ヤクルト(☆8対5★)阪神 =リーグ戦16回戦・明治神宮=
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阪神
00200 0300 5122
ヤクルト
21401 000× 8130
勝利投手:石川 雅規(5勝4敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(3勝1敗21S))
敗戦投手:岩田 稔(0勝3敗0S)
  DAZN
◆ヤクルトは初回、主砲・バレンティンの30号2ランで先制する。1点リードで迎えた3回裏には、バレンティンと谷内の適時二塁打などで一挙4点を追加した。投げては、先発・石川が今季5勝目。敗れた阪神は、投手陣が振るわず、終盤に打線が反撃を見せるも及ばなかった。

◆ヤクルト-阪神戦は石川雅規投手(38)と岩田稔投手(34)の左腕対決。両投手の先発対決は過去4度あり、結果は石川2勝、岩田1勝。岩田の白星は甲子園で記録したもので、神宮での対決は3戦3敗と石川相手に勝利がない。

◆阪神岩田稔投手(34)が危険球によって退場になった。2-3で迎えた3回、先頭青木に対しての初球が頭部付近へ。ヘルメットのつばをかすめたとして死球になり、同時に退場処分が告げられた。  今季初勝利を目指した4度目の先発マウンド。2回までに2本塁打で3失点したが、直前の攻撃で1点差に詰め寄っていた。

◆阪神が先発岩田稔の危険球退場から暗転した。3回に2点を奪い、1点差に迫ったその裏、先頭青木への初球速球が完全に抜けて、頭部付近をかすめた。金本監督が土山球審のもとに歩み寄り、リクエストによるリプレー検証が可能か確認した。「審判がそうやって危険球と宣告した以上は覆らないということだから。ビデオ判定もないし」と指揮官は振り返る。  急きょ2番手で岡本が登板したが、2本の適時打を浴びるなど4点を失った。3回までに7点のビハインドになり、好調の打線でもはね返せなかった。長期ロードは好調を維持するが、5カードぶりに負け越してしまった。

◆阪神大山悠輔内野手が今季初めて先発から左翼に入り、3番打者として2安打2打点と奮闘した。3点を追う3回2死一、二塁のチャンスの打席。ヤクルト左腕石川が投じた内角高めの変化球を捉え、左中間を破る2点二塁打を放った。「もうやるしかないと思っていたので」。福留の休養日で巡ってきたチャンスで必死にアピールした。  5回にも2死走者なしから左前打を放った。3安打を放った5月27日巨人戦(甲子園)以来となるマルチ安打。だが、追い上げムードで迎えた7回の4打席目は1死一塁から三邪飛に倒れ、悔しさが残った。「明日以降も自分にとっては全部が勝負だと思う」。1打席に集中し、必死のパッチで結果を求めていく。

◆▼ヤクルト・バレンティンが13年以来4度目のリーグ30号一番乗り。シーズン30号は3年連続7度目となり、通算7度は史上10位タイ。外国人選手ではローズ(オリックス)の最多記録に並んだ。  また、自身5年ぶり2度目の100打点もクリア。球団記録の131打点を挙げた13年はチーム108試合目で100打点に到達したが、今年は同104試合目と過去を上回るペースとなっている。

◆金足農の躍進で秋田旋風が神宮にも波及した。秋田商出身のヤクルト石川雅規投手(38)が7回途中まで8安打4失点と粘りの投球で2カ月ぶりの5勝目。最後は金足農OBの石山泰稚投手(29)が締めた。秋田県人リレーで2位を死守。借金を1に減らした。  最後は薄氷だったが、東北人らしく粘り強く締めくくった。9回、石山は安打と連続四球で無死満塁の危機を迎えたが、ロサリオを三邪、鳥谷を併殺打に仕留めた。「しびれさせちゃって申し訳ない。(金足農の)吉田君みたいに三振が取れれば楽なんでしょうけど。危なかったけど、石川さんに勝ちがついて本当によかったです」。前夜から狙っていた秋田県人リレーを決め、胸をなで下ろした。  先輩の石川も粘りの投球だった。8安打を許しながらも丁寧に低めを突いた。4回1死一、二塁のピンチは、梅野、代打中谷を得意のシンカーで抑えた。7回途中で交代したが「どんな形であれ、チームにも自分にも勝ちがついてよかった。何とか修正できた」。6月12日以来となる勝利の味をかみしめた。  石川は秋田商3年時に甲子園に出場しているが、当時のコーチは現在金足農の監督を務める中泉一豊氏(45)だった。「甲子園を決めた時にメールしたら電話がかかってきました。確か小、中、大も一緒だったと思います」。地元の盛り上がりは、東京にいても感じている。「ここまで来たら東北悲願の大旗を持ち帰ってほしい。あと4校しかないですから。地元秋田の星なんで頑張ってほしい」。甲子園準決勝へ、白星のバトンをつないだ。【斎藤直樹】

◆ヤクルトのバレンティンがリーグ一番乗りの30号2ランを放った。  1回2死一塁、フルカウントから139キロの低め直球をすくい上げた。左中間スタンド中段に届く特大弾に「シーズンの最低限の目標は達成できました」。ローズに並ぶ外国人2人目の7度目30号到達に「誇りに思っている」と話した。3回には右中間へ適時二塁打。両リーグ一番乗りで100打点にも到達した。
 ▼バレンティンが13年以来4度目のリーグ30号一番乗り。シーズン30号は3年連続7度目となり、通算7度は史上10位タイ。外国人選手ではローズ(オリックス)の最多記録に並んだ。また、自身5年ぶり2度目の100打点もクリア。球団記録の131打点を挙げた13年はチーム108試合目で100打点に到達したが、今年は同104試合目と過去を上回るペースとなっている。

◆阪神の先発要員の才木が岩田の危険球退場による有事のため、3点ビハインドの8回に緊急登板した。  1死から2者連続四球を与えたが、2者連続三振で無失点。「1イニングを任されたのに四球を出してピンチを作ってしまった。しっかりゼロに抑えられたのは良かった」。15日広島戦では4回途中を4失点。中3日の緊急登板に対応した。

◆阪神鳥谷は好機で勝負強さを出せなかった。3点を追う7回2死一、二塁では見逃し三振。再び3点を追う9回1死満塁では二ゴロ併殺打に倒れた。  ただ、2回には力強く一、二塁間を抜き、6回には遊直も。「内容は悪くないと思う。次また頑張ります」。これで通算安打を2057本として、藤田平の球団最多2064安打まであと7本とした。

◆阪神大山が1年ぶりのスタメン左翼で2安打2打点と奮闘した。左腕石川相手に金本監督が攻撃型オーダーを選択。打順も今季2度目の3番を張った。その期待に応えるように、3点を追う3回、2死一、二塁のチャンスで、内角高めの変化球を強振。左中間を破る適時二塁打で1点差に迫った。主将の福留の休養日で巡ってきたチャンスでアピールした。  「僕にとっては1打席1打席全てが勝負。もうやるしかないと思っていた」  5回にも2死から左前打を放ってマルチ安打もマーク。猛打賞を記録した5月27日巨人戦(甲子園)以来となる37試合ぶりの複数安打を決めた。それでも打率は2割1分6厘。7回の逆襲機で三邪飛に倒れた悔しさも秘め、「明日以降も自分にとっては全部が勝負だと思う。続けていけるようにやっていきたい」と気合を入れ直した。  左翼は7月20日DeNA戦で代打での出場から守って以来今季2度目。2軍戦で左翼や中堅を守るなどして、経験を積んできた。バットが快調なら、今後も内外野で出場していくとみられる。この日の2安打をきっかけに、チャンスをつかみ取りたい。【古財稜明】

◆阪神岩田は痛恨の危険球退場で今季3敗目を喫した。1回4番バレンティンに先制2ランを浴びると、2回は先頭6番西浦にバックスクリーンまで運ばれた。1点差に迫った直後の3回、先頭2番青木への直球が抜け、ヘルメットのつば付近をかすめたと判断されて危険球退場となった。  2回0/3を4失点で降板し、「先発投手としての役割を果たすことができず、チームに迷惑をかけて申し訳ないです」と猛省のコメント。試合後に2軍降格が決まった。

◆阪神がAクラス浮上チャンスを逃した。1点差に迫った3回に先発岩田稔投手(34)の危険球退場から暗転。岡本、岩崎ら中継ぎ陣も失点を重ね、防戦一方の展開になった。今季の退場者は両リーグを通じて11人目だが、そのうち阪神が半分近い5人の"怪"。攻撃陣も終盤追い上げたが8失点は重く、勝てば3位浮上の一戦を落とした。  あと1本が出なかった。阪神は3点を追う土壇場の9回に執念を見せたが実らなかった。ヤクルト守護神石山の制球難を見極め、2四球などで千載一遇の無死満塁とする。だが、ロサリオが三邪飛に倒れ、鳥谷の二塁併殺打で敗れ去った。  痛恨の危険球退場が命取りになった。7月24日広島戦以来の先発に抜てきした岩田の乱調が誤算だった。1点差に迫った3回、先頭青木への初球で暗転した。速球は完全に抜けて、頭部付近を襲う。白球はヘルメットをかすめて本塁後方を転々...。青木も倒れ込む。打者に当たったか、微妙な投球だった。梅野は「先にグラブに当たったけど、ヘルメットの音は聞こえなかったです」とアピールしたが、土山球審は「ヘルメットの音が聞こえた」と指摘。危険球による退場と判断された。  三塁側ベンチからは金本監督が土山球審に歩み寄って、リクエストによるリプレー検証が可能か確認。指揮官は「審判がそうやって危険球と宣告した以上は覆らないということだから。ビデオ判定もない」と説明した。岡本が緊急登板したが、流れを変えられず。2本のタイムリーを浴びて、重すぎる4点を失った。  ベテラン左腕への期待は大きかったが気合は空回りした。1回は2死後、バレンティンに内角低め速球を痛打され、2ランを被弾。3戦連続の初回失点で、またも後手に回った。金本監督も「インコースに行くなら、高めに行かないとな。バッテリーがインローで勝負というのが分からない。おととしから、ずっと言っている」と苦言を呈した。2回も西浦に甘いスライダーをとらえられ、ソロ本塁打を献上。立て直せず、3回途中で緊急降板となった。  好調の8月は、打線が活発化する神宮で勢いをつけたいところだったが思惑が外れた。この日は12安打を放ちながら競り負けた。5カードぶりに負け越した。順位は4位のままだが、2位ヤクルトはクライマックスシリーズ進出をかけた宿敵になる。一筋縄でいかない相手に土をつけられた。【酒井俊作】  ▼阪神岩田がヤクルト戦の3回に危険球で退場となった。退場は今季両リーグ11人目だが、そのうち阪神は5人目で、全退場者のほぼ半分と多い。5人のうち、審判への暴言で退場となったメッセンジャー以外の4人は危険球退場。07年の3人(福原、ジャン、ボーグルソン)を上回る球団シーズン最多となった。

◆阪神北條が2安打1四球で、連続試合出塁を25に伸ばした。  3回は四球からホームにかえり、7回は中前適時打。9回は先頭で投手への内野安打を放ち、無死満塁のチャンスを築いた。「最後は出塁を狙っていた。形は悪かったけど塁に出られたのはよかった」と振り返った。

◆阪神の岩田稔投手が19日、神宮球場で行われたヤクルト16回戦で危険球による退場処分を受けた。退場は今季両リーグで11人目。三回、先頭の青木の頭部付近に投球を当てた。

◆ヤクルトのバレンティンが30本塁打、100打点に到達した。  一回2死一塁で岩田の低めの速球をうまく捉え、左中間席中段に先制2ランをたたき込んだ。来日8年で7度目の30号に到達し「完璧だった。シーズンの最低限の目標は達成できた。これからもチームのために一本でも多く打っていきたい」と喜びを口にした。  三回は右中間へ適時二塁打。131打点を挙げた2013年以来となる3桁の大台に乗せ、打撃2冠へまい進している。

◆ヤクルトは13安打8得点で阪神に打ち勝ち、リーグ2位を死守した。4番のウラディミール・バレンティン内野手(34)が一回に30号2ランを放つなど3打点の活躍で2013年以来、5年ぶりに100打点をマーク。先発した石川雅規投手(38)が6回1/3を8安打4失点で5勝目(4敗)を挙げた。  ヤクルトは石川、阪神は岩田が先発した神宮の夜。ヤクルトは一回、二死一塁でバレンティンが右中間に30号2ランを放ち、先制した。二回には先頭の西浦がバックスクリーンへ8号ソロを放ち3-0とした。  阪神は三回、二死一、二塁から大山が左中間に2点二塁打を放ち1点差とした。ヤクルトはその裏、無死一、三塁からバレンティンの右中間適時二塁打などで2点を入れ5-2。さらに一死一、二塁から谷内が左中間に2点二塁打を放ち7-2とした。五回には一死一、三塁から井野のスクイズで1点を追加した。  阪神も粘る。七回、無死二、三塁から北條の中前適時打などで3点をかえした。  ヤクルトは九回、守護神・石山が無死満塁のピンチを招いたが、無失点で締めた。

◆ヤクルトは13安打8得点で阪神に打ち勝ち、リーグ2位を死守した。4番のウラディミール・バレンティン内野手(34)が一回にリーグトップの30号2ランを放つなど3打点の活躍で2013年以来、5年ぶりに100打点をマーク。先発した石川雅規投手(38)が6回1/3を8安打4失点で5勝目(4敗)を挙げた。お立ち台に呼ばれたバレンティンは胸を張った。  --先制弾  「特に狙ってはいないが、いい球がくるのを待っていいスイングができた」  --30号に到達  「自分でも誇りに思う。チームメイトの協力やコーチ、監督が自分を使ってくれているので達成できた」  --今シーズンは何本打つ  「分からないが少なくとも40本は打ちたい」  --打点も100に到達  「チームメイトがたくさん塁に出てくれる。特に青木、山田、坂口が出てくれてチャンスを作ってくれたから、達成できた」  --最後にファンに向けて日本語で  「キョウハアリガトウゴザイマス。アシタヤスミ、マタヒロシマガンバリマス」

◆「3番・左翼」で8日以来の先発を果たした阪神の大山が三回の2点二塁打を含む2安打をマークした。  3点を追うこの回2死一、二塁の場面で石川の高めの直球を捉え、左中間へ打ち返した。起用に応え「僕にとっては一打席一打席が全て勝負なので」と話した。三塁手として開幕戦に先発しながら、打撃不振で6月には2軍降格も経験した2年目。好結果にも浮かれず「一日だけじゃ駄目。続けられるように」と気を引き締めた。

◆岩田は三回先頭で青木に頭部をかすめる死球で危険球退場。それを差し引いても内容が悪く、初勝利はならなかった。被安打3のうち2本が本塁打で4失点。一回、バレンティンに2ランを浴びると、二回にも先頭の西浦にソロを浴びた。「先発投手としての役割を果たすことができず、チームに迷惑をかけてしまい申し訳ないです」とコメントした。

◆バレンティンが一回二死一塁から、左中間に先制の30号2ラン。来日8年目で7度目の30号到達となり、外国人選手ではT・ローズ(オリックスなど)と並ぶ史上最多となった。三回にも適時二塁打を放って100打点とした大砲は「(本塁打は)完璧だった。最低限の目標は達成できた。これからもチームのために一本でも多く打っていきたい」と殊勝だった。

◆ア、アホかー!? 先発の岩田が三回先頭の青木に危険球退場から、神宮燕バッティングセンターが開店しての打たれ負け...。ヘナヘナヘナ...。  大体この4試合で2人の危険球退場って(16日の広島戦でドリスが会沢への頭部死球退場)、マスク被っている梅ちゃん、何考えとるんやー!!  虎党で阪神命だけど、ここは引けん! ハッキリ言うわ!  「梅野隆太郎あんたのリードは...。正しい! 大正解!!」  そりゃ、会沢さんや青木さんには心から申し訳ないと謝罪させていただきます。プロの投手として危険球なんて恥ずべきコト以外の何ものでもないと承知しております。  ただし、梅野よ! それにより、内角を厳しく攻めないリードでもしようものなら、若手の多い虎の投手陣に先はないだろうし、君自身もそこまでの捕手で終わりかねないのだ!!  虎は負けたけど、本日も12安打(ここ9試合で2桁安打が7試合)。次の中日戦は投打とも攻めまくりの3連勝なのだ!!

◆  ―― 三回。岩田の危険球退場から流れが悪くなった  金本監督 「まぁな。ま、そこで...その回やな」  ――当たっていたか、微妙だった  「審判がね。危険球って宣告した以上は覆らないということだったから。ビデオ判定(リプレー検証)もないし」  ――打線が追い上げていただけに、投手陣か  「きょうはね」  ――岩田は一回、低めの球をバレンティンに打たれたが  「インコースにいくなら、やっぱり高めにいかないとな。インローで勝負というのはちょっと...これはバッテリー(の問題)やね。昨年、一昨年からずっといっているんだけど」  ――大山の3番は最近の状態の良さから  「もちろん、ね」

◆横浜市金沢区にある横浜高をひょいとのぞいてみたくなった。1999年の春のことだった。  その1年前の98年夏の高校野球、甲子園での決勝戦で横浜の松坂大輔は京都成章戦でニコニコしながらノーヒットノーラン。まさに平成の怪物だった。  その松坂という投手がどんなところで"育くまれたのか"という興味。それに阪神の永久欠番「11」村山実が悲壮感を漂わせて必死に投げた甲子園のマウンドで、18歳の子供みたいな童顔の松坂がその夏の決勝でいとも簡単にノーヒットノーラン...実はその日その時(98年8月22日)に時を同じくして村山実は静かに天国に旅立ったので...なんとなく。  なぜかタイガースに縁(えにし)のある若者のルーツを見ておきたかった。知りたくなると...筆者は若いときからいても立ってもいられなくなる。それで...横浜高の裏手にある小山を登って野球部のグラウンドまで歩いた。  おや...これだけの旋風を巻き起こした"松坂の庭"は緑に囲まれていた。と、その前になんと『野口英世博士の旧研究室』という遺跡まであった。へぇ、野口博士は研究に疲れたら窓からひょいッと松坂大輔の練習を見ていた(そんなハズはないけど...)のかなぁ...なんとなく世界的な学者と怪物の接点みたいなものが感じられて...ひとりで悦に入っていた。その頃、横浜は渡辺元智監督で少し練習を見学させてもらったっけ...。  何をウダウダ言うのか...とお叱りをうけるかもしれないが、要するにこの98年の8月20日、甲子園は第80回大会の準々決勝戦で横浜は当時は絶対的な存在だったPL学園に対して胸を借りるという立ち位置だった。  それが...。「史上最高の延長17回のドラマ」が演じられたのだ。二転三転して7-7の同点で迎えた十七回に横浜は2点をとり、松坂は250球...。「最後の1球はガッツポーズさえできなかった...」(松坂)ぐらいの状態だった。  そして準決勝は明徳義塾に7-6。決勝は京都成章を...。「松坂のためにあった夏」とまでいわれたのである。  なぜメメしく松坂のことを書いたかともうしますと神宮の試合は皆様ご覧の通りの展開になりました。サンテレビの中継を見ていると六回に解説の阪神OB田淵幸一氏がポツリと「藤浪投手はどうしてるんだろ?」と吐息をもらしていたのが猛虎党の"慟哭(泣き叫ぶ)"のように聞こえたのであります...。  トラ番キャップ阿部祐亮は「試合前に金本監督がセッセとサード付近をトンボをもって整地してまして『ここはすぐ硬くなるんだ...』といいながら...。それほどリラックスしていたんですが...」と電話の向こうで歯ぎしりが聞こえてきそうだった。  実はヘタなスマホより即座になんでも答えを出す"生き字引"編集委員上田雅昭によもやおぼえていないだろ...と謎かけのつもりで、おい98年の8月20日は何が...といったら即座に「あ、松坂の横浜とPLの17回の...」ときた。シマッタ、黙ってりゃよかった...と思ったがもう遅かった。立て板に水で「あの年は阪神が炎天下のロード続きで広島戦に連勝しましてなぁ...」。で、その時虎は何位だった? 「6位独走ですがな...でも阪神が勝ったから他紙は高校野球なのにサンスポは1面! 忙しかったヮ」だと。我が社の玄関にいるロボットのペッパーくんと、上田とイイ勝負という記憶力だが、そんなこと感心してるあいだに...チッ、神宮は...レ・ミゼラブル。

◆指揮官の大胆起用に、大山はがむしゃらに応えた。3番で、しかも左翼手として巡ってきたチャンス。もう逃せない。全力でつかみにいった。2点二塁打を含む、約3カ月ぶりのマルチ安打だ。  「僕にとっては1打席1打席、すべてが勝負なので。もうやるしかないと思ったので」  0-3の三回二死一、二塁。ベテラン左腕、石川が投じた内角高めのボールを、見事に腕をたたんで捉え、ライナーで左中間を真っ二つにした。1点差に迫る2点二塁打だ。7月4日の中日戦(甲子園)で放った右越え三塁打以来、実に出場21試合&28打席ぶりの長打だった。16日の広島戦(京セラ)では2-2の八回無死満塁で決勝の中前適時打。今カードでは左翼ポール際へ大きなファウルを放つなど調子は確実に上がっていた。金本監督の「3番・左翼」という起用に、結果で応えた。  福留の今季14度目の休養日で"空席"となった左翼のスタメンに、今季初めて入った。昨年8月18日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、1年ぶりだった。しかも、わずか今季2度目の先発3番。今季は開幕を三塁レギュラーで迎えたが、不調で2軍降格も経験した。そして、打撃で好調を取り戻しつつある現在は、三塁では鳥谷も状態を上げつつある。この日の「3番・左翼」は、キャプテンの休養を機に将が大胆に与えてくれた、またとないチャンスだった。  守備では軽やかに飛球もつかみ、2-7と引き離された五回も、二死から痛烈なライナーで左前打。3点を追う九回無死一塁でも四球を選び、劣勢のなか3出塁した。  「僕にとっては全部が勝負だと思う。チャンスをモノにできるか、できないか。続けられるように頑張ります」  5月27日の巨人戦(甲子園)での3安打以来3カ月ぶり、ようやく今季5度目のマルチ安打だった。これ以上、もたもたできない。がむしゃらな大山が、もう1度虎を加速させる。 (長友孝輔) 四球と2安打で25試合連続出塁の阪神・北條 「追い込まれても粘って粘って...という気持ちでいます」

◆ヤクルトは19日、阪神16回戦(神宮)に8-5で勝利した。青木宣親外野手(36)が今季13度目の猛打賞となる3安打を放ち、日米通算2175安打として若松勉氏(サンケイスポーツ専属評論家)が持つ2173安打(球団記録)を超えた。ヤクルト入団時の恩師でもある若松氏は「おめでとうという言葉しかない。青木が背中でみせることで、チームが変わった」と称賛した。  芸術的なバットコントロールで安打を積み重ねた。一回に左前打、四回にも左前打、六回には中前打。青木が今季13度目の猛打賞となる3安打を放った。  「良い形で打てていると思う。後ろがあれだけ打ってくれるから、点数に絡むことが増えてくる」  三回の第2打席は初球がヘルメットのつばをかすめ、岩田は頭部死球で退場となった。「とっさのことだったから」と振り返った青木。6月30日の同戦(同)でも頭部死球を受け、脳振とうの特例措置で抹消されただけに心配されたが、四回も強く踏み込んで安打と、恐怖心とは無縁だった。  日米通算2175安打とし、入団時の監督である若松勉氏が持つ2173安打を超えた。同氏に宛て「必ずチームに貢献します」と力強く書き込んだ年賀状を送ったのは入団1年目のオフ。今も「お守り」としてかばんにしのばせる若松氏は「自分で努力を重ねて、自分の打撃をものにした。米国で苦労もしたと思うが、結果を残し続けてきたことが素晴らしい」とたたえる。抜擢(ばってき)のきっかけとなった年賀状から13年。同氏は「青木が背中でみせることで、チームが変わった」と目を細めた。  「勝ちを拾っていくことが大事。良い流れにあると思う」と青木。3カード連続勝ち越しと上昇気流をつかんだ。 (長崎右)

◆えっ、当たった!? 阪神は今季初勝利を目指した先発・岩田稔投手(34)が、1点を追う三回先頭で青木宣親外野手(36)に頭部死球を当てたとして、危険球退場を宣告された。青木が「分からない」と話す極めて微妙な1球に対して、金本知憲監督(50)のリクエストは認められず、そこから大暗転。阪神・谷本修球団副社長兼本部長は試合後、意見書の提出を検討することを明かした。  青木が首をすくめる。バックネット方向に体をよじり、岩田の危ない球を避けようとした。梅野のミットも弾かれる。一瞬、時が止まった。死球!? ン...!? 三回無死、先頭の青木が起き上がり、一塁に歩き出す。土山球審のジャッジは危険球退場。神宮球場がざわついた。  岩田の退場後、土山球審と話した金本監督は試合後「審判がね。危険球って宣告した以上は覆らない、ということだったから。ビデオ判定もないし」と会見場に用意された椅子に腰掛け、腕を組みながらやりとりを明かした。  腑に落ちないのは指揮官だけではなかった。試合の行方を大きく分けた岩田の44球目を最も近くでみていた梅野は「ヘルメットに当たった音はしてなかった」と主張した。土山球審からは「先にヘルメットに当たった音がして、その後、ミットに当たった」との説明を受けたという。帰りのバスへ歩を進めながら「ランナー一塁とワンボールとでは全然違う。(審判団で)確認はしてほしかった」と率直な心境を漏らした。  連盟担当でもある谷本副社長兼球団本部長は「当たってなかったら、誤審ですよね? 当たっていましたか?」と報道陣に逆質問。意見書提出については「(映像を)見てから考えます」と含みをもたせた。今季初勝利を目指した岩田が立ち上がりからピリッとしない内容もあり、ただフラストレーションばかりがたまるものだった。  青木に対しては6月30日の対戦(神宮)でも岩貞が頭部死球を当て、危険球退場になっていた。ここ数年、阪神の投手はヤクルトの打者に多く死球を当てており、岩田の1球も危険だったことには変わりないが...。緊急登板の岡本も西浦に当て、不穏な空気も流れた。クライマックスシリーズを争うであろうライバルとの間にモヤモヤと"遺恨"が残った神宮の悪夢。4年ぶりとなる5カード連続の勝ち越しも逃し、なかなか波に乗れない。 (阿部祐亮) 土山球審 「金本監督からは抗議でなく、質問されました。『リクエストできるんですか』ということなので。『できません』と言いました。危険球の判断はリクエストできません」 ★危険投球について  投手の投球が打者の顔面、頭部、ヘルメット等に直接当たり、審判員がその投球を危険球と判断したとき、その投手は即退場とする。 (2018セ・リーグアグリーメントより)

◆3連戦すべて、一回にバレンティンに打点を稼がれてしまった(この日は本塁打)。毎日、先制されて劣勢で始まる展開。対戦成績は1勝2敗で、1つの負け越しに食い止めたが、同じ打者に打たれ続けて、バッテリーは何をしていたのか、と責められても仕方がない。  確かにバレンティンは好調だ。前後に好打者が並び、勝負を避けるわけにもいかない。そこで阪神はどう攻めたか? 連日、真っ向勝負だった。あまりに正直過ぎる。  足元に投げて、動かす努力をしたか? 胸元に投げて、のけ反らそうとしたか? 揺さぶったのか? そうした攻めは一度もなかったように映った。バレンティンは内角を攻められることを極度に嫌がる。相手が嫌がることを徹底的にするのが勝負の常道。ひょっとしたら、リードしても投手が投げきれなかったのかもしれないが。  今の阪神の先発投手は、全体的に対角線の揺さぶりが得意ではない。インハイの次はアウトローへ。基本的な攻めだが、どんな打者にも効果的。逆にこの攻めができないとヤクルトのような強力打線は抑え切れない。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
624120.602
(↑0.004)
0
(-)
38540
(+9)
462
(+7)
135
(+1)
62
(+1)
0.266
(↑0.001)
4.03
(↓0.03)
2
(-)
ヤクルト
515210.495
(↑0.005)
11
(-)
39480
(+8)
500
(+5)
98
(+2)
56
(+1)
0.268
(↑0.001)
4.38
(-)
3
(-)
巨人
545620.491
(↑0.005)
11.5
(-)
31502
(+6)
457
(+5)
115
(-)
51
(+1)
0.261
(↑0.001)
3.89
(↓0.01)
4
(-)
阪神
485210.48
(↓0.005)
12.5
(↓1)
42403
(+5)
448
(+8)
62
(-)
51
(-)
0.25
(↑0.001)
4.02
(↓0.03)
5
(-)
DeNA
465820.442
(↓0.005)
16.5
(↓1)
37421
(+7)
499
(+9)
128
(+3)
60
(+1)
0.251
(↑0.001)
4.39
(↓0.04)
6
(-)
中日
486110.44
(↓0.004)
17
(↓1)
33454
(+5)
498
(+6)
69
(-)
51
(-)
0.264
(↑0.002)
4.36
(↓0.02)