阪神(★1対2☆)巨人 =リーグ戦23回戦・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:畠 世周(1勝0敗0S)
(セーブ:山口 俊(8勝8敗1S))
敗戦投手:藤川 球児(4勝3敗2S)
  DAZN
◆巨人は両軍無得点のまま迎えた6回表、阿部の適時打で1点を先制する。同点とされた直後の8回には、2死一二塁から立岡が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、5番手・畠が今季初勝利。敗れた阪神は、最終回に一打同点の好機をつくるも、あと1本が出なかった。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手が1軍に合流した。この日は甲子園の試合前練習に姿を見せ、汗を流した。 この日はブルペンにも入り状態を確認。「本当によくなっている。左で投げたんだけど、150キロ出たよ」と冗談を飛ばし、「普通のいいときの状態に戻れたと思っています」と力を込めた。 肩肘に蓄積疲労を抱え、12日に出場選手登録を抹消されていたが、前日22日に鳴尾浜でキャッチボールを再開。今週中の1軍復帰先発を目指して、調整を進めていく。

◆巨人岡本和真内野手(22)が6試合ぶりに安打を放った。 6回2死一塁で迎えた第3打席、2打席連続で凡退していた阪神青柳の136キロ直球を引っ張り、三遊間を痛烈に破った。14日のDeNA戦(横浜)で右手に死球を受けて以降、5試合連続無安打だったが、ようやく若き主砲に1本が出た。

◆阪神鳥谷敬内野手が同点適時打を放った。1点を追う7回2死一、三塁に、代打で登場。巨人上原の2球目、内角低め137キロを中前にはじき返して、同点とした。 「自分の打席に集中して、積極的に振りにいきました。終盤のチャンスで、試合を振り出しに戻すことができて良かったです」 鳥谷はこれで通算安打を2063本とし、藤田平氏の持つ球団最多安打記録にあと1に迫った。

◆先発した阪神青柳晃洋投手(24)が5回2/3を4安打1失点で降板した。 3回無死から4回1死まで4者連続三振を記録するなど、緩急を自在に操って8三振を奪った。90球を投じて1四球と投球リズムもよく、課題の制球面も改善された。 「6回に2死を取って、そこから粘り切れずにマギーに四球を出してしまったことが悔やまれます。イニング途中で降板してしまい、先発の役割を果たすことができませんでした」 6回2死一、二塁のピンチを迎えて、2番手能見にスイッチ。だが能見が4番阿部に右前適時打を許し、先制点を献上してしまった。

◆巨人が新守護神、山口俊投手(31)が5年ぶりのセーブを挙げて、2連勝した。 阪神先発青柳の攻略に苦しむ中、6回2死一、二塁のチャンスをつくり、能見交代へと追い込んだ。阿部が右前適時打で先制。7回は上原が同点打を許すも、2死一、三塁のピンチを受けた畠が福留を153キロ直球で見逃し三振。8回に立岡の中前適時打で勝ち越すと、9回は山口俊がマウンドに立った。 先頭の中谷に中前打を許し、1死二塁のピンチを迎えるもナバーロを150キロ直球で三振。最後は糸原を一ゴロに仕留めて、先発から配置転換後、初めてセーブを収めた。「セーブがついて良かったです。こういう展開で何とか勝てたので明日につながると思います」。1点差勝利も8月29日以来。高橋監督は「選手が死力を尽くしてくれたというか、精いっぱいにやってくれた。畠も山口もきっちり頑張ってくれたし、立岡が勝負強さを見せてくれた。いいヒットを打ってくれたと思う」と振り返った。

◆阪神鳥谷敬内野手が同点適時打を放った。1点を追う7回2死一、三塁に、代打で登場。巨人上原の2球目、内角低め137キロを中前にはじき返して、同点とした。 「自分の打席に集中して、積極的に振りにいきました。終盤のチャンスで、試合を振り出しに戻すことができて良かったです」 鳥谷はこれで通算安打を2063本とし、藤田平氏の持つ球団最多安打記録にあと1に迫った。 試合後は「なんとかつなごうと思って。また明日頑張ります」と敗戦を悔やんでクラブハウスへと向かった。

◆巨人山口俊投手(31)が新守護神として待望の接戦勝利をもたらした。阪神戦で1点リードの7回に上原が追いつかれるも、セットアッパー畠が3者連続三振などで流れを遮断。8回に立岡の適時打で勝ち越し、最終回を先発から配置転換された山口俊が抑えてDeNA時代以来、5年ぶりにセーブを挙げた。故障や不振などで勝利の方程式が機能不全に陥っていたチームにとっても8月31日以来のセーブ。大混戦のCS争いで阪神に2・5ゲーム差をつけ、宿敵を後退させた。 山口俊はじっとりと汗をかいていた。あと3アウト。役割は明確に示されていた。1点リードの9回、先頭中谷の安打と犠打で2死二塁。打者糸原へカウント0-1から内角低めにフォークを落とした。完璧に詰まらせ一ゴロで切り抜けた。「セーブがついて良かった。こういう展開で何とか勝てたのは明日につながる」。13年6月1日楽天戦以来のセーブを挙げると大きく息を吐いた。 僅差の試合を先発今村から5投手でつないだバトンはとてつもなく重たかった。7月27日の中日戦で史上79人目のノーヒットノーランを達成したが「全然、抑えの方がしびれますね。みんながつないでくれた場面で投げる。絶対勝たないといけない場面で投げているので。1人で完投するよりもしびれます」。たかが1イニングではない。されど1イニングだと認識する。 新しい勝利の方程式がようやく決まった。8月23日DeNA戦後に先発から守護神へ回った。ノーヒットノーラン達成のシーズン中に先発から守護神の配置転換は異例中の異例だが「必要とされたところで投げるだけ。そこで抑えるのが仕事」と受け入れた。7回に上原が同点に追いつかれ、なお2死一、三塁のピンチでは昨季は先発ローテだった畠が登板。8回もまたぎ、無安打無失点で勝ち越しにつなげた。 1点差試合での勝利は大混戦が続くCS争いを勝ち抜くためには必要不可欠になる。カミネロ、マシソンと救援陣の柱が負傷で帰国。試合を決める勝ちパターンの不安が解消へと向かう価値ある1勝に高橋監督も「大きいよね」と手応えを口にした。ここまで10勝23敗と大きく負け越している1点差試合を「新・方程式」でもぎ取った。山口俊は「次にしっかりつながるようにしたい」と継続を約束。残り7試合。しびれる接戦を新守護神がセーブする。【島根純】 ▼山口俊が今季初セーブ。山口俊のセーブはDeNA時代の13年6月1日楽天戦以来5年ぶりで、巨人移籍後は初。山口俊は今年の7月27日中日戦でノーヒットノーラン。無安打無得点を達成後、同じ年にセーブを記録したのは06年山本昌(中日)以来4人目。

◆巨人高橋監督が臨機応変に采配を振った。5回2死一、二塁で4回まで無失点に抑えた先発今村に代打を送った。 先制点には直結せずも「何とか点を取りたかったので、いかなきゃいけないと思った」。逆に1点を勝ち越した8回2死満塁は畠をそのまま打たせた。「次のイニングを何とかゼロで」。総力で接戦を制し「選手が死力を尽くしてくれた。若い選手には大きな経験になる」と話した。

◆今季、何度となく見た光景だった。阪神は1点を追う9回裏。1死二塁と好機こそ作ったが、途中出場のナバーロ、1番糸原が倒れてゲームセット。聖地にため息が充満する中、金本監督は悔しさを押し殺すような表情でベンチ裏へ消えた。敵地で王者カープ3連戦に勝ち越した勢いはどこへやら。これで甲子園4連敗となり、CS圏内が遠のいた。 「う~ん、ここに来るとな...。何回あったんかな、得点圏は。なんかな、ここに来たら変わりますな」 1・5ゲーム差で追う3位巨人との重要な直接対決だった。右太ももを痛めている福留を11試合ぶりにスタメン復帰させ、足に不安を抱える糸井も2試合ぶりに先発。満を持して臨んだ一戦、またも「あと1本」が出なかった。得点圏に走者を置いたイニングは5度。2回2死満塁で9番青柳に結果を求めるのはさすがに酷だが、以降も巨人投手陣に要所を締められた。 3回2死一、二塁、5番大山の強いゴロが一塁正面を突いた。6回1死二塁では5番大山が遊ゴロ、6番陽川は空振り三振に仕留められた。7回は代打鳥谷の同点打でボルテージが最高潮に達する中、なおも2死一、三塁で頼みの3番福留が右腕畠の内角いっぱい直球を見逃し三振。「チャンスは最後も作ったりしたけどね。う~ん...、どうしたもんやろ」。指揮官の悩みは深い。 今季、甲子園では19勝34敗1分け。この54試合でチーム打率は2割4分7厘、総得点は175点。1試合平均で3・24得点と本拠地のアドバンテージを生かせていない。一方、甲子園以外の球場で戦った74試合の打率は2割6分5厘、総得点は369。1試合平均4・99得点をたたき出しており、違いは明らかだ。 3位巨人とのゲーム差が2・5に開き、残すは15試合。そのうち甲子園ゲームが8試合ある。「鬼門」という表現を聖地に使わせるわけにはいかない。逆転CS進出へ、何が何でも負けられない今日24日の巨人戦。圧倒的な地の利を今こそ実感しなければならない。【佐井陽介】 ▼阪神は今季甲子園での試合で19勝34敗1分けとなり、借金は15に増えた。これまでの甲子園での借金ワースト2は、<1>78年借金17(19勝36敗3分け)<2>95年借金15(23勝38敗)。今季はこれらに迫る不成績で、最悪を更新する可能性も出てきた。

◆本拠地甲子園でなぜか勝てない今季の阪神。重苦しい1点差負けで3位巨人との差は2・5ゲーム差に広がったが、鳥谷敬内野手(37)が一時同点となるタイムリーで虎党を沸かせた。背番号1が積み上げた安打はこれで2063本。藤田平氏の持つ球団最多安打記録に、あと1に迫った。 甲子園のボルテージは最高潮に達した。代打・鳥谷がアナウンスされると、黄色のメガホンが一斉に揺れる。1点を追う7回2死一、三塁。背番号1はゆったりと打席に入ると、左肩に乗せたバットをすっと立てて呼吸を整えた。 「なんとかつなごうと思って。自分の打席に集中して、初球から積極的に振りにいきました」 果敢に狙った。初球は巨人上原の136キロ直球をファウル。プロ生活15年間で培った感覚でタイミングを微調整した2球目。内角低めに来た137キロ直球を中前へはじき返した。同点タイムリーに、黄色いメガホンがさらに大きく揺れた。「終盤のチャンスで試合を振り出しに戻すことができて良かった」と鳥谷は静かに振り返った。 これで通算安打は2063本。藤田平氏の持つ球団最多安打記録にあと「1」と迫った。記録に王手をかけたが、当然ながら敗戦に笑顔はない。「また明日頑張ります」と言い残し、クラブハウスへと向かった。 練習では若手選手よりも早く球場入り。黙々と外野グラウンドを走って体を温める。「不安だから、かな。自分でしっかりやっておかないといけないから」。若虎の、野球少年の「お手本」だ。凡退しても下を向かない。三振をしたときも、小走りでベンチに戻ってヘルメットを脱ぐ。「(野球は)失敗の多いスポーツなので。7割は失敗してもいいので」。感情のコントロールが上手にできるからこそ、結果を残してきた。 37歳。途中出場の機会が増えたが、やはり存在感はピカイチ。CS出場圏内確保へ、勝負どころでの一振りに期待がかかる。その時のために、いつも通り、準備を続ける。【真柴健】

◆阪神糸井が2試合ぶりに戦列に復帰した。 21日広島戦の9回に代打を送られ、22日同戦は欠場。6月下旬に腓骨(ひこつ)を骨折した右足の状態が心配されていたが、この日は「4番・右翼」で先発出場。3回2死一塁では四球を選び、6回1死からは左翼ゲレーロの前で打球が不規則バウンドする間に二塁を奪った。だがどちらの好機も、得点にはつながらなかった。

◆阪神福留が11試合ぶりに先発出場し、安打を放った。 11日中日戦で痛めた右太ももの状態を確認しながら先発復帰時期を探ってきたが、この日は「3番・左翼」でスタメンに名前を連ね、3回2死から右前に安打。2死一、二塁の好機を作ったが、先制点にはつながらず。逆に7回2死一、三塁の勝ち越し機には見逃し三振に倒れ、何度も首をかしげた。

◆巨人・阿部慎之助内野手(39)が23日、阪神23回戦(甲子園)に「5番・一塁」で先発出場。両軍無得点のまま迎えた六回二死一、二塁から先制の右前適時打を放った。  ついに均衡を破った。阪神は青柳、巨人は今村の先発で始まった「伝統の一戦」。巨人打線は、阪神・青柳を攻めあぐねていたが、六回に二死からマギーの四球、岡本の左前打で好機を作る。  ここで阪神は投手を能見に代えたが、阿部がカウント2-0からの3球目、139キロの直球を右前に運んだ。クライマックス・シリーズ(CS)進出へ向けての大事な一戦で、巨人が1点を先制した。

◆巨人・上原浩治投手(43)が23日、阪神23回戦(甲子園)の七回から登板。1点リードの場面だったが、二死一、三塁から代打・鳥谷に中前適時打を浴び、同点とされた。  無情にも、鳥谷の打球が中前で弾んだ。勝てばクライマックス・シリーズ(CS)進出へ一歩前進する「伝統の一戦」。巨人は、六回に阿部の右前適時打で先制し、その裏のピンチもアダメスの好救援で逃げ切っていた。  巨人は阿部、阪神は鳥谷と「大一番」での経験が豊富なベテランが、好機で意地の一打。CSをかけ、両者譲らずの攻防が続く。

◆巨人が2-1で競り勝ち、3位を死守。5位・阪神とのゲーム差を2・5に広げた。5番手で登板した畠が1回1/3を投げ3三振を奪うなど無安打無失点で今季初勝利を挙げた。  阪神は青柳、巨人は今村が先発し、前半は投手戦に。均衡を破ったのは巨人だった。六回二死一、二塁の好機を作ると、阪神は2番手・能見を投入。ここで阿部が右前適時打を放ち、1点を先制した。阪神は七回、二死一、三塁とし、代打・鳥谷が4番手・上原から中前適時打を放ち、同点に追いついた。  巨人は八回に二死一、二塁で、立岡が藤川から中前適時打を放ち、2-1とした。  今村は4回2安打無失点。この後、中川、アダメス、上原、畠、山口俊とつないぎ、大事な一戦で白星をつかんだ。

◆途中出場の巨人・立岡宗一郎外野手(28)が、決勝打を放った。同点の八回二死一、二塁。藤川の直球を詰まりながら中前へ運ぶ適時打。CS進出へ負けられない一戦でヒーローを演じ、試合後のヒーローインタビューでは「いいところに飛んでくれた。ああいう場面で打てて自分でも興奮しました。今年はああいう場面で打てていなかったので、打てて良かった」と声を弾ませた。  2015年には95試合に出場し、打率・304をマークした俊足外野手も、16年5月に左脇腹肉離れを発症して以降は苦しんだ。  今季も1軍と2軍を行き来する不本意なシーズンだったが、15日に昇格して巡ってきたチャンスで、値千金の一打を放った。高橋監督も「ピンチでアダメスも頑張ってくれたし、畠も山口もきっちり頑張ってくれたし、立岡が勝負強さを見せてくれた。いいヒットを打ってくれた」とねぎらった。

◆本日の阪神の試合について書くのはペンが重い...。どのくらい重いかと問われれば、巨人の投手陣に対する阪神打線のバットくらいと答えよう。  周囲は「それはお気の毒に」「お大事に」と同情を超えて、哀れみの言葉さえかけてくれることであろう。  先発の青柳と救援の能見、桑原、藤川、ドリスの阪神オールスター救援陣の2失点に罪はない! むしろ、ねぎらいの声をかけてあげたいのだ。  では、罪人は1点しか奪えなかった打線? う~ん、41歳の大ベテランの3番・福留は満身創痍(そうい)の身体にムチを入れ、チームの崖っぷちの状況に11試合ぶりのスタメン出場でヒット! 4番・糸井も骨折の影響がまだ残っているのに全力プレーで二塁打! では、問題は若虎? それともベンチの采配?  ま、少なからず、それはあるにせよ、それより半世紀、阪神を毎試合見てきて、大事な一戦、大切な一番を必ずさらわれるこの勝負弱さのミステリー? これは地質学者とか風水の権威とか、あらゆる識者で最近流行の第三者委員会をつくり、真剣に調査すべきでは? と、マジに思い始めている自分が怖いのだ。

◆巨人は23日、阪神23回戦(甲子園)に2-1で勝ち、2連勝でセ・リーグ3位を死守した。巨人・山口俊が今季初セーブ。DeNA在籍時の2013年6月1日の楽天戦以来5年ぶり通算112セーブ目。今季7月27日の中日戦で無安打無得点を達成。セーブが制定された1974年以降、無安打無得点を達成した後の登板でセーブを挙げたのは、75年の近鉄・神部年男(4月20日の南海戦→6月8日の南海戦でセーブ)、76年の巨人・加藤初(4月18日の広島戦→4月22日のヤクルト戦など7セーブ、同年8セーブ)、06年の中日・山本昌(9月16日の阪神戦→10月15日の横浜戦でセーブ)以来12年ぶり4人目。

◆阪神は甲子園で4連敗。甲子園での巨人戦は5月27日に9-1で勝って以来、5連敗  阪神は今季甲子園で19勝34敗1分け。フランチャイズ制が導入された1952年以降、もっとも甲子園で負けたのは95年の23勝38敗。ともに借金「15」で並んでいる  青柳は巨人・阿部とは今季初対戦で2打数1安打。対戦成績は2016年が10打数5安打1打点、17年が3打数2安打1打点、通算は15打数8安打2打点

◆--甲子園でなかなか点が取れない  金本監督 「うーん...ここに来るとなあ...。何回あったんかなあ、得点圏は、4、5回あったんかな? 5回? なんかなあ、ここ来たら、変わりますなあ」  --チャンスは作ったが  「最後ねえ、チャンスは作ったりしたけど...。うーん...。どうしたもんや」  --投手陣は責められない  「青柳は、一番というくらいよかったし」  --能見に代えたところの判断は  「いやあもう、対阿部はもうそら、(打率)5割以上くらいだったんじゃないかな、青柳は」  --藤川も四球がもったいなかった  「そうですね、まあ長打を気をつけての四球でしょうけどね」

◆さわやかに晴れ上がった朝、若手が午前8時前から甲子園のクラブハウスに姿をみせました。  「デーゲームですからね。早出練習の準備をする選手は、この時間になるんです」  トラ番サブキャップ長友孝輔です。マツダでの首位広島との3連戦に勝ち越した前日の試合後、長友も夜のうちに帰阪して、この日は若手選手より少し遅い午前9時ごろに球場入り。「移動日なしのデーゲームはきつい」という言葉に実感がこもっていました。  「日程が厳しい。残り試合が多いことを有利だという人もいますけど、26日からは14連戦です。同じように移動日なしで週末にはデーゲームもある。その状況で、巨人が残り8試合を4勝4敗だったとき、阪神は10勝6敗でいかないと逆転できない。1・5ゲーム上の位置にはもう1チーム、DeNAもいるし」  8年ぶりの優勝を決めた2軍から、26盗塁を記録している韋駄天、ドラフト4位の島田が昇格してきた。流れを変えてもらおう。ウエスタン・リーグ優勝の勢いを1軍に。  「もたらしてくれるような展開になるかどうかです。2軍で23盗塁して13日に上がってきた熊谷選手も、出番がほとんどないままでした。彼らを起用するような、そういう展開になる方がまず先ですから」  野手担当のトラ番新里公章もトーンがあがりません。厳しい状況はわかっている。わかっちゃいるけど、明るくいこうぜ、皆の衆。福留も糸井もスタメンに戻ってきたじゃないか。  「きのう広島相手に13点取って大勝した。2人が戻ったのに、打線も(貧打に)戻ったなんてことにならなきゃいいけど」  ベテランの編集委員上田雅昭までがちょっと弱気です。どうした、みんな。なんか景気のいい話はないのか。  「ありますよ。糸井さんの1500安打(21日、広島戦)のバットと、大山選手の6打数6安打3本塁打(阪神が20-4で爆勝した16日のDeNA戦)のバットが、あしたから甲子園歴史館で展示されます」  新里です。あるやないの。  「きのう4号3ランを打った中谷選手の後援会のメンバーが、地元(福岡・小郡市)から応援にきています」  長友です。ええやん。これで中谷が連発したら、糸井が大山が活躍したら...。  「ダメですよ!!」  2人が声をそろえました。わかってるわ。ヒーロー原稿でこってり紹介するんだから、3面の隅のこんなコーナーで書くんじゃねえぞって言うんだろ。なんて言い合っていたら...巨人に1-2で競り負け。隅っこで紹介することになっちまいました。グスン。  中谷後援会のみなさん、お疲れさまでした。九回に痛烈な中前打がみられたのは良かったですね。また『応援ツアー』を企画してあげてください。巨人が残り3勝4敗に終わったときでも、阪神は10勝5敗が必要-と、条件はさらに厳しくなりましたが、それでもまだ可能性はあります。  CSに出たときはぜひ。とくに、ファイナルまでいけたときは広島なので、福岡からも近いですから。

◆途中出場の立岡が値千金の決勝適時打を放った。同点の八回二死一、二塁。藤川の直球に詰まりながら中前に落とした。ヒーローインタビューで「いいところに飛んでくれた。ああいう場面で打てて興奮しました」と笑顔。10年目外野手の勝ち越し打に高橋監督は「立岡が勝負強さを見せた」とたたえた。 六回に先制の中前適時打を放った巨人・阿部 「いつも以上にコンパクトなスイングを心がけました。イメージ通りに打ち返すことができました」

◆いつまでも鳴り止まない歓声が、これまで積み上げてきたものの偉大さを物語っていた。鳥谷が代打で七回に登場し、一時同点に追いつく貴重なタイムリーを放った。  「なんとかつなごうと思っていました」  敗戦後とあって表情を変えることなくクラブハウスへ消えたが、球団の生え抜きでは藤田平氏が持つ歴代1位の2064安打にあと1本に迫った。  0-1の七回二死一、三塁。上原の初球136キロをファウルすると、2球目の137キロにアジャストし、鮮やかに中前へ弾き返した。背番号1が上原からHランプを灯したのは、2008年4月26日の巨人戦(甲子園)以来、実に10年ぶりだ。  そのシーズン、鳥谷は対上原を打率・400(5打数2安打)と得意にしていたが、"ブランク"は全く感じさせなかった。しかも、虎は巨人のベテラン右腕に今季ここまでの7試合で22人の打者が挑み、ヒット1本の被打率・048に抑え込まれていた。苦手意識を払拭するためにも、価値ある一打だった。  試合開始7時間前から戦う準備は進めていた。前日22日にデーゲームの広島戦(マツダ)を終えて帰阪し、一夜明けたこの日の午前7時ごろにはクラブハウスへ足を運んだ。37歳にして第一線で戦う男は調整に一切の妥協を許さず、ここぞの場面で仕事を果たした。  輝かしい記録に一歩近づき、虎党も留飲を下げた。「明日、頑張ります」と前だけしかみていない。次こそはチームの勝利を呼び込み、笑顔で虎の歴史に名を刻む。(新里公章)

◆まさに"采配負け"や!! 阪神・金本知憲監督(50)は六回二死一、二塁の場面で、好投の青柳から代えた能見が打たれるなど継投策がはまらず。采配が裏目となり、接戦を落とした。勝負手がはまった巨人・高橋監督とはあまりにも対照的で、甲子園で4連敗。クライマックスシリーズ進出へ、3位の巨人と痛恨2・5ゲーム差に広がった。  くっきりと残酷に明暗が分かれた。動くか、または動かないか。両軍の将が策をぶつけ合った、シーズン佳境の「伝統の一戦」。虎将の思い切った采配も「鬼門」ではすべて裏目に出た。  「いやあもう、対阿部はもうそら、(打率)5割以上くらいだったんじゃないかな、青柳は」  分岐点、あえて動いたワケを、金本監督は悔しそうに振り返った。五回まで3安打無四球、自己最多8三振を奪う快投だった青柳が、0-0の六回二死から一、二塁のピンチを背負った。香田投手コーチに続いてベンチを出ると、スパッと代えた。通算の対戦打率・533(15打数8安打)と阿部には分が悪い青柳だっただけに、ベテラン左腕の救援を選択。だがここで、能見でも打たれてしまう。これが右前へ先制打。結果として、継投が裏目に出た。  七回には代打鳥谷の同点打が出て、1度は追いついたが、やはり他はうまく回らない。同点の八回に送り出した4番手・藤川が、四球が絡んで二死二塁のピンチを背負うと、ここでベンチは長野を「申告敬遠」で立岡勝負。その立岡に詰まりながらも中前へ運ばれ、決勝点を献上。この重要な一戦で、やることなすこと裏目に出た。  高橋監督の決断が続々ハマッたのとは、あまりに対照的だった。先発の今村を四回で降ろし、1点リードした直後の八回二死満塁ではリリーフの畠をそのまま打席に送った。場内もどよめいたが、その畠の前に八回に三者凡退。勝負の一手が明暗を分け、虎にとっては"采配負け"だった。  クライマックスシリーズ(CS)進出へ負けられない試合も、ここではいつも打線の反発力がなさすぎる。結果的に「甲子園の六回ビハインド未勝利」という負の神話も覆せず"31連敗"。9月13日の中日戦から甲子園4連敗だ。19勝34敗1分で、本拠地の借金も「15」に膨らんだ。  「うーん...ここに来るとなあ...。何回あったんかなあ、得点圏は、5回? なんかなあ...ここ来たら、変わりますなあ」  指揮官もうめくしかない。首位広島相手に敵地で打ちまくり、勝ち越した勢いも消え去った。この僅差のゲームこそ、采配の見せ所だったが落とし、Aクラスに迫る絶好機を手放し、2・5差に広がった。残りは15戦。きょうも伝統の一戦がある。もう、落とせない。(長友孝輔) 六回二死一、二塁で登板し、阿部に先制打を浴びた阪神・能見 「結果がすべてなので」

◆巨人は23日、阪神23回戦(甲子園)に2-1で勝ち、2連勝でセ・リーグ3位を死守した。畠世周(はたけ・せいしゅう)投手(24)が七回二死から4者連続で抑え、今季初勝利。九回は新守護神の山口俊投手(31)が無失点で締め、DeNA時代の2013年6月1日以来1940日ぶりとなるセーブを記録した。残り7試合での全勝を条件に、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が復活。"新・勝利の方程式"が2年ぶりの舞台にチームを導く。  甲子園に響く虎党の大歓声を、完全にシャットアウトした。九回二死二塁、山口俊は糸原を一ゴロに抑えると、マウンド上で満面の笑み。5度目の救援登板で抑え転向後、初セーブを挙げた。  「セーブがついてよかった。こういう展開で勝てたことが大きい。こっち(抑え)の方が完投するときよりも、しびれます」  九回先頭の中谷に中前打を許したが、慌てなかった。最速150キロの直球に110キロ台のカーブを交え、一死からナバーロを空振り三振。最後はフォークボールで締め、5年ぶりの格別な"セーブの味"を堪能した。  今季はエース・菅野らと先発陣を支え、8勝を挙げた。だが、DeNA時代に史上最年少(当時)で通算100セーブを達成した実績もあり、チーム事情で9月から抑えに転向した。  自身を見つめ直した。12日のヤクルト戦では1-0の九回に追いつかれるなど、セーブという結果が出ない中で「体が閉じすぎていた」とやや左肩を一塁側に開くようにフォームを微調整。「開いた方が力感が出てきた」と手応えをつかんだ。  勝利の立役者は、もう1人いた。1-1とされた直後の七回二死一、三塁で登板し、今季初勝利を手にした2年目の畠だ。ピンチで福留を迎え、153キロの内角直球で見逃し三振に斬った。八回に勝ち越した後の打席にも立ち、その裏も続投。打者4人を完璧に封じ「これを(復調の)きっかけにしたい」とうなずいた。  畠は2年目の今季、春季キャンプで腰痛を発症。シーズンの大半をリハビリに費やした。「ばんばん投げられるようになっていないかなあ、きょうはできるんじゃないかなと思って起きていた」と苦悩した日々。インターネットで座椅子を購入し、座る体勢にもこだわるなど努力を重ね、復活を果たした。  まさに、総力戦だった。四回まで無失点の今村に代打を送った投手起用に見られるように、チームはこの1勝を必死につかみにいった。敗れればナイターで試合に臨んだDeNAにCS圏内の3位を譲る可能性もあった一戦。勝負の采配を実らせた高橋監督は「選手が死力を尽くしてくれたというか、精いっぱいやってくれた」と目を細めた。  この勝利で、再び自力でのCS進出の可能性が復活した。今季誤算続きだった救援陣の立て直しにつながる、新たな継投策の成功は、巨人にとってこれ以上ないCS進出への光明となった。 (赤尾裕希) 救援陣の踏ん張りに巨人・斎藤投手総合コーチ 「(畠が)あそこで同点に止めたから、ああいう展開になった。(早めの継投は)予定通り。(山口俊は)素晴らしいと思ったね。いつも、ああいう気合を出してほしい」 ★救援陣好投  3年目左腕の中川は五回に登板し、1回1/3を無失点。プロ初の甲子園での登板で好投し「今村の球数が多かったので準備はしていました。五回は走者を出したけど3人で終われてよかった」と息をついた。中川が六回一死から糸井に二塁打を打たれて降板した後は、アダメスが3番手で後続の2人を封じた。ドミニカ共和国出身の右腕は「低めを意識した。チャンスをもらえたら喜んで投げたい」と残る7試合を見据えた。

◆巨人は辛うじて第1関門を突破した...というくらいのレベルよ。今季の集大成...というか、負の遺産がことごとく顔をのぞかせる。投打において何かが足りない。実にわかりやすい試合だった。  青柳の球には、力があったとはいえ、逆球のオンパレード。組み立てにならない内容だったのに、ボールに手を出して助ける。チャンスでもう1本が出ず、自分たちで接戦にしてしまう。  早めの継投策も間違っていないとはいえ、誰かがどこかできっと打たれると、わかっていながら、つぎ込まなければならない悲しさ。  しかも八回、二死満塁で、投手の畠をそのまま打席に送らざるをえないという、台所事情のわびしさ。  AクラスとBクラスを行ったり来たりのチームらしいよね。  今季はずっと、ここ一番で負けて、浮上するチャンスを逃してきた。ぬか喜びの連続だった。だから、1つ勝っただけで安心したら、いかん。24日にも勝たないと、この日の白星の意味はないと、覚悟を決めて臨むべし。クライマックスシリーズへ3位で進出するチームには何より、勢いが必要なんだ。それなくして、下克上もないよ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆痛恨の1敗の中に、悔やまれる1球があった。六回二死一塁で打席に岡本を迎えた場面だ。  青柳はそれまでの2打席、死球の影響もあって全く踏み込めない岡本を外角スライダーで完ぺきに封じていた。この打席もカウント1-2と追い込むまでの攻めは正解。4球目の決め球スライダーはすっぽ抜けて内角へボール球に。ここでバッテリーは直球勝負に切り替えた。結果、全く踏み込めない岡本のバットでも届くシュート回転の甘い球になって左前打。  それまでの要所では、捕手のサインに首を数回振ってでもスライダーを投げ続けた青柳だけに、この場面でも裏をかかずに「表の攻め」を貫くべきだった。  ピンチが広がって、打席には前の打席で見事な右前打を放っている阿部。さらに相性も悪いとなると、ベンチは交代せざるを得ない。能見が打たれたのは結果論。青柳が岡本を普通に攻めて打ち取っていたら、八回ぐらいまで投げていたかも。もったいなさすぎる1球だ。  その後の継投にも間違いはなかった。強いて言えば藤川が疲れの影響か、キレがなかったが。ベンチは手を尽くした。それでも敗れた。絶体絶命の窮地を脱するには、打線の奮起も必要だ。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
77532 0.592
(↑0.003)
M1
(↑1)
11673
(+2)
603
(+1)
170
(-)
82
(+1)
0.264
(-)
4.13
(↑0.02)
2
(-)
ヤクルト
66632 0.512
(↑0.004)
10.5
(-)
12604
(+2)
622
(-)
122
(-)
64
(-)
0.267
(↓0.001)
4.21
(↑0.03)
3
(-)
巨人
63694 0.477
(↑0.004)
15
(-)
7594
(+2)
551
(+1)
141
(-)
60
(-)
0.256
(↓0.001)
3.83
(↑0.02)
4
(-)
DeNA
61692 0.469
(↓0.004)
16
(↓1)
11531
(+1)
615
(+2)
168
(+1)
71
(-)
0.252
(-)
4.33
(↑0.02)
5
(-)
阪神
58691 0.457
(↓0.003)
17.5
(↓1)
15544
(+1)
570
(+2)
83
(-)
67
(+1)
0.258
(-)
4.09
(↑0.02)
6
(-)
中日
61742 0.452
(↓0.003)
18.5
(↓1)
6581
(-)
630
(+2)
93
(-)
59
(+1)
0.266
(-)
4.4
(↑0.01)