阪神(★3対4☆)巨人 =リーグ戦13回戦・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:内海 哲也(3勝1敗0S)
(セーブ:マシソン(0勝2敗6S))
敗戦投手:メッセンジャー(9勝6敗0S)
  DAZN
◆巨人が逆転勝ちで5連勝。巨人は1点を追う5回表、1死二三塁からマギーが2点適時打を放ち逆転に成功する。8回には、亀井の2ランが飛び出しリードを広げた。投げては、先発・内海が今季3勝目。敗れた阪神は、終盤に1点差まで追い上げるも、あと一歩及ばなかった。

◆阪神メッセンジャーが「後半戦開幕投手」の重要性を自覚した。今日16日の巨人戦(甲子園)に先発。2イニング、29球を投げた球宴第1戦から中2日になる。  「自分のことに集中して、自分の能力を出し切ればチームを助けることもできる。後半戦の一発目でシリーズの頭だから重要なところ。勝って勢いをつけたい」と頼もしかった。

◆阪神金本知憲監督(50)が今日16日巨人戦(甲子園)の後半戦開幕を控え、打線の固定を理想に掲げた。7月から4番に入っている陽川尚将内野手(26)を名指しして「真の4番奪取」指令。若手が定位置をつかめば、攻撃の流れもできる。「腰をドッシリと固定して戦える」と期待たっぷりだ。打撃力アップが逆襲には不可欠で、虎の若き4番がそのカギを握る。  借金3を背負って3位で前半戦をターンした阪神はいよいよ胸突き八丁の大勝負に突入する。後半戦開幕で相まみえるのは、宿敵の巨人だ。甲子園で全体練習をチェックした金本監督は「まあ、相手はどこでも一緒だし。(順位は)広島の方が上やからな」と、あくまで冷静。首位広島との7ゲーム差をどう縮めるか。見据えるのは頂点だけだ。  課題は明白。チーム打率2割4分3厘、同280得点、同42本塁打はいずれもセ・リーグワースト。11日の前半戦総括で、指揮官も「まずは得点力。上げないと打開策はない」と語っていた。理想に掲げるのは打線の固定化。プロ2年目の糸原は6月上旬から1番に定着。攻撃の起点として存在感を示している。金本監督も「そうやって、結果を残しているから1番でいけるわけやし」と深くうなずき、自ら切り出した。  「陽川にしても、ずっと結果を出し続けたら、もちろん、ずっと試合に出られるわけやからね。そうやって自然に、みんなチャンスをつかんでね。結果を出してくれれば、チーム力は上がる。腰をドッシリと固定して戦えるんだから」  陽川はロサリオの代役として1軍昇格した6月以降にブレークし、7月1日ヤクルト戦から4戦連続で4番に座る。指揮官には前半戦「MVP」にも推された。今日16日も、プロ入り初めて巨人戦での4番起用が濃厚。チームの打力アップのカギは、やはり4番が握る。陽川も「前半戦とやることは一緒。チームに貢献できるようにやりたい」と意気込んだ。  常勝軍団は腰を据えて戦う。セ・リーグ2連覇の広島は「タナキクマル」に象徴される1番田中、2番菊池、3番丸が打線をけん引すればパ・リーグ首位を快走する西武も秋山、源田、浅村、山川と不動の並び。打順固定が理想か問われた金本監督は「そらそうですよ。流れで自分の役割もおのずと分かってくる。そうなるにはまだまだ何年もかかる」と続けた。  若手が台頭し、打線が活発になれば、逆転Vへのシナリオも見えてくる。その第1歩を今日16日、本拠地甲子園でのG倒で踏み出してみせる。【酒井俊作】
 ▼阪神が7ゲーム差以上を覆して優勝すれば、2リーグ分立後の球団史上最大逆転Vとなる。過去の最大ゲーム差は64年の6・5差。

◆巨人ケーシー・マギー内野手(35)は前半戦最後のヤクルト3連戦で3戦連発。球宴を挟んで4試合以上の連続本塁打を記録すれば02年のシェルドン(オリックス)とオバンドー(日本ハム)以来だが、セ・リーグでは初めてになる。

◆夏男阪神ナバーロが本領発揮だ。  メジャー初アーチは14年7月にバーランダーから放っており「父ががんで余命2カ月だった。その日は偶然、球場に来ていた。68歳で亡くなるまで6年間の闘病生活をしていたので、すごく特別です」と回想した。「寒いよりは暑い方がいい。打って手がしびれたりとかはないので」。当時はメジャー屈指の好打者トラウトやプホルスが祝福。今日16日巨人戦では当時を思い出して来日1号を狙う。

◆阪神は16日、巨人戦の前に西日本豪雨の被災地支援のための募金活動を行った。午後4時前から甲子園球場外の1号門付近で福留、鳥谷、梅野、中谷、能見、藤浪、秋山、桑原の8選手が2組に分かれて15分間ずつ募金箱の前に立った。その後にOBも参加した。  選手会長の梅野は「被災された方の力に少しでもなれればとの思いで募金活動を行いました。1日でも早く平穏な生活に戻れることを祈っていますし、私たち野球選手としては勝利を届けることが一番だと思いますので、今日から始まる後半戦も気持ち新たに戦っていきたいと思います」とコメントした。

◆阪神は初回、ナバーロの右前適時打で1点を先制。対する巨人は5回にマギーの左前2点適時打で逆転に成功した。阪神は巨人先発内海から6回まで6安打を放つも1得点止まり。巨人は8回に亀井の9号2ランで追加点。7回以降は継投で迫る阪神を振り切った。内海が3勝目。阪神メッセンジャーが6敗目を喫し、借金4となった。  なお、巨人マギーはセ・リーグ初となる球宴を挟んで4試合以上の連続本塁打はならなかった。

◆阪神エフレン・ナバーロ内野手が先制打を放った。  1回2死一、二塁で打席に入ったナバーロは、巨人内海の136キロのストレートをとらえライト前へ抜けるヒット。二塁走者の福留がホームを駆け抜け1点を先制した。ナバーロは「打ったのはおそらくツーシーム。(内海が)良い変化球を投げていたので、大振りせずにセンター返しを心掛けていました。後半戦のスタートにいいバッティングができました」と喜んだ。

◆巨人坂本勇人内野手(29)が史上191人目の通算1500試合出場を達成した。  29歳7カ月での到達は榎本喜八、豊田泰光に次ぎ、史上3番目の年少記録。  青森・光星学院から06年高校生ドラフト1位で入団し、07年7月12日の阪神戦(東京ドーム)で代走で初出場。プロ2年目からレギュラーに定着。12年目の今季は試合前時点で81試合に出場し、打率3割3分2厘、13本塁打、56打点を記録していた。

◆巨人先発の内海哲也投手(36)が、6回6安打1失点と粘りを見せた。  初回、2死から福留、陽川に連打を許し、一、二塁とピンチを招いた。続くナバーロに右前適時打を打たれ、先制点を与えた。  それでも2回以降はボールを低めに集め、リズムを作った。2回には2死三塁、4回には無死一、二塁と得点圏に走者を置いたが、要所で凡打を打たせ、得点は許さなかった。  6回を94球1四球で投げきり、上原にマウンドを譲った。現役最多の阪神戦通算26勝の"虎キラー"ぶりをいかんなく発揮した。

◆巨人先発の内海哲也投手(36)が、6回6安打1失点と粘りの投球で今季3勝目を挙げた。  初回、2死から福留、陽川に連打を許し、一、二塁とピンチを招いた。続くナバーロに右前適時打を打たれ、先制点を与えた。  それでも2回以降はボールを低めに集め、リズムを作った。2回には2死三塁、4回には無死一、二塁と得点圏に走者を置いたが、要所で凡打を打たせ、得点は許さなかった。  6回を94球1四球で投げきり、上原にマウンドを譲った。現役最多の阪神戦通算27勝目を挙げ、チームも5連勝で5月26日以来となる勝率5割に戻した。  後半戦開幕投手の務めたベテラン左腕は「チームが勝つことがうれしいです。粘り強く投げることが僕のスタイルなので、それが強く試合で出せたと思います」と話した。

◆巨人坂本勇人内野手(29)が1500試合出場を達成した。  プロ12年目、1500試合で磨いてきた選球眼が生きた。1点を追う5回1死、巨人坂本勇は阪神メッセンジャーの投球を見極めた。フルカウントからの6球目、高めのボール球を見逃す。全球外角の徹底した攻めに1度もバットを振らず、四球を選んだ。1死一塁となった直後、ベンチが仕掛けた。吉川尚の打席の初球でヒットエンドラン。打球は三遊間を破り、坂本勇は一気に三塁まで進塁。なおも二、三塁となるとマギーが三遊間を破り、逆転の2点適時打を放った。難敵攻略に、頼れる主将が足がかりとなった。  節目の試合に花を添えた。坂本勇はこの日、1500試合出場を達成。過去に191人が到達したが、29歳7カ月での記録は榎本喜八、豊田泰光に次ぐ歴代3位の早さだ。試合後、「ずっと使ってくれている(前監督の)原さん、高橋監督に感謝の気持ちです。初打席も覚えていますし、印象深い気持ち」と振り返った。  5回が終了して試合が成立。花束と記念のボードが渡され、敵地甲子園で祝福を受けた。チームは5連勝で勝率5割に復帰。「良い流れでカードの頭を取れた。明日が大事になる。1試合、1試合、どうやったら勝てるかを考えてやるしかない」と、1501試合目に目を向けた。

◆阪神マルコス・マテオ投手が痛恨の1発を浴びた。  1点ビハインドの8回に3番手で登板したが、先頭の岡本に安打されると、続く亀井に左翼ポール際に飛び込む2ランを被弾。その裏に2点を奪い1点差まで詰め寄ったが、結果的にこの2ランが響いた。  マテオは「結果は出なかったが、球のキレ自体は前に戻ってきていると思う」と前向きだったが、香田投手コーチは「スライダーの曲がりとか良くなっているが、それだけでは。右打者の内角を攻めて行けるように投球の幅を広げてほしい」と課題を指摘した。

◆阪神が後半戦開幕戦を接戦で落とした。3点差をつけられた8回無死二、三塁の好機を築くと、ナバーロの遊ゴロの間に1点をかえし、2死一、二塁で代打原口が左前適時打を放った。だが、なおも2死一、二塁の同点機で梅野が空振り三振。あと1歩、及ばなかった。  金本知憲監督は8回の追い上げについて問われたが「まあ、そうですね」と言葉少なで悔しさをにじませた。8日DeNA戦(甲子園)以来、8日ぶりの公式戦で白星を挙げられなかった。

◆阪神新助っ人エフレン・ナバーロ外野手が2安打2打点と初めての伝統の一戦で奮闘した。  初回2死から福留、陽川の連打でチャンスを広げ、迎えた打席。巨人内海が投じた内角低めの変化球を引っ張り、右前に先制となる適時打を放った。「1打席目はチャンスだったので、プランを持ちながら打席に入れました」と振り返った。  3点を追う8回、1死二、三塁の場面では遊ゴロの間に植田が生還し、1点を返したが、「最後の打席で結果が出なかったところは悔いが残る」と反省した。金本監督は「四球も選んだりしてくれていますし、塁に走者がいてタイムリーも打ってくれたり」と評価。打率も3割1分6厘まで上昇。来日からまだわずか1カ月で、早くも日本の野球に順応しつつある。

◆巨人坂本勇人内野手(29)が1500試合出場を達成した。プロ野球191人目。初出場は07年7月12日の阪神12回戦(東京ドーム)。  坂本勇は29歳7カ月で達成。30歳前に到達は28歳10カ月での榎本喜八(東京)、29歳4カ月での豊田泰光(国鉄)、坂本勇、29歳7カ月での土井正博(近鉄)の4人しかおらず、29歳7カ月は3位の年少記録。

◆巨人は内海哲也投手(36)が後半戦開幕投手の大役を粘投で果たし、借金を完済した。初回に3連打で先制点を献上したが、その後はピンチをしのぎながら、6回6安打1失点にまとめ上げた。現役最多で球団史上10位の阪神戦通算27勝目を挙げ、チームを5連勝に導いた。5月26日以来の勝率5割に戻し、首位広島の背中をロックオンする。  灼熱(しゃくねつ)の甲子園の中心で、内海は肝を冷やさなかった。初回に1点を先制され、迎えた4回。先頭から連打を浴び、一、二塁とピンチを招いた。「開き直った。流れに押されないように、1人1人抑えようと」。全力かつ精密に腕を振り、球を低めに集めた。中谷、梅野を打ち取り、メッセンジャーを投ゴロに抑えると、クールにベンチへ帰った。「僕の持ち味は粘り。その点が強く出せた」。6回1失点で3勝目を挙げ、後半戦"開幕投手"の大役を全うした。  立派な大人になっても怖いものがある。「おばけが怖い。いるか分からんけど、小さい頃からずっとダメやね(笑い)」。夏の風物詩といえば、お化け屋敷。「今年の正月に子どもと行った大阪・ひらかたパークのお化け屋敷が最後。あれは優しいから」と頭をかく。見えない恐怖とは、今でもうまく付き合えない。  それでも、付き合わなければならない怖さがある。プロ15年目。エースだった過去とは違った恐怖を抱えている。「どんなに抑えても次の試合、この試合がダメなら終わりだという危機感がある」。36歳という年齢、若手の突き上げ、開幕2軍スタート。幾多の不安にも「ファームでぎらぎらしている若手を見て『俺も絶対に負けんぞ』と思ってきた」と闘志は絶やさず、信頼を積み重ねた。  節目にも特別感はない。菅野が球宴に登板し、山口俊が前半戦最終戦に登板。先発2本柱の登板間隔が詰まり、今季前半戦6試合に登板し、防御率2・29の左腕に白羽の矢が立った。「カード頭(の登板)はなかなかないかと思ったけど、そういう意識はない。チームが勝つことがうれしい」。現役最多の阪神戦27勝目を更新。また今日も1つの恐怖に打ち勝った。【桑原幹久】
<上原3人斬り、今季8ホールド目> 巨人上原浩治投手(43)が今季8ホールド目をマークし、日米通算100ホールドまで残り2とした。1点リードの7回に2番手で登板。1イニングを3人で抑えた。迫る記録について「勝ち試合でしかつかないことなので、うれしい」とし、勝ちパターンの起用に戻ったことについて「結果を出し続けられるように1戦1戦やるしかない。みんなで力を合わせて1つでも多く勝ちたい」と続けた。 ▼内海が今季3勝目を挙げた。阪神戦は今季2戦2勝となり、通算ではカード別最多の27勝目(16敗)。阪神戦27勝は、巨人投手では歴代10位になるが、内海は東京ドーム12勝、甲子園球場15勝と、甲子園球場の方が白星が多い。巨人投手の甲子園球場の阪神戦勝利5傑を出すと、(1)堀内恒25勝(2)斎藤雅22勝(3)別所19勝(4)桑田17勝(5)槙原、内海15勝。江川、高橋一の14勝を抜き、内海が槙原に並び5傑入りした。

◆阪神原口が代打で結果を出した。3点差を追う8回、1点をかえしてなお2死一、二塁で中谷の代打で登場した。巨人沢村の2球目の高め直球をレフトへ運び二塁走者をかえした。  1点差で敗れてしまったが、巨人投手陣に勝負強さを見せつけた。原口は「一番いい球を待って、いいスイングで打ち返せた。いいスイングができているので、続けていきたい」と前を向いた。

◆期待の怪腕、阪神望月は今季2度目の登板も無安打に抑えた。  2番手で7回に登板。先頭の田中俊を失策で出塁させたが、坂本勇、吉川尚、マギーと打ち取った。最速は152キロだった。16年のプロ初登板以来の巨人戦。「意識せずに、そんなに気にならなかったです」と振り返った。

◆阪神マテオがまた「背信投球」だ。1点ビハインドの8回に3番手で登板したが、先頭の巨人岡本に左前打されると、続く亀井には左翼ポール際へ痛恨の2ランを被弾。結果的にこの2点が響いて巨人に競り負け、大事な後半戦初戦を落とした。マテオは5月12日の広島戦でも、1点差で登板し3連続押し出し四球を与えるなどの乱調。2軍での再調整を経て6月30日に1軍復帰してからも、3試合2回1/3で4失点と不安定な投球が続く。  マテオ本人は「結果は出なかったけど、球のキレ自体は前に戻ってきていると思う」と前向きだったが、香田投手コーチは「私のミスですね。違う選択肢も? そういうことですね」と起用法を反省。同時に「本来なら勝ちパターンで投げてもらいたいところだけど...1日でも早く自分の球を取り戻してほしい」と早期復調を期待していた。

◆炎がデザインされたユニホームそのままに、阪神ランディ・メッセンジャー投手(36)が力投を見せた。球宴第1戦で2回を投げてから中2日。上がった灼熱(しゃくねつ)のマウンドで6回4安打2失点(自責1)にまとめた。打線の援護に恵まれず6敗目を喫し「クオリティースタートですからね。打たれたのも全部単打ですから」と静かに言葉をつないだ。  初回から飛ばし、ピンチでギアを上げた。2回には1死満塁のピンチを背負うも、大城、内海を連続の空振り三振。最後は152キロを記録するなど威力抜群の直球が光った。3回も2死一、二塁を背負ったが亀井を空振り三振に打ち取ってしのいだ。受けた捕手梅野も「悪い内容ではなかった。勝ち負けがつくので悔しいとは思うが、最近では直球が一番良かったのが収穫」とうなずいた。  悔やまれるのは逆転を許した5回。1死から1番坂本勇に四球を与えた。オール直球で、全6球を外角に集めた。3球で1-2と追い込んだが、4球目以降、外角の際どいコースに笠原球審の手が上がることはなかった。四球で出塁を許すと、吉川尚、マギーに連打を浴びてひっくり返された。マウンド上で叫ぶなどフラストレーションをためたが「際どい判定? そうだけど、ここで野球をしている以上、仕方ない」と試合後は感情を押し殺した。  3年連続7度目の2桁勝利はお預け。それでも"過密スケジュール"をものともしない108球の投球に「短い間隔で投げられるのは自分だけだと思っている。影響はなかった」とプライドをにじませた。後半戦開幕戦を託した香田投手コーチも「コンディションというか、そういう中でよく粘ってくれた」とたたえた。敗れてもエースの存在感は圧倒的だった。【池本泰尚】

◆虎が後半戦開幕で悔しい黒星を喫した。本拠地甲子園に宿敵巨人を迎え、今季最多4万6788人を集めた一戦。5回に逆転され、追い上げも届かず、3-4で敗れた。5回は新助っ人ナバーロの守備のミスが逆転を許すシーンにつながったが、期待のバットでは先制打を放つなど2打点。首位広島とのゲーム差は今季最大の8となったが、危機を乗り越え、逆襲に転じてみせる。  「あと1本」が遠い後半戦開幕戦だった。3点差に広がり、敗色濃厚の8回、必死に追いすがる。2点をかえし、なおも2死一、二塁。同点機を迎えたが、梅野のバットは沢村の低めフォークに空を切った。甲子園を包む期待感は一気にしぼむ。何度もため息を包み込んだ敗戦スタート。金本監督も終盤の追い上げに「まあ、そうですね」と話すだけ。首位広島と今季最大の8ゲーム差に広がった。  1回に一挙3連打で幸先よく先制したが次第に雲行きが怪しくなる。またも、巨人のベテラン左腕内海に翻弄(ほんろう)された。2回1死三塁を生かせず、4回には無死一、二塁の絶好機を迎えた。だが、先発に抜てきした中谷が内角速球に差し込まれ、二飛に倒れた。指揮官も「(タイミングが)紙一重とは言わないでしょう。まあね、使っているのは僕ですから」と自嘲気味に振り返った。力投していた先発メッセンジャーを援護できなかった。  打線が振るわない。内海には5月10日も黒星を喫しており、今季連敗。甲子園では14年4月12日に勝ったのが最後だ。何度対戦しても攻略できず、現役投手最多の阪神戦通算27勝目を献上する屈辱を味わった。後半戦初戦でつまずいたが、明るい話題もある。内海にナインが苦戦するなか、新外国人のナバーロが立ち向かっていった。  先制もN砲の一撃だ。1回2死一、二塁。ツーシームを的確にとらえ、痛烈なゴロで右前へ運ぶ。「いい変化球を投げていたので、大振りせず、センター返しを心掛けました」。幸先のいい適時打でナインを鼓舞した。4回も気負わず中前へ。守備では5回1死一塁で吉川尚の左前打を送球時にお手玉する失策を犯して逆転されるキッカケをつくったが、打撃では2安打2打点と気を吐いた。  来日初の伝統の一戦に武者震い。「2つの伝統のあるチームの試合という感じでモチベーションが上がったよ」と振り返った。後半戦の鍵を握るのは打線だ。金本監督も前半戦を終えて「まずは得点力。上げないと打開策はない」と言い切っていた。指揮官の期待に応える活躍。ポイントゲッターとして、強烈な存在感を示したい。【酒井俊作】  ▼阪神の首位広島との8ゲーム差は今季最大。阪神がリーグ優勝した年の最大ゲーム差逆転は64年の6.5差で、逆転Vは厳しさを増している。

◆巨人・坂本勇人内野手(29)が16日、後半戦開幕となった阪神13回戦(甲子園)に「1番・遊撃」で先発出場した。五回が終了し試合が成立。今季82試合目となった出場は、史上191人目の通算1500試合出場となった。  メモリアルな試合で、反撃の突破口を開いた。第1打席は右飛、第2打席も右飛で迎えた五回一死の第3打席。四球を選ぶと、続く吉川尚の打席で一走からスタートし、吉川尚の左前打で一気に三塁に到達した。一死二、三塁からマギーの左前2点打で、2-1と逆転に成功。五回終了時には花束などが贈られた。プロ12年目の主将が、チームの中心にいる。

◆阪神はナバーロの適時打で先制した。一回二死一、二塁の場面で内海の136キロを捉え、右前へ鋭い打球をはじき返した。「(内海が)いい変化球を投げていたので、大振りせずにセンター返しを心掛けた。後半戦のスタートにいい打撃ができた」と振り返った。  6月に途中加入した新外国人は前半戦終盤に体調を崩したが、球宴期間に「肉体的にも精神的にもリラックスできた」と英気を養った。自身初となる巨人戦で四回には中前打を放った。

◆巨人のケーシー・マギー内野手(35)が「3番・三塁」で先発出場。1点を追う五回一死二、三塁から左前2点打を放った。  「内野手が前進守備だったので、強い打球で(その内野手の)間を抜きたいと思っていた。少しつまったんだけど、いいところに転がってくれたよ」  1、2番が好機を演出した。一死から、この日、通算1500試合出場を達成した坂本勇が四球で出塁。続く吉川尚の1球目に一走・坂本勇がスタートを切り、吉川尚の左前打で三塁まで進んだ。左翼手・ナバーロが捕球にもたつく間に、吉川尚が二進。マギーの逆転打につなげた。

◆巨人・坂本勇人内野手(30)が「1番・遊撃」で先発出場した。五回が終了し試合が成立。今季82試合目となった出場は、史上191人目の通算1500試合出場となった。  また快挙達成だ。29歳7カ月での到達は、榎本喜八、豊田泰光に次ぐ歴代3番目の年少記録。球団では史上最年少での到達となった。

◆巨人・亀井善行外野手(35)が「5番・左翼」で先発出場。1点リードの八回無死一塁から、左翼ポール際に飛び込む9号2ランを放った。  貴重な一発だった。緊迫した伝統の一戦。先発・内海が6回1失点と粘り、五回にマギーの左前打で逆転した。だが、何が起こるか分からないのが野球であり、伝統の一戦。そんな中、ベテランが見事にスタンドにアーチを描いた。  これで、2009年(25本)以来、9年ぶりの2桁本塁打まで残り1本。亀井の一撃が、チームを勝利に導く。

◆巨人・上原浩治投手(43)が七回から登板。1回を3者凡退に抑える、完璧な仕事ぶりを見せた。  まずは梅野を左飛に打ち取ると、続く代打・鳥谷を一ゴロに。最後は、糸原を左飛に打ち取った。14日に熊本で行われたオールスター第2戦では、43歳3カ月での史上最年長登板を果たすなど、まだまだ衰え知らず。4年ぶりのV奪回へ、ベテラン右腕が大事なピースとなる。

◆巨人が亀井の9号2ランなどで阪神に競り勝ち、5連勝。5月26日以来となる勝率を5割に戻した。先発・内海は6回6安打1失点で、3勝目(1敗)を挙げた。7回からは上原、沢村、マシソンの継投で逃げ切った。  伝統の一戦で巨人は1点ビハインドの五回、一死一塁から吉川尚が左前打を放つと、ナバーロが捕球にもたつく間に二進。一死二、三塁から、マギーが左前へ2点適時打を放ち、逆転に成功した。  さらに巨人は八回無死一塁、亀井が阪神の3番手・マテオから左翼ポール際に9号2ランを放ち、4-1とリードを広げた。  阪神は3点を追う八回、代打・原口の左前適時打などで1点差に迫ったが、あと一歩及ばなかった。メッセンジャーは6回4安打2失点(自責1)で、6敗目(9勝)を喫した。

◆巨人が亀井の9号2ランなどで阪神に競り勝ち、5連勝。5月26日以来となる勝率を5割に戻した。先発・内海は6回6安打1失点で、3勝目(1敗)を挙げた。7回からは上原、沢村、マシソンの継投で逃げ切った。  以下、巨人・高橋監督の一問一答。  --マギーが逆転打  「交流戦明けぐらいから調子が上がってきているんで、去年の、本来のマギーの姿になってきたかなと思いますね」  --亀井も一発  「終わってみたら、結果的にというか、非常に大きな1本になりましたし、今季はいいところで1本というのが目立ちますね」  --内海がベテランらしいピッチング  「内海らしいというかね、よく粘って。低め低めに丁寧に投げていたと思います」  --上原も粘り強い投球  「こういうリードした展開はきょうの3人(上原、沢村、マシソン)でいくという形もありますし。沢村が少し点(2点)を取られましたけどね、また次は期待したいなと思います」  --後半戦の開幕で勝利  「少しリフレッシュできた部分もありますし、ここから何とかみんなで頑張っていくという話をしたところだったんで、今日はいいゲームだったと思います」  --明日、あさってに向けて  「とにかく追いかけるチームですから、一戦一戦、戦っていきたいと思います」

◆先発・内海は6回6安打1失点の内容で、3勝目(1敗)。粘りの投球でチームを5連勝に導き、後半戦初戦を白星で飾った。巨人は、5月26日以来となる勝率を5割に戻した。ベテラン左腕は、ヒーローインタビューで白い歯を見せた。  --後半戦の開幕戦を任された  「粘り強く1点でも少なく抑えようと思って、マウンドに上がりました」  --6回1失点のピッチング  「今日はピンチピンチの連続で本当にしんどかったんですけど、僕のピッチングスタイルは粘りなので、その粘りがすごく出た試合じゃないかなと思います」  --初回のピンチの場面はどういう気持ちだったか  「1点でも少なく抑えようという気持ちでマウンド上がってましたし、味方が調子いので打ってくれるだろうという気持ちで頑張ろうと思ってました」  --五回にマギーが打って、逆転した  「逆転してもらったので、リズムよくってことで、次の回は3人でという気持ちを持ってマウンドに上がりました」  --後半戦も白星スタート。今後へ  「このチームの良い流れに乗って、自分もどんどん勝っていきたいと思うので応援して下さい」

◆阪神のメッセンジャーは球数がかさみながら6回2失点(自責点1)と粘ったが、6敗目を喫した。13日にオールスター戦で登板してから中2日での先発だったが「短い間隔で投げられるのは自分だけだと思っている。そこは影響ない」と話した。  四回まで0点に抑えていたが、五回一死から四球と連打で逆転を許した。それでも許した4安打はいずれも単打。六回は三者凡退と崩れず、大黒柱として試合はつくった。 阪神・香田投手コーチ(八回のマテオ投入に) 「私のミス。あそこで頑張って自分の仕事をしてほしい選手」 マテオ(亀井に2ランを浴びるなど1回2失点) 「結果は出てこなかったけど、球の切れは前に戻っている」

◆巨人の亀井が2-1の八回に2ランを放ち、貴重な追加点をもたらした。マテオの速球を左へ運ぶと打球はポール際ぎりぎりに飛び込んだ。  前半戦最後の試合だった11日のヤクルト戦で2本塁打しており、球宴を挟んでも好調を維持している。チームの借金完済に力強く貢献し「いい形で後ろの打者につなごうと思った。ファウルにならなくて良かった」と喜んだ。 マギー(五回に逆転の2点打) 「内野が前進守備だったので、強い打球で間を抜きたかった。詰まったが、いいところに転がってくれた」

◆吉川尚が好機を演出した。五回一死一塁での1球目。ヒットエンドランで左前打を放ち、一走・坂本勇を三塁まで進めた。さらに左翼手のナバーロがファンブルする間に俊足を飛ばし、二進。「ゴロを転がす意識で、ランナーを進めることを最優先に打席に立ちました。ファンブルしたら、セカンドに行こうという気持ちでした」と振り返った。

◆「4番・一塁」で出場した陽川は、4打数1安打3三振。一回の第1打席で二死一塁から左前打を放って先制点をおぜん立てしたが、その後は快音を響かせられなかった。「切り替えて頑張ります」。1日のヤクルト戦(神宮)から5試合連続で4番に座る。きょうこそ、チームを勝利に導く一打を放つ。

◆  --八回、原口の適時打などもあり追い上げたが  金本監督「まあそうですね」  --結果的にはマテオの2点が...  「後から考えれば、響いたかな」  --マテオは精彩を欠いているが、今後は  「わからん」  --四回無死一、二塁の中谷の二飛も紙一重だったか  「紙一重とは言わないでしょう...。うん...まあ、ね、使っているのは僕ですから」  --ナバーロは存在感を見せた  「まあフォアボールを選んだりしてくれていますし。タイムリーを打ってくれたり」

◆本日は阪神にではなく、全国の虎党のおっさん連中に激励の暑中見舞いを送るのだ!!  連日、猛暑が続くなかでのお仕事、お疲れさまです。おそらく家族からは「○○さんのところは、この3連休に海外へ行ったんだって...。ホント、うらやましい」と嫌みの一つも言われたことでしょう。  それでも、刺激しないように笑顔を作り、発泡酒を前に唯一の心の支えである阪神の中継に臨んだのでしょう?  ところが、地元甲子園で、しかも巨人にあっさり敗戦...。しかも、西日本豪雨の影響による中止やオールスターなどがある、12日間も白星を目にしていないからイライラは募る一方...。八回に亀井に致命的な2ランを許したマテオに「こらー! アホか、来年おらん投手を出すな~! 藤川、能見がおるやろ~!!」とテレビに向かって叫びたいけど、家族から白い目でにらまれるのを気にして心の中でつぶやくのみ。  分かるよ、同じおっさんとして、その気持ち。でも、タイの洞窟に閉じ込められた少年たち13人は17日間も頑張ったんだよ! 全国の虎党オヤジよ、諦めず勝利を信じ、この夏を乗り切りましょう!!

◆北條は八回先頭で沢村から中前打を放ったが、一塁到達後に顔をしかめながらベンチへ。代走に植田を出された。「足がつっただけです...」。試合後はクラブハウスへの階段をいつも通り上がっていった。前半戦から出場8試合連続安打となったが、「情けないです」と肩を落とした。

◆上原が1点リードの七回から2番手で登板。1回を3者凡退に抑え、日米通算100ホールドまで残り「2」とした。記録への意識は「あまりない」としたが、『勝利の方程式』の一角として「(ホールドは)勝ち試合でしかつかないのでうれしい。結果を出し続けないと代えられる。結果を出し続けるしかない」と引き締めた。

◆こういっちゃあなんだけど、こんなに暑いと、熱気ムンムンの甲子園にかけつけるのもいいけど、どこかクーラーの効いてる居酒屋で昨夜は関テレの中継をテレビで見ながら冷えたビールでウンチクを傾けるのも格別デス。  まず、仕事だから珍しく文句もいわず、蒸し風呂のような甲子園の炎天下で編集委員上田雅昭はこんな報告を入れてくれました。少しギスギスしながら...  「暑い? 野暮なことは聞かんといて。ま、試合前の練習は当然、すこし軽めの感じ。でも岐阜で39度を超えたちゅうやないか。そんな"熱カン"をフゥフウしながらは野暮っちゅうもんや。文句いわんと働こうや...」  この日、甲子園では西日本豪雨の被災地支援のための募金活動が行われていた。選手だけでなく、こういう活動には川藤幸三OB会長は実に熱心で、OBルームに顔を出す阪神OBには片っ端から声をかけて「頼むでぇ」となる。  あるOBは、この日は解説の予定が入っているが試合前の放送局側との打ち合わせなども川藤さんにかかると「そんなもん、早めにちょちょいのちょいやろ。みんな被災された人は大変なんや」とかりたてられて...こんな光景にも心が熱くなる。これも現役時代から自分の出番はなくても常に元気いっぱいで仲間を元気づける...それをかつてOBの藤村富美男氏は川藤さんにむかって「おい、おまえさんはなかなかいい度胸をしてる。頼むぞ...」とゾクリと声をかけたことがあるほどだ。  ハートが熱い...というチームの伝統はこんなところにも脈打っている。  しかし...熱いけど暑いんだ。モニターテレビを見ると金本監督の顔もアップになると真っ赤っかだ。メッセンジャーも赤鬼みたいだし。  阪神が一回に夏男の福留から陽川、ナバーロの3連打で先手をとった。よしこれで...と冷えたビールをおかわりした方が多かったと思う。  だけど...実は筆者は内海がまだ敦賀気比高のエースで甲子園の「ドクターK」と言われていた時に同校野球部合宿所で彼を取材したことがある。実に落ち着いていてジッとこっちの目をみて淡々と...どちらが大人かというほどクールだった。  序盤はちょっとゆで上がったタコのように真っ赤っかな内海の顔が、だんだんあの敦賀気比高野球部グラウンドで至近距離からジッとまばたきもせずにこっちを見つめる目に戻っていき...虎打線は追加点がとれない。  17日に27歳になる阪神の4番・陽川。巨人の4番・岡本は25歳...。恒例の『ウル虎の夏』で来場者には黄色のレプリカユニホームが配られた。マンモスは燃えるヒマワリ畑のようなイエロー一色に包まれ、緊迫の1点差のまま終盤の両軍の「抑え競演」となったが...。八回、マテオの151キロのシュートが亀井によってアッ! 左翼ポール際にポトリと2ラン。  この瞬間に、試合前に箭内桃子記者が鳴尾浜で黙々と汗をかいた糸井選手をこんな風に伝えてきたのを思い出した。  「糸井さんはこの暑さのなかでフリー打撃も、守備練習も、そしてアノ独特の笑顔もちゃあんと戻ってましたョ」  甲子園には日本列島の炎熱の余韻が...。

◆原口は八回二死一、二塁で中谷の代打で登場。沢村から左翼へ1点差に迫る適時打を放った。「一番いいボールを待って、一番いいスイングで打ち返せました」。これで今季、代打では23打数11安打8打点。打率は驚異の・478だ。「いいスイングができたので、これを続けられるようにしたいです」と、次戦を見据えた。

◆福留は八回無死一塁から中堅右へ二塁打を放ってチャンスメーク。沢村の初球148キロをはじき返した。  一回にも二死から内海の初球を振り抜き、左前打で先制点の口火。8日ぶりの試合にも「(投手に対して)受けていくよりも、自分から攻めていこうと思ったので」と振り返った。これで10試合連続安打と好調も「自分のことよりもチームが勝たないと」と険しい表情だった。

◆阪神のマルコス・マテオ投手(34)が出場選手登録を抹消されることが16日、分かった。  昨季の最優秀中継ぎ投手だが、今季は17試合で0勝1敗、防御率6・75の不振。右肩痛から昇格3試合目の登板だったこの日は、1-2の八回に先頭の岡本に左前打を浴び、続く亀井に左翼ポール際へ2ラン被弾。直後に2点をかえし、九回には藤川を投入してゼロに抑えただけに、痛恨の失点となった。金本監督は「あとから考えたら、響いたかな」と振り返り、香田投手コーチは「私のミスです。違う選択肢もあった? そういうことです」とザンゲした。

◆球宴での登板から異例の中2日で、3年連続5度目の後半戦"開幕投手"を任されたメッセンジャーは6回2失点。打線の援護に恵まれず、自身通算7度目となる2桁勝利はお預けとなったが、粘りの投球は見せた。  「クオリティスタートだから、試合を作ることはできたと思います。打たれたのもシングルばかりだったからね」  二回一死満塁は2者連続三振でしのぎ、三回二死一、二塁も亀井を変化球で空振り三振。最速152キロもマークしたが、1-0の五回だ。四球と安打に左翼・ナバーロのミスも重なり、一死二、三塁からマギーに逆転の2点打を浴びた。  悔しい6敗目。それでも「(中2日という)短い間隔で投げられるのは自分だけだと思っている」とプライドをのぞかせた。次は中5日で22日のDeNA戦(横浜)に先発予定だ。 (織原祥平)

◆巨人・坂本勇が阪神13回戦(甲子園)で通算1500試合出場を達成。プロ野球191人目。初出場は2007年7月12日の阪神戦。29歳7カ月での達成は、28歳10カ月の東京(現ロッテ)・榎本喜八(1965年10月11日)、29歳4カ月の国鉄(現ヤクルト)・豊田泰光(64年7月1日)に次ぎ歴代3位の若さ。巨人の生え抜き選手では30歳2カ月の王貞治(70年8月11日)を抜く最年少。なお、清原和博は巨人時代(97年8月22日)に30歳0カ月で達成。

◆真骨頂を見せた。2013年以来、5年ぶりの後半戦"開幕投手"を務めた内海が、6回6安打1失点で3勝目(1敗)。チームを5連勝、勝率5割に導いたベテランは淡々と振り返った。  「なかなかカード頭で投げられることはない。いいピッチングができてよかった。チームが勝ったことがうれしいです」  さすがの"虎キラー"だ。一回、二死から3連打で1点を失うも、その後は粘りに粘って、追加点を与えず。四回は無死一、二塁で「開き直って投げようと思った。一人一人抑えていった」と後続を断った。これで阪神戦は現役最多を更新する通算27勝目。球団でも歴代10位と相性抜群だ。  夏真っ盛り。寝苦しい夜にあえて冬用の布団を使うのが内海流だ。「太ももの間に挟むのが好き」とタオルケットは使わない。寝られないと体も休まらないため、エアコンはつけて就寝するが、設定温度は27度と高め。「昔は22度とかだったけど、気を使ってね」と内海。V奪回へ、いい流れを呼び込んだ。 (赤尾裕希)

◆ずっとこの重みを味わってきたかのように、冷静に、そして心は熱かった。6月に来日し、伝統の一戦初見参となったナバーロは、後半戦チーム初得点をたたき出すなど2安打2打点1四球。宿敵のベンチにも、ファンにも、その名をしっかりと印象づけた。  「(先制点は味方の)安打が絡んでのチャンスでした。いいプランを持って入れました。スコアラーからの情報も頂いていたので、助かっています」  一回二死走者なしから福留、続く陽川が2者連続の左前打で一、二塁とし、内海と初めて対峙した。内角初球のスライダーを見送り、コースを広く使ってくる36歳のベテラン相手にじっくり球筋を見極め、4球目の真ん中に入ってきた直球系の136キロを右前へ弾き返した。先制の適時打に加え、1-0の四回先頭では中前に打球を飛ばして2試合ぶり今季2度目のマルチとし、六回は一死から四球を選んで3出塁と奮闘した。  心はこの日着用した「ウル虎ユニホーム」のように燃えていた。「(この一戦は)伝統あるチーム(同士)という感じがして、モチベーションがあがりました」とナバーロ。試合前から、周囲に米大リーグのヤンキース対レッドソックス戦のようなもの、と説明され「(2球団の)ライバル関係に、長い歴史があるのは分かっている」とうなずいていた。  そんな宿敵を前にして気合が空回りしたのか、五回の守備では一死一塁から吉川尚の左前打への処理でファンブル(失策)し、二、三塁とピンチを拡大。マギーの逆転2点打の呼び水となってしまった。  ただ、懸命に日本野球を吸収しようとしている助っ人は、1-4の八回一死二、三塁でも追い込まれながら遊ゴロを放って、2打点目。金本監督も「まあフォアボールを選んだりしてくれていますし。タイムリーを打ってくれたり」と評価した。  「勝つために来ている。そのためにプレーしているので」と前を向いた背番号99。ファイティングポーズは崩さない。糸井、ロサリオ不在の穴を埋め、ポイントゲッターの役割を全うしていく。(新里公章)

◆不振で2軍調整中だった阪神のウィリン・ロサリオ内野手(29)が17日に1軍昇格することが16日、分かった。後半戦開幕となった同日の巨人戦は、今季最多4万6788人が集まった甲子園で3-4と逆転負け。必勝を期した再スタートでつまずき、借金4で首位広島に8ゲーム差となった。悩める大砲が、苦境の虎の"劇薬"となるか-。  13年ぶりの優勝へのデッドラインは、とうに超えている。過去、最大逆転ゲーム差「6・5」の虎が、はやくも首位広島と8ゲーム差。今季もっとも差をつけられた。しかも仕切り直しの一戦で、宿敵の巨人相手に、今季最多4万6788人の本拠地・甲子園で、黒星スタート...。  「まあ、ね。使っているのは僕ですから」  金本監督は、八回に代打を送った中谷について、厳しい表情で振り返った。最後に追い上げたとはいえ、リーグ最低の打率・243の打線は、後半戦になっても大きくは変わらなかった。漂う閉塞感。だからこそ、すぐさま手を打つ-。  それが、ロサリオの昇格だ。6月に加入し、この日も2安打2打点など打率・316と好調な左打ちの好打者ナバーロとの『W助っ人砲』で、現状を打破する。  そもそも今季の低迷打線の元凶が、ロサリオといっていい。韓国リーグでは2年連続3割、30本塁打、100打点以上。年俸3億4000万円、不動の4番という大きな期待を受けて、虎入りした大砲だ。ところが、外角の変化球にバットが止まらず、打率・230、4本塁打、22打点の不振で、6月3日に2軍落ち。金本構想は、幹から崩れてしまった。  それでも、ウエスタン・リーグでは打率・313と復調の兆しはある。指揮官も前半戦の総括会見で、後半戦のキーマンを問われると、藤浪と共にR砲を名指し。「倍返し」を指令したばかりだ。「4番・一塁」で陽川が結果を出していることもあり、昇格は見送っていたが、この日の試合後、不振のセットアッパー、マテオの抹消を決定。外国人枠「4」の1枠があいたことで、昇格に踏み切った形だ。福岡に遠征中の2軍から急きょ、呼び寄せる。  それだけ、チームは起爆剤を欲している。必勝を期した、後半戦開幕。試合前には、チーム全員で追撃を誓っていた。ミーティングでは金本監督が自ら中央に立ち、「最後に勝っているのは俺たちだ」と改めてVを宣言。続いて福留にも話を振り、主将も熱く戦う姿勢を説いたという。  これ以上、カープに離されるわけにはいかない。2位の巨人とは2差で、4位のDeNAとも0・5差。Aクラスさえ、危ない。ここで踏ん張れるか、ズルズルといくのか。大逆転へのキーマン、ロサリオを復帰させて、17日、もう一度、仕切り直す。

◆巨人は16日、阪神13回戦(甲子園)に4-3で競り勝ち、5連勝。5月26日以来の勝率5割に復帰した。12年目の坂本勇人内野手(29)が、29歳7カ月で通算1500試合出場を達成。プロ野球歴代3番目、球団では史上最年少のスピード到達となった。五回には逆転を呼び込む四球&激走で貢献し、節目の一戦を飾った。  後半戦に入っても勢いは止まらない。5連勝で勝率5割復帰だ。上昇ムードの中、五回終了後、坂本勇が記念ボードと花束を掲げた。スタンドを真っ黄色に染めた甲子園の虎党からも、巨人の"顔"へ、温かい拍手が送られた。  「大きなけがなくやれているのも、(レギュラーをつかんだ)19歳の頃から支えてくれるトレーナーの方々のおかげ。使ってくれた原(辰徳・前監督)さん、由伸監督に感謝したいです」  29歳7カ月で、歴代3番目の若さで通算1500試合出場に到達。すでに1666安打も放っている主将の節目にもなった敵地での後半戦初戦は、鮮やかな逆転勝利となった。  1点を追う五回一死で主将が四球を選び、次打者・吉川尚のヒットエンドランで激走し、一死二、三塁の好機を演出。マギーの逆転2点打を呼び込んだ。八回には亀井の9号2ランが出て、勝負あり、だ。  坂本勇は、まだ19歳だった2年目の2008年から、10年連続130試合以上に出場。長期離脱は一度もない。「ストレッチとか、細かいところを雑にやらない」がポリシー。早出の入念なウオーミングアップだけでなく、自宅での温冷交代浴、疲労回復効果の高い寝間着での睡眠など、派手なイメージとは対照的な地道な体調管理が頑丈な体の礎だ。  「(坂本は)実力、体力の面でも一流かなと思います。(チームも)球宴前のいい流れが出てくれた。追いかけるチームは一戦一戦を戦っていくだけ」。高橋監督も主将とチームに手応え。巨人が最高のムードで後半戦のスタートを切った。(谷川直之)
五回に逆転の左前2点打を放った巨人・マギー 「内野手が前進守備だったので、強い打球で間を抜きたいと思っていた。少し詰まったけど、いいところに転がってくれたよ」 八回、左翼ポール際へ9号2ランを放った巨人・亀井 「初球に甘く入ってきたので、思い切りいった。感触はよかった」
★鉄人の極意  坂本勇の"鉄人の極意"が、1つのプレゼントに表れていた。夏場を控えた6月、今季初めてレギュラーとしてシーズンを送る岡本へ、「これ、いいよ」と自身が使っている医薬部外品の入浴剤「アスリート・リラックス」を渡した。疲労回復効果が高く、岡本も「汗が出て、気持ちいいです」と愛用するようになった。長いシーズンを戦うには疲れをためるな-。そんなメッセージを込めた、後輩への気遣いだった。

◆「打たせる」「打たせない」-。だだっ子の綱引きのような対決は、「打たせる」方に軍配が上がった。ここが野球の面白さよ。  「打たせる」のは、内海。ストライクからボールになる球を、振ってもらわないことには、話にならない。相手に「打てる!」と思ってもらって、打ち気を誘い、打ち気にはやるところを料理する。ボールをじっくり見られ、待たれたら、商売あがったり。  また阪神打線が不振で、ボールを追いかける形になっているから、ますます効くんだ。  「打たせない」タイプのメッセンジャーは、相変わらず、力強い真っすぐを中心に、押し込んでいた。ただ、最近は粘りがなくなっている。よい球が続かない。肝心なところで、押し込んだ揚げ句に、甘い球を投げてしまう。逆転された五回は、まさにそのパターンだった。  勝率5割以下とはいえ、2位と3位の対戦。球宴後の初戦。巻き返しモードに入るためには、どちらも落とせない試合だったはず。ここからは「負けない」「勝たせない」の綱引きになることも、強調しておこうか。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆八回の猛反撃で盛り上がった伝統の一戦。だが、通算176勝の左腕、星野伸之氏(52)=サンケイスポーツ専属評論家=は陽川、中谷、大山の右打者トリオが巨人先発・内海の内角直球を捉えきれなかったことを敗因の1つに挙げた。相手がいつでも、安心して、内角を攻めてきている...。悲しい現状を指摘した。  八回の中谷に代えて代打・原口。ベンチの勝負手は一応、成功した形だが、その過程に敗因の一端がある。金本監督の真意は分からないが、私は「内海の直球に差し込まれている状態で、球威のある沢村は打てない」という判断だと思う。  一、二回に内海のチェンジアップを攻略した阪神打線だが、内角の速球を見送る右打者が多くいた。これを察知した巨人は、思い切ってどのカウントでも内角直球を投げ始めたのだ。  四回無死一、二塁、中谷に対してカウント2-1から。六回の先頭、陽川に対してフルカウントから。六回一死一塁、大山に対して1-2から。  左投手だった私の経験で言わせてもらえれば、いずれも打者が最も直球狙いをしてきそうな条件で、そこであえて内角速球を投げるのは相当な勇気がいる。危険が大きすぎるカウントといってもいい。それでも投げ込むのは、巨人側に十分なデータがあるのだろう。しかも、その通り、阪神の打者は全く打てなかった。  陽川、大山、中谷は右打者でタイプ的に似ている。その各打者が同じ弱点があるのであれば、ちょっと辛い。思い切り引っ張ったファウルでもいい。誰か一人がオッと思わせる打球を飛ばせば、相手心理も変わってくるのだが。この日は差し込まれての二飛や見逃し三振...。内角直球に対して、相手を警戒させる打球は1球も飛ばなかった。安心して内角を攻めてきている感じがする。この先、優勝争いに加わるには点を取らないと話にならない。メッセンジャーが悪いなりに6回2失点の投球を披露したのだから、少しの反発力で展開は大きく変わったはず。誰かが突破口を開かないと、同じ攻めを繰り返される。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
443210.579
(↑0.006)
0
(-)
66384
(+5)
331
(+1)
92
(+2)
43
(-)
0.263
(↑0.002)
4.04
(↑0.04)
2
(-)
巨人
414110.5
(↑0.006)
6
(-)
60376
(+4)
335
(+3)
81
(+1)
44
(+1)
0.259
(↓0.001)
3.87
(↑0.02)
3
(-)
阪神
353910.473
(↓0.006)
8
(↓1)
68283
(+3)
314
(+4)
42
(-)
44
(-)
0.243
(-)
3.71
(↑0.01)
4
(-)
DeNA
364120.468
(↓0.006)
8.5
(↓1)
64302
(+2)
342
(+5)
93
(+1)
51
(-)
0.247
(↓0.001)
3.95
(↓0.01)
5
(-)
中日
374410.457
(↓0.006)
9.5
(↓1)
61329
(+1)
378
(+5)
54
(-)
41
(-)
0.259
(-)
4.43
(↓0.01)
6
(-)
ヤクルト
354210.455
(↑0.008)
9.5
(-)
65341
(+5)
379
(+2)
67
(-)
39
(+1)
0.26
(-)
4.39
(↑0.04)