阪神(☆3対2★)広島 =リーグ戦17回戦・大阪ドーム=
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広島
00000 1010 251
阪神
01001 001× 3102
勝利投手:藤川 球児(4勝1敗1S)
(セーブ:能見 篤史(2勝2敗1S))
敗戦投手:フランスア(1勝3敗0S)
  DAZN
◆阪神は2回裏、鳥谷の犠飛で先制する。その後2-2で迎えた8回には、無死満塁の好機をつくると、代打・大山が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、4番手・能見がプロ初セーブ。敗れた広島は、8回に同点とする粘りを見せるも、3番手・フランスアが誤算だった。

◆阪神鳥谷敬内野手が先制点となる右犠飛を放った。  2回無死一、三塁。広島岡田の投じた初球、145キロ直球に強くコンタクトした。打球は右翼方向に飛び、犠牲フライには十分なフライだった。  「チャンスで回ってきた打席だったので積極的に打ちに行きました。詰まってしまいましたが、最低限犠牲フライになってくれました」  頼りになる男が仕事を果たした。

◆広島が競り負け、15日に点灯した優勝マジックは32のまま足踏みとなった。8回に松山の犠飛で追いついたが、その裏に登板したフランスアが誤算。無死一塁からバント処理を一塁に悪送球する失策が絡み、大山の適時打で勝ち越しを許した。  緒方孝市監督(49)は「接戦はミスが出たらものにできない」と振り返った。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)は好投したが惜しくも日米通算100勝目はお預けとなった。  6回の1失点だけで7回を投げ、2-1とリードを守って降板した。8回に追いつかれたため今季12勝目はならなかった。  「少し残念だけど、チームが勝ったから報われたよ。日米通算より、日本だけの100勝の方が大きいと思っている。次、また頑張ります」。今季、日本でFA権を取得した来日9年目らしくコメントした。右腕はメジャーで4勝、日本通算は95勝だ。

◆阪神中谷将大外野手は尻の痛みに負けず、決勝のホームを踏んだ。  同点とされた直後の8回裏、先頭で代打登場。痛烈な三塁内野安打で出塁し、ムードを高めた。その後は三塁まで進塁し、無死満塁から大山が放ったライナーのファウルボールが尻に直撃して苦笑い。その直後の1球で大山の中前適時打が飛び出し、試合後は尻についても「大丈夫です」と笑顔だった。

◆阪神大山悠輔内野手が決勝打を放った。  同点の8回無死満塁で打席に立つと6球目の151キロ直球をはじき返した。中前に押し込む決勝打に「正直打ったとき覚えていなくて、ヒットになってくれてよかったなと思います」と胸をなで下ろした。  キーになったのは5球目に引っ張り込んだ痛烈ファウル。「ファウルが(三塁走者の)中谷さんに当たったので、ちょっとあれで緊張が解けたかなと思います」。先輩への直撃ライナーが心に余裕を生んでいた。

◆阪神は息詰まる接戦を制し、4カード連続勝ち越しを決めた。  1点リードで迎えた8回表に同点とされるが、直後の8回裏に無死満塁の好機をつくると、金本知憲監督は代打大山を選択。これがズバリ的中し、中前適時打で決勝点をゲットした。  今季代打打率5割1分4厘を誇る原口の前にあえて大山をチョイスした意図について、金本監督は「迷ったよね。定石では原口でしょうけど、原口は左の角度のあるボールにちょっと弱いんでね」と説明。勇気ある決断がはまり、3位巨人にゲーム差なしとした。

◆阪神能見篤史投手が緊急登板でプロ初セーブをあげた。  9回に登板した守護神ドリスが、1球目を投じると、まさかの危険球退場。緊急事態にも「いろんなことを想定しながらでした」とクールに振り返った。

◆阪神大山悠輔内野手が決勝打を放った。同点された直後の8回裏、無死満塁で左腕フランスアから中前にタイムリー。代打起用に最高の結果で応え、お立ち台にあがった。  -歓声聞いて  大山 すごくうれしいです。  -8回無死満塁どんな気持ちで  大山 しっかりやるしかないと思ったので、自分のスイングをしようと思って打席に入りました。  -追い込まれファウルで粘って、あの一振り  大山 ファウルボールが中谷さんに当たったので、ちょっとあれで緊張が解けたかなと思います。  -打った瞬間は  大山 正直打ったとき覚えていなくて、ヒットになってくれてよかったなと思います。  -なかなか思い通りに行かないこともあると思うが、日々どんな気持ちで  大山 しっかりやるしかないので、準備であったり、とにかく自分ができることをやってきました。  -明日から3カードの遠征に向かう。ビジターでの決意を  大山 勝つしかないと思うので、それに貢献できるように頑張りたいと思います。

◆2試合連続で先発起用された阪神伊藤隼が期待に応えた。  2回には好機拡大の中前打で鳥谷の先制犠飛につなげた。4回にも右前にはじき返して2安打。「昨日は少し受け身になっていた。今日もチャンスをもらえたので、代打と同じような気持ちで攻めようと思った。チーム力は広島に負けていない。少しでも貢献したい」と振り返った。

◆8回に登板した阪神藤川が今季4勝目を挙げた。「勝つためにやっている。(勝ちは)自分でなくても。ランディに申し訳なかった。(自分は)流れを止めるのが役割だし、うまくいかないときもある。それが野球だから」。  能見と形成する左右のベテランリリーバーが虎を支えている。

◆阪神糸井が打席でのオーラで押し出し四球をもぎ取った。5回2死満塁で、1球もストライクを入れさせない怖さを醸し出した。  6回には右翼の守備で打球に追いつけないシーンもあり、途中交代。金本監督は「ちょっと膝がね。足の状態があまり良くなかったみたいだから」と説明した。

◆阪神鳥谷が貴重な仕事をした。2回無死一、三塁で岡田の初球のスライダーを右翼に飛ばす先制犠飛。「チャンスで回ってきたので積極的に打ちにいった」。  8回には無死一塁から犠打を決め、敵失も呼び込んだ。その後に大山の決勝打。無安打ながら渋く勝利に貢献した。

◆無心でバットを振り切った。同点の8回無死満塁。代打で登場した阪神大山が吹っ切れた。「打つしかないと思った。強い気持ちで打席に入りました」。ファウルで粘った6球目。真ん中高めの151キロ直球に反応。中前に押し込んだ。  「正直打ったときのことは覚えていなくて。ヒットになってくれてよかった」  キーになったのは5球目に引っ張り込んだ痛烈ファウル。「ファウルが(三塁走者の)中谷さんに当たったので、ちょっとあれで緊張が解けたかなと思います」。先輩のお尻への直撃ライナー。緊張感漂う場面での思わぬ一幕で、心に余裕が生まれた。  期待された2年目は開幕スタメンを勝ち取ったが、結果が出ず定位置を剥奪された。ベンチを温める日々を過ごし、2軍落ちも経験。何よりも際立ったのが「勝負弱さ」だった。今季満塁では15打席安打なし。得点圏打率も1割台だった。  打席での怖さを知った。「自分の中では分かっているつもりなんですけど...」。新人だった昨季は初球にめっぽう強く、29打数11安打の打率3割7分9厘と結果が出ていた。だが今季は「ベンチでも、ネクストでも、相手のピッチャーとタイミングを合わせることであっても...。準備の部分をすごく大事」と深く考え込み思い切りを失った。24打数5安打の2割8厘と、負のスパイラルに陥った。  それでも金本監督は大山を信じた。8回の勝負手には「う~ん...迷ったよね。定石では原口でしょうけど原口は左の角度あるボールにちょっと弱いんでね。速い球に強い大山ということで出しました」と起用理由を説明。ズバリ采配に応えた愛弟子を褒めた。【真柴健】

◆阪神が執念の鯉倒だ。8回無死満塁で代打大山が決勝の中前適時打を放ち、9回に守護神ドリスを送り込んだが、まさかの危険球退場。不穏な空気が漂ったが、スクランブル登板したベテラン能見が炎の投球でプロ初セーブ。前日15日は敗れ、広島に優勝マジック点灯を許してしまったが、意地のカード勝ち越しだ。  トランペットは鳴りやみ、太鼓の音もピタリと止まった。ざわつきだけが支配する不穏な雰囲気をかきわけ、能見が小走りでマウンドに向かった。1点リードの9回。守護神のドリスが会沢に頭部死球を与え、危険球退場。わずか1球の降板劇だった。急きょ、指名を受けた。肩は2度つくっていたが、1度は気持ちを切っていた。マウンドでの9球の投球練習。いつものように無表情のまま、一気にスイッチを入れた。  能見 いろんな事を想定しながら。(中継ぎ陣には)助けてもらっている部分もすごく多いのでね。  バントの構えの野間に対し2ボール。ただ、緊急登板を思わせたのはここまでだった。直球でバントさせず捕邪飛に。続くは代打バティスタ。先発時代には相性が良くなかったが、全開でねじ伏せた。低めの144キロ直球で空振り三振。最後は田中を投ゴロに打ち取った。12球で3人切り。プロ14年目、338試合目での初セーブだ。記念すべき試合。だが試合後も能見は笑わなかった。  能見 (会沢の)頭に当たっての登板なのでね。喜ぶことでもないので。  目の前の打者を抑える。それだけにこだわる。マウンドに行けばまず「守備の邪魔になる」と、ロジンバッグをプレートの左後ろに置き、視界から消す。中継ぎに転向してからは球界一美しいともいわれたワインドアップもやめた。走者がいなくてもクイックも交えながら投げる。とにかく結果だ。「球児と能見の必死な姿を見て望月もまねするようになった」と金村投手コーチ。ベテランの奮闘は中継ぎ陣の結束力までも生んでいる。  不敗神話もつないだ。これで6回終了時点でリードしていれば38勝1分けだ。4カード連続の勝ち越しで、前日15日にマジック点灯を許した広島に牙をむいた。金本監督は「気持ちの準備があるなかでよくしのいでくれましたね。本当、能見なしではちょっとリリーフは考えられない状態です」。能見の"救い投げ"で2位ヤクルトに0・5ゲーム差と肉薄し、さあ、東京に乗り込む。【池本泰尚】
 ▼39歳2カ月の能見がプロ初セーブ。これはプロ野球史上最年長での初セーブとなった。なお90年には、ダイエーのゴセージが39歳5カ月で来日初セーブを挙げたが、メジャーでは310セーブを記録していた。

◆阪神が鳥谷の右犠飛で先制した。二回、ナバーロと伊藤隼の連打で無死一、三塁の場面。「好機で回ってきた打席だったので積極的に打ちにいった」と、岡田の初球の直球を捉えた。右翼フェンス際まで達する飛球で、三塁からナバーロが悠々と生還した。  2軍調整となった陽川に代わり、5試合続けて三塁で先発した37歳のベテラン。先制機をものにし「詰まってしまったが、最低限犠牲フライになってくれた」と話した。

◆阪神が2-2の八回、無死満塁から代打・大山の適時打で勝ち越し。九回にドリスが危険球による退場処分となるハプニングはあったものの、能見が後続を断った。八回に登板した2番手の藤川が4勝目(1敗)を挙げた。敗れた広島の優勝マジックは「32」のまま。  阪神はメッセンジャー、広島は岡田が先発。阪神は二回、先頭のナバーロが右翼線二塁打、伊藤隼が中前打を放ち無死一、三塁の好機を作ると、鳥谷の右犠飛で1点を先制。阪神は五回二死から糸原が四球、北條が左前打、福留も四球で満塁とすると、糸井が押し出しの四球を選び追加点を挙げた。  広島は六回、一死一、三塁から丸のニゴロの間に三走の田中が生還し1点を返し、さらに八回に阪神の2番手・藤川を攻め、一死から菊池が四球、丸が右前打、鈴木が四球を選び満塁とすると、松山の左犠飛で同点に追いついた。  2-2の八回、阪神は広島の3番手・フランスアから中谷の三塁内野安打、鳥谷の犠打失策、梅野の四球で無死満塁。ここで代打に起用された大山が中前に適時打を放ち勝ち越した。  阪神は3-2の九回、3番手のドリスが登板したが、先頭の会沢への初球が頭部への死球となり危険球退場。あとを受けて能見がマウンドに上った。能見は野間を捕邪飛、代打・バティスタを空振り三振、田中を投ゴロに切って取り、チームを勝利に導いた。

◆阪神のドリス投手が16日、京セラドーム大阪で行われた広島17回戦で危険球による退場処分を受けた。今季両リーグで10人目。九回、先頭の会沢の頭部付近に投球を当てた。

◆阪神が2-2の八回、無死満塁から代打・大山の適時打で勝ち越し。九回にドリスが危険球による退場処分となるハプニングはあったものの、能見が後続を断った。阪神の金本監督は投打のヒーローを称え、17日からのヤクルト戦を見据えた。  --能見が締めた  「緊急でしたけど、その前に(肩を)作っていたので、すぐに(準備が)できたとは思うんですけど。やっぱり気持ちの準備ってものがあるからね。本当によくしのいでくれましたね」  --能見の存在感  「リリーフにいってからきちっと抑えてくれているのでね。能見なしではね、ちょっとうちのリリーフは考えられない状態ですね」  --先発のメッセンジャーは  「序盤から珍しくっていいますかね、メッセらしくなくっていうかね、インコースをついていってたのでね。結構向こうのバッターも戸惑っていたんじゃないのかなっていうのもありますし、カーブのキレっていうのがね、すごく良かったんじゃないのかなって思いますね」  --打つ方は八回に代打・大山が決勝打  「原口というアレもあったんですけど、なんていいますか、左ピッチャーは原口あんまり良くないんでね、かえって右ピッチャーのほうがいいんでね。速い球に強い大山っていうので出しましたけど、よくやってくれましたね」  --4カード連続の勝ち越し  「やっぱり目先の勝ち越しっていうのは一つのテーマなんでね。続けていきたいですね」  --明日から神宮  「神宮に行けば打線が元気になるんで期待しています」

◆広島の会沢が九回、頭部付近にドリスの投球を受けて交代した。初球がいきなり死球となって代走を送られたが「患部だけは痛みがあるけど、大丈夫。仕方がない」と気丈に話した。松原チーフトレーナーは「頭なので病院に行く。明日は状態を見て決める」と説明した。

◆広島は後半戦に入って9カード目で初めて連戦に負け越し、優勝へのマジックナンバーを減らすことができなかった。八回に追い付く粘りを見せたが、その裏にフランスアが自身の失策から崩れた。緒方監督は「接戦の試合はミスが出たらものにできない」と厳しい表情だった。  2-2の八回、フランスアは無死一塁からバントの処理で一塁へ悪送球して一、三塁と傷口を広げた。四球で満塁となった後、代打の大山に中前打された。7月20日以来、15試合ぶりの失点で3敗目を喫し「ノーコメント」と悔しさをにじませた。緒方監督は「しっかり反省してまた試合に臨むだけ」と気持ちを切り替えた。 岡田(6回2失点) 「立ち上がりからボール自体も良く、粘り強く投げることができた」 松山(八回に同点の左犠飛) 「気持ちで持っていった。最低限の仕事ができて良かった」

◆阪神のメッセンジャーは7回1失点と好投したものの、八回に2番手の藤川がつかまり、今季12勝目を逃した。それでも「チームが勝ったので良しとしたい」と話した。  コースを丁寧に突く投球で広島の強力打線を4安打に抑えた。「内外、高低と打者の目線を変えて、捕手の梅野といいリズムで投げられたのが良かった」と手応えを口にした。 金本監督(4カード連続勝ち越しに) 「目先の勝ち越しというのは一つのテーマ。続けていきたい」 藤川(八回に同点とされ) 「ランディ(メッセンジャー)に申し訳ないというのはある」

◆-送り火に やらずの雨の 降り出でし...(眸)  そういえば五山の送り火。京都の実家の居間で寝転がって東山如意ケ岳の「大文字」が見える編集委員上田雅昭はノンビリと8月16日の宵を楽しむ...そんなわけねぇだろ。サンスポではそんな「優雅な夏」なんてのは楽しめるわけはない。  「この日は甲子園の高校野球の『レジェンド始球式』はサンケイスポーツ評論家の板東英二さん。もう早朝から板東さんの元気いっぱいのしゃがれ声が満員の甲子園に響き渡ってたんですヮ。それにこの日は第1試合の報徳学園vs愛工大名電、大阪桐蔭が第4試合で高岡商とあたる。どこで大文字をみるのも自由やけど、そんなこと言うとれんのや...」と上田もまた早朝から熱気ムンムンだった。  「それになぁ...」。わかってるョ上田サン。みなまで言うな。この8月16日というのは高校野球の長い歴史では実にドラマの多いメモリアルデーだということは...。まずそれを全部書くと『虎ソナ』は特別編を5回連載しなきゃならんぐらいイロイロございました。  それをザッとこの『8月16日』に西日本を走り抜けた"走り雨"のようにサラリと列挙しておきます。世代順に青春を懐かしんでください。  (1)1958年準々決勝 徳島商0-0魚津 延長十八回板東vs村椿の"弁慶と牛若丸の激闘"は、翌日再戦で徳島商が魚津に勝利するが小柄な村椿と躍動的な板東の投手戦はいまだに語り継がれている。  (2)73年2回戦 銚子商1x-0作新学院(延長十二回)"怪物"江川卓、延長十二回に雨の中で四球で無念の押し出しサヨナラ負け...。  (3)79年3回戦 箕島4x-3星稜(延長十八回)夏の夜の静かな死闘!  (4)92年2回戦 明徳義塾3-2星稜 日本中が騒然となった星稜・松井秀喜を『5打席連続敬遠』という奇策をとった明徳義塾は、冷徹に勝利を追求した結果の苦肉の策。しばらくは論争を呼んだが、18歳の松井秀喜はその甲子園ラストゲームを1球もスイングすることなく、それでも淡々とした表情だった。  のちに筆者は明徳義塾の野球部グラウンドでその作戦をとった馬淵監督にソレを尋ねた。彼は「私は必死で戦っている選手を守る。そのためなら批判もうける...」とキリリと言っていた。指揮官の覚悟がそこにあった。  100回大会を迎えた高校野球にはいろんなドラマがあります。  だが同じ「8月16日」でも後楽園での1980年には、アノひとつの時代を構築した「巨人・江川卓vs阪神・小林繁」の初対決があったのであります。  運命のトレードの年は小林繁が阿修羅の如く巨人に無キズの8連勝。しかしそれで細身の小林は「何かが僕の心でなぜか燃え尽きた...」のか注目の初対決では小林は五回で6安打73球...4失点で降板する。  江川は176球の完投で3失点。だが...「どうしても負けられない試合だった」とポツリと試合後にいった。不思議な運命に翻弄された2人の人生分岐点の明暗...。  そんな2018年の"8・16"の京セラドームでは大接戦で勝利。竹村岳記者は滋賀から両親を招待し、広島戦がこんな大接戦でヒートアップの親孝行? となった。  それにしてもなんたるハードボイルドな『8・16』は薄氷を踏む思いの3-2...暑かった。

◆  --最後は能見が抑えた  金本監督 「えー、ホントにね、緊急でしたけど、まあその前に(肩を)作ってたんですけど、すぐにできたとは思うんですけどね。気持ちの準備っていうのがあるんでね、よく抑えてくれましたよ」  --先発のメッセンジャーも好投  「序盤からね、メッセらしくなくというか、どんどんインコースを突いていっていたのでね。向こうのバッターが戸惑っていたんじゃないかな、というのはありますし、きょうはカーブのキレっていうのがね、よかったと思います」  --大山のところは  「原口は左ピッチャーあんまりよくないんでね、右ピッチャーの方がいいんでね。速い球に強い大山を出しましたけど、よくやってくれました」  --広島に競り勝った  「うーんまあ、そうですね、広島相手にね、接戦ほとんど負けてましたけど。まあ、きのうは落としましたけどね、勝ち越しできたことは大きいと思います」

◆ほれぼれ...、シビレタ~! 1点リードの九回、マウンドに上がったドリスがその初球、会沢への頭部危険球で退場となる。その重い空気の中で登場し、広島の野間(捕邪飛)、バティスタ(空振り三振)、田中(投ゴロ)をクールに斬って、阪神を勝利に導いた39歳の能見篤史が『必殺仕事人』の中村主水(藤田まこと)と重なって、試合後、仕事人のタララ~タララタタタタタララ~(時代劇ファンの人はわかりますよね)のBGMが鳴り響き続けていたのだ。しかも、それがプロ14年目で初セーブというのだから驚いた!!  シビれさせたり、驚かせたりの能見さん、球はまだキレキレでっせ!! あと10年放って、虎党をさらに酔わせてくださ~い!!  そして、八回に代打決勝タイムリーの大山くん、本日のような粘りを忘れるべからず!! ヒットの前のファウルの打球が三塁走者の尻に当たったのが、尻だけにウン(運)がついた? コラコラ~、朝からお下品なコト言うんじゃなーい!!  何はともあれ、首位広島に2勝1敗と勝ち越した戦いぶりに、まだまだ追撃できる力を見たのだ!! さ、神宮でツバメを3羽(3勝)捕らえて、借金返済やー!!

◆終わってみれば、勝利投手は藤川に転がり込んだ。登板2試合連続で今季4勝目(1敗1セーブ)。ただ、登板した八回、制球を乱し、1安打2四球などで同点にされただけに万々歳とはいかない。「(勝利投手をフイにした)ランディ(メッセンジャー)に申し訳ない。うまくいかないこともある」。酷暑にフル回転するかつての守護神は、淡々と振り返っていた。

◆後半戦に入って9カード目で初めて連戦に負け越し。  15日に優勝へのマジックナンバー32が点灯した広島だが、この日は阪神に敗れ、マジックは減らなかった。17日、DeNAに敗れると、ヤクルト-阪神戦の勝利チームに自力優勝の可能性が復活し、広島のマジックは消滅。または広島が敗れ、ヤクルト-阪神戦が引き分けると、ヤクルト、阪神の両チームに自力優勝の可能性が出てきて、広島のマジックは消える。広島は昨季、球団最速の8月8日にマジックが点灯したが、3度消滅した末にリーグ2連覇を飾っている。

◆糸井は2打数無安打。連続試合安打は「10」で止まったが、1-0の五回二死満塁では押し出し四球を選び4試合連続打点とした。ところが七回の守備から俊介と交代し、試合後の整列にも姿をあらわさず。金本監督は「ちょっと膝がね、足の状態があまりよくなかったので。足がつった、つりかけたみたい」と説明。8月打率・460(37打数17安打)の主砲。状態が心配される。

◆勝負どころを見逃すはずがなかった。心は熱く、頭は冷静に-。幾度も修羅場をくぐり抜けてきた鳥谷の攻めの姿勢が先制犠飛につながり、最後まで効いた。しぶ~いひと振りで流れを呼び寄せた。  「チャンスで回ってきた打席だったので積極的に打ちにいきました。詰まってしまいましたが、最低限犠牲フライになってくれました」  二回先頭のナバーロが右翼線への二塁打、伊藤隼も中前打で続き無死一、三塁。ベテランの脳裏にも「チャンスだったので」と走者をかえすことしか頭になかった。先発・岡田の内角高めへの初球145キロを外野まで弾き返す右犠飛で主導権をにぎった。  八回にも投前犠打をきっちり決めて一塁へ疾走すると、フランスアの悪送球(記録は犠打と投手失策)を誘い、大山の勝ち越し打につながった。随所でベテランの存在感を発揮し、8月11日のDeNA戦(横浜)以来、出場4試合ぶりの打点をあげて勝利に貢献した。  三塁を任されていた陽川が右肘痛のために2軍調整中で11日のDeNA戦(横浜)から5試合連続で三塁でスタメン出場を続けている。ときに苦しむ若手投手に歩み寄って声をかけ、若い内野陣も引っ張ってきた。  5日のヤクルト戦(京セラ)では五回無死一、三塁から高いバウンドの二ゴロで得点をあげ、金本監督を「ヒット以外で最高のバッティング」とうならせた。勝負の夏場で経験に裏打ちされた技術、リーダーシップの価値は増すばかりだ。「次も頑張ります」と鳥谷。主役でも黒子でもチームが勝てばいい。その献身の姿勢が頼もしい。 (新里公章)

◆代打・大山が"16度目の正直"で鯉を仕留めた。出番が限られても、さび付くことはない。球場を支配する六甲おろしにも押され、主役は塁上で少しだけ頬を緩めた。  「原口さんと思っている人が多かった中で、自分を送り出してくれた。応えないといけなかったし、集中していきました」  2-2に追いつかれた八回。中谷が内野安打で出塁すると、鳥谷の投前犠打を広島・フランスアが一塁へ悪送球。さらに梅野が四球をもぎ取り、無死満塁で代打・大山の出番だ。5球目。低めの変化球を拾うと、鋭い打球は三走・中谷のお尻を直撃...。「あれでちょっと緊張が解けたかなと思います」。  直後の151キロを中前に弾き返し、勝負ありだ。なお無死満塁から追加点を奪えず、貴重すぎる1点になった。大山も「正直、打ったことも覚えてなくて...」と汗をぬぐった。  今季はここまで代打で10打数1安打で、得点圏打率・109。満塁では15打席ノーヒットだった。ましてやベンチには代打打率・514で、満塁では今季5打数3安打の原口が控えていた。  あえてチャンスでも代打でも苦しんでいた大山を起用した金本監督は「定石では原口でしょうけど、左にちょっと弱い。角度のある球に」と説明。大山の値千金の一振りに「速い球に強い大山を出しましたけど、よくやってくれました」とタクトも光った。  昨季の台頭から、期待された2年目。思うような結果がなかなか出なくても、ただがむしゃらだった昨季から少しずつ成長を遂げている。  「1年目は、もういっぱいっぱいで考える時間、余裕もなかった...。毎日試合をする経験もなかった。でも2年目になって次の日の疲れとかも気にするようになりました」  宿舎でじっくり風呂につかることや、温水と冷水を交互に入る「交代浴」は必須。オフには"戦える体"にするため、白米ではなく玄米を取るようになった。グラウンドを離れても、頭の中は野球一色だ。  「勝つしかないと思うので。貢献できるように頑張ります」  久々のお立ち台でも浮かれる姿は一切ない。日々、悠然と成長を続ける背番号3。京セラに響いた快音が、逆襲の合図だ。 (竹村岳)

◆ナイスリカバリーや! 阪神・能見篤史投手(39)が1点リードの九回、守護神ドリスが危険球で退場した窮地を救った。プロ14年目で初セーブをマークし、首位・広島相手にカード勝ち越し。これで4カード連続の勝ち越しと、虎の勢いはまだまだ止まらん!  小さく飛んで右手を伸ばし、打球を捕って一塁へ送球。ゲームセット!! 能見がプロ14年目、登板通算338試合目での初セーブで虎の危機を救い、笑顔でハイタッチだ。  「いやいや、まあまあまあ。緊急だったので、別にそれ(セーブ)はね。いろいろなことを想定しながら。それだけです」  1点を勝ち越した直後の九回。虎にアクシデントが生じた。マウンドに上がった守護神・ドリスの会沢への1球目が抜け、頭部死球に...。危険球退場が言い渡されると、代わってコールされたのが能見。3万6125人が詰めかけてパンパンのドームが、沸いた。  「(死球が)頭に当たっての登板なので、喜ぶことではないです。(準備は)大丈夫」  無死一塁。犠打を試みる野間に対し、カウント3-1から5球目だ。140キロ直球を押し込んで捕邪飛に。「ラッキーだったね」。一死一塁とし、球場の空気を完全に支配した。代打バティスタは144キロ低め直球でハーフスイングの空振り三振に。最後は田中をど真ん中直球で投ゴロに仕留めて任務完了。12球でチームの危機を救ってみせた。  虎では福原忍と山本和行が38歳シーズンにセーブをマークした例はあるが、39歳での初セーブとなれば異例中の異例。能見の値千金の活躍に金本監督も「リリーフへいってからほとんどビシッと抑えてくれているのでね。本当に能見ナシではうちのリリーフは考えられない状況です」と感服だ。中継ぎに転向してからの22試合で22回1/3を投げ、自責点はわずか2。防御率0・81と抜群の安定感で虎投を支え、白星を拾っている。  チームを支えるベテランもまた、家族に支えられながら戦っている。少し前まで、バットを振っては三塁に向かってちょこちょこと走っていた長男・凌成君も、今年で8歳。今ではルールもわかるようになり、少年野球チームにも入った。  先発をしていた頃には、土日に子供たちがチームの練習を終えてから試合を見に来てくれていたことも。リリーフに配置転換された今季は、家から応援してくれている。「うちはテレビがついていないから。子供は早く寝ないとね」と笑ってかわすが、この日の雄姿も家族は見守ってくれていたはず。初めてのセーブで、また新たな父の背中を見せた一日になった。  能見の救援でチームは広島に今季2度目のカード勝ち越し。4カード連続勝ち越しは2015年以来3年ぶりで、金本政権初と波に乗っている。  「(みんなに)助けてもらっている部分がすごく大きいのでね」  まだまだ勝つ。前夜に鯉のマジック点灯を許したが、虎はファイティングポーズを崩さない。 (箭内桃子)
1球で危険球退場となった阪神・ドリス 「相手に当ててしまって、近くに投げようとは思ったけど、ああいうふうになって申し訳なかった」 能見について阪神・香田投手コーチ 「ネクストの打者(バティスタ)との相性はよくなかったが、リリーフの能見は違う。よく3人で片付けてくれた。大きかったですね」

◆阪神の選手は感謝しなくちゃいけないです。広島にマジックが点灯しても、スタンドは超満員。最後の最後まで大声援。昔じゃ考えられない。  私の現役時代は巨人V9の真っただ中。マジックが点灯すると、選手は"取材"を開始したもんです。次の監督は誰か?とね。現監督が辞めると分かると、もう言うことを聞く選手なんていない。ひどいもんです(笑)。  心から感謝すべき環境で戦う今の阪神ナインで気になったのは八回に追いつかれた藤川。制球が乱れた。これは技術じゃない。勝たなくちゃいけない、負けるわけにはいかない、というプレッシャー、責任感です。藤川ほどの投手でもそうなった。逆に、そんな思いで投げている藤川は、今の阪神の「1つも負けられない」立場をよく分かっている証拠です。  メッセンジャーを気持ちよく投げさせていた梅野も褒めておきます。投手は一度も首を振ってませんでした。チームの雰囲気は悪くない。始球式を終えて甲子園から駆けつけてよかった。安心しました。 (サンケイスポーツ評論家)

◆ポイントに挙げたいのは八回無死満塁、代打・大山がカウント2-2から決勝打を放った6球目...ではなく、その前の5球目のファウル。三塁走者・中谷のオシリを直撃した、あの1球だ。  その前の4球目、大山はフランスアの直球に押されてのファウルだった。おそらくバッテリーは、これだけ球威で押せたのなら、次は変化球で打ち取れると確信したはず。私もそう感じた。  ところが、大山はワンバウンドになりそうなフォークをバットの芯でとらえ、痛烈な打球を放った。これでバッテリーに迷いが生じ、次の球に直球を選択。直球に絞りやすくなっていた大山が中前打した。見事だった。  この打席。まず人選に驚かされた。誰もが原口だと思ったはず。ただ、ベンチは状況だけでなく相性も考える。原口の左腕との打率の低さ、速球に強い大山、などの要素で決断したのだろう。結果が最も重要。そういう意味で、ベンチのファインプレーさい配だった。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
604020.6
(↓0.006)
0
(-)
41522
(+2)
447
(+3)
132
(-)
58
(-)
0.265
(↓0.001)
4
(↑0.01)
2
(↑1)
ヤクルト
495110.49
(↑0.005)
11
(↑1)
42466
(+7)
489
(-)
96
(-)
55
(+1)
0.267
(-)
4.4
(↑0.05)
3
(↓1)
巨人
525520.486
(↓0.005)
11.5
(-)
34485
(-)
446
(+7)
109
(-)
50
(-)
0.26
(↓0.001)
3.92
(↓0.03)
4
(-)
阪神
475010.485
(↑0.006)
11.5
(↑1)
45392
(+3)
434
(+2)
60
(-)
50
(+2)
0.249
(↑0.001)
4
(↑0.03)
5
(-)
DeNA
455620.446
(↓0.004)
15.5
(-)
40406
(+5)
481
(+11)
122
(+3)
59
(-)
0.249
(-)
4.34
(↓0.07)
6
(-)
中日
475910.443
(↑0.005)
16
(↑1)
36443
(+11)
481
(+5)
68
(+2)
51
(-)
0.263
(↑0.002)
4.32
(-)