤーや代打としてチームを支え、10、11年のセ・リーグ連覇に貢献した。180センチ、83キロ。左投げ左打ち。

◆今季限りでの現役引退を表明している中日浅尾拓也投手(33)が最後のマウンドに上がった。9回に登板し、阪神中谷から空振り三振を奪った。自身が熱望した岩瀬仁紀投手(43)との鉄壁リレーも実現。黄金時代を支えた右腕が涙の力投でユニホームを脱いだ。 投球練習の時から、浅尾の目は潤んでいた。4点を追う9回。自らの名がコールされ、マウンドに向かった。そこに森監督が白球を握りしめて、待っていた。思わぬ演出に、こみ上げてくるものがあった。「久しぶり過ぎて...。ずっと一緒にやってきた監督。ありがたかった」。球界屈指のセットアッパーと呼ばれた右腕に、全盛期の記憶がよみがえってきた。 最後の打者は、阪神中谷だ。カウント2-2からの5球目は左翼ポール際への特大ファウル。スタンドにどよめきが起こった。「全力勝負をしたいと思って、入った世界。本気で投げさせてくれた中谷くんにありがとうと言いたい」。続く6球目。捕手のサインに4度、首を横に振った。最後の球に選んだのは、フォークボール。「フォークに助けられてきた。信用しているボール。三振取るなら、これだと思った」。中谷のバットは空を切った。 再び森監督がベンチから出てくる。現役最後の登板は終わった。しかし、浅尾が描いたラストシーンには、続きがあった。「浅尾に代わりまして、ピッチャー岩瀬」。このアナウンスの再現を熱望していた。同じように現役引退を決めているベテラン左腕にバトンタッチ。「毎日のように、聞いていた。岩瀬さんにつなげて、うれしかった」。浅尾-岩瀬という鉄壁リレーに、ナゴヤドームが沸いた。球団史上初のリーグ連覇となった10、11年。この2人は他球団を圧倒し、反撃の機運を完璧に消した。その後、浅尾は右肩痛に苦しみ、完全復活はならなかった。この日の再現は、ひとつの時代が完全に終わったことを意味していた。 浅尾はファンに謝罪と感謝の気持ちを表した。「何が復活か分からないけど、待ってくれているファンに、来年もやるという決断ができなかったのは申し訳ない。でもお疲れさまと言ってもらえた。逆に、ありがとうと伝えたい」。栄光と苦難の12年間。最後に、浅尾はしっかりと右腕を振り切った。【田口真一郎】

◆中日浅尾は最後の登板を終えると、マウンド上で野手1人1人に丁寧に頭を下げていた。時代を築いたセットアッパーは、最後まで謙虚で好感の持てる人柄だった。担当の中原勇一スカウトが大学時代の忘れられない光景を明かした。 初めて浅尾を見たのは、日本福祉大2年の時だ。投球よりも、フィールディングのうまさが印象に残った。「とにかくすごかった。ボークを取られるんじゃないか、というぐらい、けん制もうまかった」。ただユニホームの着こなしが気になった。いわゆる「腰パン」に、帽子のツバは上を向いていた。ピアスをつけるため、耳には穴を開けていた。強豪校でもまれていない、無名の存在だ。「服装が汚かった」。そんなマイナスのイメージもあった。 浅尾が大学4年の時、中原スカウトは誰にも告げず、こっそりと練習場に足を運んだ。誰もいないグラウンドにたった1人、浅尾がグラウンドを整備していた。最後はきれいにラインを引いていた。下級生に聞けば、こんな答えが返ってきた。「いつも浅尾さんがやってくれているんです」。見た目は悪いが、能力、性格の良さは抜群だった。浅尾は浅尾のままで現役生活を終えた。【元中日担当=桝井聡】

◆阪神陽川がプロ初となる右翼でスタメン出場した。 5回には2試合ぶりとなる右前打を放った。これまで左翼や三塁、一塁を主に守ってきたが、糸井の離脱で右翼で出場。無難に守備もこなし「言われたところでやるだけなので。まだまだ結果を求めて、明後日からもやっていきたい」と振り返った。

◆阪神ナバーロが2安打2打点でガルシアを攻略した。 1回に22日以来の安打となる右翼への適時打を放つと、6回にも右翼へ適時二塁打。これで対ガルシアは、4試合で計9打数4安打4打点。「いい内容の試合だった。諦めるわけにはいかないので、こういう試合を続けていきたい」と気持ちを引き締めた。

◆阪神糸原がマルチ安打で打線を引っ張った。 1回の第1打席で、2球目を打って三塁線を抜く二塁打。先制のホームを踏むと、9回にも内野安打で出塁した。「しっかり1打席目、1球目から集中していけたかなと思います」と振り返った。9月の月間打率を3割3分とした。

◆29日の中日戦(ナゴヤドーム)に先発する阪神・藤浪は28日、ダッシュなどで調整。「余計な走者を出さず粘り強くやりたい。中軸のところでしっかり投げられれば」と力を込めた。自身は16日のDeNA戦(横浜)から2連勝中。通算50勝に王手をかけており、白星を挙げれば高卒6年目での達成は球団史上初となる。「援護してもらっているので自分のピッチングをしっかりしていい結果を残せるようにしたいです」と気合を入れた。

◆阪神が快勝で連敗を3で止めた。先発の藤浪晋太郎投手(24)が9回、134球を投げ7三振を奪うなど5安打に抑え、2年ぶりとなる完封で5勝目(3敗)。五回に中越え適時二塁打を放ち自ら2安打をマークする活躍で、阪神は5位をキープした。  阪神は、一回二死三塁から、大山が右翼線適時二塁打を放ち先制すると、続くナバーロも右前適時打を放ち追加点を挙げた。さらに、五回一死二塁から、藤浪が中越え適時二塁打を放ち3-0。六回にも、一死一塁からナバーロが右中間適時二塁打を放ち、試合を優位に進めた。

◆中日の浅尾拓也投手(33)が29日、ナゴヤドームで行われた阪神戦の九回に引退登板し、中谷から三振を奪って12年のプロ生活に別れを告げた。浅尾は2007年に中日に入団して10、11年と最優秀中継ぎ投手賞に輝いた。11年は中継ぎ投手として初めて最優秀選手(MVP)、ゴールデングラブ賞を獲得。球団初のセ・リーグ2連覇に大きく貢献した。  今季限りで引退する09年ドラフト1位入団の野本圭内野手(34)も八回に代打で出場し、一ゴロだった。

◆今季初めて4番で先発した阪神の大山が4安打の大活躍で快勝に貢献した。一回二死三塁では2ストライクと追い込まれながらも右翼線に先制の二塁打を運び「粘って反対方向に打ち返すことができた」と語った。  六回は一死から右前打で出て、ナバーロの二塁打で生還。4番を務めていた糸井が負傷で戦列を離れた穴を埋め「チームが勝てたので、それが一番良かった」と話した。 ナバーロ(2安打2打点) 「好投手のガルシアに勝てたのは個人的にもチームとしても大きい」 阪神・香田投手コーチ(藤浪の好投に) 「こういう投球をしてくれて、チームも非常に勇気づけられる」

◆中日は阪神・藤浪に完封され、今季10度目の零敗を喫した。先頭の平田が四球を選んだ一回は京田が簡単に打ち上げ捕邪飛。後続の大島、ビシエドも凡退した。六回一死一、二塁でもビシエドが右飛、アルモンテは二ゴロに倒れて崩せなかった。5安打に封じられ、引退する浅尾と野本の最後の試合を飾れなかった。 ガルシア(6回4失点で9敗目) 「浅尾、野本の最後の試合で何とか抑えたかったが、点を取られてしまい残念だ」

◆今季限りでの引退を表明した中日の野本が八回に代打で現役最終打席を迎え、一ゴロに倒れた。最後は一塁ベースに頭から滑り込み、顔をくしゃくしゃにして涙を浮かべた。「これ(ヘッドスライディング)が僕の真骨頂。感謝しかないです」と話した。

◆前日に前人未到の1000試合登板を成し遂げた中日の岩瀬が九回に救援し、投手の藤浪に安打を許して打者1人で降板した。入団時の監督、故星野仙一氏の名前にかけて1001試合目の登板を果たし「星野さんもよく頑張ったと言ってくれるんじゃないかね」と語った。  この日、引退登板だった浅尾から継投した。浅尾からの要望によるもので「特別ですよ。そういう時代があった。泣いちゃうんで帰ります」と感慨深そうだった。

◆--藤浪に尽きるか  金本監督 「(きょうは)ガルシアをどう打つかと、藤浪がどうかなというのと、2つテーマが(あった)。藤浪が最低5、6回(投げて)試合を作ってくれたら...と。藤浪のときはよく打つわね。なぜか(笑)」  --藤浪は途中から安心できた  「(カウント)3-1から変化球を投げたり、3-2から投げたり。最近の藤浪では見られなかったような自信をもってね。フォークもうまいことを使っていましたし」  --藤浪は今季一番か  「そうでしょうね。今年一番でしょうね」  --完投については  「本人と確認したんですけど『お任せします』というから。こっちとしては完封というので自信をつけてほしい願いよね。願いがあったから。『お任せするというよりも、いこうや』と。なにより自信にしてくれるのが一番ですし、やっとというか、残り試合も期待できますね」

◆大谷翔平(米大リーグ・エンゼルス)が二刀流をひっさげて太平洋を渡ったときは現実はかなりシビアな評価があった。現地のメディアは辛辣な記事を書いた。  そりゃそうだろう、投手でホームラン打者なんて1919年にベーブ・ルースでさえ誰も信じなかったのだから...おい、みろよ。監督がまた"大きい赤ん坊(ベーブ)"をどこからか連れてきやがったゼ...。  それが突然変異のようにホームランを量産したのだ。あまり多くは語られていないが、彼が移籍した100年前のヤンキースはポロ・グラウンズを本拠地としていた。右翼ポールまでが79メートルと短く、左打ちのベーブにピタッとはまった。  そして彼は"開眼"して打つわ打つわ...。  以前に世界の盗塁王・福本豊氏が筆者にいったせりふが忘れられない。「三盗なんてあまりしなかったヨ。なぜなら二塁から右肩のすぐ下に三塁ベース...そんなに近くに走っても面白くないからだ」と...。  何をいいたいのかと言えば、その才能が突然キラリと輝きをみせるときは大げさなドラマが必ずあるわけではない。パッと感性が目覚める。  この日、中日は試合前の練習で全員が『鉄腕HITOKI1000』というTシャツを着込んで練習した。いうまでもなく前日に1000試合登板という金字塔を打ち立てた43歳の岩瀬仁紀投手にドラゴンズは"敬意"を表した。編集委員上田雅昭は試合前に中日ベンチをのぞいて土井正博打撃コーチに「そのTシャツ、似合ってますねぇ」と声をかけた。土井さんは言ったそうだ。  「岩瀬はとてもナイスガイで、彼は黙々とチームの捨て石になる覚悟ができている。こういう選手が本当にチームを支えているんだよ...」  結局、この夜も岩瀬は九回に登板して1001試合。ど派手な勝ち星というわけではない。投手最多登板のベスト10には(2)350勝の米田哲也949試合(3)400勝金田正一944試合(4)254勝梶本隆夫867試合(5)320勝小山正明856試合(6)206勝江夏豊829試合...とレジェンドがズラリ。そのなかで岩瀬は勝ち星はわずか59勝だが、1001度のマウンドにはそれなりの"思いと懊悩"が裏打ちされている。  くしくも、この9月29日は岡田彰布元監督の亡き父(1986年に55歳で亡くなった勇郎さん)の誕生日で、13年前の2005年のこの日、阪神はリーグ優勝を決める。父の遺影はベンチに届けられ、息子が5度、宙に舞うところを見届けた。  あの日なのである。と考えると...逆に阪神はなんと13年間も"不本意な長き惰眠"をむさぼっていたことになる...と唇をかみしめたくなった。  トラ番キャップ阿部祐亮は「試合前の練習で金本監督は複雑な表情をしていました」という。ここにきて主砲の糸井嘉男選手が『左肩腱板部分損傷』で欠場。ところが代わりに4番に入った大山選手がなんと4の4(二塁打2、安打2)とトレトレピチピチの大活躍だったのだ。  藤浪晋太郎が2年ぶりの完封勝利を飾った。まさに「お帰り、晋太郎!」である。  九回表には今季限りで引退する浅尾が登板。1001度目の登板となった岩瀬には森監督が自らマウンドで白球を手渡した。試合後には、浅尾と野本とともにお別れセレモニー。  往く人、来る人...諸行無常、娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり=平家物語)か。  ところでこの29日から広島の優勝を祝してサンスポ特別版「カープ3連覇」が店頭に並んだ。読み応えたっぷりの一冊、すべての野球ファンにオススメです。買ってネ。

◆来た、来た、来たー!! 132試合目とちょっと遅ればせながらだけど、若虎が牙をむく、未来(あした)が見えた今季のベストゲーム!!  眠れるエース、藤浪晋太郎が134球5安打の完封劇を演じれば(3試合連続長打の二刀流も、みせるね~)、2年目ドラフト1位の虎の将来の大砲、大山悠輔が先制の二塁打を含む4安打の大爆発!! 虎の来季は明る.........いや、何言ってんの、来季じゃなくて、まだまだ今季最後の最後に奇跡の猛虎ドラマが待っているのだ!!  西武が12連勝したのだし、わが阪神も本日の勝利をスタートに、残り11試合を全勝で12連勝や!! ライオンにできて虎にできないことがあるか!?  しかも、ホラ、最近日本中を沸かせた全米女子テニスのチャンピオンは誰でしたっけ? そー、大坂なおみさんでーす!! オオサカですよ、オオサカ!! 阪神大逆転の日本一で、オオサカが日本中を沸かした2018年にしたろやないかー!!  北條、藤川に続き、糸井のけがでの離脱や台風24号の影響で中日との第3戦が中止となり、戦力もスケジュールも痛すぎるけど、感動のドラマは、いつも追いつかれたところからはじまるもんや! 猛虎よ、日本中を夢で酔わせたれー!!

◆陽川は糸井の離脱によってプロ初の右翼守備につき、7番で先発出場。飛球も無難に2つつかむと、五回先頭で右前打を放って二盗も決めて貢献した。「(守備は)言われたところでやるだけなので。まだまだ結果を求めて、あさって(10月1日)からもしっかりとやっていきたいです」と頼もしい。本職は内野手だが、打ち勝つには陽川の打棒が必要。2戦ぶりの安打をきっかけに、残り試合は打ちまくる。

◆ナバーロは糸井の離脱にともない「5番・一塁」で3試合ぶりに先発出場。2安打2打点で勝利に貢献した。「いい内容の打席だった。残り11試合も続けられるようにチャンスがある限りやっていきたい」。一回は大山の先制打の直後に右前打、六回一死一塁では右中間二塁打で計2打点。ガルシアから2安打を放ち、これで対右投手の打率・286(98打数28安打)に対し、対左投手は打率・311(74打数23安打)。左右苦にせず、快音を響かせている。

◆中日の往年の黄金リレーが"一日限定"で復活した。0-4の九回、今季限りで引退する浅尾がラスト登板。中谷を得意のフォークで空振り三振に仕留めると森監督がマウンドへ。リリーフに指名したのは、28日に通算1000試合登板を達成した岩瀬だ。  浅尾は「引退試合で投げてくださいとお願いした。僕が(セットアッパーで)投げていたとき、毎日のように岩瀬さんのコールをマウンドで聞いていたから」と舞台裏を明かした。  懐かしかった。岩瀬につなぐセットアッパーとして歴代3位の200ホールドを記録。10年、11年のリーグ連覇に貢献し、11年には79試合に登板して中継ぎ投手として史上初のMVPを受賞した。岩瀬も「きょうは3時間しか寝てないが、拓也(浅尾)がそう言うのであれば」と連投を快諾した。  こちらは藤浪に右前打を許したが、1月に70歳で逝去した恩師の星野仙一(センイチ)氏にちなんだ1001試合登板を達成。「(天国から)よう頑張ったと喜んでくれているんじゃないですかね」と笑顔で話した。 (三木建次)

◆試合を動かし、相手の息の根を止めるまで打った。今季初めて任されたとは思えない見事な「4番」らしさ。今の大山には十分務められる。簡単には埋まらない「糸井不在」という大きな穴を、決勝打からの4打数4安打で埋めてみせた。  「追い込まれてしまいましたが、粘って反対方向に打ち返すことができました。先制のチャンスで走者をかえすことができてよかったです」  0-0の一回一死三塁で、3番・福留が3球三振。嫌なムードが漂う。これまでなら「4番・糸井」が重い扉もこじ開けてくれたが、左肩故障でこの日、離脱。代わって4番に入った大山が、やるしかなかった。  ガルシアに2球で追い込まれても、4球目の低め146キロに食らいついた。打球は鋭い弧を描いて右翼線へ。先制、そして決勝点となる適時二塁打になった。  幸先よく4番の仕事を見せると、打ち出したら止まらない「秋の大山」が目を覚ました。四回一死では右中間二塁打、六回一死でも右前打。左腕ガルシアに対し、逆らわずに3安打を並べた。八回にも岡田から中前打を放ち、4打数4安打で8戦連続安打だ。  昨季も新人ながら12試合で4番を任されたが、その試合は打率・170、1本塁打、5打点。この日は主軸として同学年にあたる藤浪を強力援護し、金本監督も「僕の思いというか、何とか勝ち星をつけて自信をつけてほしいという(藤浪への)思いを選手が共有してくれているようなね。点の取り方ですよね」と大きくうなずいた。  昨季はDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)で打率・538をマーク。今季も9月の22試合で10度目のマルチ安打、うち半分が3安打以上という絶好調ぶり。16日のDeNA戦(横浜)では6打数6安打7打点と大暴れした。1月に母校・白鴎大で自主トレをした際、周囲を最も驚かせたのが、日が暮れるまでずっとポール間走をする姿だった。どうしてそんなに走るのか? と問われ「プロのシーズンは長い。今やっておかないといけないんです」。蓄えた力がここにきて湧き出てきている。逆転CSへ負けられない時期に、大収穫祭。9月は打率・415、9本塁打、23打点だ。  「チームが勝ったことが一番よかったです」  残り11戦、絶好調の4番が難局を打ち破る。 (長友孝輔)

◆ビシッと締めた! 阪神は中日に4-0で勝ち、連敗を脱出。先発した藤浪晋太郎投手(24)が2年ぶりに完封勝利を挙げ、打ってもタイムリーを含む自身初のマルチ安打とフル回転。最下位転落とクライマックスシリーズ(CS)自力進出の消滅を阻止した。これで自身3連勝。完全復活や~!  150キロを超える直球が、うなりをあげてミットに収まる。100球をこえても九回になっても球威は落ちない。藤浪が2016年6月2日の楽天戦以来849日ぶり6度目の完封勝利で、自身の通算50勝目を飾った。  「調子自体は悪くなかったし、ボールも安定していた。チームに助けてもらったし、梅野さんもすごくいいリードをしてくださいました」  最速154キロの直球にカットボールとフォークを交え、テンポよく投げた。課題の四球も2つだけ。ピンチでも落ち着いていた。三回二死三塁では、全力疾走のベースカバーで京田を一ゴロ(当初はセーフもリクエストで判定変更)。六回一死一、二塁ではセ・リーグ打率トップのビシエドを150キロ直球で右飛、アルモンテはフォークで二ゴロに仕留めた。  「全体的にバランスがよかった。フォークもそうですし、意図したボールが投げられたと思う」  八回は先頭打者。金本監督に「お任せします」と言うと「やっぱり完封で自信をつけてほしいという願いがあったから」という将は「いけ!」。期待に応えて、134球散発5安打完封で自身3試合連続白星。ここ2試合は白星も5回4失点、6回4失点。打線の援護に助けられたが、この日は堂々のVだった。  今季も開幕から制球に苦しみ、4月21日に早々に2軍落ちすると1、2軍を往き来した。だが、9月16日の昇格後は内容をよくしながら5勝目をマーク。指揮官も「今年一番でしょうね」。完全復活を印象づけ、来季に向けて明るい見通しを立てた。  バットでも魅せた。五回一死二塁で、中堅の頭上を越えるタイムリー。将が「すごい当たりだったね。二刀流できるんじゃないか?」と目を丸くするほど。九回にも右前打で、自身初のマルチ安打を記録した。  ドラフト制以降、高卒右腕のプロ6年目での50勝到達は球団では初。3年間で35勝を挙げる順風満帆なスタートも、ここ3年間は黒星先行。それでもプロ初完投を成し遂げたナゴヤドームで、節目の白星を飾った。  プロ6年目になり、自らを「体はだいぶできてきたと思う。大人の体になったというか、いい感じに筋力もつけられました」と分析する。今年で24歳。「(ピークは)20代中盤から後半かな。うまく使い切れていない部分とか、体のできあがりがまだなので」。50勝は通過点。まだまだ伸びる。スランプ脱出にめどを立て、来季から60勝、70勝と積み上げていく。  チームの連敗を「3」でストップさせ、最下位転落、CSの自力進出消滅も阻止。3位のDeNA、巨人とは3ゲーム差。残り11試合、復活した若きエースとともに、虎はラストスパートをかける。 (箭内桃子) ★50勝ボール手元に  この日の50勝目のウイニングボールは藤浪のもとへ。普段はウイニングボールへのこだわりもなく「どこに行ったかわからないものが多いですね」。試合後はスタンドに投げ込み、ファンの手に渡ったものもある。それでも、プロ1年目に挙げた1勝目、10勝目のものは実家に大切に飾られているという。50勝の節目のボールもそこに仲間入りするだろう。

◆完封した藤浪を評価するには、註釈が付く。中日はすでにCS進出を逃し、浅尾、野本の引退セレモニーが行われる中での試合だった、ということ。ただ、そんな状況を抜きにしても、最近では最も安定した投球内容だったことは間違いない。  立ち上がりの一回はいきなり平田に四球を与えるなど緊張も感じられ、球威もそれほどなかったが、自身のバットでタイムリーを放った五回以降は徐々にスピードも出てきた。序盤はスライダー、後半はフォークのキレも際立った。  厳しい環境での投球ではなかったので、手放しでは喜べないが、それでも「光が見えてきた」と表現してもいいのではないか。  復活を期待されながらシーズンも最終盤まで来てしまった。現状ではこの日のような成功体験を重ねていくことが、本来の投球を取り戻すための近道だろう。来シーズン、藤浪が完全復活するためにも、残り試合の中で2度先発して、再び成功体験を繰り返すこと。藤浪にとって大事な試合が続く。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
80562 0.588
(↑0.003)
優勝
(-)
5709
(+8)
635
(+7)
172
(-)
89
(+3)
0.265
(-)
4.17
(↓0.02)
2
(-)
ヤクルト
69652 0.515
(-)
10
(↓0.5)
7630
(-)
647
(-)
125
(-)
66
(-)
0.267
(-)
4.23
(-)
3
(1↑)
DeNA
64702 0.478
(-)
15
(↓0.5)
7547
(-)
627
(-)
175
(-)
71
(-)
0.251
(-)
4.29
(-)
3
(-)
巨人
64705 0.478
(↓0.003)
15
(↓1)
4602
(+7)
559
(+8)
145
(+3)
61
(-)
0.255
(-)
3.79
(↓0.03)
5
(-)
阪神
59712 0.454
(↑0.004)
18
(-)
11554
(+4)
578
(-)
84
(-)
72
(+1)
0.256
(-)
4.02
(↑0.03)
6
(-)
中日
62772 0.446
(↓0.003)
19.5
(↓1)
2590
(-)
650
(+4)
95
(-)
59
(-)
0.266
(-)
4.4
(↑0.01)