楽天(★1対2☆)阪神 =交流戦2回戦・楽天宮城球場=
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阪神
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楽天
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勝利投手:桑原 謙太朗(1勝1敗0S)
(セーブ:藤川 球児(1勝1敗1S))
敗戦投手:則本 昂大(4勝7敗0S)
  DAZN
◆阪神は1点ビハインドの9回表、中谷の適時二塁打で同点とする。さらに1死一三塁の好機をつくると、代打・高山の適時打が飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・桑原が今季初勝利。敗れた楽天は、先発・則本が8回まで無失点に抑えるも、9回につかまった。

◆阪神藤川球児投手が2年ぶりセーブを記録した。  1点リードの9回にマウンドにあがり、1イニングを無失点に抑えた。  先頭アマダー、茂木と2者で三振を奪うも、銀次に中前打、聖沢に四球と一、二塁にピンチが拡大。だが、最後は田中を捕邪飛に退け、捕手原口がキャッチをアピールするとホットした笑みを浮かべた。  藤川は「まだ6月。(シーズン)後半になったら、もっとしんどい部分が出てくるので、しっかりやっていきます」と落ち着いた表情だった。守護神のドリスが高熱のため出場選手登録を抹消されており、背番号22が、かつての場所に戻ってきた。  藤川がセーブをマークするのは16年8月10日広島戦(マツダスタジアム)以来。香田投手コーチも「最後までよく粘ってくれました。粘り勝ちですね、今日は」とたたえた。  高橋聡、マテオ、ドリスら救援陣のコンディション不良が続く中、藤川が存在感を示している。

◆金本阪神が初めて1試合5犠打を記録した。相手先発は難敵則本。0対1で迎えた9回無死一塁では6番鳥谷に犠打を指令し、この回2得点の逆転劇につなげた。  チームでは13年10月1日中日戦以来5年ぶり、1リーグ時代を含めて球団最多タイとなる1試合5犠打。金本知憲監督は「今日は1点勝負だなと。1点、2点を取れたらラッキーぐらいの感じだったので。得点圏に送れば相手がミスすることもあるし、そういう考えでね」と狙いを振り返った。

◆楽天梨田昌孝監督(64)の辞任が球団から発表された。16日の阪神戦後、球団に申し入れ、受諾された。  「借金12で交流戦に入って、なんとか巻き返してと話していたが、借金20になってしまった」と、責任を取るに至った経緯について話した。

◆阪神が若虎勢の活躍で、苦手則本をマウンドから引きずり下ろした。  楽天先発則本の前に8回まで無得点。0対1で迎えた9回1死二塁、7番中谷将大外野手が右中間に同点二塁打を決めて盛り返す。続く代打原口文仁捕手も三遊間を抜き、なおも1死一、三塁。ここで代打高山俊外野手が勝ち越しの左前適時打を放ち、則本を降板させた。  試合を振り出しに戻した中谷は「岩貞さんがずっと頑張っていたので、点も取りたいという気持ちがありました。自分の中でもバントミスだったり、ミスをしてたので、なんとか返してやろうという気持ちで打席に入りました。すごい投手なので、何も考えずに食らいついていこうという思いだけでした」と笑顔。チームは試合前の時点で則本に過去3試合対戦で防御率0・72と抑え込まれていたが、初めて黒星をつけることに成功した。

◆楽天梨田昌孝監督(64)の辞任が球団から発表された。後任は平石洋介ヘッド兼打撃コーチ(38)が17日の阪神戦から監督代行を務める。
 ◆平石洋介(ひらいし・ようすけ)1980年(昭55)4月23日、大分県生まれ。PL学園で主将を務め、3年夏の甲子園で横浜と延長17回の死闘を繰り広げる。同大-トヨタ自動車を経て、04年ドラフト7巡目で楽天入団。11年に現役引退し、通算122試合、37安打、1本塁打、打率2割1分5厘。12年から育成コーチなどを務め、今年からヘッド兼打撃コーチ。175センチ、75キロ。左投げ左打ち。

◆阪神が土壇場で楽天先発則本を攻略して逆転勝ちした。  8回裏に1点を失い、追い込まれた9回、鳥谷の犠打で1死二塁から中谷将大外野手が同点の二塁打。さらに原口が安打でつなぎ、代打高山俊外野手が勝ち越し打を放った。好調の中谷がヒーローインタビューに応じて、笑顔を見せた。  -最後までしびれる戦い  中谷 岩貞さんがずっと頑張ってたので、点も取りたいって気持ちがありましたし、自分の中でもバントミスだったり、ミスをしてたので、なんとかかえしてやろうという気持ちで打席に入りました。  -9回則本からの一打  中谷 何も考えずに、すごいピッチャーなので、食らいついていこうという思いだけでした。  -前日は先制2ラン。勝負強い  中谷 去年全然チャンスで打てなかったので、今年はしっかりランナーをかえすっていう強い目標があったので、しっかり今のところは、貢献できてるんじゃないかなと思います。  -味方も続いて勝ち越し  中谷 高山がしっかりかえしてくれたので、きょうは高山じゃないかと思うんですけど。  -寒い中でもファンが熱い声援  中谷 どこへ行っても阪神ファンの声援は温かいですし、たまに野次もあるんですけど、温かい野次のおかげで、僕らも頑張れてると思います。

◆楽天梨田昌孝監督(64)の辞任が球団から発表された。後任は平石洋介ヘッド兼打撃コーチ(38)が17日の阪神戦から監督代行を務める。  梨田監督の一問一答は以下の通り。 -慰留はあったか。  梨田監督 引き留められたけど意志が強かった。受け入れてもらった。選手、コーチにはまだ伝えていません。オーナーとは話していません。 -借金20で決断。  梨田監督 20といっても60勝80敗じゃない。21勝41敗ではね。最終的に20ならともなく、この時期では。 -計算が合わなかった部分は  梨田監督 打線が点を取れない。つながりが悪かった。松井、福山の調子も悪かった。先発投手はそれなりに形はできたが。エラーや四球が絡んでの失点が多かった。 -今後のチームに対し  梨田監督 故障者もいるが、いる者でやっていくしかない。しっかり戦っていってほしい。選手、スタッフ、コーチ陣にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

◆阪神岩貞祐太投手が7回1/3を6安打1失点と好投し、勝利に貢献した。  白星はつかなかったものの、球界を代表する投手の則本に対して1歩も引かず、両者譲らず7回まで無得点の試合を演じた。8回に嶋に左翼線への二塁打、藤田に右前打を許し、一、三塁のピンチを招いたところで降板した。「イニング途中で代わってしまったところは情けないです。また反省してやっていきたい」と振り返った。  香田投手コーチは「相手が則本投手だったので、なんとかしてやろうという気持ちがマウンド上で出ていた」と評価。惜しくも今季4勝目を逃したが、交流戦の防御率は1・21。安定感のある投球を続けており、「今年の岩貞は粘れる。そういう投球をみせてくれています」とたたえた。

◆流れに乗りきれない今季を象徴するような逆転負けを喫し、楽天の借金が6月中としては06年以来12年ぶりの「20」に到達した。  好投の則本が、完封目前の9回に捕まった。0-0の8回に今江の適時打で待望の先制。1点リードの9回。1死二塁から中谷に同点二塁打、高山に勝ち越し打を許した。中谷には129球目でこの試合最速の154キロ。130球目のスライダーを打たれ 「今日の負けは自分のせいです」と責任を背負い込んだ。  11奪三振の力投も実らず、則本はこれで自身4連敗。結果的にこの試合が最後の采配となった梨田監督は「ちょっと(則本を)引っ張り過ぎた。120球ぐらいで、それまで非常に良かったので」と悔いた。

◆楽天は16日、梨田昌孝監督(64)の辞任を発表した。1-2で敗れ借金20となった阪神戦2回戦(楽天生命パーク宮城)の試合後、立花陽三球団社長に辞意を申し入れ、了承された。    ◇   ◇  -慰留はあったか  梨田監督 引き留められたけど意志が強かった。受け入れてもらった。選手、コーチにはまだ伝えていません。オーナーとは話していません。  -借金20で決断  梨田監督 20といっても60勝80敗じゃない。21勝41敗ではね。最終的に20ならともかく、この時期では。  -計算が合わなかった部分は  梨田監督 打線が点を取れない。つながりが悪かった。松井、福山の調子も悪かった。先発投手はそれなりに形はできたが。エラーや四球が絡んでの失点が多かった。  -今後のチームに対し  梨田監督 故障者もいるが、いる者でやっていくしかない。しっかり戦っていってほしい。選手、スタッフ、コーチ陣にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

◆楽天は16日、梨田昌孝監督(64)の辞任を発表した。1-2で敗れ借金20となった阪神戦2回戦(楽天生命パーク宮城)の試合後、立花陽三球団社長に辞意を申し入れ、了承された。就任2年目の昨季は4年ぶりのAクラス入り。さらに上を目指した今季だったが、開幕2戦目から5連敗を喫するなど、厳しい戦いが続いた。後任は、平石洋介ヘッドコーチ(38)が、監督代行として指揮を執る。  梨田監督の意思は固かった。楽天では06年以来となる6月での借金20となり、試合後に辞意を申し入れた。立花社長からは慰留されたが「交流戦前にマイナス12だった。巻き返して何とか1桁と話していたが、20が1つの自分が責任を取るライン」と心に決めていた。体重は10キロ減り「6月にマイナス20はひどい数字。本拠地の仙台で7勝24敗と勝てないのは監督の責任」とも語った。試合前にベンチを訪れた三木谷オーナーをはじめ、試合後の選手、コーチにも辞意を伝えていない状態で、電撃的な辞任表明となった。  昨年は序盤から首位を快走したが、終盤に力尽きた。今季は開幕から打線が低調な上、守護神の松井が5敗と不振に陥った。「去年はあんなにいい戦いができていた。今年は開幕早々から状態が悪く、責任を取らないと。途中で投げ出すのはあれだけど」。今年1月には星野副会長が死去。何としても優勝で弔うつもりだったが「逆に(選手には)プレッシャーになったのかな。金縛りのようにチャンスでガチガチ。伸び伸びとさせてやれなかった」と悔いた。 後任は球団生え抜きの平石ヘッドコーチが、監督代行を務める。期間は未定。立花社長は「今さっきのことなので。何かを決めてはいない。1試合1試合しっかり戦ってほしいということだけ。ヘッドとして選手の性格、技量は分かっている。チームをいい方向に持って行ってくれれば。彼は星野監督から梨田監督、歴代監督から教わっている」。残り80試合を50勝30敗で借金完済を求めた。 主軸のウィーラーが左手人さし指骨折するなど、チームは戦力不足が明らかな状態だ。「(低迷の)責任は監督だけじゃない。私も痛感している」という同社長は補強について「7月31日まで、今も調査している。外国人、トレード」と現状を説明した。低迷脱却への起爆剤となるべく、まずは梨田監督が自ら身を切った。球団には有効な補強が望まれる。【斎藤直樹】

◆楽天は16日、梨田昌孝監督(64)の辞任を発表した。1-2で敗れ借金20となった阪神戦2回戦(楽天生命パーク宮城)の試合後、立花陽三球団社長に辞意を申し入れ、了承された。    ◇   ◇  既存の戦力に頼りすぎた。今季を迎えるにあたり、大幅な戦力補強は0。新外国人として大砲候補のオコエ・ディクソンを獲得したが、左肩の手術を受けたばかりだった。5月24日に1軍昇格したが、この日までに9試合で打率2割2分6厘、1本塁打、3打点。昨季はペゲーロ、ウィーラー、アマダーの3選手のパワーで、CS進出を果たしたが、今季はその3選手ともに他チームからの研究に遭い、パフォーマンスを発揮出来ていない。ペゲーロは不振で2軍調整中、ウィーラーは故障でリハビリ中。助っ人に頼り、その穴を埋めきれてない。  昨季からの現状維持の戦力で、チーム打率は12球団ワーストの2割2分9厘。打のベースを築くことが出来ずに、交流戦が終了しようかというタイミングまで差し掛かってしまった。【楽天担当・栗田尚樹】

◆かつての場所に戻ってきた。阪神藤川が1点リードの9回、2三振を奪う力投で無失点。16年8月10日広島戦以来の約2年ぶりとなるセーブを挙げた。「まだ6月。後半になったら、もっとしんどい部分が出てくるので、しっかりやっていきます」。修羅場を熟知するからこそ冷静だった。  以前はグラブの型を毎年改良していたが、昨年から同タイプのグラブを使用する。「しっくりきているからね」の言葉どおり、昨年は3勝負けなしで防御率2・22。今季も防御率1・83。グラブ表面には「不動心」の3文字、内部には家族の名前を刻む。  そのラッキーアイテムに藤川を慕う同僚たちも倣う。新助っ人モレノは藤川の人柄、プレースタイルにほれ込み、春季キャンプ中に同じ型のグラブを注文。マテオとドリスも型取りをした。仲間から愛される救援陣のリーダーだ。  金本監督は「球児を信じるしかないね。経験とボールをね」と笑った。今後もクローザー起用するのか? との問いに「だね。でも今日30球を超えたからな。ちょっと明日は様子見になるかも分からんけど」と話した。高橋聡、マテオがコンディション不良で、ドリスは高熱が続き不在。救援陣の窮地を藤川が救う。【真柴健】

◆楽天6位ルーキーの西巻賢二内野手(19=宮城・仙台育英)が16日、1軍に初昇格した。デーゲームで行われた阪神2回戦(楽天生命パーク宮城)の試合前に出場選手登録された。  出場機会はなかったが、練習では軽快な動きでノックを受け、ベンチから緊迫の投手戦を見守った。試合後、「雰囲気そのものが2軍と1軍は全然違う。お客さんの数が全然違うし、1球に対して歓声を意識しながら」と振り返り、「(出場の)機会があれば、やれることをやるだけです」と気合を入れた。

◆最後の最後でつかまえた! 16日の「日本生命セ・パ交流戦」楽天戦(楽天生命パーク宮城)で阪神打線が9回に楽天のエース則本をとらえ、逆転勝利を飾った。中谷が右越えの同点適時二塁打。さらに代打原口がつなぎ、最後は高山が決勝の左前適時打を放った。過去3度の対戦で勝てなかった則本に土をつけ、借金は1。リーグ2位浮上で、首位広島とは3・5ゲーム差だ。  二塁上で激しく手をたたき、中谷が感情を爆発させた。試合中はめったに見せることのない白い歯を光らせて、喜びを表現した。チームが苦しめられた則本のスライダーを、中谷のバットがついにとらえた。1点を追う9回1死二塁。カウント1-2から外角のスライダーに体ごと踏み込んだ。右中間にはじき返し、代走熊谷を迎え入れた。  中谷 すごい投手なので何も考えず、食らいついていこうという思いだけでした。勝ちにつながったのはよかった。  その後も代打原口が左前打でつなぎ、1死一、三塁から代打高山。初球の外角フォークを左前に運んだ。決勝適時打は「ただ振っただけ。逆方向? そんなこともまったく考えてなかった」と無我夢中。2戦連続でスタメンを外れ、この日は代打。初見で打つには難しいであろう強敵を、1球で沈めた。則本をマウンドから引きずり降ろした。  天敵中の天敵だった。則本には過去3試合で2敗。防御率0・72と封じられていた。犠打を多用しても、8回までは三塁すら踏めない。9回はまさにラストチャンス。先頭伊藤隼が四球を選ぶと、鳥谷が犠打を確実に決めて流れをつくった。そして中谷が意地の快打。5回無死二塁でバントに失敗しており「なんとかかえしてやろうと」と集中力を見せつけた。  得点圏で打てないと嘆いてきた指揮官も、目を見張った。自らの経験も重ね「同点、勝ち越しの場面よりも、負けているところでの得点圏は一番プレッシャーがかかる。特に9回だからね。しかも2ストライクを取られて、最高の結果。勝負強いところを見せてくれた。最後に3人が得点圏でババッと打ってくれて。見事でした」と集中打を手放しで称賛した。  チームは連勝でカード勝ち越しを決め、リーグ2位に浮上。借金は1まで減らした。「則本相手に9回にひっくり返すというのは、本当にチーム力というか...。自信にしてほしい。手応えを感じてほしいですね」と指揮官。勢いに乗れる勝利だ。1勝で終わるにはもったいない。【池本泰尚】
 ▼阪神は則本が先発した楽天戦で4試合目にして初勝利し、初めて黒星もつけさせた。9回1死二塁で中谷が同点二塁打、1死一、三塁で高山が勝ち越し打。得点圏では、初対戦からこの日の8回まで延べ25人がノーヒットを続けていたが、ようやくチャンスを生かして難敵をKOした。

◆楽天でヘッド兼打撃コーチから監督代行に就任した平石洋介氏(38)が17日、楽天生命パーク宮城で就任会見を行った。「正直、気持ちの整理がついていない。(梨田監督と)2人でしばらく話した。監督だけの責任じゃないし、僕を含めチーム全員で受け止めないといけない。(残り)80試合で借金20を立て直すのはかなり厳しいが、これだけファンにたくさん来てもらって、熱い姿を見せたい」と意気込みを語った。  自らのスタイルについては「ガラッと変わることはないと思うが、自分が思う通り、動くところは動く」と明言した。選手には練習前にあいさつ。「自分の野球人生を大切にしてほしい。とにかく熱く、生き生きとやってほしい」と伝えたという。  三木谷オーナーとは前日の16日に電話で会談した。「とにかくアグレッシブにやってほしい」と伝えられたという。立花社長から50勝30敗をノルマに課されているが「やる以上は目指したい。目の前の試合を1つ1つ」と話した。

◆阪神ルーキー熊谷が地元仙台で勝利に貢献した。  9回、四球で出塁した伊藤隼の代走で登場。中谷の右中間への二塁打で、同点の本塁を踏んだ。「(試合に)出してくださったので、チームに貢献できてよかった」。故郷で行われた試合については「また機会があれば出たいと思います」と話した。

◆阪神桑原は傷口を広げすぎず、今季初勝利を手にした。  両チーム無得点の8回1死一、三塁で登板。3番今江に先制の右翼線適時二塁打を浴びたが、なおも続いた1死二、三塁のピンチは後続を断った。チームは直後の9回表に逆転。「チームは勝ちましたけど、打たれたので...。その辺をしっかりしたい」と反省した。

◆阪神が楽天に逆転勝ち。1点を追う九回に7番・中谷将大外野手(25)が右中間二塁打で同点と追いつくと、その後代打・高山俊外野手(25)が左前適時打を放ち、勝ち越した。その裏は、藤川が無失点で締めた。チームは2連勝でリーグ2位に浮上した。  息詰まる投手戦となった。楽天は則本、阪神は岩貞が先発した。均衡を破ったのは楽天。八回、一死一、三塁の好機を作ると、阪神は岩貞から桑原にスイッチ。楽天は今江が右翼線適時二塁打を放った。  阪神は則本の前に沈黙していたが、九回、一死二塁から中谷が右中間に適時二塁打を放ち同点。なおも一死一、三塁から代打・高山が左前適時打を放ち、勝ち越しに成功。接戦を制した。

◆阪神が楽天に逆転勝ちで2位に浮上した。1点を追う九回に7番・中谷将大外野手(25)が、楽天・則本から右中間二塁打を放ち、同点。その後代打・高山俊外野手(25)が左前適時打を放ち、これが決勝点となった。土壇場で大きな一打を放った中谷はヒーローインタビューで充実感を漂わせた。  --最後までしびれる戦いでしたね  「岩貞さんがほんとずっと頑張ってたので、ほんと点を取りたいって気持ちがありましたし、自分の中でもバントミスだったり、ミスをしてたので、何とか、かえしてやろうという気持ちで打席に入りました」  --九回は、あのエース・則本さんからの一打でしたね  「ほんと何も考えずに、ほんとにすごいピッチャーなのでもう食らいついていこうという思いだけでした」  --昨日は先制ホームラン。今日のこの一打もありました。勝負強いですね  「ほんと去年全然チャンスで打てへんかったので、今年はしっかりランナーを還すという強い目標があったので、しっかり今のところは貢献できてるんじゃないかなと思います」  --その後、味方も続いて原口さん、高山さんとつないでくれましたが、あのときはどんな思い  「ほんと自分が打ったことがすごく嬉しくて、まあでも高山がしっかり還してくれたので、今日は高山じゃないのかなと思いますけど、はい」  --この寒い中でもタイガースファンの声援がありました。後ろをみてください、大勢のファンがいますが、聞こえてましたか  「ほんとどこへ行っても阪神ファンの声援は温かいですし、まあ、たまに野次もあるんですけど、ほんと温かい野次のおかげで僕らもがんばれてると思います」  --昨日も勝って、今日も勝って連勝。このカード勝ち越しも決めました。明日ですね  「もうあと交流戦全部勝とうと言う話を今日してたので、交流戦全部勝ちたいと思います」  --皆さんにメッセージを一言  「ほんと寒い中、球場に足を運んでくださりありがとうございます。気をつけて帰ってください」

◆楽天の則本は完封目前で暗転、力尽きた。一回一死二塁で福留、糸井を連続三振に仕留めるなど立ち上がりで踏ん張り、岩貞との投手戦に持ち込んだ。八回に味方が1点を先取し、球数が120に達していた九回もマウンドに上がった。だが変化球が浮き、一死二塁から中谷、原口、高山の3人に連続長短打を浴びて逆転を許した。  11奪三振の力投も実らず、これで自身4連敗。「きょうの負けは自分のせいです」とだけ話し、険しい表情で引き揚げた。チームの借金は今季最多の20に。梨田監督は「それまでが良かっただけに、則本を引っ張りすぎた」と采配ミスを認めた。 今江(八回に先制二塁打も勝利に結び付かず) 「則本が頑張っていたので1点では申し訳ない」 山崎(楽天のドラフト3位新人。九回に代走でプロ初盗塁) 「緊張した。変化球が来ると思った。もっといいスタートを切れるよう練習します」

◆阪神の岩貞は今季自身最多の121球で八回途中1失点の好投も、勝敗はつかなかった。「先制点を与えたのは反省。回の途中で代わるのも情けない」と自分に厳しい言葉を並べた。  四回に二塁打と2四球で招いた一死満塁のピンチはアマダー、茂木を連続三振に仕留めて切り抜けたが、八回一死一、三塁の場面で救援を仰いだ。規定投球回には達していないものの、防御率は1点台前半と好調。楽天のエース則本と互角に投げ合ったが「いつも以上に先制点が大きい。余計に反省しないといけない」と表情は晴れなかった。 阪神・香田投手コーチ(岩貞に) 「今年の岩貞は粘れる。そういう投球を見せてくれた」 原口(九回に代打で左前打) 「チームのプラスになれるように、しっかり結果を出せるようにやっている」 藤川(2季ぶりのセーブ) 「6月なのでまだまだ。後半はもっとしんどい場面が来る。じっくりやっていく」

◆楽天の梨田昌孝監督(64)が16日の阪神戦(楽天生命パーク)後、辞任を申し出て球団に受諾された。チームはこの日の阪神戦に1-2で敗れ、借金は今季最多の20に膨らんだ。梨田監督は「自分の中で借金20というのが、責任を取る1つのラインだった」と話した。  ■梨田昌孝(なしだ・まさたか) 1953(昭和28)年8月4日生まれ、64歳。島根県出身。浜田高から72年ドラフト2位で近鉄入団。捕手としてベストナイン3度、ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)を4度受賞した。88年に引退。通算成績は1323試合に出場、打率・254、113本塁打、439打点。近鉄でバッテリーコーチ、2軍監督を歴任。2000年から監督を務め01年にリーグ優勝。04年の近鉄消滅に伴い退団。08年から4年間日本ハムで指揮を執り09年にリーグ制覇。16年から楽天監督。1メートル78、75キロ。右投げ右打ち。既婚。年俸1億円。背番号99。

◆楽天の梨田昌孝監督(64)が1-2で敗れた16日の阪神2回戦(楽天生命パーク)後、辞任を申し出て球団に受諾された。立花陽三球団社長は、今季の残り試合は平石洋介ヘッド兼打撃コーチ(38)が監督代行として指揮を執ることを明らかにした。  この日の試合に敗れ、借金は今季最多の20に膨らんだ。梨田監督は「借金20はひどい数字。責任を取る1つのラインだった」と理由を明かした。

◆楽天は16日、梨田昌孝監督の辞任を発表した。楽天生命パーク宮城での阪神2回戦に1-2で敗れ、21勝41敗1分けで借金が今季最多の20となり、球団に辞意を伝えて了承された。80試合を残して決断した梨田監督は報道陣の取材に応じ「借金20は自分の中で区切り。監督としてこの低迷ぶりの責任を取るべきだ」と語った。17日から平石洋介ヘッド兼打撃コーチが監督代行を務める。  梨田監督は球団に辞任を了承された後、楽天生命パーク宮城で取材に応じて時折、悔しさをにじませながらもはっきりとした口調で決断した思いを語った。  --決断した理由は  「借金20は自分の中で区切り。仙台では7勝24敗。本拠地で勝てないのは監督の責任。この低迷ぶりは監督として責任を取るべきだと思った」  --今季の誤算は  「打線が良くなくて点が取れなかった。つながりがなかった。(救援の)松井や福山も調子が悪かった。失策や四球が絡む失点も多かった」  --今年は星野仙一さんが亡くなり、優勝を誓ったシーズンだった  「絶対に勝たなきゃいけないという思いが逆に選手のプレッシャーになってしまったのかな。ガチガチにさせてしまったのは監督の責任」  --残る試合で選手たちに期待することは  「故障者もいるけど、いる人でやっていくしかない。前を向いてしっかり戦っていってほしい。スタッフやコーチ陣にも申し訳ない気持ちでいっぱい」

◆楽天は16日、梨田昌孝監督の辞任を発表した。楽天生命パーク宮城での阪神2回戦に1-2で敗れ、21勝41敗1分けで借金が今季最多の20となり、球団に辞意を伝えて了承された。80試合を残して決断した梨田監督は報道陣の取材に応じ「借金20は自分の中で区切り。監督としてこの低迷ぶりの責任を取るべきだ」と語った。17日から平石洋介ヘッド兼打撃コーチが監督代行を務める。  かつて率いた近鉄、日本ハムをリーグ制覇に導いた梨田監督は2016年に楽天監督に就任。17年は前半戦を首位で折り返すなど3位に躍進したが、今季は4月に7連敗を喫するなど開幕から低迷が続き、首位西武から16・5ゲーム差の最下位に沈んでいる。 楽天・梨田監督の話 「借金20は自分の中で区切り。仙台では7勝24敗。本拠地で勝てないのは監督の責任。この低迷ぶりは監督として責任を取るべきだと思った。スタッフやコーチ陣にも申し訳ない気持ちでいっぱい」 楽天・立花陽三球団社長の話 「私を含め、フロントは責任を感じている。決して監督だけの責任ではない。関わった全員の責任だと思っている。この現実を受け止めて、あと80試合を大切に戦っていく」

◆--今後も基本的には藤川がストッパー  金本監督「やっぱ、そうかな。ただ、きょう30球を超えた(31球)から、明日(17日)は様子見になるかもしれんけど、ちょっと」  --中谷の後、原口、高山の代打攻勢もズバリ  「前半、則本がよくてバントで送ってもなかなかでしたけど、最後にホント3人が得点圏でババッと打ってくれた」  --対則本で5犠打  「もちろん、きょうは絶対1点勝負だなと。2点取れたらラッキーというぐらいの感じ。得点圏に送って相手もミスすることもあるし、という考えで(笑) なかなか彼から点を取れるとは思ってなかったんでね」  --波に乗れそうな勝利  「そうですね。エースを相手に九回にどーんとひっくり返すのは、本当にチーム力というか。選手は自信にして欲しいというか。手応えを感じて欲しいですね」

◆楽天・梨田昌孝監督が辞任した。  エッ...というより、そこまで苦悩していたのか...とさえ思う。いささかなりとも近鉄の「若くて有望な強肩捕手」としての梨田昌孝を知る古株記者としては、そのモノ静かな『退場劇』が胸にしみた。  近鉄の若手時代に西本幸雄監督の鉄拳をうけて教育された男だ。西本幸雄という頑固親父からシゴき倒されて「俺はおまえがいたから(近鉄の監督を)引き受けたんやぞ!」とまで言わせ、叱咤激励された素質。西本さんはよく言っていた。  「あいつの魅力は"やさしすぎる"ことや。しかし...それがもの足りんのや」  ところが...もう65歳。西本幸雄という名伯楽を超えたキャリアを積んだ彼は"1点勝負"の奥行きはあるハズなのにこの試合でもアレ? と思うほど攻める時と手堅くいくべき時との微妙なズレが...。もちろん『結果論』だからシロウトが何をぬかすか...となるが、それだけ阪神の「人海戦術」の前に彼のチ密さは影をひそめていた。  それにしてもこんなに1球の駆け引きで、打者心理と投手心理がしのぎをけずり、岩貞が八回一死まで121球、則本が九回一死、高山にフォークを逆転打とされるまでの136球の『熱投』には、久しぶりに熱いものがこみあげた。  0-0の投手戦より乱打戦の方が派手な喜怒哀楽が見えてスリリングだという人もいるが、捕手出身の指揮官と外野手出身の監督の虚々実々は両者の「性格」を少しは知るだけにたまらなく面白かった。交流戦の11位と最下位の戦いとはとても思えない...。 実は試合前に若いトラ番竹村岳が電話をくれて「僕が高校3年の時に則本投手が三重中京大で、やがて僕の母校となる大体大相手に1回戦で20奪三振をしたことがあるんです。しかし...それでも則本さんは力投したけど延長タイブレークの末、1-2で負けた。そういうことがありますから勝負はゲタをはくまでわからないと思いますョ」と予告していた。記者をやるより竹村は占い師になったほうがよかった...と思うほど「イイ勘」をしてたのだ。だって普通に考えると球質、投球の幅、キャリアなど総合力では、申し訳ないが岩貞よりは則本の方が格上だから、そんな球界No.1の投手を出さなくったって...とさえ思った。  「これじゃあ...ひとたまりもなく虎は料理される」と編集局の窓際でつぶやいたぐらいだ。それがどうだい。九回先頭の伊藤隼太の四球から...人生、あきらめちゃいけないという『教訓と人生哲学の教え』まで付録についてきたみたいな逆転劇。  仙台といえば山本周五郎の名作『樅ノ木は残った』がある。原田甲斐は幕府の権力と陰謀で苦悩し追い詰められる。  「樅ノ木はものをいわない...」  苦境のなかで名門仙台藩の立て直しに挑む甲斐の苦闘に、好漢梨田がダブった。心の葛藤を胸におさめて...1点が遠い、1点が重い...1点が苦しい...そして1点がどれほど残忍で残酷か? というなかで梨田は引く。  「集団の本質は愛である」と心理学者フロイトはいっているが...。

◆若虎中谷&高山よ、土壇場での大エース則本打ち、でかしたア!! だが、本日の真のヒーローは先発の岩貞である!!  そこで特別企画『虎にも奇妙な物語』。  5月後半のある夜、岩貞は大投手になりたいとベッドの中で悩んでいた。すると突然、悪魔が現れたのだった。  「フフフ...大投手になりたいなら、この『ロシアン・エース・ルーレット』を使うか? 使いこなせたら大投手へ...しかし、失敗すれば自信をなくし二流投手の2軍地獄だ! ど~する?」  ヒャ~、ハッ夢か...と思ったら目の前に一丁のピストルが...。半信半疑だったが、大投手という言葉に取りつかれるように、岩貞はピストルの引き金を引いた...。  パーン! 5月25日の巨人戦は大エース菅野、結果7回6安打無失点勝利。パーン! 6月1日の西武戦はパのナンバーワン左腕・菊池との対決、8回6安打10奪三振2失点の好投も黒星。パーン! 9日のロッテ戦は過去3度最多勝の涌井との対決、7回4安打無失点も勝ち負けつかず。ロシアン・エース・ルーレットは、大投手との対決の悪夢であったが彼は戦い続けた。  そして、パーン! 本日、則本と投げ合い、7回1/3を6安打1失点。この4試合29回1/3で防御率0.92...大投手になっていた。いつしか悪魔の姿は消えていたのだった...。

◆今季4勝目はならなかったが、則本に"投げ勝った"といっていいだろう。岩貞が八回途中6安打1失点と好投した。  「先制点をあげてしまったのが反省です。イニングの途中で代わったのも情けないです」  立ち上がりにアクシデントに見舞われた。二回。4番・ディクソンの痛烈なゴロを右足に直撃させた。それでも続投を志願し、四回一死満塁のピンチもアマダー、茂木を連続三振。0-0の八回一死一、三塁で桑原にバトンを渡し、結果、20イニングぶりの失点となったが、その熱投を金本監督も「1点もやれないというね。岩貞も相手投手をみているでしょう」と高く評価した。  今季は菅野(巨人)、菊池(西武)、涌井(ロッテ)らエース級との投げ合いが続く。「ここ最近、そういう相手ばかりで先制点がより大きな意味をもつと思っていた。反省しないと」。目標を高く。エース左腕への道を駆け上がっている。 (阿部祐亮)

◆藤川がフッと笑い、無数のジェット風船が舞った。バックネット前ギリギリで、原口がフラつきながら27個目のアウトをつかむ。危なかった。だが、勝ちきった。火の玉ストレートで九回にくっきりと「0」を焼きつけ、2年ぶりセーブだ。  「まだ6月。後半になったらもっとしんどい場面も出てくる」  思いがけず大ピンチを背負ったが、経験で虎を勝たせた。2-1の最終回を託された。先頭のアマダーをこの日最速149キロの真っすぐで空振り三振に斬ると、続く茂木も高め146キロで連続三振。続く代打・銀次も一気に仕留めにいった。  「あと1人」コールが「あと1球」コールに変わる。フルカウントから7球目、高め148キロを銀次がブンッと振り、原口のミットに収まりかけたが...。白球はポロッとこぼれてファウルチップになった。試合終了と思ったスタンドの虎党の手から、ジェット風船が放たれてしまった。 仕切り直しの8球目を中前打され、聖沢は四球で二死一、二塁。長打が出れば逆転サヨナラの大ピンチを背負ったが、くぐってきた修羅場の数が違う。続く田中を捕邪飛に仕留め、勝ちきった。さすがは藤川。虎党にもう一度、風船をいっぱいまで膨らませる時間を作りながら締めくくった。虎復帰1年目だった2016年8月10日の広島戦(マツダ)以来675日ぶり、日米通算226個目の「セーブ」だ。  ヒヤヒヤしながらも、金本監督は信じて託していた。「も~う、そりゃ。球児を信じるしかないからね、あそこは。経験とあの球をね」と手の汗をぬぐう。今季16セーブの守護神ドリスが体調不良で抹消。誰かが、やるしかなかった。同じく抹消中のマテオも、ロサリオまでもが、もっとも頼りにするのが藤川だ。  今季途中、ロッカールームの場所が変わった。外国人選手の並びに"引っ越し"してきたほど、彼らを支えてきた。異国で戦い、うまくいかない悔しさも、藤川なら分かる。仲間の悔しさも「22」に背負い、燃えるボールを投じる。  「じっくり、やっていきます」 5月10日の巨人戦(東京ドーム)から、登板9試合連続無失点。その間9回2/3を投げ、13奪三振。確実に温まってきた藤川の右腕が、虎の最終回に仁王立ちする。 (長友孝輔)
阪神・香田投手コーチ 「岩貞は相手が則本投手ということで、何とか頑張ろうという思いがマウンドに出ていた。ことしの岩貞の真骨頂である粘りの投球。八回(の交代)は120球を超えて、力がなくなってきていたので。九回の球児も、よく粘ってくれました」
八回一死一、三塁で登板し、今江に先制二塁打を許すも後続を抑え、今季初勝利の阪神・桑原 「チームは勝ったけれど、打たれたので...。そのへんを、しっかりしたいです」
★藤川、前回セーブVTR  2016年8月10日の広島戦(マツダ)。2-1の九回にマウンドに上がると、一死から田中に四球。二死後に二盗を決められ、連続四球で満塁のピンチを背負ったが、最後は新井を右飛に斬り、約2カ月ぶりの3セーブ目。同年は日本球界復帰1年目で開幕から先発ローテに入ったが、結果が出ずに中継ぎに再転向。当時はドリスが右肘炎症で離脱したため、マテオとダブルストッパー体制だったが、その後はマテオが抑えを務めた。

◆熱狂、興奮の押せ押せムードが高山のバットにも"パワー"を与えた。九回。土壇場で追いついて、なお一死一、三塁。熱投・則本の136球目、高山にとっての初球は、積極的に振る男には"おあつらえ向け"の球だった。外角へ、あまり落ちない136キロフォークを一閃。打球はライナーで三遊間を抜けていった。逆転! 黄色く染まった右翼スタンドは、歓喜のドンチャン騒ぎだ。  「何もない」「そんなこと考えてない」  試合を決する殊勲打を放ったヒーローとは思えないMAX短いコメントを残し、帰りのバスに脱兎の如く乗り込んだ背番号9。プロ野球界では奇異に映る光景も、「阪神・高山」ならすっかり"お馴染み"になった。  まあ、別に無理にしゃべる必要もない。打ちまくってくれたなら...。  今季、代打として8打席目で初安打。ただし、その事実に問題がある。本来ならスタメンに名を連ねるべき、虎のスター候補。ところが、この日、相手先発は右腕・則本なのに、タテジマの「2番・中堅」は右打者・俊介。ベンチで悔しい思いで過ごしていたはず。  ほんの4日前、12日の札幌ドームでの日本ハム戦。昇格即、試合を決める3ランを放ちながら、翌日3打数無安打、その翌日3打数無安打。いずれも代打を送られて交代-。乗り切れない日々を送っている。 そんな男に金本監督もお褒めの言葉を与えた。  「そうですね。本当にこの大事な場面であそこでよく打ちましたね」  得点圏での一打がなかなか出ない状況を、この日の九回は忘れさせてくれた。中谷らとの中堅争いは激しいが、高山のバットが復活した時、猛虎は本調子になる。 (上田雅昭) 九回に伊藤隼の代走で出場し、同点ホームを踏んだ仙台市出身の阪神のD3位・熊谷敬宥内野手(立教大) 「地元で出ることができて、うれしかったです。また機会があれば頑張ります」

◆これぞ執念、これが猛虎魂だ! 阪神は0-1の九回、中谷将大外野手(25)が球界のエース、楽天・則本から右中間へ起死回生の同点適時二塁打。高山の適時打で決勝ホームを踏み、2-1の逆転勝利に導いた。チームは2連勝で交流戦初のカード勝ち越しを決め、2位浮上。17日、同一カード3連勝で借金を完済する!! 捕るな! 抜けてくれ! 中谷の、ベンチの、そして仙台の虎党の祈りがこもった白球が、右中間の芝生に弾んだ。完封負け寸前で、起死回生の同点二塁打。大逆転劇を演じたヒーローは、手のひらに残る感触に、興奮を抑えられなかった。  「周り(のこと)まで考えられないですね。自分が打ったことがうれしすぎて。すごいピッチャーなので何も考えずに、食らいついていこうという思いだけでした」  球界のエース・則本の前に11三振を奪われ、0行進。熱投の岩貞が八回に力尽き、0-1で九回に突入した。先頭の伊藤隼が四球を選び、鳥谷の犠打で一死二塁から、運命の打席に立った。  カウント1-2から5球目の外角スライダーに必死に腕を伸ばした。二塁ベース上で激しくガッツポーズ。続く代打・原口&高山と炎の3連打で決勝のホームインだ。  「岩貞さんがずっと頑張っていた。自分もミスをしていたので何とか返してやろうと」。五回無死二塁でバントを2度ファウルし、強行も投ゴロで走者を進められず。自身もチームも土俵際で、執念のひと振りだった。 「『俺は中谷やぞ!』 20本打ったんだから、投手を見下すくらいで打席に立って欲しい」-。浜中2軍打撃コーチの言葉が耳に残る。昨季チームトップ20本塁打を放つも、不振で開幕2軍。「もう、何がダメなのかもわからない...」と暗い闇に迷い込んだ。  浜中コーチは当時を「『打席の中で自信がない』と言っていた」と振り返る。だからこそ「自分で考えて、見つけないといけない」と技術指導よりもまず、強い気持ち、戦う姿勢を求めた。中谷も自宅で、あえて1軍のテレビ中継をみながらバットを振った。がむしゃらになって5月22日に1軍に戻ってきた。  得点圏打率・429の勝負強さで前日の決勝2ランに続く千金打。虎が過去3度、7回1点、完封、完投と抑えこまれてきた則本とは、この日が自身初対戦。"名前負け"することなく、まさに「俺は中谷やぞ!」と、ここ一番で打ち砕いた。  「一番しびれるところ。同点の勝ち越しの場面よりも負けているときの方が一番プレッシャーがかかる。特に九回、しかも2ストライクとられて、最高の結果。勝負強いところをみせてくれた」と金本監督も最敬礼だ。「きょうは絶対1点勝負」と計5犠打の執念采配に若虎が応え、交流戦初のカード勝ち越し。2位に浮上した。 「交流戦(残り)全部勝つという話をしていました」と力を込めた25歳。この日は一塁で出場したが、本職はセンターだ。高山が復調気配で、外野も守れるナバーロも来日したが、その座は譲らない。首位広島を3・5ゲーム差で追う虎の中心には、中谷がいる。 (竹村岳)
九回に2点を奪った打線について阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチ 「みんなが本当に、最後まであきらめずにやってくれました」
データBOX  ◎...阪神が九回に試合をひっくり返すのは今季初。4月13日のヤクルト戦(甲子園、延長十回●2-3)で0-2の九回に福留の2ランで追いついたことはあった  ◎...九回の逆転は昨年9月5日の広島戦(マツダ、●7-8×)以来。5-6から福留が2ランを放った。九回に逆転して勝つのは、同8月9日の巨人戦(東京ドーム、○5-4)以来。3-4から福留の適時三塁打とロジャースの犠飛で2点を奪った  ◎...中谷は今季、得点圏で打率・429(21打数9安打)、3本塁打、12打点。昨年の同・238(101打数24安打)から大幅に良化

◆パ・リーグ最下位の楽天は16日、梨田昌孝監督(64)の辞任を発表した。阪神2回戦(楽天生命パーク)に1-2で敗れ、21勝41敗1分けで借金が今季最多の20となり、球団に辞任を申し入れた。梨田監督は「借金20はひどい数字。責任を取る一つのラインだった」と説明。立花陽三球団社長(47)は、今季の残り試合は平石洋介ヘッド兼打撃コーチ(38)が監督代行として指揮を執ると明かした。若い指揮官で巻き返しを図る。 杜の都に衝撃が走った。午後2時開始のデーゲームの阪神戦に敗れた後、球団から「午後7時15分より」と異例の緊急会見が設定された。姿を現した安部井チーム統括本部長が、内容を明かした。  「きょうの試合後に、梨田監督の方から辞任の申し出がありました。その辞任の申し入れに対して、球団の方が受諾をしました」  まもなく、梨田監督が報道陣の前で説明した。63試合を終えた時点で21勝41敗1分け。「借金20はひどい数字。責任を取る一つのラインだった」と悔しさをにじませた。  加えて、楽天生命パークで7勝24敗という不振も理由に挙げた。「本拠地で勝てないのは監督の責任。この低迷ぶりは監督として責任を取るべきだと思った。スタッフやコーチ陣にも申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪した。  就任1年目の2016年は5位に終わったが、昨季は3位でクライマックスシリーズに進出し、ファイナルステージにも駒を進めた。だが3年目の今季は開幕から低迷し、パ・リーグ最下位に沈み、交流戦でも4勝12敗で最下位と苦しんでいた。 監督時代に「闘将」と呼ばれた星野仙一球団副会長が、1月4日に膵臓(すいぞう)がんで死去した。失意の球団は一致団結を掲げ、日本一奪還を誓い、"弔い合戦"に挑んだ。しかし、80試合を残して、指揮官がチームに別れを告げた。  「絶対に勝たなきゃいけないという思いが、逆に選手のプレッシャーになってしまったのかな。ガチガチにさせてしまったのは監督の責任です」  立花球団社長も取材に応じ「私を含め、フロントは責任を感じている。決して監督だけの責任ではない。関わった全員の責任だと思っている」とかばった。17日の阪神戦(楽天生命パーク)から今季残り試合は、平石ヘッド兼打撃コーチが監督代行を務めると明かした。  1980年生まれで、いわゆる"松坂世代"の平石監督代行は、2011年に現役引退。翌12年から生え抜き選手としては球団初の育成コーチに就任した。1軍打撃コーチなどを歴任し、15年10月に35歳の若さで2軍監督に就任した。  立花社長は「とにかく前向きに、明るく、残り80試合を大切に戦ってほしい」と託した。厳しい船出となるが、若き指揮官がかじを取る。 (広岡浩二)
★若い監督  藤本英雄は1944年、25歳で巨人の投手兼任監督に就任。野村克也は69年秋に、34歳で南海の捕手兼任監督に就任した。専任では、長嶋茂雄が74年秋に38歳で巨人監督(翌75年の指揮開始時は39歳)に。高橋由伸が2015年秋に40歳で巨人監督になったなどの例がある。
★平石洋介という男  平石監督代行は楽天が球団初の日本一となった2013年に、1軍の打撃コーチ補佐を務めた。選手の意見に耳を傾け、決して自身の考えを無理強いしないスタイルは、選手から絶大な信頼を得た。今季西武に移籍した松井でさえ、打撃不振に陥ると5学年下の平石補佐にアドバイスを求めていた。  その手腕を評価され、16、17年は2軍で指揮を執り、先輩ばかりのコーチ陣の中でチームをまとめ、いずれもイースタン・リーグ2位と結果を残した。何より05年の球団創設時からの生え抜きで、球団の全ての監督と接してきた経験も大きい。球団最年少の指揮官として期待がかかる。 (楽天担当・広岡浩二)
梨田 昌孝(なしだ・まさたか)  1953(昭和28)年8月4日生まれ、64歳。島根県出身。浜田高から72年ドラフト2位で近鉄入団。捕手としてベストナイン3度、ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)を4度受賞した。88年に引退。通算成績は1323試合に出場、打率.254、113本塁打、439打点。近鉄でバッテリーコーチ、2軍監督を歴任。2000年から監督を務め01年にリーグ優勝。04年の近鉄消滅に伴い退団。08年から4年間日本ハムで指揮を執り09年にリーグ制覇。16年から楽天監督。1メートル78、75キロ。右投げ右打ち。既婚。年俸1億円。背番号99。
平石 洋介(ひらいし・ようすけ)  1980(昭和55)年4月23日生まれ、38歳。大分県出身。大阪・PL学園高で主将として3年春と夏に甲子園出場。春は4強。夏は準々決勝で松坂を擁する横浜と延長17回を戦い、7-9で敗れた。同志社大、トヨタ自動車を経て2005年ドラフト7巡目で楽天入団。1年目から25試合に出場。11年限りで現役引退。主に外野手で通算成績は122試合に出場、打率.215、1本塁打、10打点。12年から楽天でコーチ、2軍監督を歴任し、今季からヘッド兼打撃コーチだった。1メートル75、75キロ。左投げ左打ち。既婚。年俸2000万円。背番号89。

◆中谷の同点二塁打は、決して簡単ではない外寄りスライダーを打ち返したもので、見事な打撃だった。前夜(15日)の先制2ランに続く殊勲打で、開幕2軍で出遅れていた男が、ここ一番で結果も出始めている。  打撃フォームの変化は、ちょっと気付きにくいのだが、打席で左足の上げ方をほんの少し小さくしていた。微妙な変化なのだが、わずかにコンパクトにすることで、これまでより変化球への対応力が高まっている。  だからこそ、阪神ベンチに注文したいのは五回無死二塁からの送りバントのサイン。相手が則本だから、どうしても1点を取りたい、先制したい気持ちは分かる。でも、選手には個々にタイプがある。送りバントを徹底してやらせる選手もいていいが、中谷は「任せるぞ。走者を返せ!」「勝負してこい!」と送り出し、成長させていってほしいタイプの選手だ。  最近の阪神は、バントを多用する試合が増えている。攻撃陣がリズムに乗れず、バントを駆使する作戦を全面的に否定はしないが、送りバントは攻撃の流れを止める作戦でもある。選手も乗っていくのが難しい。長いシーズンはまだ半分以上残っている。選手に勢いが付く攻めをしてもらいたい。中谷は特にそういうタイプなのだから。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆野球評論家の張本勲氏(77)が17日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・0)の名物コーナー「週刊・御意見番」に生出演。楽天・梨田昌孝監督(64)が辞任したことについて、「借金20ですから。残念だけど、責任を取るのが日本の慣例ですから。仕方がない」と話した。  梨田監督は16日、楽天生命パーク宮城での阪神2回戦に敗れてチームの借金が今季最多の20となり球団に辞任を申し入れた。今季の残り試合は平石洋介ヘッド兼打撃コーチ(38)が監督代行として指揮を執る。  梨田監督は就任1年目の2016年は5位に終わったが、昨季は開幕から快進撃を見せて3位でクライマックスシリーズに進出し、ファイナルステージに進出した。3年目の今季は開幕から低迷し、21勝41敗1分けでパ・リーグ最下位に沈み、交流戦でも4勝12敗で最下位と苦しんでいた。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
332710.55
(↓0.009)
0
(-)
82278
(+2)
273
(+6)
61
(+1)
34
(+2)
0.254
(↓0.002)
4.19
(↓0.03)
2
(↑1)
阪神
293000.492
(↑0.009)
3.5
(↑1)
84200
(+2)
223
(+1)
31
(-)
36
(-)
0.239
(-)
3.35
(↑0.04)
3
(↑2)
DeNA
282920.491
(↑0.009)
3.5
(↑1)
84232
(+1)
235
(-)
70
(-)
40
(+3)
0.251
(↓0.003)
3.6
(↑0.08)
4
(↓2)
巨人
303210.484
(↓0.008)
4
(-)
80283
(-)
250
(+1)
60
(-)
30
(-)
0.266
(↓0.002)
3.76
(↑0.03)
5
(↓1)
ヤクルト
283110.475
(↓0.008)
4.5
(-)
83254
(+1)
282
(+2)
53
(-)
34
(-)
0.25
(↓0.001)
4.26
(↑0.03)
6
(-)
中日
283510.444
(↓0.008)
6.5
(-)
79250
(+2)
293
(+9)
43
(-)
35
(-)
0.26
(↓0.002)
4.37
(↓0.09)

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
西武
372400.607
(↑0.007)
0
(-)
82350
(+9)
264
(+2)
68
(+2)
78
(+3)
0.275
(-)
4.05
(↑0.03)
2
(-)
日ハム
362700.571
(↑0.006)
2
(-)
80273
(+2)
248
(+1)
70
(+2)
49
(+1)
0.243
(↑0.001)
3.72
(↑0.05)
3
(↑1)
福岡
332900.532
(↑0.007)
4.5
(-)
81271
(+6)
245
(+2)
83
(+2)
39
(-)
0.254
(-)
3.83
(↑0.04)
4
(↓1)
ORIX
333010.524
(↓0.008)
5
(↓1)
79239
(-)
237
(+1)
52
(-)
36
(+1)
0.234
(↓0.002)
3.51
(↑0.05)
5
(-)
ロッテ
303100.492
(↑0.009)
7
(-)
82245
(+1)
245
(-)
29
(-)
64
(+3)
0.256
(↓0.001)
3.62
(↑0.06)
6
(-)
楽天
214110.339
(↓0.005)
16.5
(↓1)
80186
(+1)
266
(+2)
49
(-)
34
(+1)
0.229
(-)
3.98
(↑0.03)

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
11500.688
(↓0.045)
0
(-)
269
(+1)
58
(+2)
14
(-)
7
(-)
0.245
(↓0.003)
3.49
(↑0.07)
2
(↑1)
西武
10600.625
(↑0.025)
1
(↑1)
296
(+9)
73
(+2)
22
(+2)
22
(+3)
0.264
(↑0.001)
4.45
(↑0.16)
3
(↓1)
ORIX
10600.625
(↓0.042)
1
(-)
268
(-)
54
(+1)
17
(-)
8
(+1)
0.247
(↓0.01)
3.29
(↑0.2)
4
(-)
福岡
10600.625
(↑0.025)
1
(↑1)
272
(+6)
60
(+2)
26
(+2)
9
(-)
0.235
(↑0.003)
3.43
(↑0.17)
5
(-)
日ハム
9700.563
(↑0.03)
2
(↑1)
297
(+2)
72
(+1)
21
(+2)
15
(+1)
0.261
(↑0.001)
4.22
(↑0.23)
6
(-)
ロッテ
9700.563
(↑0.03)
2
(↑1)
254
(+1)
47
(-)
7
(-)
16
(+3)
0.275
(↓0.005)
2.57
(↑0.16)
7
(-)
巨人
8900.471
(↓0.029)
3.5
(-)
165
(-)
57
(+1)
20
(-)
9
(-)
0.246
(↓0.006)
3.18
(↑0.12)
8
(-)
DeNA
7800.467
(↑0.038)
3.5
(↑1)
356
(+1)
65
(-)
17
(-)
11
(+3)
0.248
(↓0.012)
4.15
(↑0.39)
9
(↑2)
阪神
6900.4
(↑0.043)
4.5
(↑1)
355
(+2)
63
(+1)
7
(-)
9
(-)
0.263
(↑0.002)
3.69
(↑0.2)
10
(↓1)
広島
61000.375
(↓0.025)
5
(-)
262
(+2)
94
(+6)
15
(+1)
8
(+2)
0.257
(↓0.007)
5.67
(↓0.06)
11
(↓1)
中日
61100.353
(↓0.022)
5.5
(-)
156
(+2)
85
(+9)
10
(-)
7
(-)
0.252
(↓0.006)
5.06
(↓0.28)
12
(-)
楽天
41200.25
(↓0.017)
7
(-)
235
(+1)
57
(+2)
9
(-)
11
(+1)
0.23
(↑0.001)
3.42
(↑0.09)